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第三十話 それぞれの恋心
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無事にパーティーが終わり、私も含めて何人か動ける人間て片づけを完了させていると、イリス様が外出から戻ってきた。
「おかえりなさい、イリス様」
「ただいま~……パーティに間に合うかと思ったけど、駄目だったわね」
今日はどうしても外せない用事があったらしく、イリス様は不参加だった。だから、イリス様が喜ぶものを用意しておいたの。
「イリス様、ケーキがお好きでしたよね? いくつか残しておいたので、よかったら一緒にどうですか?」
「まあ、素敵! ありがとう~おかげで仕事の疲れも吹き飛ぶわ!」
「ならよかったです」
ルンルン気分で座ったイリス様は、ショートケーキをぱくり。すると、夜なのに太陽が昇ってきたのではないかと思うくらい、眩しい笑顔が目の前できらめいていた。
「やっぱり、スイーツって生きていくのに必要な原動力だと思うのよ、私」
「わかります。甘いものがあれば頑張れますよね。食べた時の幸福度……一度病みつきになったら、もう止まりませんよね!」
互いに自分の言いたいことを言った私達は、そのまま固く握手を結んだ。
どうやらイリス様とは、スイーツ同盟を組めそうだわ! こういう話を出来る人が周りにいなかったから、凄く嬉しいわ!
「そういえば、うちの息子もレージュ君もいないけど、どうしたの?」
「仲良く酔いつぶれてますよ。人のことを、愛してるとか言ったり、抱きしめたり……もうっ」
「でも、それが嫌じゃないエリシアちゃんであったと。めでたしめでたし」
「終わらせないでくださいよ!? 私の物語、まだ続きますから!」
とりあえず変な所に突っ込んでおいたけど……嫌じゃなかったという部分に関しては……否定できない。これが恋心なのかは……わからない。
「……イリス様……私、恋心がわからないんです」
「うんうん」
「恋なんてしたことが無いから、この気持ちが恋なのかわからない。こんな状態で、まっすぐ行為を向けてくるサイラス様に相応しくないと思うんです」
「…………」
酔った勢いで、いつもは言わないような弱音を吐いていると、イリス様はじっと私の目を見つめ……。
「エリシアちゃんって、超がつくほど真面目ねぇ」
え、えぇ……どうして今の内容で、真面目になるのかしら……よくわからないわ……。
「恋愛なんて、人それぞれ。恋心だって人それぞれよ。試しに聞かせてもらうわ。今日息子と話して、嫌だった?」
「いえ、楽しかったです。サイラス様も楽しそうでした」
「その時、笑ってるサイラスを見て、ドキドキしたりとか、もっと笑ってほしいとか、一緒に笑いたいとか、思わなかったかしら?」
サイラス様が笑っていたら、私も嬉しくなって笑ってしまうし、もっと笑顔で、幸せでいてほしいと思う。
「息子に触れられた時、もっとしてほしいと内心で思ったのではないかしら?」
「ぎくっ……」
「大丈夫よ、経験あるから。ドキドキして、やめてって思うのに、心の奥底ではもっとしてほしいと思ってしまう……人間は不思議よね」
「そうですね」
「つらつらと並べて見せたけど、この人好きだな、いいなって思ったら、それでもう好きな人でいいんじゃないかしら?」
「…………」
そうかな……本当にそれで良いのかな……勝手に決めつけて、サイラス様に迷惑をかけたり、面倒なことに巻き込んでしまったりしないだろうか……。
「最後に、これはあくまで一般論の話だけどね。相手と話すだけで嬉しくなったり、ふと寂しくなって会いたくなったり、愛の言葉を言われて照れたり……まだまだあるけど、恋心のきっかけって、色々あるのよ」
凄い、寂しくなったところ以外は経験がある。それも、どれの時でも、もうっ! って怒ってるけど、内心では喜んでる自分がいた。
――そうか。私……本当にサイラス様に恋をしていたんだ。それも、多分学生時代からずっと。
マグナス様さえいなければ、きっと楽しい生活をもっとおくれていたでしょうね……。
「なにかヒントになったかしら?」
「はい。おかげで、やっぱり私の気持ちはそうだったんだって、わかりました」
「ならよかったわ。あ、子供はいつでも良いし、多くても少なくても大歓迎よ!」
「それは、まだ来るかもわからない未来なものでして……」
「あっ、あそこで子供とか聞こえたっすよ!!」
「ついにサイラスさんと結婚かしら!?」
「ちょ、話を聞いて――もう~~~~!! なんでこうなるのよ~!」
どんどんと集まるギルドの皆に囲まれながら、私は頭を抱えながら夜空を見上げた。
なんだか、ドキドキさせられるようなことが多いギルドだけど……みんな暖かくて、とっても楽しいわ。マグナス様のギルドになんて、絶対に戻りたくない。
だから、明日からまた頑張らなくちゃ――と言いたいところだけど、自分の気持ちに大体の見当がついた今、サイラス様の好き好き攻撃に耐えられるのかしら……?
「おかえりなさい、イリス様」
「ただいま~……パーティに間に合うかと思ったけど、駄目だったわね」
今日はどうしても外せない用事があったらしく、イリス様は不参加だった。だから、イリス様が喜ぶものを用意しておいたの。
「イリス様、ケーキがお好きでしたよね? いくつか残しておいたので、よかったら一緒にどうですか?」
「まあ、素敵! ありがとう~おかげで仕事の疲れも吹き飛ぶわ!」
「ならよかったです」
ルンルン気分で座ったイリス様は、ショートケーキをぱくり。すると、夜なのに太陽が昇ってきたのではないかと思うくらい、眩しい笑顔が目の前できらめいていた。
「やっぱり、スイーツって生きていくのに必要な原動力だと思うのよ、私」
「わかります。甘いものがあれば頑張れますよね。食べた時の幸福度……一度病みつきになったら、もう止まりませんよね!」
互いに自分の言いたいことを言った私達は、そのまま固く握手を結んだ。
どうやらイリス様とは、スイーツ同盟を組めそうだわ! こういう話を出来る人が周りにいなかったから、凄く嬉しいわ!
「そういえば、うちの息子もレージュ君もいないけど、どうしたの?」
「仲良く酔いつぶれてますよ。人のことを、愛してるとか言ったり、抱きしめたり……もうっ」
「でも、それが嫌じゃないエリシアちゃんであったと。めでたしめでたし」
「終わらせないでくださいよ!? 私の物語、まだ続きますから!」
とりあえず変な所に突っ込んでおいたけど……嫌じゃなかったという部分に関しては……否定できない。これが恋心なのかは……わからない。
「……イリス様……私、恋心がわからないんです」
「うんうん」
「恋なんてしたことが無いから、この気持ちが恋なのかわからない。こんな状態で、まっすぐ行為を向けてくるサイラス様に相応しくないと思うんです」
「…………」
酔った勢いで、いつもは言わないような弱音を吐いていると、イリス様はじっと私の目を見つめ……。
「エリシアちゃんって、超がつくほど真面目ねぇ」
え、えぇ……どうして今の内容で、真面目になるのかしら……よくわからないわ……。
「恋愛なんて、人それぞれ。恋心だって人それぞれよ。試しに聞かせてもらうわ。今日息子と話して、嫌だった?」
「いえ、楽しかったです。サイラス様も楽しそうでした」
「その時、笑ってるサイラスを見て、ドキドキしたりとか、もっと笑ってほしいとか、一緒に笑いたいとか、思わなかったかしら?」
サイラス様が笑っていたら、私も嬉しくなって笑ってしまうし、もっと笑顔で、幸せでいてほしいと思う。
「息子に触れられた時、もっとしてほしいと内心で思ったのではないかしら?」
「ぎくっ……」
「大丈夫よ、経験あるから。ドキドキして、やめてって思うのに、心の奥底ではもっとしてほしいと思ってしまう……人間は不思議よね」
「そうですね」
「つらつらと並べて見せたけど、この人好きだな、いいなって思ったら、それでもう好きな人でいいんじゃないかしら?」
「…………」
そうかな……本当にそれで良いのかな……勝手に決めつけて、サイラス様に迷惑をかけたり、面倒なことに巻き込んでしまったりしないだろうか……。
「最後に、これはあくまで一般論の話だけどね。相手と話すだけで嬉しくなったり、ふと寂しくなって会いたくなったり、愛の言葉を言われて照れたり……まだまだあるけど、恋心のきっかけって、色々あるのよ」
凄い、寂しくなったところ以外は経験がある。それも、どれの時でも、もうっ! って怒ってるけど、内心では喜んでる自分がいた。
――そうか。私……本当にサイラス様に恋をしていたんだ。それも、多分学生時代からずっと。
マグナス様さえいなければ、きっと楽しい生活をもっとおくれていたでしょうね……。
「なにかヒントになったかしら?」
「はい。おかげで、やっぱり私の気持ちはそうだったんだって、わかりました」
「ならよかったわ。あ、子供はいつでも良いし、多くても少なくても大歓迎よ!」
「それは、まだ来るかもわからない未来なものでして……」
「あっ、あそこで子供とか聞こえたっすよ!!」
「ついにサイラスさんと結婚かしら!?」
「ちょ、話を聞いて――もう~~~~!! なんでこうなるのよ~!」
どんどんと集まるギルドの皆に囲まれながら、私は頭を抱えながら夜空を見上げた。
なんだか、ドキドキさせられるようなことが多いギルドだけど……みんな暖かくて、とっても楽しいわ。マグナス様のギルドになんて、絶対に戻りたくない。
だから、明日からまた頑張らなくちゃ――と言いたいところだけど、自分の気持ちに大体の見当がついた今、サイラス様の好き好き攻撃に耐えられるのかしら……?
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