12 / 97
第十二話 欲しいものは自分の手で
しおりを挟む
「エリシア様にも、事情を説明してあげてください」
大変な事態だというのに、レージュ様は至って冷静に問いかけていた。この冷静さ、見習うべきところだわ。
「は、はい。商人の話では、別の商人が、うちの取引額の倍の値段で全てを買い占めてしまったそうで……」
買い占めなんてするなんて……それって、もしかしてマグナス様のギルドに繋がりのある商人じゃないでしょうね? あそこならやりかねないもの。
仮にそうだとしたら、人様のことを考えないで、素材を独占するだなんて、身勝手極まりない。
「ちなみにですが、その買い占めたところと、素材というのは?」
「聞いた話だと、マグナスさんのギルドみたいです。それと、素材これです」
やっぱり……なんて思いながら見せてもらった書類には、結構簡単に採取できる薬草が書かれていた。これくらいなら、パパッといって採ってくれば問題ないわ。
「ふむ、なるほど。とりあえず、その商人とは今後一切取引をしないのは決定事項として……不足分をどうするかですね」
「はい……明日には必要な素材なのに……一か八か、取り扱ってる商人を探すしか……」
「では、私が採ってきますね」
「なんだって!? 危険ではありませんか!?」
「心配してくれてありがとうございます、レージュ様。ですが、私は日頃から自分で素材を採りに行くことが多かったので、この薬草がある環境程度なら、なんてことありません」
自信満々に胸を叩いてみせたけど、レージュ様や他の人達は、まだ納得がいっていないみたいだった。
うーん、どうやって言えば説得できるだろうか。そんなことを思っていると、製薬班の作業場の扉が、バンッ! と勢いよく開いた。
「話は聞かせてもらった!」
「サイラス様!? 部屋で仕事をしていたのでは!?」
「ちょうどトイレに行こうと思って通りかかったら、話が聞こえてきたのさ。その調達、俺が同行する!」
「なにを言っているんだ。お前には、まだまだギルド長の仕事が残っているだろう」
「それはそうだけど、正直エリシアが心配で、仕事なんか手がつかないって! それに、レージュだって、エリシアを一人で行かせるのは不安なんだろ?」
「それは……その通りだ」
「ならいいじゃないか。俺は武術の心得もあるし、足手まといにはならない。どうだ、エリシア?」
考え込むレージュ様から、私の方へと視線を向けられる。サイラス様の表情は、とても自信に満ち溢れていた。
「……そうね、なにがあるかはわからないし、サイラス様が一緒にいた方が心強いわ。忙しいのに申し訳ないけど、一緒に来てくれる?」
「ああ、任せてくれ! 俺が一緒なら、エリシアに危険は訪れない!」
ふふっ、とても頼もしいわね。これなら危険な野生動物とか出てきたとしても、必死に逃げなくても大丈夫だわ。
それに、ここだけの話だけどね。深い自然の中や、危険な場所とかを一人で行くのは、何度経験してもやっぱり寂しいし、不安だし、怖いって気持ちもあったから……サイラス様が一緒でだと心強い。
「ふんふふ~ん……エリシアと合法的にデート、デート!」
「デートじゃなくて、お仕事だから! もうっ!」
……こんな調子で、大丈夫なのかしら? 今更だけど、ちょっと心配になってきた。
****
しっかり支度をした私達は、馬車で三十分ほど行ったところにある、小さな森へとやってきた。
私達が今回欲しい薬草は、暗くて風通しの悪い、じめじめした所を好む。だから、こういう森の奥の方に群生していることが多いのよ。
「久しぶりのエリシアとデート……しかも、こんな冒険みたいな感じになるなんて、ワクワクするなぁ!」
「だから、デートじゃないって……」
そもそも、学生の時からデートなんてした覚えが……あれ、よくよく考えてみると、ランチとか勉強とかも、ある意味デートだし、マグナス様に内緒で一緒に下校をしたり、ショッピングに行ったりしたのも、デートよね……?
わ、私……知らないうちに、こんなにサイラス様とデートをしていたの!? 考えたら、急に恥ずかしくなってきた……!
「ん? どうした、顔が赤いぞ! もしかして熱でもあるのか!? お、俺がお姫様抱っこをして運んであげようか!?」
「そ、それはまたの機会に」
「今じゃなければいいのか!? うわぁ、がぜんやる気が出てきた!」
し、しまった。サイラス様にお姫様だっことかされるのもいいかも……なんてぼんやりと思ったせいで、つい変なことを口走ってしまった。
サイラス様のことだから、多分ずっと忘れないで、楽しみにしているのが容易に想像できる……仕方がない、今のうちから心の準備をしておきましょう。
……私も……ちょっぴり楽しみ……うふふっ……って、私はなに浮ついたことを考えているの!? 早く薬草を採りにいかないと!
「ご、ごほんっ。不測の事態が起こるかもしれないから、油断はしないようにね」
「大丈夫、俺の辞書に油断って文字は無い!」
「本当かしら? 油断してるから、書類の山が出来てるんじゃないの?」
「うぐっ……エリシアまでレージュみたいなこと言わないでくれ……」
普通の人よりも、マグナス様を好意的に見ている私でも、さすがにそう思わざるを得ないわよ……。
書類仕事が大変な気持ちは、マグナス様のギルドで嫌と言うほど知ってるから、あまり強くは言えないけど、だからって甘やかすわけにはいかない。ギルドの人達の生活がかかってるんだもの。
「それじゃ、行きましょう!」
「おう! って、はやっ!?」
大小様々な植物が生い茂り、足元も良い状況ではない中、私は普段歩くよりも早く進んでいく。
今日はサイラス様と一緒なうえに、普通に歩いて進めるからやっていないけど、必要に迫られたら、木の上に登ったり、隣の木に飛び移ったりして進んだりもするのよ。
「さすがエリシア。運動もお手の物ってわけか! 益々惚れちゃいそうだよ!」
「ほれっ!? もうっ! こんな時まで変なことを言わないで! 手元が狂ってしまうわ!」
「変なことはないさ。俺の心からの本心だからな!」
「う、うぅ~!」
「っ……! エリシア、前!」
「あっ」
いつものように、愛情をストレートにぶつけてくるサイラス様に照れていたら、前方をちゃんと見ていなくて……目の前にまで迫っていた木に正面衝突してしまった。
ま、まさかこんな醜態を晒すだなんて……これはきっと、仕事の最中なのに浮かれていた罰ね……がくりっ。
大変な事態だというのに、レージュ様は至って冷静に問いかけていた。この冷静さ、見習うべきところだわ。
「は、はい。商人の話では、別の商人が、うちの取引額の倍の値段で全てを買い占めてしまったそうで……」
買い占めなんてするなんて……それって、もしかしてマグナス様のギルドに繋がりのある商人じゃないでしょうね? あそこならやりかねないもの。
仮にそうだとしたら、人様のことを考えないで、素材を独占するだなんて、身勝手極まりない。
「ちなみにですが、その買い占めたところと、素材というのは?」
「聞いた話だと、マグナスさんのギルドみたいです。それと、素材これです」
やっぱり……なんて思いながら見せてもらった書類には、結構簡単に採取できる薬草が書かれていた。これくらいなら、パパッといって採ってくれば問題ないわ。
「ふむ、なるほど。とりあえず、その商人とは今後一切取引をしないのは決定事項として……不足分をどうするかですね」
「はい……明日には必要な素材なのに……一か八か、取り扱ってる商人を探すしか……」
「では、私が採ってきますね」
「なんだって!? 危険ではありませんか!?」
「心配してくれてありがとうございます、レージュ様。ですが、私は日頃から自分で素材を採りに行くことが多かったので、この薬草がある環境程度なら、なんてことありません」
自信満々に胸を叩いてみせたけど、レージュ様や他の人達は、まだ納得がいっていないみたいだった。
うーん、どうやって言えば説得できるだろうか。そんなことを思っていると、製薬班の作業場の扉が、バンッ! と勢いよく開いた。
「話は聞かせてもらった!」
「サイラス様!? 部屋で仕事をしていたのでは!?」
「ちょうどトイレに行こうと思って通りかかったら、話が聞こえてきたのさ。その調達、俺が同行する!」
「なにを言っているんだ。お前には、まだまだギルド長の仕事が残っているだろう」
「それはそうだけど、正直エリシアが心配で、仕事なんか手がつかないって! それに、レージュだって、エリシアを一人で行かせるのは不安なんだろ?」
「それは……その通りだ」
「ならいいじゃないか。俺は武術の心得もあるし、足手まといにはならない。どうだ、エリシア?」
考え込むレージュ様から、私の方へと視線を向けられる。サイラス様の表情は、とても自信に満ち溢れていた。
「……そうね、なにがあるかはわからないし、サイラス様が一緒にいた方が心強いわ。忙しいのに申し訳ないけど、一緒に来てくれる?」
「ああ、任せてくれ! 俺が一緒なら、エリシアに危険は訪れない!」
ふふっ、とても頼もしいわね。これなら危険な野生動物とか出てきたとしても、必死に逃げなくても大丈夫だわ。
それに、ここだけの話だけどね。深い自然の中や、危険な場所とかを一人で行くのは、何度経験してもやっぱり寂しいし、不安だし、怖いって気持ちもあったから……サイラス様が一緒でだと心強い。
「ふんふふ~ん……エリシアと合法的にデート、デート!」
「デートじゃなくて、お仕事だから! もうっ!」
……こんな調子で、大丈夫なのかしら? 今更だけど、ちょっと心配になってきた。
****
しっかり支度をした私達は、馬車で三十分ほど行ったところにある、小さな森へとやってきた。
私達が今回欲しい薬草は、暗くて風通しの悪い、じめじめした所を好む。だから、こういう森の奥の方に群生していることが多いのよ。
「久しぶりのエリシアとデート……しかも、こんな冒険みたいな感じになるなんて、ワクワクするなぁ!」
「だから、デートじゃないって……」
そもそも、学生の時からデートなんてした覚えが……あれ、よくよく考えてみると、ランチとか勉強とかも、ある意味デートだし、マグナス様に内緒で一緒に下校をしたり、ショッピングに行ったりしたのも、デートよね……?
わ、私……知らないうちに、こんなにサイラス様とデートをしていたの!? 考えたら、急に恥ずかしくなってきた……!
「ん? どうした、顔が赤いぞ! もしかして熱でもあるのか!? お、俺がお姫様抱っこをして運んであげようか!?」
「そ、それはまたの機会に」
「今じゃなければいいのか!? うわぁ、がぜんやる気が出てきた!」
し、しまった。サイラス様にお姫様だっことかされるのもいいかも……なんてぼんやりと思ったせいで、つい変なことを口走ってしまった。
サイラス様のことだから、多分ずっと忘れないで、楽しみにしているのが容易に想像できる……仕方がない、今のうちから心の準備をしておきましょう。
……私も……ちょっぴり楽しみ……うふふっ……って、私はなに浮ついたことを考えているの!? 早く薬草を採りにいかないと!
「ご、ごほんっ。不測の事態が起こるかもしれないから、油断はしないようにね」
「大丈夫、俺の辞書に油断って文字は無い!」
「本当かしら? 油断してるから、書類の山が出来てるんじゃないの?」
「うぐっ……エリシアまでレージュみたいなこと言わないでくれ……」
普通の人よりも、マグナス様を好意的に見ている私でも、さすがにそう思わざるを得ないわよ……。
書類仕事が大変な気持ちは、マグナス様のギルドで嫌と言うほど知ってるから、あまり強くは言えないけど、だからって甘やかすわけにはいかない。ギルドの人達の生活がかかってるんだもの。
「それじゃ、行きましょう!」
「おう! って、はやっ!?」
大小様々な植物が生い茂り、足元も良い状況ではない中、私は普段歩くよりも早く進んでいく。
今日はサイラス様と一緒なうえに、普通に歩いて進めるからやっていないけど、必要に迫られたら、木の上に登ったり、隣の木に飛び移ったりして進んだりもするのよ。
「さすがエリシア。運動もお手の物ってわけか! 益々惚れちゃいそうだよ!」
「ほれっ!? もうっ! こんな時まで変なことを言わないで! 手元が狂ってしまうわ!」
「変なことはないさ。俺の心からの本心だからな!」
「う、うぅ~!」
「っ……! エリシア、前!」
「あっ」
いつものように、愛情をストレートにぶつけてくるサイラス様に照れていたら、前方をちゃんと見ていなくて……目の前にまで迫っていた木に正面衝突してしまった。
ま、まさかこんな醜態を晒すだなんて……これはきっと、仕事の最中なのに浮かれていた罰ね……がくりっ。
424
お気に入りに追加
1,406
あなたにおすすめの小説

どうして許されると思ったの?
わらびもち
恋愛
二度も妻に逃げられた男との結婚が決まったシスティーナ。
いざ嫁いでみれば……態度が大きい侍女、愛人狙いの幼馴染、と面倒事ばかり。
でも不思議。あの人達はどうして身分が上の者に盾突いて許されると思ったのかしら?
【完結】もう結構ですわ!
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
恋愛
どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。
愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/11/29……完結
2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位
2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位
2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位
2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位
2024/09/11……連載開始

【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました
ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。
このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。
そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。
ーーーー
若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。
作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。
完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。
第一章 無計画な婚約破棄
第二章 無計画な白い結婚
第三章 無計画な告白
第四章 無計画なプロポーズ
第五章 無計画な真実の愛
エピローグ

【完結】愛とは呼ばせない
野村にれ
恋愛
リール王太子殿下とサリー・ペルガメント侯爵令嬢は六歳の時からの婚約者である。
二人はお互いを励まし、未来に向かっていた。
しかし、王太子殿下は最近ある子爵令嬢に御執心で、サリーを蔑ろにしていた。
サリーは幾度となく、王太子殿下に問うも、答えは得られなかった。
二人は身分差はあるものの、子爵令嬢は男装をしても似合いそうな顔立ちで、長身で美しく、
まるで対の様だと言われるようになっていた。二人を見つめるファンもいるほどである。
サリーは婚約解消なのだろうと受け止め、承知するつもりであった。
しかし、そうはならなかった。

公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる