3 / 6
第三話 暖かい家族
しおりを挟む
屋敷からかなり遠くにある家にたどりついた頃には、私は既に息は絶え絶えになり、足も服も泥だらけになっていた。
ここに来るまでに、なんども足をもつれさせて転んでしまったのだから、こうなるのも仕方がない。
「はぁ……はぁ……」
数年ぶりに帰ってきた我が家は、支援を受けているとは思えないほどボロボロで、人が住んでいるようには全く見えない。
「パパ……ママ……!」
大切な家族のことを呼びながら、力なく家のドアを叩くと、中から小柄な女性が出てきた。
「どちら様……えっ? そんな……まさか……あ、アイリーン?」
「ママ……!」
数年ぶりに会ったママは、ここを出た時に比べて随分と痩せてしまっている。どうみても、まともに食事を摂っているようには見えない。
やっぱり……ゲオルク様が言っていた、支援していないというのは本当だったんだ……私は、ずっと騙されていたんだ……!
「ああ、アイリーン! 会いたかったわ……!」
「ママ、ごめんなさい! 私、私……!」
「いいの、何も言わなくていいわ。そんなにボロボロで……疲れたでしょう? 早く中で休みなさい」
久しぶりにママに会えた嬉しさや、ずっと騙されていたゲオルク様達への怒り。そして私が不甲斐ないせいで、パパとママにつらい思いをさせてしまった申し訳なさで、ただ涙を流すことしか出来なかった。
家の中は、あの頃と何も変わっていない……質素で、最低限の家具しか置かれていない。壁や屋根には所々穴が開いていて、人が住めるような状態ではない。
「こんなに怪我をして……綺麗な足が台無しだわ。私が昔みたいに魔法を使えれば、こんな怪我なんてすぐに治してあげるのに……」
「ママ、そんな顔をしないで。その気持ちだけで、私は凄く嬉しいよ」
久しぶりのママとの会話、そして素を出しても怒られないという状況は、私に安らぎを与えてくれた。
「アイリーン、一体何があったの? どうして突然帰ってきてくれたの?」
「実は、さっき色々聞いちゃって……」
私は、婚約者とその家族が、私を騙していたことや、もう何年にも渡ってゲオルク様に愛されていないこと、三つ子に毎日酷いことをされていること……全てのことを、ママに話した。
その間、ママはとても真剣に聞いてくれて……途中から私がまた泣いてしまった時は、昔と同じように私を抱きしめながら、そっと頭を撫でてくれた。
「そうだったのね……私達のために、そんな苦労をさせてしまって……本当に、ごめんね……アイリーン……」
「私こそ、本当にごめんなさい……私が不甲斐ないばかりに、パパとママはつらい思いを……」
ママの顔を見るのもつらくなってしまって、顔を俯かせていると、ママの手がそっと私の頬を撫でながら、優しく私の顔を上げさせた。
「アイリーン。私達の愛しい子。私もあの人も、一度たりともつらいと思ってなどいないわ。私達のために、好きでもない人の家に嫁いでいったあなたの優しさを、誇りに思っているの」
「ママ……」
「おーう、帰った……はぁ!? あ、ああ、アイリーン!?」
家の中に入ってきたのは、きらりと光る頭とガタイのよさが特徴的な男性だった。
彼こそ、私の育ててくれたもう一人の大切な家族だ。
「パパ……!」
「どうしてここに……そうか、これは夢だな! もうアイリーンには……あ、会えねぇんだからよぉ……!」
「パパ、夢じゃないよ。今まで帰ってこれなくて、本当にごめんなさい……!」
「あ、アイリィィィィィィンンンン!!!!」
パパは大号泣しながら、私のことを遠慮なしに力強く抱きしめた。
力が強すぎて痛いし、無精ひげがジョリジョリしてそれも痛いけど、それが懐かしくもあり、嬉しくもあって……そして、申し訳なさもあって……やっぱりまた泣いちゃった。
****
「なるほど。事情はよ~くわかった。とりあえず、あのバカ貴族をボコボコにすりゃいいってことだな!」
「ぜんぜんわかってないよね!?」
すっごくムカついてるのは私も同じだから、出来るならボコボコにして、この尻尾でベシンベシン叩きたいけど、さすがにそれは……ね。
「まあ、ボコボコは置いとくとして……アイリーン、もう頑張らなくていいから、この家に帰ってきなさい」
「で、でも、私が帰って来たら、ただでさえ大変な生活費がかさんじゃうんじゃ? もちろん、前みたいに仕事を探すつもりだけど……見つかるまで、時間はかかっちゃう。それに、ゲオルク様達がなにをしてくるか……」
「それなら心配はいらん! ママ、あれってどこにあったっけ?」
「そこの棚の奥にあるわよ」
「??」
パパとママの会話についていけないでいると、私の前に小さな箱が置かれた。
この箱、懐かしい……私がまだ子供の頃、二人がなけなしのお金で私に買ってくれたお菓子の空き箱だ。
あの時のお菓子の味や思い出は、今でも忘れられない。少ないクッキーを三人で分け合いながら、おいしいおいしいって笑い合ってたっけ……。
あの頃は、確かに生活は苦しかったけど、パパとママと一緒なら何とかなると信じてた。それが、とても幸せだった。
でも、私は……ゲオルク様の甘い誘いに、まんまと乗せられて……二人に寂しい思いをさせて……本当に最低だ。
「開けてみなさい」
「これは……お金?」
「あなたが家を出てから、一時期支援されていたのは本当よ。これは、そのお金」
「もしアイリーンに何かあった時に、すぐに助けられるように、貯金しておいたんだ。ほら、順調にいったら結婚式とかやってたかもだろ? その時のプレゼントの費用に使うことも出来るし、今回みたいな非常時でも使えるしな! あーでも、さすがにお前がずっと通いたがってた、セレクディエ学園の学費には……ちょっとな……」
「私の、ために……?」
支援のはずなのに、あまり入っていない箱の中には、両親の暖かい心と、それに相反するようなゲオルク様の悪意が入っているように思えた。
「ごめんね、パパ、ママ……私、間違えてた。あんな人の力なんて借りないで、三人で力を合わせて生活するのが一番だったんだ……なのに、目の前の甘い誘惑にそそのかされて、二人の気持ちも考えないで……勝手に決めて……!」
「アイリーン……」
「気にすんな! 俺達家族がいれば、貧乏なんてなんのその! 寄り添って過ごせば、ずっと笑顔だぜ! だからよぉ……帰ってきてくれないか? お前がいないと、寂しいんだわ」
パパの言うことももっともだ。私だって、早く帰りたい。でも……。
「すぐにでも帰りたいけど、今回の件をゲオルク様に問い詰めなくちゃ。どうなるかはわからないけど……絶対に屋敷を出て、ここに帰ってくるから」
「そんな、大丈夫なの?」
「大丈夫だよ、ママ」
「……わかったわ、アイリーン。いってらっしゃい……気を付けてね」
「頑張れ、俺達の愛娘! お前なら絶対に出来る! ダメなら俺とママが屋敷に殴りこんでやるから、安心しろ!」
少し心配そうに私の頭を撫でるママと、胸をドンと叩いて自分の力の強さを示すパパ。この二人がいれば、私はきっと大丈夫。
だから……もう一度だけ、行ってきます!
ここに来るまでに、なんども足をもつれさせて転んでしまったのだから、こうなるのも仕方がない。
「はぁ……はぁ……」
数年ぶりに帰ってきた我が家は、支援を受けているとは思えないほどボロボロで、人が住んでいるようには全く見えない。
「パパ……ママ……!」
大切な家族のことを呼びながら、力なく家のドアを叩くと、中から小柄な女性が出てきた。
「どちら様……えっ? そんな……まさか……あ、アイリーン?」
「ママ……!」
数年ぶりに会ったママは、ここを出た時に比べて随分と痩せてしまっている。どうみても、まともに食事を摂っているようには見えない。
やっぱり……ゲオルク様が言っていた、支援していないというのは本当だったんだ……私は、ずっと騙されていたんだ……!
「ああ、アイリーン! 会いたかったわ……!」
「ママ、ごめんなさい! 私、私……!」
「いいの、何も言わなくていいわ。そんなにボロボロで……疲れたでしょう? 早く中で休みなさい」
久しぶりにママに会えた嬉しさや、ずっと騙されていたゲオルク様達への怒り。そして私が不甲斐ないせいで、パパとママにつらい思いをさせてしまった申し訳なさで、ただ涙を流すことしか出来なかった。
家の中は、あの頃と何も変わっていない……質素で、最低限の家具しか置かれていない。壁や屋根には所々穴が開いていて、人が住めるような状態ではない。
「こんなに怪我をして……綺麗な足が台無しだわ。私が昔みたいに魔法を使えれば、こんな怪我なんてすぐに治してあげるのに……」
「ママ、そんな顔をしないで。その気持ちだけで、私は凄く嬉しいよ」
久しぶりのママとの会話、そして素を出しても怒られないという状況は、私に安らぎを与えてくれた。
「アイリーン、一体何があったの? どうして突然帰ってきてくれたの?」
「実は、さっき色々聞いちゃって……」
私は、婚約者とその家族が、私を騙していたことや、もう何年にも渡ってゲオルク様に愛されていないこと、三つ子に毎日酷いことをされていること……全てのことを、ママに話した。
その間、ママはとても真剣に聞いてくれて……途中から私がまた泣いてしまった時は、昔と同じように私を抱きしめながら、そっと頭を撫でてくれた。
「そうだったのね……私達のために、そんな苦労をさせてしまって……本当に、ごめんね……アイリーン……」
「私こそ、本当にごめんなさい……私が不甲斐ないばかりに、パパとママはつらい思いを……」
ママの顔を見るのもつらくなってしまって、顔を俯かせていると、ママの手がそっと私の頬を撫でながら、優しく私の顔を上げさせた。
「アイリーン。私達の愛しい子。私もあの人も、一度たりともつらいと思ってなどいないわ。私達のために、好きでもない人の家に嫁いでいったあなたの優しさを、誇りに思っているの」
「ママ……」
「おーう、帰った……はぁ!? あ、ああ、アイリーン!?」
家の中に入ってきたのは、きらりと光る頭とガタイのよさが特徴的な男性だった。
彼こそ、私の育ててくれたもう一人の大切な家族だ。
「パパ……!」
「どうしてここに……そうか、これは夢だな! もうアイリーンには……あ、会えねぇんだからよぉ……!」
「パパ、夢じゃないよ。今まで帰ってこれなくて、本当にごめんなさい……!」
「あ、アイリィィィィィィンンンン!!!!」
パパは大号泣しながら、私のことを遠慮なしに力強く抱きしめた。
力が強すぎて痛いし、無精ひげがジョリジョリしてそれも痛いけど、それが懐かしくもあり、嬉しくもあって……そして、申し訳なさもあって……やっぱりまた泣いちゃった。
****
「なるほど。事情はよ~くわかった。とりあえず、あのバカ貴族をボコボコにすりゃいいってことだな!」
「ぜんぜんわかってないよね!?」
すっごくムカついてるのは私も同じだから、出来るならボコボコにして、この尻尾でベシンベシン叩きたいけど、さすがにそれは……ね。
「まあ、ボコボコは置いとくとして……アイリーン、もう頑張らなくていいから、この家に帰ってきなさい」
「で、でも、私が帰って来たら、ただでさえ大変な生活費がかさんじゃうんじゃ? もちろん、前みたいに仕事を探すつもりだけど……見つかるまで、時間はかかっちゃう。それに、ゲオルク様達がなにをしてくるか……」
「それなら心配はいらん! ママ、あれってどこにあったっけ?」
「そこの棚の奥にあるわよ」
「??」
パパとママの会話についていけないでいると、私の前に小さな箱が置かれた。
この箱、懐かしい……私がまだ子供の頃、二人がなけなしのお金で私に買ってくれたお菓子の空き箱だ。
あの時のお菓子の味や思い出は、今でも忘れられない。少ないクッキーを三人で分け合いながら、おいしいおいしいって笑い合ってたっけ……。
あの頃は、確かに生活は苦しかったけど、パパとママと一緒なら何とかなると信じてた。それが、とても幸せだった。
でも、私は……ゲオルク様の甘い誘いに、まんまと乗せられて……二人に寂しい思いをさせて……本当に最低だ。
「開けてみなさい」
「これは……お金?」
「あなたが家を出てから、一時期支援されていたのは本当よ。これは、そのお金」
「もしアイリーンに何かあった時に、すぐに助けられるように、貯金しておいたんだ。ほら、順調にいったら結婚式とかやってたかもだろ? その時のプレゼントの費用に使うことも出来るし、今回みたいな非常時でも使えるしな! あーでも、さすがにお前がずっと通いたがってた、セレクディエ学園の学費には……ちょっとな……」
「私の、ために……?」
支援のはずなのに、あまり入っていない箱の中には、両親の暖かい心と、それに相反するようなゲオルク様の悪意が入っているように思えた。
「ごめんね、パパ、ママ……私、間違えてた。あんな人の力なんて借りないで、三人で力を合わせて生活するのが一番だったんだ……なのに、目の前の甘い誘惑にそそのかされて、二人の気持ちも考えないで……勝手に決めて……!」
「アイリーン……」
「気にすんな! 俺達家族がいれば、貧乏なんてなんのその! 寄り添って過ごせば、ずっと笑顔だぜ! だからよぉ……帰ってきてくれないか? お前がいないと、寂しいんだわ」
パパの言うことももっともだ。私だって、早く帰りたい。でも……。
「すぐにでも帰りたいけど、今回の件をゲオルク様に問い詰めなくちゃ。どうなるかはわからないけど……絶対に屋敷を出て、ここに帰ってくるから」
「そんな、大丈夫なの?」
「大丈夫だよ、ママ」
「……わかったわ、アイリーン。いってらっしゃい……気を付けてね」
「頑張れ、俺達の愛娘! お前なら絶対に出来る! ダメなら俺とママが屋敷に殴りこんでやるから、安心しろ!」
少し心配そうに私の頭を撫でるママと、胸をドンと叩いて自分の力の強さを示すパパ。この二人がいれば、私はきっと大丈夫。
だから……もう一度だけ、行ってきます!
11
お気に入りに追加
118
あなたにおすすめの小説
ただずっと側にいてほしかった
アズやっこ
恋愛
ただ貴方にずっと側にいてほしかった…。
伯爵令息の彼と婚約し婚姻した。
騎士だった彼は隣国へ戦に行った。戦が終わっても帰ってこない彼。誰も消息は知らないと言う。
彼の部隊は敵に囲まれ部下の騎士達を逃がす為に囮になったと言われた。
隣国の騎士に捕まり捕虜になったのか、それとも…。
怪我をしたから、記憶を無くしたから戻って来れない、それでも良い。
貴方が生きていてくれれば。
❈ 作者独自の世界観です。
御機嫌ようそしてさようなら ~王太子妃の選んだ最悪の結末
Hinaki
恋愛
令嬢の名はエリザベス。
生まれた瞬間より両親達が創る公爵邸と言う名の箱庭の中で生きていた。
全てがその箱庭の中でなされ、そして彼女は箱庭より外へは出される事はなかった。
ただ一つ月に一度彼女を訪ねる5歳年上の少年を除いては……。
時は流れエリザベスが15歳の乙女へと成長し未来の王太子妃として半年後の結婚を控えたある日に彼女を包み込んでいた世界は崩壊していく。
ゆるふわ設定の短編です。
完結済みなので予約投稿しています。
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
妹と婚約者の逢瀬を見てから一週間経ちました
編端みどり
恋愛
男爵令嬢のエリザベスは、1週間後に結婚する。
結婚前の最後の婚約者との語らいは、あまりうまくいかなかった。不安を抱えつつも、なんとかうまくやろうと婚約者に贈り物をしようとしたエリザベスが見たのは、廊下で口付をする婚約者と妹だった。
妹は両親に甘やかされ、なんでも姉のものを奪いたがる。婚約者も、妹に甘い言葉を囁いていた。
あんな男と結婚するものか!
散々泣いて、なんとか結婚を回避しようとするエリザベスに、弟、婚約者の母、友人は味方した。
そして、エリザベスを愛する男はチャンスをものにしようと動き出した。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる