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第11話 復讐に燃える悪役令嬢
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「あぁもうイライラする! なんなのよあの男!!」
レックスに追い返されてしまった私は、そこら中にある物に八つ当たりをしながら屋敷に戻ってきた。
今思い出してもムカつくわ! アイリスを醜いと言うならまだしも、私に向かって醜いだなんて、信じられないわ! やっぱりあいつの目は腐ってるんじゃないかしら!
「ムカつくムカつくムカつくー!!」
「どうしたディアナ、そんなに荒れて」
「お父様にお母様! 聞いてくださいよ! それに見てください私の頬!」
自室に戻る途中、お父様とお母様に会った私は、一緒に私の部屋に移動してから、涙目で先程起こった出来事を話すと、お二人共怒りを露わにしてくれた。やっぱりお二人は私の味方だわ!
「あぁディアナ、なんてかわいそうに……」
「あのバケモノとディヒラー家の息子め、我がハーウェイ家の大事な娘になんて事を」
「酷いわよね! だから私、仕返しがしたいの! それもボッコボコに!」
「そうだな……先程の話に、バケモノの誕生日にデートをするという話があったな。では私の方で、ささやかな誕生日パーティーを開くから、その日は外出禁止だと家長命令をして部屋に閉じ込めよう」
さすがお父様、素晴らしい案だわ! あれでも一応ハーウェイ家の人間だし、家長のお父様にそう命令されたら逆らえないものね! 見張りもつけておけばなお良し! アイリスの悲しむ姿が思い浮かぶわぁ……考えただけで気持ちが良い!
「では私の方で、呑気に集合場所にいるレックスを、完膚なきまでに痛めつける手筈を整えるわ」
「お母様、それは私も賛成だけど、一体どうするの?」
目が腐っているとはいえ、あれでもあいつは侯爵子息……侯爵家の息子としての教育を受けてるだろうから、かなり腕は立つはず。実際に私の頬をかすめたあの魔法の精度はかなりのものだったし、庭掃除をした時も、かなりの魔力と精度だった。
そんなあいつを痛めつけるとなると、かなりの準備が必要になると思うわ。
「実は最近、社交界で話題になっている事があるの。なんでもディヒラー家のご子息が、一人の女性にお熱だって」
「それってあのバケモノの事よね?」
「ええ。社交界に基本出ないディアナは知らないかもしれないけど、色んな貴族の男性が、ハーウェイ家の血を求めてアイリスに言い寄っているの。だから、彼らからしたら、アイリスを独占しているレックスが邪魔なわけ」
へ~……社交界ではそんな事になっていたのね。あんな他人の機嫌を伺うような場所に行きたくもなくて、ほぼ全部アイリスに押し付けていたから知らなかったわ。
……ちょっと待って。それなら私が参加していれば、私がたくさんの男に言い寄られるとかいう、ハーレム状態になってたんじゃないの!? チヤホヤされるってわかってれば、面倒でも私が行ったのに!
「なるほど、その男達に協力を仰ぐという事か」
「流石あなた、そういう事よ。協力の礼として、アイリスとお見合いさせてもいいとか言っておけば、馬鹿な男達は引っかかるわ。あいつらからしたら、目障りな男を排除しつつ、目当ての人間に近づけるチャンスですから」
さすがお母様、素晴らしい案を思いつかれて、私感激! でも……一個だけ引っかかる事があるわ。
「お母様の案は大賛成なんですけど……あんまりやり過ぎると、ディヒラー家から報復されないかしら? いくらうちが魔法が強い事で有名な家とはいえ、侯爵家と戦争になったら流石に勝ち目がないと思う」
いくらハーウェイ家の魔力が高くても、戦争になったら人脈や物資や資金といった、色んな面で争う事になる……そうなったら、さすがに男爵家では侯爵家に敵うとは思えない。
それに、ディヒラー家は王家と仲がいいって聞いた事もあるし……。
「問題ないわディアナ。ディヒラー家に報告されなければいいの」
「どういう事?」
「ふふっ、こうするのよ」
「ふんふん……なるほど。あの家にそんな秘密が……!」
お母様から概要を説明してもらった私は、思わず笑みを浮かべてしまった。
随分とお母様の考えは攻めていると思う。思うけど……嫌いじゃないわ! 嫌な奴がボコボコにされるなんて最高じゃない!
……そうだわ! 良い事を思いついちゃった! こんな楽しそうな事、私も自分で体験しなきゃ損ってものよ!
そ・れ・に。私の顔を傷つけたり、私を醜いって馬鹿にした復讐は、やっぱり自分の手でやりたいし!
うふふふ……首を洗って待ってなさいアイリス、そしてレックス! 今は幸せかもしれないけど、私の手で絶望のどん底まで落としてやるわ! うふふふふふ……!
レックスに追い返されてしまった私は、そこら中にある物に八つ当たりをしながら屋敷に戻ってきた。
今思い出してもムカつくわ! アイリスを醜いと言うならまだしも、私に向かって醜いだなんて、信じられないわ! やっぱりあいつの目は腐ってるんじゃないかしら!
「ムカつくムカつくムカつくー!!」
「どうしたディアナ、そんなに荒れて」
「お父様にお母様! 聞いてくださいよ! それに見てください私の頬!」
自室に戻る途中、お父様とお母様に会った私は、一緒に私の部屋に移動してから、涙目で先程起こった出来事を話すと、お二人共怒りを露わにしてくれた。やっぱりお二人は私の味方だわ!
「あぁディアナ、なんてかわいそうに……」
「あのバケモノとディヒラー家の息子め、我がハーウェイ家の大事な娘になんて事を」
「酷いわよね! だから私、仕返しがしたいの! それもボッコボコに!」
「そうだな……先程の話に、バケモノの誕生日にデートをするという話があったな。では私の方で、ささやかな誕生日パーティーを開くから、その日は外出禁止だと家長命令をして部屋に閉じ込めよう」
さすがお父様、素晴らしい案だわ! あれでも一応ハーウェイ家の人間だし、家長のお父様にそう命令されたら逆らえないものね! 見張りもつけておけばなお良し! アイリスの悲しむ姿が思い浮かぶわぁ……考えただけで気持ちが良い!
「では私の方で、呑気に集合場所にいるレックスを、完膚なきまでに痛めつける手筈を整えるわ」
「お母様、それは私も賛成だけど、一体どうするの?」
目が腐っているとはいえ、あれでもあいつは侯爵子息……侯爵家の息子としての教育を受けてるだろうから、かなり腕は立つはず。実際に私の頬をかすめたあの魔法の精度はかなりのものだったし、庭掃除をした時も、かなりの魔力と精度だった。
そんなあいつを痛めつけるとなると、かなりの準備が必要になると思うわ。
「実は最近、社交界で話題になっている事があるの。なんでもディヒラー家のご子息が、一人の女性にお熱だって」
「それってあのバケモノの事よね?」
「ええ。社交界に基本出ないディアナは知らないかもしれないけど、色んな貴族の男性が、ハーウェイ家の血を求めてアイリスに言い寄っているの。だから、彼らからしたら、アイリスを独占しているレックスが邪魔なわけ」
へ~……社交界ではそんな事になっていたのね。あんな他人の機嫌を伺うような場所に行きたくもなくて、ほぼ全部アイリスに押し付けていたから知らなかったわ。
……ちょっと待って。それなら私が参加していれば、私がたくさんの男に言い寄られるとかいう、ハーレム状態になってたんじゃないの!? チヤホヤされるってわかってれば、面倒でも私が行ったのに!
「なるほど、その男達に協力を仰ぐという事か」
「流石あなた、そういう事よ。協力の礼として、アイリスとお見合いさせてもいいとか言っておけば、馬鹿な男達は引っかかるわ。あいつらからしたら、目障りな男を排除しつつ、目当ての人間に近づけるチャンスですから」
さすがお母様、素晴らしい案を思いつかれて、私感激! でも……一個だけ引っかかる事があるわ。
「お母様の案は大賛成なんですけど……あんまりやり過ぎると、ディヒラー家から報復されないかしら? いくらうちが魔法が強い事で有名な家とはいえ、侯爵家と戦争になったら流石に勝ち目がないと思う」
いくらハーウェイ家の魔力が高くても、戦争になったら人脈や物資や資金といった、色んな面で争う事になる……そうなったら、さすがに男爵家では侯爵家に敵うとは思えない。
それに、ディヒラー家は王家と仲がいいって聞いた事もあるし……。
「問題ないわディアナ。ディヒラー家に報告されなければいいの」
「どういう事?」
「ふふっ、こうするのよ」
「ふんふん……なるほど。あの家にそんな秘密が……!」
お母様から概要を説明してもらった私は、思わず笑みを浮かべてしまった。
随分とお母様の考えは攻めていると思う。思うけど……嫌いじゃないわ! 嫌な奴がボコボコにされるなんて最高じゃない!
……そうだわ! 良い事を思いついちゃった! こんな楽しそうな事、私も自分で体験しなきゃ損ってものよ!
そ・れ・に。私の顔を傷つけたり、私を醜いって馬鹿にした復讐は、やっぱり自分の手でやりたいし!
うふふふ……首を洗って待ってなさいアイリス、そしてレックス! 今は幸せかもしれないけど、私の手で絶望のどん底まで落としてやるわ! うふふふふふ……!
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