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第二十六話 おでかけ……それって!?
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お父さんとの一件があった日から、一ヶ月が経った。私はあれから特に変わりなく、日々を平穏に過ごしている。
……ううん、変わらないなんて嘘かな。やっぱりお父さんの事でのショックがまだ残っているのか、あまり気分がすぐれない日が続いている。
それに、ヴォルフ様がずっと忙しそうにしていて、ゆっくり話す事すらままならないの。エリカさんがずっと一緒にいてくれるのが、せめてもの救いだ。
あの旅で、沢山一緒にいられたとはいえ、やっぱり寂しいものは寂しい。この寂しさが、日に日に増していってる気がするのは何故だろう?
「あの、エリカさん……どうして今日は一日開けておく必要があるんですか? 外出の準備までして……」
「もうわかりますよ。あっ……噂をすれば」
「えっ? それって――」
一体どういう事ですかと聞こうとした瞬間、部屋のドアが勢いよく開かれた。そこには、少し息を切らせたヴォルフ様が立っている。
「ヴォルフ様? どうしたんですか、そんなに慌てて……」
「やっと……やっと仕事が片付いた!」
「そ、そうなんですか? それはお疲れ様です」
「それで、今日一日なんとか空けられたから、一緒に出掛けよう!」
突然のお誘いが、私にはすぐに理解できず、その場で固まったまま、瞬きをするしか出来なかった。
「ヴォルフ様、ちゃんと説明をされないから、セーラ様が困っておりますわ」
「あ、ああ……すまない、やっとセーラと過ごせると思ったら、つい興奮してしまってね。ほら、一緒に海に行く約束をしていただろう?」
「ヴォルフ様、覚えていてくれたんですか?」
「当然だろう! それで、屋敷に帰ってきた日から仕事を詰めて、何とか一日空けられたんだ」
まさか、最近いつも以上に忙しくしていたのは、この為だったの? お父さんの時も無理して来てくれたのに、またしてくれていたなんて……!
「ヴォルフ様……ありがとうございます。私、凄く嬉しいです……!」
「それはよかった! さあ、準備は既に出来ているから、出発しよう!」
ヴォルフ様と一緒に屋敷を出ると、そこにあったのは馬車……ではなく、二頭のお馬さんだった。
この子達、いつも馬車を引っ張ってくれている子達だよね。どうして今日は馬車じゃないんだろう?
「たまには趣旨を変えて、乗馬で行こうと思ってね」
「私、乗馬なんてした事ないですよ……?」
「僕が一緒に乗るから大丈夫だよ。ほら、ゆったりと旅を満喫すれば、気分も晴れるだろう?」
今のヴォルフ様の言葉で、察しの悪い私でも気が付けた。今日のお出かけは、私がお父さんの事でずっと落ち込んでたから、気分転換に連れていってくれるのだと。
本当にヴォルフ様は、底抜けに優しい人だ。私なんかが、こんなに良くしてもらっていいのだろうか?
「さあ、出発しようか」
「は、はいっ……えっと、どうやって乗ればいいんですか?」
「ああ、ここに台があるから、それに乗って……」
ヴォルフ様に乗り方を一通り教わった私は、おっかなびっくりお馬さんに乗った。
うわぁ、お馬さんに乗るとこんなに高いんだ……この景色を見ているだけでも、正直ちょっと楽しい。
「よっと……」
「ひゃわあ!?」
「大丈夫そうかな?」
「ひゃ、ひゃい……」
確かに一緒に乗るとは聞いていた。でも、まさか私の後ろに乗って、そのまま抱きしめるような形で乗るなんて聞いてない!
あわわわ……わ、私はどうすればいいの!? こんな男性に密着されるなんて……私、臭くないよね? ちゃんと毎日お風呂に入れさせてもらってるから、大丈夫だよね!?
「大丈夫、落ちそうになっても僕が守るから。だから落ち着いて、深呼吸」
「深呼吸……すうぅぅぅぅ……はあぁぁぁぁ……」
ヴォルフ様に言われるがまま深呼吸をしたおかげで、ほんの少しだけ落ち着けた――ような気がする。そう信じないと、ドキドキで死んじゃいそうだ。
「エリカ、そっちは大丈夫か?」
「ええ。大丈夫です。出発しましょう」
「エリカさんも来てくれるんですか?」
「はい。僭越ながら、ご同行させていただきます。賊が襲ってきても私がお守りいたしますので、ご安心を」
エリカさんが言うと、とても説得力がある。だって、自分よりも体格が大きいお父さんを、一方的に倒せてしまうほどの力があるのだから。
「それと……」
「はい?」
「デート、楽しんでくださいませ」
「っ!?」
エリカさんは、控えめにくすくすと笑いながら、器用にお馬さんの上に乗った。
はうぅ、デートだなんて……そんなの意識したら、もっと恥ずかしくなっちゃう。でも、あまり気にしすぎて台無しになるのは避けたい。うん、自然体でいこう!
「わあ、動いた!」
「ふふっ、いつも馬車ばかりだけど、たまには乗馬もいいものだろう?」
「はいっ。いつも働いてくれてありがとうね」
私達を乗せて歩いてくれているお馬さんを撫でながら進んでいると、森の中へと入った行った。
森といっても不気味な感じは一切なく、木漏れ日や小鳥さん達の囀りが、とても心地いい森だ。気温もちょうど良くて、本当に過ごしやすい場所だね。
「ヴォルフ様、どうして森に来たんですか? とても気持ちの良い場所ですけど……」
「この森を抜けた先に、目的地があるんだ。もうしばらく時間がかかるから、それまではのんびり森林浴を楽しんでいてくれ」
「わかりました」
森を抜けていく間に、心身共に綺麗になっていくような感覚を味わいながら、私はヴォルフ様やエリカさんとおしゃべりをして過ごした。
正直、これだけで凄く満足だし、気分も良くなったんだけど、これ以上のものがこの先にあるのだろうか?
「あっ、だんだん木が少なくなってきた……」
「もう少しだよ」
歩いていたら、木々は完全に無くなり、代わりに青々としは草原が一面に広がっていた。
なにこれ……ただの草原なのに、なんでこんなに綺麗に見えるんだろう? 楽しそうにフサフサ踊ってる姿と音だけでも、ここが凄く平和なんだなって思えるくらい、この辺りも穏やかだ。
「さあ、せっかく馬に乗ったんだから、少し速いのも経験してみないかい?」
「こ、怖いかもです……」
「僕が支えてるから大丈夫だよ。それでも不安ならやめるよ?」
「……いえ、せっかくなのでやりたいです。でも……初めてなので、優しくしてくださいね?」
「いきなり速度は出さないから大丈夫さ。それじゃ、目的地に向かって出発!」
ヴォルフ様の合図に従うように、お馬さんはさっきよりも素早く走り出した。パッカパッカパッカパッカって感じで、あまり早くはない。
でも、このスピードでも風の気持ちよさを感じるし、草や土の独特な匂いも、なんだか安心しちゃう。
「綺麗な草原ですね。私、ここまでの道だけでも満足しちゃってます」
「だそうですよ? 何かミスがあったのでは?」
「そんなわけはないよ……あははっ」
相変わらず二人のやりとりを見るのは面白いなと思いつつ進んでいくと、丘になっている平原に到着した。そして、そこでとんでもないものを発見してしまった。
そこには……以前見た時よりも、更に広く見える青い海が広がっていた。
……ううん、変わらないなんて嘘かな。やっぱりお父さんの事でのショックがまだ残っているのか、あまり気分がすぐれない日が続いている。
それに、ヴォルフ様がずっと忙しそうにしていて、ゆっくり話す事すらままならないの。エリカさんがずっと一緒にいてくれるのが、せめてもの救いだ。
あの旅で、沢山一緒にいられたとはいえ、やっぱり寂しいものは寂しい。この寂しさが、日に日に増していってる気がするのは何故だろう?
「あの、エリカさん……どうして今日は一日開けておく必要があるんですか? 外出の準備までして……」
「もうわかりますよ。あっ……噂をすれば」
「えっ? それって――」
一体どういう事ですかと聞こうとした瞬間、部屋のドアが勢いよく開かれた。そこには、少し息を切らせたヴォルフ様が立っている。
「ヴォルフ様? どうしたんですか、そんなに慌てて……」
「やっと……やっと仕事が片付いた!」
「そ、そうなんですか? それはお疲れ様です」
「それで、今日一日なんとか空けられたから、一緒に出掛けよう!」
突然のお誘いが、私にはすぐに理解できず、その場で固まったまま、瞬きをするしか出来なかった。
「ヴォルフ様、ちゃんと説明をされないから、セーラ様が困っておりますわ」
「あ、ああ……すまない、やっとセーラと過ごせると思ったら、つい興奮してしまってね。ほら、一緒に海に行く約束をしていただろう?」
「ヴォルフ様、覚えていてくれたんですか?」
「当然だろう! それで、屋敷に帰ってきた日から仕事を詰めて、何とか一日空けられたんだ」
まさか、最近いつも以上に忙しくしていたのは、この為だったの? お父さんの時も無理して来てくれたのに、またしてくれていたなんて……!
「ヴォルフ様……ありがとうございます。私、凄く嬉しいです……!」
「それはよかった! さあ、準備は既に出来ているから、出発しよう!」
ヴォルフ様と一緒に屋敷を出ると、そこにあったのは馬車……ではなく、二頭のお馬さんだった。
この子達、いつも馬車を引っ張ってくれている子達だよね。どうして今日は馬車じゃないんだろう?
「たまには趣旨を変えて、乗馬で行こうと思ってね」
「私、乗馬なんてした事ないですよ……?」
「僕が一緒に乗るから大丈夫だよ。ほら、ゆったりと旅を満喫すれば、気分も晴れるだろう?」
今のヴォルフ様の言葉で、察しの悪い私でも気が付けた。今日のお出かけは、私がお父さんの事でずっと落ち込んでたから、気分転換に連れていってくれるのだと。
本当にヴォルフ様は、底抜けに優しい人だ。私なんかが、こんなに良くしてもらっていいのだろうか?
「さあ、出発しようか」
「は、はいっ……えっと、どうやって乗ればいいんですか?」
「ああ、ここに台があるから、それに乗って……」
ヴォルフ様に乗り方を一通り教わった私は、おっかなびっくりお馬さんに乗った。
うわぁ、お馬さんに乗るとこんなに高いんだ……この景色を見ているだけでも、正直ちょっと楽しい。
「よっと……」
「ひゃわあ!?」
「大丈夫そうかな?」
「ひゃ、ひゃい……」
確かに一緒に乗るとは聞いていた。でも、まさか私の後ろに乗って、そのまま抱きしめるような形で乗るなんて聞いてない!
あわわわ……わ、私はどうすればいいの!? こんな男性に密着されるなんて……私、臭くないよね? ちゃんと毎日お風呂に入れさせてもらってるから、大丈夫だよね!?
「大丈夫、落ちそうになっても僕が守るから。だから落ち着いて、深呼吸」
「深呼吸……すうぅぅぅぅ……はあぁぁぁぁ……」
ヴォルフ様に言われるがまま深呼吸をしたおかげで、ほんの少しだけ落ち着けた――ような気がする。そう信じないと、ドキドキで死んじゃいそうだ。
「エリカ、そっちは大丈夫か?」
「ええ。大丈夫です。出発しましょう」
「エリカさんも来てくれるんですか?」
「はい。僭越ながら、ご同行させていただきます。賊が襲ってきても私がお守りいたしますので、ご安心を」
エリカさんが言うと、とても説得力がある。だって、自分よりも体格が大きいお父さんを、一方的に倒せてしまうほどの力があるのだから。
「それと……」
「はい?」
「デート、楽しんでくださいませ」
「っ!?」
エリカさんは、控えめにくすくすと笑いながら、器用にお馬さんの上に乗った。
はうぅ、デートだなんて……そんなの意識したら、もっと恥ずかしくなっちゃう。でも、あまり気にしすぎて台無しになるのは避けたい。うん、自然体でいこう!
「わあ、動いた!」
「ふふっ、いつも馬車ばかりだけど、たまには乗馬もいいものだろう?」
「はいっ。いつも働いてくれてありがとうね」
私達を乗せて歩いてくれているお馬さんを撫でながら進んでいると、森の中へと入った行った。
森といっても不気味な感じは一切なく、木漏れ日や小鳥さん達の囀りが、とても心地いい森だ。気温もちょうど良くて、本当に過ごしやすい場所だね。
「ヴォルフ様、どうして森に来たんですか? とても気持ちの良い場所ですけど……」
「この森を抜けた先に、目的地があるんだ。もうしばらく時間がかかるから、それまではのんびり森林浴を楽しんでいてくれ」
「わかりました」
森を抜けていく間に、心身共に綺麗になっていくような感覚を味わいながら、私はヴォルフ様やエリカさんとおしゃべりをして過ごした。
正直、これだけで凄く満足だし、気分も良くなったんだけど、これ以上のものがこの先にあるのだろうか?
「あっ、だんだん木が少なくなってきた……」
「もう少しだよ」
歩いていたら、木々は完全に無くなり、代わりに青々としは草原が一面に広がっていた。
なにこれ……ただの草原なのに、なんでこんなに綺麗に見えるんだろう? 楽しそうにフサフサ踊ってる姿と音だけでも、ここが凄く平和なんだなって思えるくらい、この辺りも穏やかだ。
「さあ、せっかく馬に乗ったんだから、少し速いのも経験してみないかい?」
「こ、怖いかもです……」
「僕が支えてるから大丈夫だよ。それでも不安ならやめるよ?」
「……いえ、せっかくなのでやりたいです。でも……初めてなので、優しくしてくださいね?」
「いきなり速度は出さないから大丈夫さ。それじゃ、目的地に向かって出発!」
ヴォルフ様の合図に従うように、お馬さんはさっきよりも素早く走り出した。パッカパッカパッカパッカって感じで、あまり早くはない。
でも、このスピードでも風の気持ちよさを感じるし、草や土の独特な匂いも、なんだか安心しちゃう。
「綺麗な草原ですね。私、ここまでの道だけでも満足しちゃってます」
「だそうですよ? 何かミスがあったのでは?」
「そんなわけはないよ……あははっ」
相変わらず二人のやりとりを見るのは面白いなと思いつつ進んでいくと、丘になっている平原に到着した。そして、そこでとんでもないものを発見してしまった。
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