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第三十四話 ようこそフィリス家へ
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「まあまあ、やっとお付き合いできるようになりましたのね! おめでとう、レオ!」
「あ、ありがとうございます母上……その、出来れば放してもらえると……アメリアもいますし……」
レオ様と共にご両親に報告をする為に、二人の私室へと向かうと、二人が暖かく出迎えてくれた。
そして、今日私の身に何が起きたのかとか、お付き合いを始めたことや、私の今までのことを、ご両親に丁寧に説明させてもらった。
すると、レイカ様が感極まって涙を流しながら、レオ様を強く抱きしめているのが現状だ。
「ふう、死ぬかと思った。母上の愛情表現は、いつも全力ですね」
「当然ですわ。だって大切な家族ですもの。それがたとえ、血の繋がりが無くても」
「レオ様は、本当にお優しい方々に出会えたのですね」
「ああ。でも、これはアメリアのおかげなんだよ。もし君に出会って、君の優しさに触れていなかったら、俺は二人を助けることは無かったからね」
助けるって……そうだ、さっきレオ様のその後を聞いた時に、なにがあったか話してくれていたわ。たしか、馬車の車輪がぬかるんだ所に入って動かなくなってて……そこに悪い人が襲い掛かろうとしてたのを、いち早く伝えたのよね。
それで事情を聞いたお二人が、レオ様を養子として迎え入れてくれたと記憶している。
「それで、父上と母上にご相談があるのですが」
「なにかね」
「アメリアを正式にうちに住まわせてほしいのです」
「え、レオ様……?」
私がここに住む? 確かに少しの間、ここでお世話になっていたけど……迷惑にならないように、帰りたくもない家に帰ったのに……。
「理由を聞こうか」
「はい」
レオ様は短く返事を返してから、私が彼と出会う前に色んな人からされていた酷い仕打ちの数々を話した。
私の仕打ちのことは、後でゆっくり話すつもりだったのだけど、知るのなら早いうちが良いわよね。
「彼女の妹とクラスメイトの女子生徒は、俺とアメリアが一緒にいるのを、酷く嫌がっております。そして、そう遠くない未来に俺とアメリアが付き合っているのがバレてしまうでしょう」
「まあ、それはとても危ない予感しかしませんわ」
「仰る通りです。実際に彼女達はアメリアの大切な物を調べ上げてましたし、アメリアを家に帰した結果、アメリアは酷く傷ついてしまいました」
……終わったことなのに、未だに栞を破られたことを思い出すと、胸が押しつぶされてしまいそうなくらい痛むし、涙が出そうになるわ。
「ですが、ここにいればそのような可能性を下げられます。それに、仮に一人になる時があっても、俺がプレゼントしたペンダントによる連絡と、使用人による護衛が付けられます」
「でも、それって学園では無理ですよね?」
「そんなことは無いよ。申請をすれば、一人までなら使用人を付けることが出来る。君も見たことあるだろう?」
そういえば、あまり数はいないけど、使用人と常に行動をしている生徒はいるわね。あまり気にしていなかったから、頭から抜け落ちていたわ。
「でもそれだと、家を出た私に護衛がついてるのはおかしいってなりませんか?」
「あっ、それは確かにそうだね……」
「私なら大丈夫ですよ。ずっと一人でなんとかなってましたし。それに、レオ様と一緒にいなければ、シャーロット達も強硬手段には出ないでしょうし」
「……とにかく、事情は分かった。ただこちらとして、条件がある」
「は、はい」
条件。その言葉がローガン様の口から出た瞬間、私の背筋が自然とピンと伸びた。
どんな難しい条件が提示されても、乗り越えてみせる。だって、私はどんな試練を乗り越えてでも、あの子と……レオ様と一緒に過ごしたいから。
「先程の話では、将来的に結婚をするそうだな。それと、たくさん勉強を……特に魔法薬学の勉強をしていると、以前話した時に言っていたな」
「その通りです」
「ならば、家に住みたければ花嫁修業をすることだ」
花嫁、修行……?
「なに、難しいことではない。侯爵家の息子であるレオの隣に立つのに相応しいように勉強すること。具体的に言うと、魔法薬学に関してこちらから家庭教師をつけるから、本格的に勉強をすること。それが条件だ」
「それって……」
条件とは銘打っているけど、完全に私のことを応援してくれているような内容にしか聞こえないのは、きっと気のせいではないだろう。
「ようこそフィリス家へ。我々は新しい家族である君を、心から歓迎する!」
ずっと難しい顔をしか見せて来なかったローガン様が、ニカッと笑いながら言った言葉は、ずっと虐げられてきた私にとってあまりにも嬉しいものだった。
「アメリアちゃん、ようこそフィリス家へ。あなたが私の娘になってくれるなんて、レオがうちに来た時と同じくらい嬉しいですわ!」
「そんな、レオ様と一緒だなんて……恐れ多いです」
「何を言っているの。まだ出会って間もないけど、あなたはもう私達の大切な娘ですことよ。今まで辛かった分、目いっぱい甘えていいですからね」
レイカ様は、私のことを包み込むように抱きしめてくれた。それは、まだ私が幼かった頃に、優しかったお母様に抱きしめてもらった時と同じ、不思議な温もりがあった。
「ありがとうございます、レイカ様。私、本当に嬉しいです」
「まあ、レイカ様だなんてよそよそしい呼び方されたら、悲しくてパンが二十個しか食べられませんわ」
「二十個!? そ、それって何回かに分けますよね?」
「もちろん一食ですわ」
「一食で!? 私なんか、三日使っても食べきれませんよ!」
さっきまでと比べると、とても気の抜けた会話をしてしまっているけど、なんだかそれがとても嬉しくて、楽しかった。
レイカ様もそう思ってくれているのか、終始ニコニコしながら、私を抱きしめたり頭を撫でてくれた。
「わかっていたことだけど……俺達の思っている以上に、早く打ち解けられるかもしれませんね、父上」
「うむ、喜ばしいことだ。すぐには無理だが、いずれお前達の婚約パーティーを開こうと思うが、レオはどう思う?」
「そうですね……嬉しいですが、色々とやらなければならないことがありまして。後でその件についてお話があるので、お時間をいただいてもよろしいでしょうか?」
「あまり時間は取れないが、それでも構わんか?」
「さほど長い話ではないので、大丈夫です。ありがとうございます」
あれ、レオ様達が離れた所でコソコソとお話をしているわ。私達に聞かれたくないような内容なのかしら?
そんなことを思っていると、レオ様が私の方へと歩み寄ってきた。
「無事に歓迎されてよかったよ。まあ俺はこうなるってわかってたけどね!」
「ありがとうございます。全てレオ様のおかげです」
「何を言っているんだ。君が幼い頃に俺を助けてくれたのがきっかけだろう? その後もちゃんと勉強をしてアドミラル学園に入ったから、俺の限りなく低い可能性が実現したんだよ」
そう言ってもらえるのは嬉しいけど、やっぱり私なんてと思ってしまう。
……ううん、そんなのはいけないわよね。私のことを認めて、歓迎してくれた方々を前にして、今までのように卑下をしていたら、逆に失礼になってしまう……かもしれない。
「二人共頑張った! それでいいじゃないですの」
「うむ、その通りだ」
「はい……はいっ! ありがとうございます……!」
私を受け入れてくれたこと、認めてくれたこと、褒めてくれたこと……その他にも色々とお礼を言いたかったけど、それを上手く言葉に出来なかった私は、ただひたすらに頭を下げ続けた。
「あ、ありがとうございます母上……その、出来れば放してもらえると……アメリアもいますし……」
レオ様と共にご両親に報告をする為に、二人の私室へと向かうと、二人が暖かく出迎えてくれた。
そして、今日私の身に何が起きたのかとか、お付き合いを始めたことや、私の今までのことを、ご両親に丁寧に説明させてもらった。
すると、レイカ様が感極まって涙を流しながら、レオ様を強く抱きしめているのが現状だ。
「ふう、死ぬかと思った。母上の愛情表現は、いつも全力ですね」
「当然ですわ。だって大切な家族ですもの。それがたとえ、血の繋がりが無くても」
「レオ様は、本当にお優しい方々に出会えたのですね」
「ああ。でも、これはアメリアのおかげなんだよ。もし君に出会って、君の優しさに触れていなかったら、俺は二人を助けることは無かったからね」
助けるって……そうだ、さっきレオ様のその後を聞いた時に、なにがあったか話してくれていたわ。たしか、馬車の車輪がぬかるんだ所に入って動かなくなってて……そこに悪い人が襲い掛かろうとしてたのを、いち早く伝えたのよね。
それで事情を聞いたお二人が、レオ様を養子として迎え入れてくれたと記憶している。
「それで、父上と母上にご相談があるのですが」
「なにかね」
「アメリアを正式にうちに住まわせてほしいのです」
「え、レオ様……?」
私がここに住む? 確かに少しの間、ここでお世話になっていたけど……迷惑にならないように、帰りたくもない家に帰ったのに……。
「理由を聞こうか」
「はい」
レオ様は短く返事を返してから、私が彼と出会う前に色んな人からされていた酷い仕打ちの数々を話した。
私の仕打ちのことは、後でゆっくり話すつもりだったのだけど、知るのなら早いうちが良いわよね。
「彼女の妹とクラスメイトの女子生徒は、俺とアメリアが一緒にいるのを、酷く嫌がっております。そして、そう遠くない未来に俺とアメリアが付き合っているのがバレてしまうでしょう」
「まあ、それはとても危ない予感しかしませんわ」
「仰る通りです。実際に彼女達はアメリアの大切な物を調べ上げてましたし、アメリアを家に帰した結果、アメリアは酷く傷ついてしまいました」
……終わったことなのに、未だに栞を破られたことを思い出すと、胸が押しつぶされてしまいそうなくらい痛むし、涙が出そうになるわ。
「ですが、ここにいればそのような可能性を下げられます。それに、仮に一人になる時があっても、俺がプレゼントしたペンダントによる連絡と、使用人による護衛が付けられます」
「でも、それって学園では無理ですよね?」
「そんなことは無いよ。申請をすれば、一人までなら使用人を付けることが出来る。君も見たことあるだろう?」
そういえば、あまり数はいないけど、使用人と常に行動をしている生徒はいるわね。あまり気にしていなかったから、頭から抜け落ちていたわ。
「でもそれだと、家を出た私に護衛がついてるのはおかしいってなりませんか?」
「あっ、それは確かにそうだね……」
「私なら大丈夫ですよ。ずっと一人でなんとかなってましたし。それに、レオ様と一緒にいなければ、シャーロット達も強硬手段には出ないでしょうし」
「……とにかく、事情は分かった。ただこちらとして、条件がある」
「は、はい」
条件。その言葉がローガン様の口から出た瞬間、私の背筋が自然とピンと伸びた。
どんな難しい条件が提示されても、乗り越えてみせる。だって、私はどんな試練を乗り越えてでも、あの子と……レオ様と一緒に過ごしたいから。
「先程の話では、将来的に結婚をするそうだな。それと、たくさん勉強を……特に魔法薬学の勉強をしていると、以前話した時に言っていたな」
「その通りです」
「ならば、家に住みたければ花嫁修業をすることだ」
花嫁、修行……?
「なに、難しいことではない。侯爵家の息子であるレオの隣に立つのに相応しいように勉強すること。具体的に言うと、魔法薬学に関してこちらから家庭教師をつけるから、本格的に勉強をすること。それが条件だ」
「それって……」
条件とは銘打っているけど、完全に私のことを応援してくれているような内容にしか聞こえないのは、きっと気のせいではないだろう。
「ようこそフィリス家へ。我々は新しい家族である君を、心から歓迎する!」
ずっと難しい顔をしか見せて来なかったローガン様が、ニカッと笑いながら言った言葉は、ずっと虐げられてきた私にとってあまりにも嬉しいものだった。
「アメリアちゃん、ようこそフィリス家へ。あなたが私の娘になってくれるなんて、レオがうちに来た時と同じくらい嬉しいですわ!」
「そんな、レオ様と一緒だなんて……恐れ多いです」
「何を言っているの。まだ出会って間もないけど、あなたはもう私達の大切な娘ですことよ。今まで辛かった分、目いっぱい甘えていいですからね」
レイカ様は、私のことを包み込むように抱きしめてくれた。それは、まだ私が幼かった頃に、優しかったお母様に抱きしめてもらった時と同じ、不思議な温もりがあった。
「ありがとうございます、レイカ様。私、本当に嬉しいです」
「まあ、レイカ様だなんてよそよそしい呼び方されたら、悲しくてパンが二十個しか食べられませんわ」
「二十個!? そ、それって何回かに分けますよね?」
「もちろん一食ですわ」
「一食で!? 私なんか、三日使っても食べきれませんよ!」
さっきまでと比べると、とても気の抜けた会話をしてしまっているけど、なんだかそれがとても嬉しくて、楽しかった。
レイカ様もそう思ってくれているのか、終始ニコニコしながら、私を抱きしめたり頭を撫でてくれた。
「わかっていたことだけど……俺達の思っている以上に、早く打ち解けられるかもしれませんね、父上」
「うむ、喜ばしいことだ。すぐには無理だが、いずれお前達の婚約パーティーを開こうと思うが、レオはどう思う?」
「そうですね……嬉しいですが、色々とやらなければならないことがありまして。後でその件についてお話があるので、お時間をいただいてもよろしいでしょうか?」
「あまり時間は取れないが、それでも構わんか?」
「さほど長い話ではないので、大丈夫です。ありがとうございます」
あれ、レオ様達が離れた所でコソコソとお話をしているわ。私達に聞かれたくないような内容なのかしら?
そんなことを思っていると、レオ様が私の方へと歩み寄ってきた。
「無事に歓迎されてよかったよ。まあ俺はこうなるってわかってたけどね!」
「ありがとうございます。全てレオ様のおかげです」
「何を言っているんだ。君が幼い頃に俺を助けてくれたのがきっかけだろう? その後もちゃんと勉強をしてアドミラル学園に入ったから、俺の限りなく低い可能性が実現したんだよ」
そう言ってもらえるのは嬉しいけど、やっぱり私なんてと思ってしまう。
……ううん、そんなのはいけないわよね。私のことを認めて、歓迎してくれた方々を前にして、今までのように卑下をしていたら、逆に失礼になってしまう……かもしれない。
「二人共頑張った! それでいいじゃないですの」
「うむ、その通りだ」
「はい……はいっ! ありがとうございます……!」
私を受け入れてくれたこと、認めてくれたこと、褒めてくれたこと……その他にも色々とお礼を言いたかったけど、それを上手く言葉に出来なかった私は、ただひたすらに頭を下げ続けた。
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