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第三十七話 いじめていた者の末路
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■アイシャ視点■
帰ってきたくもない家に帰ってきたワタクシは、馬車から降りて、トボトボと歩いていました。
さっきまでは気を張っていたのであまり感じませんでしたが、ちょっと気を抜くだけで、体中に激痛が走りますの。この痛みのせいで、眠れないことも多々あります。
こんな時に、自分で治せるくらい聖女の力があれば、あるいは聖女の力を持つ人間がいれば……はぁ……もうやだ、死にたいですわ……。
「おかえり、アイシャ! 君と会えなくて、とても寂しかったよ」
「ひっ……た、ただいま帰りました……ルベン、様……」
出会った時から何も変わらない、屈託のない笑顔が、今のワタクシには恐ろしくてたまりません。
だって、いつもあの笑顔を崩さないまま……あ、ああ……いや、誰か助けて……お父様、お母様……どこに行ってしまわれたの……おねがい、助けに来て……。
「ずっと待ってたんだよ。さあ、僕達の愛の巣に行こうじゃないか」
「いやぁ! それだけは、それだけはいやぁぁぁぁぁぁ!!!!」
手を掴まれたワタクシは、力の限り暴れまわり、何とか逃げだそうとしましたが、結局逃げられず、地下質に入れられてしまいました。
「今日は随分と元気だったね。元気なのは結構結構! そういう君も大好きだよ」
「おねが……いたいの……やめ、て……」
「ははっ、まだ君は嬲られる快感を知らないだけさ!」
この軽いノリの話し方……昔は面白くて好きでしたが、今ではこれから残虐なことをするピエロが、悪ふざけをしているようにしか見えません……。
「あなたがしているのは……虐待……ただの、人殺し……」
「それは違うよ~。僕は君をより美しくしているだけさ。それで僕も楽しくなれる。互いにメリットしかないじゃないか」
「そんなの、望んでな――」
「さっきから、うるさい口はこれかな?」
「ぎゃああああああ!?」
なにか口の中に、炭酸を更に強力にしたような液体が流し込まれました。
普通に口に含んでいても痛いのに、既に口の中が傷だらけなワタクシには、あまりにもつらいものだった。
「これ、結構刺激があるでしょ! なんでも美肌効果があるそうでね。君には世界で一番美しくなってもらいたいから取り寄せたのさ! そうそう、今日みたいに誰かにこのことを話されたら面倒だし、嬲られる快感に早く気づいてもらいたいから、薬の量と濃さを増やしてみたんだ」
「そんな、どうしてそれを……!?
「僕に気づかれないとでも思ったのかい? 君の行動は、使用人に逐一報告させているのさ。さて、そんな君に追加のプレゼントだ」
「いらな……ひぎぃぃぃぃぃぃぃ!?」
ワタクシは、頭からかぶせられた薬の強烈な痛みで、その場でのたうち回ってしまいました。
「ああ、楽しいなぁ……! それに、苦悶に染まる君の顔は、どんな芸術品でも足元に及ばないくらい美しい!」
「なにが、美しいんですか……ワタクシの体を、こんなにボロボロにして……!」
「それは考え方しだいさ。綺麗な物を美とするものもいれば、いつ壊れるかわからない物に、一瞬の輝きを感じ、それが美しいと思う人もいる」
理解できない。したくもない。そんなものは、下々の奴らだけやっていればいい。だからワタクシには……こんなことをしなくていいから……お家に帰して……!
「さあ、次だよ。このろうそくなんだけどね。これで顔をパックすると、物凄い美容効果があるらしいよ? 熱さはもちろんスペシャルだから、安心してね」
ろうそくって、一滴垂れるだけでとてつもなく熱いのに、それを顔中にって……!?
「どれくらい綺麗になるか、ふふ……楽しみだなぁ」
お願い、やめて……! ワタクシが何をしたって言うの……! なにかしたなら謝るから! だから、誰でもいいからワタクシをこの地獄から助けなさい!
「誰か助けて……嫌ぁぁぁぁ!!お父様ぁ!! お母様ぁ!! ワタクシを助けてよおぉぉぉぉぉぉ!!!
帰ってきたくもない家に帰ってきたワタクシは、馬車から降りて、トボトボと歩いていました。
さっきまでは気を張っていたのであまり感じませんでしたが、ちょっと気を抜くだけで、体中に激痛が走りますの。この痛みのせいで、眠れないことも多々あります。
こんな時に、自分で治せるくらい聖女の力があれば、あるいは聖女の力を持つ人間がいれば……はぁ……もうやだ、死にたいですわ……。
「おかえり、アイシャ! 君と会えなくて、とても寂しかったよ」
「ひっ……た、ただいま帰りました……ルベン、様……」
出会った時から何も変わらない、屈託のない笑顔が、今のワタクシには恐ろしくてたまりません。
だって、いつもあの笑顔を崩さないまま……あ、ああ……いや、誰か助けて……お父様、お母様……どこに行ってしまわれたの……おねがい、助けに来て……。
「ずっと待ってたんだよ。さあ、僕達の愛の巣に行こうじゃないか」
「いやぁ! それだけは、それだけはいやぁぁぁぁぁぁ!!!!」
手を掴まれたワタクシは、力の限り暴れまわり、何とか逃げだそうとしましたが、結局逃げられず、地下質に入れられてしまいました。
「今日は随分と元気だったね。元気なのは結構結構! そういう君も大好きだよ」
「おねが……いたいの……やめ、て……」
「ははっ、まだ君は嬲られる快感を知らないだけさ!」
この軽いノリの話し方……昔は面白くて好きでしたが、今ではこれから残虐なことをするピエロが、悪ふざけをしているようにしか見えません……。
「あなたがしているのは……虐待……ただの、人殺し……」
「それは違うよ~。僕は君をより美しくしているだけさ。それで僕も楽しくなれる。互いにメリットしかないじゃないか」
「そんなの、望んでな――」
「さっきから、うるさい口はこれかな?」
「ぎゃああああああ!?」
なにか口の中に、炭酸を更に強力にしたような液体が流し込まれました。
普通に口に含んでいても痛いのに、既に口の中が傷だらけなワタクシには、あまりにもつらいものだった。
「これ、結構刺激があるでしょ! なんでも美肌効果があるそうでね。君には世界で一番美しくなってもらいたいから取り寄せたのさ! そうそう、今日みたいに誰かにこのことを話されたら面倒だし、嬲られる快感に早く気づいてもらいたいから、薬の量と濃さを増やしてみたんだ」
「そんな、どうしてそれを……!?
「僕に気づかれないとでも思ったのかい? 君の行動は、使用人に逐一報告させているのさ。さて、そんな君に追加のプレゼントだ」
「いらな……ひぎぃぃぃぃぃぃぃ!?」
ワタクシは、頭からかぶせられた薬の強烈な痛みで、その場でのたうち回ってしまいました。
「ああ、楽しいなぁ……! それに、苦悶に染まる君の顔は、どんな芸術品でも足元に及ばないくらい美しい!」
「なにが、美しいんですか……ワタクシの体を、こんなにボロボロにして……!」
「それは考え方しだいさ。綺麗な物を美とするものもいれば、いつ壊れるかわからない物に、一瞬の輝きを感じ、それが美しいと思う人もいる」
理解できない。したくもない。そんなものは、下々の奴らだけやっていればいい。だからワタクシには……こんなことをしなくていいから……お家に帰して……!
「さあ、次だよ。このろうそくなんだけどね。これで顔をパックすると、物凄い美容効果があるらしいよ? 熱さはもちろんスペシャルだから、安心してね」
ろうそくって、一滴垂れるだけでとてつもなく熱いのに、それを顔中にって……!?
「どれくらい綺麗になるか、ふふ……楽しみだなぁ」
お願い、やめて……! ワタクシが何をしたって言うの……! なにかしたなら謝るから! だから、誰でもいいからワタクシをこの地獄から助けなさい!
「誰か助けて……嫌ぁぁぁぁ!!お父様ぁ!! お母様ぁ!! ワタクシを助けてよおぉぉぉぉぉぉ!!!
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