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第三十四話 穏やかなデート
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屋敷を出発後、私はエヴァン様にリードされながら、お墓に行く時にも通った森の中を、ゆっくりと進んでいきます。
手を繋ぐ際に、いつもの様に固まってしまったエヴァン様ですが、前回森の中に入った時と同様に、私のことを気にしてゆっくり歩いてくださいますし、足元が悪い時は逐一心配してくださいますし……本当に優しくて、キュンキュンしてしまいますわ。
……こんな気持ち、ここ最近は全然ありませんでしたわ。ずっとお姉様を何とかすることで頭がいっぱいで……私を心配してくださった皆様には、感謝しかありません。
「エヴァン様と、こうしてお散歩しているだけで、とても楽しいですわ」
「そうなのか? 俺が会話が不得意なせいで、面白い話が出来ていないというのに」
「そんなことはありませんわ。どんな内容でも、エヴァン様とお話するのは楽しくて、幸せを感じますもの。それに、たとえ会話が無くても、こうして隣に立ち、あなたの声や息遣い……命の鼓動を聞いているだけで、とても満たされますの」
今までの人生で、私はローランお兄様と一緒にいるのが、一番最初に感じたかけがえのない時間でした。
その時に、一緒にいるだけでも楽しい、他愛もない話をしてるだけでも楽しいといった、色々なことを学びましたの。エヴァン様なお隣にいる時も、同じです。
だから、今回のデートもそれと匹敵するか、もしかしたらそれ以上の素晴らしいものでしょう。
「もうちょっとで着く。焦らなくていいから、ゆっくりな」
「はい……きゃあ!?」
足元ばかり気にしていたら、突然木の上から大型の鳥の鳴き声が聞こえてきました。
私はそれにビックリしてしまい、エヴァン様の腕にしがみついてしまいましたわ。
「なんだ、敵か? いや……あれは鳥か。大丈夫だ、あの鳥は鳴き声は大きいが、とても大人しいから襲ってはこない」
「そ、そうなんですね」
クチバシは鋭いですし、目は獲物を狩る目をしてますし、かなり大きいですし……どう見ても怖い鳥ですけど、優しいんですよね? 本当ですよね!?
「ああ、大丈夫。さあ、先に進もう」
腕に抱きついたままの私は、大きな鳥を警戒しながら、その場を後にしました。
人生で、初めてあんな大きな鳥を近くで見ましたわ。迫力が凄くて、襲われたら大怪我をしてしまうという恐怖を感じました。
そんな私は、いまだにエヴァン様の腕に抱きついているのですが、なぜかエヴァン様はいつものような反応をいたしません。
「野生動物なら対処できるが……なにかあってからでは困る。近くにいてくれ」
「はいっ!」
私は腕に抱きついた状態で、再び目的地に向かって歩き出しました。
それから間も無く、エヴァン様は突然足を止めると、ゆっくりと私の方を見ました。
「どうかしましたか?」
「俺は、いつのまに抱きつかれていたんだ?」
どうやらやっと気づいたようで、凄く驚いた表情を浮かべておりました。
「鳥に襲われた時です。それからずっと……嫌でしたか?」
「違う。むしろ……う、嬉しいのだが……緊張してしまってな……」
「そういうのは、なかなか治りませんよね。では、今日は慣れるために腕に抱きついたままにします。エヴァン様のためでもありますが、私だってエヴァン様にくっつきたいです。だから……ね?」
腕に抱きついたまま、上目遣いで言うと、耳まで真っ赤にさせながら、こくんっと頷きました。
照れてるエヴァン様……可愛いですわ……この可愛さを見るの、ちょっとした趣味なんですの。秘密ですよ?
****
歩きだしてから十分程度で、私達は森を抜けて、とある場所へと到着しました。
そこは、太陽の光のおかげで、まるで宝石のようにキラキラと輝く泉がありましたわ。
「この泉は、シャルディー家の初代当主様が、結婚される時に、プロポーズをした場所と言われている。その後、屋敷を作る際にこの泉の近くに屋敷を作ったと伝えられている」
これだけ美しい場所なら、シャルディー家のご先祖様が選んだのも、わかる気がしますわ。
「そして、この地は、シャルディー家にとって大切な場所であり、守るべき場所なんだ。だから、シャルディー家の当主とその伴侶しか入ってはいけない場所なんだ」
「えっ? 私、まだあなたの伴侶では無いのですが……」
「未来の伴侶なら、ご先祖様も見逃してくれるだろう」
そ、そういう問題なのでしょうか? エヴァン様が、とても大切な場所をデートの場所に選んでくれたのは嬉しいですが、それでエヴァン様がご先祖様に怒られてしまうのは嫌ですわ。
「立ち話もなんだから、座ってお茶といこうか」
そう言うと、エヴァン様は湖のほとりに、慣れた手つきでシートを敷き、組み立て式の小さなテーブルと二人掛けの椅子を用意しました。
「荷物の中に、そんなものが入っていたのですね」
「地面に座らせるわけにはいかないからな。そうそう、ありがたいことに、屋敷のみんなが軽食を用意してくれたんだ」
エヴァン様の持ってきていた荷物の中から、小さなバスケットが出てきました。その中には、色々な具が挟まれたサンドウィッチが出てきました。
「ふふっ、とってもおいしそうですわ。それじゃあ……いただきます」
綺麗な景色を見ながら、まずは卵のサンドウィッチをぱくり。濃厚な卵の旨味が口いっぱいに広がります。
次に野菜が沢山挟まったサンドウィッチをぱくり。シャキシャキしたレタスの歯ごたえと、みずみずしいトマトが口の中をさっぱりさせてくれます。
「…………」
「エヴァン様、どうしてずっと私の顔を見つめておられるのですか? せっかくのサンドウィッチなのですから、食べないと勿体ないですわ」
「おいしそうに頬張っているシエルが……なんていうか、とても可愛い。だから、ずっと見てしまった」
「や、やだ……恥ずかしい……」
どうしましょう。浮かれてバクバクと食べ過ぎていたかもしれません。もっと上品よく食べればよかったです……顔から火が出そうなくらい恥ずかしいです。
「おいしかったのだろう? それなら、気にする必要は無い。俺は……おいしそうに食べる君が好きだからな」
「っ……!」
今、確かにエヴァン様の口から好きって……嬉しすぎて、挙動不審になってしまいそう……ダメダメ、これ以上恥ずかしい思いをしないためにも、しっかりしませんと。
「あ、あら? これは随分とボリュームがありますのね」
なんとか落ち着かせようと、次のサンドウィッチに手を伸ばしたら、他のに比べて具の量が倍くらい入っているものがありました。
「それは……俺が作ったんだ」
「エヴァン様が!?」
「君が準備をしている間、少し時間があってな。屋敷の中をブラブラしていたんだ。それで……厨房の前を通りかかったら、コックにせっかくだから作ってみたらと言われてな」
なるほど、だから他のに比べて少し違う感じがいたしましたのね。
「君に沢山食べてもらいたいと思いながら作ったら、想像以上に大きくなって、見た目も悪くなってしまった。やはり、慣れないことはするものではないな。嫌なら俺が食うから、置いておいてくれ」
「そんなことないですよ! これは誰にも譲りません!」
私は急いでエヴァン様の作られたサンドウィッチを手に取り、大きな口でかぶりつきました。
ハムとチーズがたくさん入ったサンドウィッチから、私に対するエヴァン様の愛情がたっぷり詰まっていて、お腹も気持ちもとても満たされました。
「エヴァン様、とってもおいしいですわ! 慣れてないだなんて、謙遜も良いところです!」
「具の味付けは、コックがしているからな。だが……喜んでもらえたなら、良かった」
「私も、最近だいぶお料理の腕が上達してきましたのよ。もう少し上達したら、エヴァン様に食べてもらいたいです」
「ああ、もちろんだ。楽しみにしている」
とても優しい言葉を返してくれたエヴァン様に、微笑んで見せました。
実家にいた時と比べえ、穏やかで平和な時間――こんな時間がずっと続くといいのに。そう思っていると、突然大きな声が聞こえてきました。
「主様ー! シエル様ー!! いらっしゃいますかー!?」
「この声は、エレンか?」
「どうされたのでしょうか……ただごとではなさそうな雰囲気ですわ」
「俺もそう思う。急いで声のした方へ向かおう」
二人で協力して、手早く片付けた私達は、エレンの声のした方に向かうと、数分程度で合流することが出来ました。
「ああ、よかった! 私の声が届いたのですね!」
「エレンの声は、大きくて良く通るからな。それで、どうしたんだ?」
「突然お客様がやって来て、シエル様を出せと……」
「私にお客様? どなたですか?」
「それが……アイシャと名乗る女性なのです」
アイシャって……まさか、お姉様!? どうしてこの屋敷にお姉様がやってきますの!?
い、いや……もしかしたら、同名の別人かもしれません。なんにせよ、急いで戻った方が良さそうですね。
手を繋ぐ際に、いつもの様に固まってしまったエヴァン様ですが、前回森の中に入った時と同様に、私のことを気にしてゆっくり歩いてくださいますし、足元が悪い時は逐一心配してくださいますし……本当に優しくて、キュンキュンしてしまいますわ。
……こんな気持ち、ここ最近は全然ありませんでしたわ。ずっとお姉様を何とかすることで頭がいっぱいで……私を心配してくださった皆様には、感謝しかありません。
「エヴァン様と、こうしてお散歩しているだけで、とても楽しいですわ」
「そうなのか? 俺が会話が不得意なせいで、面白い話が出来ていないというのに」
「そんなことはありませんわ。どんな内容でも、エヴァン様とお話するのは楽しくて、幸せを感じますもの。それに、たとえ会話が無くても、こうして隣に立ち、あなたの声や息遣い……命の鼓動を聞いているだけで、とても満たされますの」
今までの人生で、私はローランお兄様と一緒にいるのが、一番最初に感じたかけがえのない時間でした。
その時に、一緒にいるだけでも楽しい、他愛もない話をしてるだけでも楽しいといった、色々なことを学びましたの。エヴァン様なお隣にいる時も、同じです。
だから、今回のデートもそれと匹敵するか、もしかしたらそれ以上の素晴らしいものでしょう。
「もうちょっとで着く。焦らなくていいから、ゆっくりな」
「はい……きゃあ!?」
足元ばかり気にしていたら、突然木の上から大型の鳥の鳴き声が聞こえてきました。
私はそれにビックリしてしまい、エヴァン様の腕にしがみついてしまいましたわ。
「なんだ、敵か? いや……あれは鳥か。大丈夫だ、あの鳥は鳴き声は大きいが、とても大人しいから襲ってはこない」
「そ、そうなんですね」
クチバシは鋭いですし、目は獲物を狩る目をしてますし、かなり大きいですし……どう見ても怖い鳥ですけど、優しいんですよね? 本当ですよね!?
「ああ、大丈夫。さあ、先に進もう」
腕に抱きついたままの私は、大きな鳥を警戒しながら、その場を後にしました。
人生で、初めてあんな大きな鳥を近くで見ましたわ。迫力が凄くて、襲われたら大怪我をしてしまうという恐怖を感じました。
そんな私は、いまだにエヴァン様の腕に抱きついているのですが、なぜかエヴァン様はいつものような反応をいたしません。
「野生動物なら対処できるが……なにかあってからでは困る。近くにいてくれ」
「はいっ!」
私は腕に抱きついた状態で、再び目的地に向かって歩き出しました。
それから間も無く、エヴァン様は突然足を止めると、ゆっくりと私の方を見ました。
「どうかしましたか?」
「俺は、いつのまに抱きつかれていたんだ?」
どうやらやっと気づいたようで、凄く驚いた表情を浮かべておりました。
「鳥に襲われた時です。それからずっと……嫌でしたか?」
「違う。むしろ……う、嬉しいのだが……緊張してしまってな……」
「そういうのは、なかなか治りませんよね。では、今日は慣れるために腕に抱きついたままにします。エヴァン様のためでもありますが、私だってエヴァン様にくっつきたいです。だから……ね?」
腕に抱きついたまま、上目遣いで言うと、耳まで真っ赤にさせながら、こくんっと頷きました。
照れてるエヴァン様……可愛いですわ……この可愛さを見るの、ちょっとした趣味なんですの。秘密ですよ?
****
歩きだしてから十分程度で、私達は森を抜けて、とある場所へと到着しました。
そこは、太陽の光のおかげで、まるで宝石のようにキラキラと輝く泉がありましたわ。
「この泉は、シャルディー家の初代当主様が、結婚される時に、プロポーズをした場所と言われている。その後、屋敷を作る際にこの泉の近くに屋敷を作ったと伝えられている」
これだけ美しい場所なら、シャルディー家のご先祖様が選んだのも、わかる気がしますわ。
「そして、この地は、シャルディー家にとって大切な場所であり、守るべき場所なんだ。だから、シャルディー家の当主とその伴侶しか入ってはいけない場所なんだ」
「えっ? 私、まだあなたの伴侶では無いのですが……」
「未来の伴侶なら、ご先祖様も見逃してくれるだろう」
そ、そういう問題なのでしょうか? エヴァン様が、とても大切な場所をデートの場所に選んでくれたのは嬉しいですが、それでエヴァン様がご先祖様に怒られてしまうのは嫌ですわ。
「立ち話もなんだから、座ってお茶といこうか」
そう言うと、エヴァン様は湖のほとりに、慣れた手つきでシートを敷き、組み立て式の小さなテーブルと二人掛けの椅子を用意しました。
「荷物の中に、そんなものが入っていたのですね」
「地面に座らせるわけにはいかないからな。そうそう、ありがたいことに、屋敷のみんなが軽食を用意してくれたんだ」
エヴァン様の持ってきていた荷物の中から、小さなバスケットが出てきました。その中には、色々な具が挟まれたサンドウィッチが出てきました。
「ふふっ、とってもおいしそうですわ。それじゃあ……いただきます」
綺麗な景色を見ながら、まずは卵のサンドウィッチをぱくり。濃厚な卵の旨味が口いっぱいに広がります。
次に野菜が沢山挟まったサンドウィッチをぱくり。シャキシャキしたレタスの歯ごたえと、みずみずしいトマトが口の中をさっぱりさせてくれます。
「…………」
「エヴァン様、どうしてずっと私の顔を見つめておられるのですか? せっかくのサンドウィッチなのですから、食べないと勿体ないですわ」
「おいしそうに頬張っているシエルが……なんていうか、とても可愛い。だから、ずっと見てしまった」
「や、やだ……恥ずかしい……」
どうしましょう。浮かれてバクバクと食べ過ぎていたかもしれません。もっと上品よく食べればよかったです……顔から火が出そうなくらい恥ずかしいです。
「おいしかったのだろう? それなら、気にする必要は無い。俺は……おいしそうに食べる君が好きだからな」
「っ……!」
今、確かにエヴァン様の口から好きって……嬉しすぎて、挙動不審になってしまいそう……ダメダメ、これ以上恥ずかしい思いをしないためにも、しっかりしませんと。
「あ、あら? これは随分とボリュームがありますのね」
なんとか落ち着かせようと、次のサンドウィッチに手を伸ばしたら、他のに比べて具の量が倍くらい入っているものがありました。
「それは……俺が作ったんだ」
「エヴァン様が!?」
「君が準備をしている間、少し時間があってな。屋敷の中をブラブラしていたんだ。それで……厨房の前を通りかかったら、コックにせっかくだから作ってみたらと言われてな」
なるほど、だから他のに比べて少し違う感じがいたしましたのね。
「君に沢山食べてもらいたいと思いながら作ったら、想像以上に大きくなって、見た目も悪くなってしまった。やはり、慣れないことはするものではないな。嫌なら俺が食うから、置いておいてくれ」
「そんなことないですよ! これは誰にも譲りません!」
私は急いでエヴァン様の作られたサンドウィッチを手に取り、大きな口でかぶりつきました。
ハムとチーズがたくさん入ったサンドウィッチから、私に対するエヴァン様の愛情がたっぷり詰まっていて、お腹も気持ちもとても満たされました。
「エヴァン様、とってもおいしいですわ! 慣れてないだなんて、謙遜も良いところです!」
「具の味付けは、コックがしているからな。だが……喜んでもらえたなら、良かった」
「私も、最近だいぶお料理の腕が上達してきましたのよ。もう少し上達したら、エヴァン様に食べてもらいたいです」
「ああ、もちろんだ。楽しみにしている」
とても優しい言葉を返してくれたエヴァン様に、微笑んで見せました。
実家にいた時と比べえ、穏やかで平和な時間――こんな時間がずっと続くといいのに。そう思っていると、突然大きな声が聞こえてきました。
「主様ー! シエル様ー!! いらっしゃいますかー!?」
「この声は、エレンか?」
「どうされたのでしょうか……ただごとではなさそうな雰囲気ですわ」
「俺もそう思う。急いで声のした方へ向かおう」
二人で協力して、手早く片付けた私達は、エレンの声のした方に向かうと、数分程度で合流することが出来ました。
「ああ、よかった! 私の声が届いたのですね!」
「エレンの声は、大きくて良く通るからな。それで、どうしたんだ?」
「突然お客様がやって来て、シエル様を出せと……」
「私にお客様? どなたですか?」
「それが……アイシャと名乗る女性なのです」
アイシャって……まさか、お姉様!? どうしてこの屋敷にお姉様がやってきますの!?
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