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第三十一話 不可解な招待状
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マーヴィン様と久しぶりに再会した日から一週間後の朝、私は朝食の準備に追われる調理室に来て、ジャガイモの皮むきのお手伝いをしていた。
実は、お手伝いに大失敗してしまったあの日から、毎朝何かしらのお手伝いをするようにしているんだ。
「終わりました! 大丈夫そうですか?」
「はい、ありがとうございます。随分と皮むきが上手になりましたね」
数十個はありそうなジャガイモを受け取った料理人の男性に褒められた私は、嬉しくて子供のようにモジモジしてしまった。
最初に大失敗をしてしまって迷惑をかけちゃったけど、めげずに出来るだけ毎日お手伝いに来た成果は、ちゃんと出ているってことだね!
「私達の方はもう大丈夫ですので、お戻りになられて結構ですよ」
「わかりました。また明日も来ますね!」
元気よく厨房を後にした私が次に来たのは、屋敷の裏庭だ。これまた初回に失敗してしまった、洗濯をしている場所だよ。
「おはようございます! お手伝いに来ました!」
「シエル様、おはようございます。いつもありがとうございます」
「いえいえ、バーランド家の方々にはお世話になりっぱなしですから、これくらいはさせてください! それで、何をすればいいですか?」
「すでに洗ったタオルの山がそこにございますので、干していただけますか?」
「わかりました!」
洗濯物を担当している使用人の女性の視線の先には、山積みになった真っ白なタオルが置かれていた。
うわぁ、今日も洗濯物はたくさんだ……! これはやりがいがあるぞー!
「えーっと、干す前にパンってなるように振って、シワを伸ばしてっと……干す時もシワにならないように……うん、良い感じ!」
洗濯の干し方も、洗い方もすっかり手慣れてきたおかげで、山積みになっていたタオルを干すのに、さほど時間はかからなかった。
何事も、諦めずにこつこつと練習をすれば、ヘタクソな人間でも上手くなれるんだね。
「よし、これで終わり……あれ、なんかタオルにゴミが……」
無事に頼まれた分が干し終わり、気持ちよさそうにパタパタとなびくタオル達を満足げに見ていたら、何か黒いシミのような物を見つけた。
おかしいなぁ。さっきはこんなの無かったのに……。
「これはまた洗い直しかな……って、シミが動いた!?」
汚れたタオルを手に取った矢先、シミだと思っていたものが動き出し、私に向かって一直線に飛んできた。
「ぎゃああぁぁぁぁ!? む、虫ぃぃぃぃぃ!?!?」
謎の黒いシミの正体が、結構大きめ虫だと気づいた私は、思わずタオルを地面に叩きつけたうえに、汚い悲鳴を上げてしまった。
む、虫だけはどんなものでもダメなの! それが顔に向かってくるだなんて……む、無理ぃぃぃぃ!! 私はここで死ぬんだぁぁぁぁ!!
「シエル様、いかがなさいましたか!?」
「むむむ、虫……虫ぃ……!」
「何事だ!!」
腰を抜かして震えていると、どこからか飛んできたラルフに体を支えられた。
きっと私の悲鳴を聞いて、かけつけてくれたのだろうけど、今の私にはそれを気にするほどの余裕は無い。
「あ、ラルフ様! シエル様が……!」
「虫……いやぁ……」
「虫? ああ、なるほど……彼女は私が部屋に運んでおくから、気にせずに業務をおこなってくれ」
私は、突然の虫の襲撃に精神的に限界になってしまい、ラルフの中で意識を手放した――
****
「うぅ……虫はいや……あ、あれ……?」
虫への恐怖に恐れながら目を開けると、そこは私がいつも使わせてもらっている部屋の天井だった。
どうして私、ここに帰ってきているのだろう? 覚えている限りでは……そうそう、裏庭でラルフが来てくれたところまでは、何となく覚えている。
「お目覚めになられましたか」
「ラルフ……? もしかして、ラルフが運んでくれたの?」
「その通りです」
「そっか……迷惑をかけてごめんね」
「いえ、お気になさらず」
はぁ……なんか、前もこんな風に気絶して、ラルフに助けてもらったよね。結局お手伝いも完遂出来なかったし、まだまだ私はダメダメだなぁ。
まあ、こんなことでへこたれる私じゃないけどね! 明日はしっかりと朝のお手伝いをやりきってみせるよ!
「毎朝仕事の手伝いをしていただき、ありがとうございます。使用人達も、日頃からとても感謝していると口々に言っております」
「迷惑になっていないなら良かったよ。いつもお世話になってるから、ちょっとでも返したいからね」
「シエル様は、とても義理堅い方でございますね。そういうあなたも、とても好きですよ」
うっ、そうやって油断したところに愛情を伝えてくるのは反則だよ! そんなことを言われたら、日に日に増していくラルフへの愛情が爆発しちゃう!
「そ、そうだよ。私はとっても義理堅いの!」
「はい、そうですね」
「ま、まさか肯定されるとは……ごほんっ! だからご褒美が欲しいなー……なんて」
自分が望むことをしてほしくて、いつもは言わないような、恩着せがましいことを伝えると、ラルフはフッと微笑んでから、私の頬にそっと手を添えた。
「そんなおねだりをするなんて、シエル様はいけない方ですね」
「し、仕方ないじゃない。ラルフとお付き合いをするようになってから、自分の感情が抑えきれないんだから」
人差し指の先を合わせてクルクルしながら言い訳をしていると、ラルフは私の体を起こし、そのままキスをした。
やっぱりラルフとのキスは心も体も満たされる……そんなことを思っているうちに、ラルフの顔が離れてしまった。
「はい、今日はこれでおしまいです」
「え~!もう一回!」
「ダメです」
ラルフにもう一度キスを要求している中、部屋の扉がノックも無しに開かれた。そこにいたのは、ナディア様だった。
えっと……今の私達、ベッドの近くでくっついてる状態だよね……こんな姿を見られたら……!!
「失礼するよ。ラルフがここにいると――」
「うわぁぁぁあ!?」
「あ、姉上?」
「っと……はっはっはっ! これは私としたことが、とてもおいしい場面……ごほんっ、とてもお邪魔な場面で来てしまったようだね!」
「今、おいしい場面って言いましたよね!?」
気まずい場面とかならわかるんだけど、どう考えてもおいしい場面ではなかったと思うんだよ! こう思うのは、私だけじゃないよね!?
「仕事で疲れて寝ている間に、見逃してしまうとは……仕事さえなければ、君達の良い場面を隠れ見ることができたというのに……!」
「いやいやいや、隠れ見るってどういうことですか!」
「なに、こちらの話さ! シエルちゃんは気にすることではない!」
「絶対に気にしなきゃいけないことだと思うんですけどー!」
なんか、色々と突っ込みどころが多すぎて、どこから手を付ければ良いか、わからなくなってきちゃったよ。
ナディア様は優しくて、男勝りなカッコいい方で、お菓子作りも上手な凄い人だけど、たまによくわからなくなるんだよね。
「はぁ……それで、姉上はなにか私にご用がおありだったのでは?」
「ああ、忘れるところだった。これが君達に届いていてね」
ナディア様がラルフに手渡したものは、なんの変哲もない、普通の手紙だった。送り主は……ダニエル・グリゼル? うーん、知らない人の名前だ。
「これは……懐かしい名前ですね」
「私は知らない名前だけど……どちら様?」
「グリゼル家は、バーランド家と古くから付き合いがある家です。ダニエル様は、グリゼル家の家長です。中身は……婚約パーティーの招待状?」
「なに、婚約だって……?」
「わあ、おめでたいお話! あれ、どうしてラルフもナディア様も、難しい顔をしているの?」
良い話のはずなのに、何故かラルフとナディア様の表情は優れない。実は本当はこの人と仲が悪いとか……?
「いや……少々妙な話なのさ」
「ダニエル様は、生涯独身を貫くと常日頃から仰っていることで、社交界でも有名なお方なのです。そんな方が何の前触れもなく結婚というのは、引っかかりますね。それに、招待している人を見てください」
ラルフに促されて手紙の中身を見ると、そこに書いてあった招待者は、ラルフと……。
「……私?」
「この方は、シエル様がここにいらっしゃることをご存じはないはずなのです」
「確かにそれは変かも……」
私のことを知っているのも変だし、普通ならラルフ以外にも、ナディア様やクリスティア様を招待するよね? なのに、その二人を抜いて私を招待するって、変じゃない?
それに、ずっと結婚しないと言っていた人が、前触れもなく結婚するというのも変だし……一体どういうことだろう?
「……変だけど、断るのもあれだよね?」
「そうですね。バーランド家に傷をつけないためにも、参加は必須でしょう」
だよねぇ……貴族はそういう付き合いを大事にする人が多いから、体調が悪いとか、どうしても外せない用事がない限りは、断るのは難しい。
「……ふむ……二人共、私は何故か招待されていないから行けないが、十分用心して行ってきてくれ」
「はい。シエル様のことは、私がお守りするのでご安心ください」
「ラルフ、ありがとう」
「さて、用事も済んだから私は部屋に戻るとしよう。あとは若い二人でよろしくするといい! はーっはっはっはっはっ!!」
「な、ナディア様!?」
お得意の高笑いを残して、ナディア様は部屋を去っていった。
……なんか気になることが多いけど、こうして招待をされた以上、バーランド家に迷惑をかけないように、しっかりしないとね!
「……なんだかきな臭い話だが、我が弟が付いているなら問題無いだろう。私は私で、少しでも早く仕事を進めなければ……」
「ナディア様、失礼いたします。以前お話されていた資料が届きました」
「ありがとう。ふむ、やはり市場の相場がおかしくなっている……それも、全てに共通しているのは……なるほど、この前のケーキの時も、材料を手に入れにくかった原因はこれかもしれんな……いち早く解決しないと、大変なことになるかもしれないな……」
実は、お手伝いに大失敗してしまったあの日から、毎朝何かしらのお手伝いをするようにしているんだ。
「終わりました! 大丈夫そうですか?」
「はい、ありがとうございます。随分と皮むきが上手になりましたね」
数十個はありそうなジャガイモを受け取った料理人の男性に褒められた私は、嬉しくて子供のようにモジモジしてしまった。
最初に大失敗をしてしまって迷惑をかけちゃったけど、めげずに出来るだけ毎日お手伝いに来た成果は、ちゃんと出ているってことだね!
「私達の方はもう大丈夫ですので、お戻りになられて結構ですよ」
「わかりました。また明日も来ますね!」
元気よく厨房を後にした私が次に来たのは、屋敷の裏庭だ。これまた初回に失敗してしまった、洗濯をしている場所だよ。
「おはようございます! お手伝いに来ました!」
「シエル様、おはようございます。いつもありがとうございます」
「いえいえ、バーランド家の方々にはお世話になりっぱなしですから、これくらいはさせてください! それで、何をすればいいですか?」
「すでに洗ったタオルの山がそこにございますので、干していただけますか?」
「わかりました!」
洗濯物を担当している使用人の女性の視線の先には、山積みになった真っ白なタオルが置かれていた。
うわぁ、今日も洗濯物はたくさんだ……! これはやりがいがあるぞー!
「えーっと、干す前にパンってなるように振って、シワを伸ばしてっと……干す時もシワにならないように……うん、良い感じ!」
洗濯の干し方も、洗い方もすっかり手慣れてきたおかげで、山積みになっていたタオルを干すのに、さほど時間はかからなかった。
何事も、諦めずにこつこつと練習をすれば、ヘタクソな人間でも上手くなれるんだね。
「よし、これで終わり……あれ、なんかタオルにゴミが……」
無事に頼まれた分が干し終わり、気持ちよさそうにパタパタとなびくタオル達を満足げに見ていたら、何か黒いシミのような物を見つけた。
おかしいなぁ。さっきはこんなの無かったのに……。
「これはまた洗い直しかな……って、シミが動いた!?」
汚れたタオルを手に取った矢先、シミだと思っていたものが動き出し、私に向かって一直線に飛んできた。
「ぎゃああぁぁぁぁ!? む、虫ぃぃぃぃぃ!?!?」
謎の黒いシミの正体が、結構大きめ虫だと気づいた私は、思わずタオルを地面に叩きつけたうえに、汚い悲鳴を上げてしまった。
む、虫だけはどんなものでもダメなの! それが顔に向かってくるだなんて……む、無理ぃぃぃぃ!! 私はここで死ぬんだぁぁぁぁ!!
「シエル様、いかがなさいましたか!?」
「むむむ、虫……虫ぃ……!」
「何事だ!!」
腰を抜かして震えていると、どこからか飛んできたラルフに体を支えられた。
きっと私の悲鳴を聞いて、かけつけてくれたのだろうけど、今の私にはそれを気にするほどの余裕は無い。
「あ、ラルフ様! シエル様が……!」
「虫……いやぁ……」
「虫? ああ、なるほど……彼女は私が部屋に運んでおくから、気にせずに業務をおこなってくれ」
私は、突然の虫の襲撃に精神的に限界になってしまい、ラルフの中で意識を手放した――
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「うぅ……虫はいや……あ、あれ……?」
虫への恐怖に恐れながら目を開けると、そこは私がいつも使わせてもらっている部屋の天井だった。
どうして私、ここに帰ってきているのだろう? 覚えている限りでは……そうそう、裏庭でラルフが来てくれたところまでは、何となく覚えている。
「お目覚めになられましたか」
「ラルフ……? もしかして、ラルフが運んでくれたの?」
「その通りです」
「そっか……迷惑をかけてごめんね」
「いえ、お気になさらず」
はぁ……なんか、前もこんな風に気絶して、ラルフに助けてもらったよね。結局お手伝いも完遂出来なかったし、まだまだ私はダメダメだなぁ。
まあ、こんなことでへこたれる私じゃないけどね! 明日はしっかりと朝のお手伝いをやりきってみせるよ!
「毎朝仕事の手伝いをしていただき、ありがとうございます。使用人達も、日頃からとても感謝していると口々に言っております」
「迷惑になっていないなら良かったよ。いつもお世話になってるから、ちょっとでも返したいからね」
「シエル様は、とても義理堅い方でございますね。そういうあなたも、とても好きですよ」
うっ、そうやって油断したところに愛情を伝えてくるのは反則だよ! そんなことを言われたら、日に日に増していくラルフへの愛情が爆発しちゃう!
「そ、そうだよ。私はとっても義理堅いの!」
「はい、そうですね」
「ま、まさか肯定されるとは……ごほんっ! だからご褒美が欲しいなー……なんて」
自分が望むことをしてほしくて、いつもは言わないような、恩着せがましいことを伝えると、ラルフはフッと微笑んでから、私の頬にそっと手を添えた。
「そんなおねだりをするなんて、シエル様はいけない方ですね」
「し、仕方ないじゃない。ラルフとお付き合いをするようになってから、自分の感情が抑えきれないんだから」
人差し指の先を合わせてクルクルしながら言い訳をしていると、ラルフは私の体を起こし、そのままキスをした。
やっぱりラルフとのキスは心も体も満たされる……そんなことを思っているうちに、ラルフの顔が離れてしまった。
「はい、今日はこれでおしまいです」
「え~!もう一回!」
「ダメです」
ラルフにもう一度キスを要求している中、部屋の扉がノックも無しに開かれた。そこにいたのは、ナディア様だった。
えっと……今の私達、ベッドの近くでくっついてる状態だよね……こんな姿を見られたら……!!
「失礼するよ。ラルフがここにいると――」
「うわぁぁぁあ!?」
「あ、姉上?」
「っと……はっはっはっ! これは私としたことが、とてもおいしい場面……ごほんっ、とてもお邪魔な場面で来てしまったようだね!」
「今、おいしい場面って言いましたよね!?」
気まずい場面とかならわかるんだけど、どう考えてもおいしい場面ではなかったと思うんだよ! こう思うのは、私だけじゃないよね!?
「仕事で疲れて寝ている間に、見逃してしまうとは……仕事さえなければ、君達の良い場面を隠れ見ることができたというのに……!」
「いやいやいや、隠れ見るってどういうことですか!」
「なに、こちらの話さ! シエルちゃんは気にすることではない!」
「絶対に気にしなきゃいけないことだと思うんですけどー!」
なんか、色々と突っ込みどころが多すぎて、どこから手を付ければ良いか、わからなくなってきちゃったよ。
ナディア様は優しくて、男勝りなカッコいい方で、お菓子作りも上手な凄い人だけど、たまによくわからなくなるんだよね。
「はぁ……それで、姉上はなにか私にご用がおありだったのでは?」
「ああ、忘れるところだった。これが君達に届いていてね」
ナディア様がラルフに手渡したものは、なんの変哲もない、普通の手紙だった。送り主は……ダニエル・グリゼル? うーん、知らない人の名前だ。
「これは……懐かしい名前ですね」
「私は知らない名前だけど……どちら様?」
「グリゼル家は、バーランド家と古くから付き合いがある家です。ダニエル様は、グリゼル家の家長です。中身は……婚約パーティーの招待状?」
「なに、婚約だって……?」
「わあ、おめでたいお話! あれ、どうしてラルフもナディア様も、難しい顔をしているの?」
良い話のはずなのに、何故かラルフとナディア様の表情は優れない。実は本当はこの人と仲が悪いとか……?
「いや……少々妙な話なのさ」
「ダニエル様は、生涯独身を貫くと常日頃から仰っていることで、社交界でも有名なお方なのです。そんな方が何の前触れもなく結婚というのは、引っかかりますね。それに、招待している人を見てください」
ラルフに促されて手紙の中身を見ると、そこに書いてあった招待者は、ラルフと……。
「……私?」
「この方は、シエル様がここにいらっしゃることをご存じはないはずなのです」
「確かにそれは変かも……」
私のことを知っているのも変だし、普通ならラルフ以外にも、ナディア様やクリスティア様を招待するよね? なのに、その二人を抜いて私を招待するって、変じゃない?
それに、ずっと結婚しないと言っていた人が、前触れもなく結婚するというのも変だし……一体どういうことだろう?
「……変だけど、断るのもあれだよね?」
「そうですね。バーランド家に傷をつけないためにも、参加は必須でしょう」
だよねぇ……貴族はそういう付き合いを大事にする人が多いから、体調が悪いとか、どうしても外せない用事がない限りは、断るのは難しい。
「……ふむ……二人共、私は何故か招待されていないから行けないが、十分用心して行ってきてくれ」
「はい。シエル様のことは、私がお守りするのでご安心ください」
「ラルフ、ありがとう」
「さて、用事も済んだから私は部屋に戻るとしよう。あとは若い二人でよろしくするといい! はーっはっはっはっはっ!!」
「な、ナディア様!?」
お得意の高笑いを残して、ナディア様は部屋を去っていった。
……なんか気になることが多いけど、こうして招待をされた以上、バーランド家に迷惑をかけないように、しっかりしないとね!
「……なんだかきな臭い話だが、我が弟が付いているなら問題無いだろう。私は私で、少しでも早く仕事を進めなければ……」
「ナディア様、失礼いたします。以前お話されていた資料が届きました」
「ありがとう。ふむ、やはり市場の相場がおかしくなっている……それも、全てに共通しているのは……なるほど、この前のケーキの時も、材料を手に入れにくかった原因はこれかもしれんな……いち早く解決しないと、大変なことになるかもしれないな……」
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