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第二十三話 すれ違い
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上手く建物を利用して、ラルフと女性の後を追いかける。どこに向かっているのかはわからないけど、ずっと腕を組んだままなのは変わらなかった。
もしかしたら、あの女性に無理やりされているのかと思ったけど、ラルフが嫌がっている素振りも無さそうに見える。
「一体どこに行くんだろう……」
心配と不安が入り乱れた、何とも言えない嫌な気持ちを抱えながら、ぽつりと呟いた。
……もしかして、私が全然返事をしないから、愛想を尽かせて別の女性と恋に落ちたとか?
ま、まさかそんなこと……でも、私みたいな凡人の女なんかよりも、他の女性を選んだ方が絶対に良いのは確かだ。遠目だけど、あの女性も凄く美人さんだし!
「あ、あそこのお店に入った……」
ラルフ達が入ったのは、アクセサリーを扱うお店だった。しかも、カップルや夫婦がプレゼントによく使うことで有名なお店だった。
きっとあの女性にプレゼントをするアクセサリーを見に来たに違いない。私の知らないうちに、そこまで深い仲になっていたなんて……。
「な、中の……様子を……」
既にショックで限界になりつつも、窓からお店の中を確認すると、二人で楽しそうにアクセサリーを見て回っていた。
その光景を見たら、心の中で何かポッキリと折れたような気がして……私は走ってその場を後にした。
「…………」
信じられないくらいの喪失感と脱力感でフラフラしながら、屋敷に帰らずに湖畔に来ると、腰を降ろしてぼんやりと水面を見つめた。
私のことをずっと見守ってくれたラルフが、誰かとお付き合いをして幸せになる。それは喜ばしいことだし、祝福をしなければいけない。
でも……今の私には、そんな余裕は欠片もなかった。
「ラルフに甘えて、返事をしないでいた私が、全面的に悪いんだから……悲しむ資格なんて無いよね……わかってるよ……でも……でも……!」
心に大きな穴が開いてしまったような、巨大な喪失感がそうさせたのか……自然と流れた涙が、頬を伝って湖に落ちた。それも、一回ではなく何度も流れては落ちてを繰り返す。
「うぅ……うわぁぁぁぁん!」
本当に私はバカだぁ……今まで嫌な思いをさせてごめんね、ラルフ……どうか幸せになってね……。
****
湖畔に座って泣き続けた私は、屋敷に帰らずに、ずっと湖で過ごしていた。既に辺りは暗くなり始めていて、通る人もまばらになってきている。
はぁ……帰りたくないなぁ……ラルフにどんな顔をして会えばいいかわからない……いっそのこと、屋敷を出て行って一人でひっそりと暮らそうかな……。
「し、シエル様!!」
あはは、まだ未練があるのか、聞こえもしないラルフの声が聞こえてきたよ。私ってば、結構未練がましくて、ラルフに依存していたのかもしれないね……新しい発見だ。
「シエル様!!」
「…………」
もう、なんなの? 幻聴どころか、ラルフがこっちに走ってくる幻覚まで見えはじめた――そう思ったのも束の間、幻覚だと思ったラルフは、私の所までたどり着くと、そのまま強く抱きしめた。
「ら、ラルフ……? ほ、本物??」
「何を仰っているのですか!? もう暗くなっているのに帰ってこられないから、心配して探しに来たのですよ!」
「探しに……どうして?」
「どうしてって……大切な主であり、想い人を探すのは当然でしょう?」
「…………」
そっか、ラルフは優しいから、私の前では今まで通りに接してくれるんだね。
でも、今はその優しさが……私の胸に突き刺さって……痛いんだ。
「無理をしなくていいよ。もう、私のことは放っておいていいから……」
「先程から、どうされたのですか!?」
「私、見ちゃったの。ラルフが知らない女の人と、仲良くしているところを……私が全然返事をしないから、別の人を好きになったんだよね?」
「…………」
「大丈夫、わかってるから。私のことは忘れて、あの女性と幸せになって。私は……大丈夫だから!」
今出来る精一杯の強がりを見せて立ち上がり、その場を後にしようとするが、背中からラルフに再び抱きしめられて、歩みを止められてしまった。
「シエル様、それは誤解でございます! 私の話を聞いてください!」
「聞きたくない!」
「聞いてくれるまで、絶対に放しません!」
「うっ……むぅぅぅぅ~~~~!!!!」
力づくで逃げようと暴れ回ったけど、男性であるラルフの腕力に勝てるはずもなく、ただいたずらに体力を消費するだけだった。
……こうなったら、話を聞くしかない。全部私がラルフの気持ちに応えなかったのが悪いんだから、その報いはしっかり受けよう。
「わかった……聞くよ」
「ありがとうございます」
やっと解放された私は、すとんっとその場に座り込んだ。
せっかく解放されたんだから、このまま逃げるって手もあったけど、聞くと約束をした以上、逃げるのは卑怯だよね。
「それで、どうして女性と一緒に買い物をしていたの? それに、あの人は誰なの?」
「順番にお答えします。十日後、何があるのかはご存じですよね?」
「十日後……私の誕生日?」
「はい。私はシエル様へのプレゼントを購入するために、内緒で買い物に来たのです」
サプライズプレゼントを買ってくれるために、私にどこに行くかを伝えなかったということ? それならわからなくもない、けど……。
「じゃあ、あの女性は?」
「彼女は、姉上のお知り合いです。ファッションやアクセサリーに詳しいお方です。私はアクセサリーに関しては無知なので、協力をお願いしたんです」
「で、でも凄く仲良さそうにしてたよ!?」
「それは、姉上に助言をされたのです」
な、ナディア様に……? なんだか、よくわからなくなってきたよ。
「プレゼント選びをしている時も、恋人らしいことを経験しておいて、シエル様との関係の糧にしろというお言葉をいただきまして。彼女に無理を言って、偽の恋人役をお願いしたんです。まさか、その現場を見られてしまったのは、完全に想定外でした」
「それじゃあ……もしかして、全部私の勘違い?」
「はい」
「そ、そっか……あはは、勘違いかぁ……」
またしても、体全部から力が抜けて、危うく湖に落っこちそうになったけど、ラルフが咄嗟に支えてくれたおかげで、落ちずに済んだ。
「大丈夫ですか?」
「よ、良かった……ラルフが……私のことを……き、嫌いになったのかと……」
「私があなたを嫌いになるなんてありえません。だから、もう泣かないでください」
泣きながら笑うという器用なことをしていると、ラルフは私の目元に溜まった涙を拭ってくれた。
「勘違いをさせてしまうようなことをしてしまって、本当に申し訳ございませんでした」
「私こそごめんね……私、本当にバカだよね。ラルフの優しさに甘えて、勝手に勘違いして、一人で落ち込んで、ラルフを傷つけて……はぁ、もっとしっかりしないとなぁ」
「私は大丈夫なので、お気になさらず。ところで、どうして私の場所がわかったんですか?」
「ナディア様が教えてくれたんだよ」
私がバカなことをしても、一切起こらなかったラルフの表情が、一瞬だけ曇ったのを、私は見逃さなかった。
「姉上? 彼女のことも、今日することも知っていて、見られたら何かしら誤解が出ると、姉上ならお分かりになられるはず……なのに、教えた……?」
「た、確かに変かも?」
「後で私の方からお伺いしたいと思います。さあ、一緒に帰りましょう」
「うんっ」
私はラルフと一緒に立ち上がると、自分からラルフの手を握った。すると、ラルフもそれに応えるように、優しく握り返してくれた。
結局、私の気持ちの正体はわからないままだけど、ラルフが私にとって無くてはならない、大切な人だっていうのは、改めてわかったよ。
バカな私でごめんね、ラルフ。こんな私でも良ければ、これからも末永く一緒にいてくれると嬉しいな。
……あれ、これだとプロポーズみたいになっちゃうような……!?
もしかしたら、あの女性に無理やりされているのかと思ったけど、ラルフが嫌がっている素振りも無さそうに見える。
「一体どこに行くんだろう……」
心配と不安が入り乱れた、何とも言えない嫌な気持ちを抱えながら、ぽつりと呟いた。
……もしかして、私が全然返事をしないから、愛想を尽かせて別の女性と恋に落ちたとか?
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「あ、あそこのお店に入った……」
ラルフ達が入ったのは、アクセサリーを扱うお店だった。しかも、カップルや夫婦がプレゼントによく使うことで有名なお店だった。
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既にショックで限界になりつつも、窓からお店の中を確認すると、二人で楽しそうにアクセサリーを見て回っていた。
その光景を見たら、心の中で何かポッキリと折れたような気がして……私は走ってその場を後にした。
「…………」
信じられないくらいの喪失感と脱力感でフラフラしながら、屋敷に帰らずに湖畔に来ると、腰を降ろしてぼんやりと水面を見つめた。
私のことをずっと見守ってくれたラルフが、誰かとお付き合いをして幸せになる。それは喜ばしいことだし、祝福をしなければいけない。
でも……今の私には、そんな余裕は欠片もなかった。
「ラルフに甘えて、返事をしないでいた私が、全面的に悪いんだから……悲しむ資格なんて無いよね……わかってるよ……でも……でも……!」
心に大きな穴が開いてしまったような、巨大な喪失感がそうさせたのか……自然と流れた涙が、頬を伝って湖に落ちた。それも、一回ではなく何度も流れては落ちてを繰り返す。
「うぅ……うわぁぁぁぁん!」
本当に私はバカだぁ……今まで嫌な思いをさせてごめんね、ラルフ……どうか幸せになってね……。
****
湖畔に座って泣き続けた私は、屋敷に帰らずに、ずっと湖で過ごしていた。既に辺りは暗くなり始めていて、通る人もまばらになってきている。
はぁ……帰りたくないなぁ……ラルフにどんな顔をして会えばいいかわからない……いっそのこと、屋敷を出て行って一人でひっそりと暮らそうかな……。
「し、シエル様!!」
あはは、まだ未練があるのか、聞こえもしないラルフの声が聞こえてきたよ。私ってば、結構未練がましくて、ラルフに依存していたのかもしれないね……新しい発見だ。
「シエル様!!」
「…………」
もう、なんなの? 幻聴どころか、ラルフがこっちに走ってくる幻覚まで見えはじめた――そう思ったのも束の間、幻覚だと思ったラルフは、私の所までたどり着くと、そのまま強く抱きしめた。
「ら、ラルフ……? ほ、本物??」
「何を仰っているのですか!? もう暗くなっているのに帰ってこられないから、心配して探しに来たのですよ!」
「探しに……どうして?」
「どうしてって……大切な主であり、想い人を探すのは当然でしょう?」
「…………」
そっか、ラルフは優しいから、私の前では今まで通りに接してくれるんだね。
でも、今はその優しさが……私の胸に突き刺さって……痛いんだ。
「無理をしなくていいよ。もう、私のことは放っておいていいから……」
「先程から、どうされたのですか!?」
「私、見ちゃったの。ラルフが知らない女の人と、仲良くしているところを……私が全然返事をしないから、別の人を好きになったんだよね?」
「…………」
「大丈夫、わかってるから。私のことは忘れて、あの女性と幸せになって。私は……大丈夫だから!」
今出来る精一杯の強がりを見せて立ち上がり、その場を後にしようとするが、背中からラルフに再び抱きしめられて、歩みを止められてしまった。
「シエル様、それは誤解でございます! 私の話を聞いてください!」
「聞きたくない!」
「聞いてくれるまで、絶対に放しません!」
「うっ……むぅぅぅぅ~~~~!!!!」
力づくで逃げようと暴れ回ったけど、男性であるラルフの腕力に勝てるはずもなく、ただいたずらに体力を消費するだけだった。
……こうなったら、話を聞くしかない。全部私がラルフの気持ちに応えなかったのが悪いんだから、その報いはしっかり受けよう。
「わかった……聞くよ」
「ありがとうございます」
やっと解放された私は、すとんっとその場に座り込んだ。
せっかく解放されたんだから、このまま逃げるって手もあったけど、聞くと約束をした以上、逃げるのは卑怯だよね。
「それで、どうして女性と一緒に買い物をしていたの? それに、あの人は誰なの?」
「順番にお答えします。十日後、何があるのかはご存じですよね?」
「十日後……私の誕生日?」
「はい。私はシエル様へのプレゼントを購入するために、内緒で買い物に来たのです」
サプライズプレゼントを買ってくれるために、私にどこに行くかを伝えなかったということ? それならわからなくもない、けど……。
「じゃあ、あの女性は?」
「彼女は、姉上のお知り合いです。ファッションやアクセサリーに詳しいお方です。私はアクセサリーに関しては無知なので、協力をお願いしたんです」
「で、でも凄く仲良さそうにしてたよ!?」
「それは、姉上に助言をされたのです」
な、ナディア様に……? なんだか、よくわからなくなってきたよ。
「プレゼント選びをしている時も、恋人らしいことを経験しておいて、シエル様との関係の糧にしろというお言葉をいただきまして。彼女に無理を言って、偽の恋人役をお願いしたんです。まさか、その現場を見られてしまったのは、完全に想定外でした」
「それじゃあ……もしかして、全部私の勘違い?」
「はい」
「そ、そっか……あはは、勘違いかぁ……」
またしても、体全部から力が抜けて、危うく湖に落っこちそうになったけど、ラルフが咄嗟に支えてくれたおかげで、落ちずに済んだ。
「大丈夫ですか?」
「よ、良かった……ラルフが……私のことを……き、嫌いになったのかと……」
「私があなたを嫌いになるなんてありえません。だから、もう泣かないでください」
泣きながら笑うという器用なことをしていると、ラルフは私の目元に溜まった涙を拭ってくれた。
「勘違いをさせてしまうようなことをしてしまって、本当に申し訳ございませんでした」
「私こそごめんね……私、本当にバカだよね。ラルフの優しさに甘えて、勝手に勘違いして、一人で落ち込んで、ラルフを傷つけて……はぁ、もっとしっかりしないとなぁ」
「私は大丈夫なので、お気になさらず。ところで、どうして私の場所がわかったんですか?」
「ナディア様が教えてくれたんだよ」
私がバカなことをしても、一切起こらなかったラルフの表情が、一瞬だけ曇ったのを、私は見逃さなかった。
「姉上? 彼女のことも、今日することも知っていて、見られたら何かしら誤解が出ると、姉上ならお分かりになられるはず……なのに、教えた……?」
「た、確かに変かも?」
「後で私の方からお伺いしたいと思います。さあ、一緒に帰りましょう」
「うんっ」
私はラルフと一緒に立ち上がると、自分からラルフの手を握った。すると、ラルフもそれに応えるように、優しく握り返してくれた。
結局、私の気持ちの正体はわからないままだけど、ラルフが私にとって無くてはならない、大切な人だっていうのは、改めてわかったよ。
バカな私でごめんね、ラルフ。こんな私でも良ければ、これからも末永く一緒にいてくれると嬉しいな。
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