17 / 44
第十七話 愛する言葉に暇なし
しおりを挟む
同日のお昼頃、私は自室で借りてきた本を読み終わり、その本をパタンっと閉じた。
濡れ場が結構多かったのがアレだったけど、読んでて面白い恋愛小説だった。身分違いの恋で、周りに反対されながらも愛し合い、でも自分には相応しくないんじゃないかって葛藤するのが、読んでて応援したくなった。
私も、ある意味身分違いの恋になるんだろうか? 元貴族とはいえ、今は家を出たからね。
なんにせよ、この物語では恋心はよくわからなかった。もちろん恋心の描写自体は出てきたんだけど、自分のにうまくあてはめられなかった。
「シエル様、あまり根を詰めていると、体調を崩してしまいますよ。そうだ、良い天気なので、気分転換に出掛けませんか?」
「いいね! それって二人で?」
「もちろん二人です」
「なんかそれだと、デートみたいじゃない?」
「はい、デートですよ」
改めてラルフにデートと言われると、それはそれで緊張しちゃうよ。二人で出かけることなんて、何度も経験しているはずなんだけどなぁ……。
「そ、そうだよね。それで、どこに行くの?」
「港町に、お気に入りのカフェがございまして、そこにシエル様をご案内したいと考えております。いかがでしょうか?」
「ラルフのお気に入りか……気になる! 行ってみよう!」
ラルフとお出かけもするのも嬉しいけど、ラルフが好きなものが一つ知れるのは、とても大きな収穫だ。だって、ラルフのことなら何でも知りたいって思うもん。
こういう気持ちも、恋心の一つだったりするのかな? 答えが載っている本があるわけじゃないから、わからないけどね。
「ラルフは、今日はもうずっと空いてるの?」
「ええ、特に予定はございません。強いて言うなら、あなたの執事としてお供をするくらいでしょうか」
「そっか。それならさ、馬車じゃなくてのんびり歩いて行かない?」
「名案ですね。そうしましょう」
こうしてお散歩兼カフェデートが決まった私は、使用人達に見送られながら屋敷を出発した。
港町にまで続く道は、緩やかな下り坂になっている。私の故郷ほどではないけど、この辺りも自然が豊かだ。それに、高台ということもあって、湖が一望できて気持ちがいい。
「こうしてお散歩するのって気持ちいいね。実家にいる時は、自由に外なんて歩けなかったから、なおさら良いと思っちゃうよ」
「シエル様さえよろしければ、今後もまた一緒にデートをしましょう」
「か、考えておくよ!」
だから、そうやってデートを強調されて謂われると、照れちゃうって! 一緒にお出かけしたい気持ちは山々なのに、恥ずかしくてはぐらかしちゃったよ!
「ところでラルフ、どうしてずっと私の手を握っているの?」
「エスコートでございますよ。この辺りは、緩やかとはいえ坂ですので、転ばないようにと」
「うん、それは本当にありがとうね。でも……」
私は繋がれている手に視線を移す。そこには、恋愛小説の中で行われていた、指を絡める繋ぎ方をされていた。
この繋ぎ方は、俗にいう恋人繋ぎというやつだよね?
「実は、私もあなたに倣い、恋愛小説を読み始めたのです。そこに出てきた恋人達が、この繋ぎ方をしていたので、実践をしてみた次第です」
「そ、そうなんだ。ラルフも恋愛小説を読み始めたなんて、ちょっと驚きだよ」
ラルフが読書をしているのは見たことがあるけど、読んでいるのは推理小説が多かった。だから、ラルフが恋愛小説に手を出したのは、少し意外だった。
「こういう行動をすれば、もしかしたら恋心についての学びが深まるかもしれませんよ」
「ラルフ……あなた、私のために?」
「もちろんです。私は常にあなたのことを考えておりますから」
フッと笑うラルフの言葉に、私の胸の奥が大きく跳ねた。顔も熱いし、ちょっとだけ息も苦しい。
「ほ、本当かな? ラルフがしたかっただけじゃないの?」
「否定はしません」
「そこは否定しようよ!?」
「本当のことを否定するのは、よろしくありませんからね」
「やっぱりラルフ、最近そういうことを言うのに抵抗が無くなってるよね!」
「抵抗もなにも、元々はずっと伝えたかったことですから。立場上、言うのを控えていたにすぎません」
「う、うぅ~~!!」
終始ラルフに翻弄されっぱなしになりながらも、なんとか港町にあるカフェに到着した。落ち着いた色合いと雰囲気の建物で、まさにゆっくりお茶をするのに適している。
特に一番特徴的だったのは、内装だった。普通ならいくつかテーブルが並べられている大広間だと思うんだけど、中に入ってすぐ目に入ったのは、いくつかの個室と、その個室に行くための廊下だった。
「このカフェは個室なんですよ。周りを気にせずに、お茶を楽しむことが出来るのです」
「へぇ~! それは珍しいね!」
「いらっしゃいませ。ようこそお越しくださいました」
店の中に入ると、それなりにお年を召した男性に歓迎された。胸元にある名札には、店主という文字が書かれている。
「お二人様でいらっしゃいますか?」
「……? あ、はい!」
「では、こちらにどうぞ」
私とラルフは奥の席に通された。そこには、小さなテーブルと椅子、そして大きな窓が自らの存在を主張していた。窓からは日差しが入っていて、とても明るい雰囲気だ。
良い感じの場所なのはいいんだけど……店主の人、どこかで見たことがあるような気がする……気のせいかな?
「こちらがメニューでございます。お決まりになられたら、テーブルに置かれているベルを鳴らしてください」
「わかりました」
メニュー表を置いた店主は、お辞儀を残して私達の元を去っていった。それを見送った私は、先程感じた疑問を解決するために、ラルフに質問を投げかけた。
「ねえラルフ、さっきの人ってどこかで会ったことないかな? 何か見覚えがある気がするんだよね」
「……? いえ、覚えはありません。私の知っている店主は、別の方でしたので」
「そうなの?」
「ええ。私が来た時には既に高齢でしたので、引退されて別の方が店を引き継いだのでしょう」
ラルフが来た時っていうと、何年も前の話になる。その時で既に高齢なら、続けるのは無理があるよね。
「ちなみにそれは、マーチャント家にいる時のお話ですよね?」
「うん、もちろん」
「申し訳ございませんが、記憶にございません。マーチャント家にいる時は、あなたばかりを見ていたので」
「そ、そういうのはいいから~!」
「ふふっ、そうやって照れるシエル様はとても可愛らしいですね。あ、ここはケーキが絶品ですよ」
またしても直球な言葉から逃げるように、私はメニュー表に視線を移すと、ラルフはおススメをいくつか教えてくれた。
ラルフに散々恥ずかしい思いをさせられてしまったせいで、お腹がペコペコだよ! 今日はたくさん食べてやるんだから!
濡れ場が結構多かったのがアレだったけど、読んでて面白い恋愛小説だった。身分違いの恋で、周りに反対されながらも愛し合い、でも自分には相応しくないんじゃないかって葛藤するのが、読んでて応援したくなった。
私も、ある意味身分違いの恋になるんだろうか? 元貴族とはいえ、今は家を出たからね。
なんにせよ、この物語では恋心はよくわからなかった。もちろん恋心の描写自体は出てきたんだけど、自分のにうまくあてはめられなかった。
「シエル様、あまり根を詰めていると、体調を崩してしまいますよ。そうだ、良い天気なので、気分転換に出掛けませんか?」
「いいね! それって二人で?」
「もちろん二人です」
「なんかそれだと、デートみたいじゃない?」
「はい、デートですよ」
改めてラルフにデートと言われると、それはそれで緊張しちゃうよ。二人で出かけることなんて、何度も経験しているはずなんだけどなぁ……。
「そ、そうだよね。それで、どこに行くの?」
「港町に、お気に入りのカフェがございまして、そこにシエル様をご案内したいと考えております。いかがでしょうか?」
「ラルフのお気に入りか……気になる! 行ってみよう!」
ラルフとお出かけもするのも嬉しいけど、ラルフが好きなものが一つ知れるのは、とても大きな収穫だ。だって、ラルフのことなら何でも知りたいって思うもん。
こういう気持ちも、恋心の一つだったりするのかな? 答えが載っている本があるわけじゃないから、わからないけどね。
「ラルフは、今日はもうずっと空いてるの?」
「ええ、特に予定はございません。強いて言うなら、あなたの執事としてお供をするくらいでしょうか」
「そっか。それならさ、馬車じゃなくてのんびり歩いて行かない?」
「名案ですね。そうしましょう」
こうしてお散歩兼カフェデートが決まった私は、使用人達に見送られながら屋敷を出発した。
港町にまで続く道は、緩やかな下り坂になっている。私の故郷ほどではないけど、この辺りも自然が豊かだ。それに、高台ということもあって、湖が一望できて気持ちがいい。
「こうしてお散歩するのって気持ちいいね。実家にいる時は、自由に外なんて歩けなかったから、なおさら良いと思っちゃうよ」
「シエル様さえよろしければ、今後もまた一緒にデートをしましょう」
「か、考えておくよ!」
だから、そうやってデートを強調されて謂われると、照れちゃうって! 一緒にお出かけしたい気持ちは山々なのに、恥ずかしくてはぐらかしちゃったよ!
「ところでラルフ、どうしてずっと私の手を握っているの?」
「エスコートでございますよ。この辺りは、緩やかとはいえ坂ですので、転ばないようにと」
「うん、それは本当にありがとうね。でも……」
私は繋がれている手に視線を移す。そこには、恋愛小説の中で行われていた、指を絡める繋ぎ方をされていた。
この繋ぎ方は、俗にいう恋人繋ぎというやつだよね?
「実は、私もあなたに倣い、恋愛小説を読み始めたのです。そこに出てきた恋人達が、この繋ぎ方をしていたので、実践をしてみた次第です」
「そ、そうなんだ。ラルフも恋愛小説を読み始めたなんて、ちょっと驚きだよ」
ラルフが読書をしているのは見たことがあるけど、読んでいるのは推理小説が多かった。だから、ラルフが恋愛小説に手を出したのは、少し意外だった。
「こういう行動をすれば、もしかしたら恋心についての学びが深まるかもしれませんよ」
「ラルフ……あなた、私のために?」
「もちろんです。私は常にあなたのことを考えておりますから」
フッと笑うラルフの言葉に、私の胸の奥が大きく跳ねた。顔も熱いし、ちょっとだけ息も苦しい。
「ほ、本当かな? ラルフがしたかっただけじゃないの?」
「否定はしません」
「そこは否定しようよ!?」
「本当のことを否定するのは、よろしくありませんからね」
「やっぱりラルフ、最近そういうことを言うのに抵抗が無くなってるよね!」
「抵抗もなにも、元々はずっと伝えたかったことですから。立場上、言うのを控えていたにすぎません」
「う、うぅ~~!!」
終始ラルフに翻弄されっぱなしになりながらも、なんとか港町にあるカフェに到着した。落ち着いた色合いと雰囲気の建物で、まさにゆっくりお茶をするのに適している。
特に一番特徴的だったのは、内装だった。普通ならいくつかテーブルが並べられている大広間だと思うんだけど、中に入ってすぐ目に入ったのは、いくつかの個室と、その個室に行くための廊下だった。
「このカフェは個室なんですよ。周りを気にせずに、お茶を楽しむことが出来るのです」
「へぇ~! それは珍しいね!」
「いらっしゃいませ。ようこそお越しくださいました」
店の中に入ると、それなりにお年を召した男性に歓迎された。胸元にある名札には、店主という文字が書かれている。
「お二人様でいらっしゃいますか?」
「……? あ、はい!」
「では、こちらにどうぞ」
私とラルフは奥の席に通された。そこには、小さなテーブルと椅子、そして大きな窓が自らの存在を主張していた。窓からは日差しが入っていて、とても明るい雰囲気だ。
良い感じの場所なのはいいんだけど……店主の人、どこかで見たことがあるような気がする……気のせいかな?
「こちらがメニューでございます。お決まりになられたら、テーブルに置かれているベルを鳴らしてください」
「わかりました」
メニュー表を置いた店主は、お辞儀を残して私達の元を去っていった。それを見送った私は、先程感じた疑問を解決するために、ラルフに質問を投げかけた。
「ねえラルフ、さっきの人ってどこかで会ったことないかな? 何か見覚えがある気がするんだよね」
「……? いえ、覚えはありません。私の知っている店主は、別の方でしたので」
「そうなの?」
「ええ。私が来た時には既に高齢でしたので、引退されて別の方が店を引き継いだのでしょう」
ラルフが来た時っていうと、何年も前の話になる。その時で既に高齢なら、続けるのは無理があるよね。
「ちなみにそれは、マーチャント家にいる時のお話ですよね?」
「うん、もちろん」
「申し訳ございませんが、記憶にございません。マーチャント家にいる時は、あなたばかりを見ていたので」
「そ、そういうのはいいから~!」
「ふふっ、そうやって照れるシエル様はとても可愛らしいですね。あ、ここはケーキが絶品ですよ」
またしても直球な言葉から逃げるように、私はメニュー表に視線を移すと、ラルフはおススメをいくつか教えてくれた。
ラルフに散々恥ずかしい思いをさせられてしまったせいで、お腹がペコペコだよ! 今日はたくさん食べてやるんだから!
57
お気に入りに追加
1,175
あなたにおすすめの小説
婚約者を譲れと姉に「お願い」されました。代わりに軍人侯爵との結婚を押し付けられましたが、私は形だけの妻のようです。
ナナカ
恋愛
メリオス伯爵の次女エレナは、幼い頃から姉アルチーナに振り回されてきた。そんな姉に婚約者ロエルを譲れと言われる。さらに自分の代わりに結婚しろとまで言い出した。結婚相手は貴族たちが成り上がりと侮蔑する軍人侯爵。伯爵家との縁組が目的だからか、エレナに入れ替わった結婚も承諾する。
こうして、ほとんど顔を合わせることない別居生活が始まった。冷め切った関係になるかと思われたが、年の離れた侯爵はエレナに丁寧に接してくれるし、意外に優しい人。エレナも数少ない会話の機会が楽しみになっていく。
(本編、番外編、完結しました)
【完結】私は駄目な姉なので、可愛い妹に全てあげることにします
リオール
恋愛
私には妹が一人いる。
みんなに可愛いとチヤホヤされる妹が。
それに対して私は顔も性格も地味。暗いと陰で笑われている駄目な姉だ。
妹はそんな私の物を、あれもこれもと欲しがってくる。
いいよ、私の物でいいのならあげる、全部あげる。
──ついでにアレもあげるわね。
=====
※ギャグはありません
※全6話
虐げられてる私のざまあ記録、ご覧になりますか?
リオール
恋愛
両親に虐げられ
姉に虐げられ
妹に虐げられ
そして婚約者にも虐げられ
公爵家が次女、ミレナは何をされてもいつも微笑んでいた。
虐げられてるのに、ひたすら耐えて笑みを絶やさない。
それをいいことに、彼女に近しい者は彼女を虐げ続けていた。
けれど彼らは知らない、誰も知らない。
彼女の笑顔の裏に隠された、彼女が抱える闇を──
そして今日も、彼女はひっそりと。
ざまあするのです。
そんな彼女の虐げざまあ記録……お読みになりますか?
=====
シリアスダークかと思わせて、そうではありません。虐げシーンはダークですが、ざまあシーンは……まあハチャメチャです。軽いのから重いのまで、スッキリ(?)ざまあ。
細かいことはあまり気にせずお読み下さい。
多分ハッピーエンド。
多分主人公だけはハッピーエンド。
あとは……
強い祝福が原因だった
棗
恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。
父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。
大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。
愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。
※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。
※なろうさんにも公開しています。
《完》わたしの刺繍が必要?無能は要らないって追い出したのは貴方達でしょう?
桐生桜月姫
恋愛
『無能はいらない』
魔力を持っていないという理由で婚約破棄されて従姉妹に婚約者を取られたアイーシャは、実は特別な力を持っていた!?
大好きな刺繍でわたしを愛してくれる国と国民を守ります。
無能はいらないのでしょう?わたしを捨てた貴方達を救う義理はわたしにはございません!!
*******************
毎朝7時更新です。
婚約破棄は別にいいですけど、優秀な姉と無能な妹なんて噂、本気で信じてるんですか?
リオール
恋愛
侯爵家の執務を汗水流してこなしていた私──バルバラ。
だがある日突然、婚約者に婚約破棄を告げられ、父に次期当主は姉だと宣言され。出て行けと言われるのだった。
世間では姉が優秀、妹は駄目だと思われてるようですが、だから何?
せいぜい束の間の贅沢を楽しめばいいです。
貴方達が遊んでる間に、私は──侯爵家、乗っ取らせていただきます!
=====
いつもの勢いで書いた小説です。
前作とは逆に妹が主人公。優秀では無いけど努力する人。
妹、頑張ります!
※全41話完結。短編としておきながら読みの甘さが露呈…
幼い頃、義母に酸で顔を焼かれた公爵令嬢は、それでも愛してくれた王太子が冤罪で追放されたので、ついていくことにしました。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
設定はゆるくなっています、気になる方は最初から読まないでください。
ウィンターレン公爵家令嬢ジェミーは、幼い頃に義母のアイラに酸で顔を焼かれてしまった。何とか命は助かったものの、とても社交界にデビューできるような顔ではなかった。だが不屈の精神力と仮面をつける事で、社交界にデビューを果たした。そんなジェミーを、心優しく人の本質を見抜ける王太子レオナルドが見初めた。王太子はジェミーを婚約者に選び、幸せな家庭を築くかに思われたが、王位を狙う邪悪な弟に冤罪を着せられ追放刑にされてしまった。
水魔法しか使えない私と婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた前世の知識をこれから使います
黒木 楓
恋愛
伯爵令嬢のリリカは、婚約者である侯爵令息ラルフに「水魔法しか使えないお前との婚約を破棄する」と言われてしまう。
異世界に転生したリリカは前世の知識があり、それにより普通とは違う水魔法が使える。
そのことは婚約前に話していたけど、ラルフは隠すよう命令していた。
「立場が下のお前が、俺よりも優秀であるわけがない。普通の水魔法だけ使っていろ」
そう言われ続けてきたけど、これから命令を聞く必要もない。
「婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた力をこれから使います」
飲んだ人を強くしたり回復する聖水を作ることができるけど、命令により家族以外は誰も知らない。
これは前世の知識がある私だけが出せる特殊な水で、婚約破棄された後は何も気にせず使えそうだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる