7 / 44
第七話 一難去ってまた一難
しおりを挟む
「お腹すいたなぁ……」
湖に放り出されてから三日後の夜、私は騒ぎ続けるお腹の虫に耐えながら、オールを動かしていた。その隣では、ラルフが静かに寝息を立てている。
交代で進んでいるというのに、いまだに陸地は影も形も見えてこない。方角は合っているはずだけど、所詮は素人が操縦しているから、思った以上に進めていないのだろう。
食料も、既に半分以上が無くなってきている。だから、かなり節約をしているせいで、お腹もペコペコというわけだ。飲み水に関しては、湖の水があるから困らないのが、唯一の救いかな。
「せっかく自由を手に入れたというのに、このままずっと湖の上をさまよい続けて……お魚のエサになっちゃうのかなぁ……」
「……ぐぅ……」
「ラルフ……ごめんね、私がバカなせいで、こんなことに巻き込んじゃって」
小さな毛布を掛けて丸くなるラルフの頬を、そっと撫でながら呟く。
この漂流の旅の間、ラルフは私のために食事を減らし、私を長い時間寝かせて、夜中はずっと漕いでくれていた。それを続けていたから、私が強く言って、半ば無理やり寝かせたの。
そんな優しいラルフを、私は巻き込んでしまった――
私がもっとしっかりしていれば、もっと計画的だったら、もっとお父様達の行動を先読みできていれば……もっと、もっと私が……。
「……って、何を弱気になっているの私は! 本当に情けないよ!」
自分で自分を叱りながら、首を大きく横に振る。空腹と疲れと不安のせいで、弱気になっちゃってた。
弱気になったところで、状況は何も好転しない! 今するべきことは、弱気になることよりも、一回でも多くオールを動かすことだよ!
反省も後悔も、後ですればいい! 絶対に諦めてたまるもんか! お父様達の思い通りになんてなるもんか! こちとら、散々厳しいしつけといじめのおかげで、体力と根性だけは自信があるんだから!!
「えぇぇぇぇい!!」
隣でラルフが寝ていることなどお構いなしに、雄たけびをあげながらオールを動かす! 動かす! 動かす!!
負けない、絶対に負けない! 私はラルフと一緒に自由で幸せになるんだから!!
****
いつの間にか空がほんのりと明るくなってきた中、私は一切休まずに漕ぎ続けていた。それでも、まだ陸地は見えてこない。
さすがに夜中の間、ずっと休まずに漕ぎ続けるのは、体に負担がかかるなぁ……体力に自信があると思っていたけど、まだまだみたいだ。
「んっ……シエル様……?」
「あっ、おはようラルフ。よく眠ってたね」
「はい、おかげさまで……もしかして、ずっと漕いでいらしたのですか?」
「そうだよ。少しでも早く目的地に着きたいからね」
「いけません。早くお休みになられてください。あとは私がやりますから」
「えぇ~……それをラルフが言う? 初日の夜、私を起こさないで朝まで漕いでたよね?」
「私は良いのです」
あまりにも理屈にかなっていない反論過ぎて、思わず吹き出してしまった。
いつも冷静で、何か聞いても的確に返してくれると思っていたから、この子供みたいな返し方が、なんだかすごく面白く感じちゃった。
「とにかく交代してください。シエル様は、朝食をとりながら休憩していてください」
「わーいごはんー! って、ラルフも食べないとダメだよ」
「私は後でいただきますので、ご心配は不要です」
「本当に? 約束だよ。破ったら……うーん……デコピンの刑だから!」
「それは恐ろしいですね」
ラルフはふふっと微笑んでから、私と交代をして漕ぎ始める。一方の私は、ラルフが用意してくれたリンゴに噛り付いた。空腹の私には、ただのリンゴでも最高のご馳走だ。
「こうして改めて見ると、ラルフが一回漕いだ時と、私が一回漕いだ時の進み方が、全然違うね」
「その辺りは、やはり筋力の差があるでしょう。それに、私は多少は経験があるので、その差もあるでしょう」
「それは確かに……って……あ、あれは……?」
ラルフの説明に納得していると、進んでいる方向にぼんやりと何かがあるのが見えてきた。
それは……今までずっと見えなかった、陸地だった。
「あれって、陸地だよね!?」
「そのようですね。シエル様が諦めずに行こうとしたおかげで、無事にここまで来れましたね」
「何を言っているの? たくさん漕いでくれたあなたのおかげだよ!」
「さあ、一体何のことでしょう?」
もう、ラルフったら……あくまで知らないフリをするんだね。本当は主として、もう無理をしないように、注意をしないといけないんだけど……ラルフの意思を尊重して、これ以上追求しないでおこう。
「ラルフ、オールをちょうだい。あなたを巻き込んだ責任として、最後までやり遂げたいの!」
「いえ、シエル様は夜中に頑張られていたのですから、朝食を食べながら、ゆっくりしていてください」
「ダメ! これは主の絶対命令! 言うことを聞けないなら……うーん、どうしよう……?」
デコピン以外の何か重い罰を与えようと思ったけど、良い案が思いつかない。唯一思いついたのは、くすぐりの刑くらいだよ。
「……シエル様は、こうと決めたら曲げませんよね……わかりました」
「うん、後は私に任せて!」
私は腕をまくって気合を入れると、再び漕ぎはじめる。
気合と疲労のせいでオールの動きが乱れて、小舟がその場でまたクルクル回るだけなんて事件もあったけど、私達は無事にリマール国の港町に到着した。
港には、多くの漁師達やその関係者の人達、そして少し離れた所から聞こえてくる威勢の良い声で、とても活気に満ち溢れている。
「凄い、これが港町の光景なのね!」
「リマール国で一番栄えている港町です。シエル様は、リマール国の港は初めてですか?」
「うんっ。ラルフと出会う前にも来たことがないんだ。いつも屋敷で勉強とか習い事をしてて、後は社交界に出たりとかだったからね」
「なるほど、そうだったのですね」
自分の過去を思い出しても、本当につまらない人生を送ってきたなとしか思わない。貴族の家に生まれた宿命と言われたら、それまでだけどね。
「おいあんたら、あんな小舟で来るなんて、どこのもんだ? もしかして、密売人じゃないだろうな?」
「えっと……?」
この辺りを行き交ってた人達の中の一人が、私達に話しかけてきた。筋骨隆々で白い捻じり鉢巻きをしているその姿は、まさに漁師ですって感じだ。
「我々は怪しい者ではございません。のっぴきならない事情で、スンリー国からやってきたものです」
「事情だぁ? ますます怪しいな……」
ど、どうしよう!? これ、完全に怪しまれちゃってるよ! 不審者に間違われて、牢屋行きとかになったら、せっかくここまで頑張ってくれたラルフの苦労が水の泡だし、自由なんて夢のまた夢になる!
「では、あなた方の代表者……この町の町長とお話させていただけませんか? 彼ならきっとわかってくれるはずです」
「ふん、まあいいだろう。町長もさっき漁が終わって一息ついてたし、今なら大丈夫だろう。ただし、この嬢ちゃんと荷物はここに置いていってもらう」
えっ、私を……? 一体どういうこと?
「あんたが変なことをしないための予防だ」
「なるほど、かしこまりました。ですが、もし私がいない間に彼女に何かあったら、その時は……」
「それはあんた次第だな。ほら、こっちだ」
「シエル様、ここでのんびりと町を眺めていてください。すぐに戻りますから」
完全に話に置いてけぼりになってしまった私は、反射的にラルフに頷いて見せると、漁師の人とどこかに行ってしまった。
のんびりと言われても……ラルフが大丈夫かどうか心配で、呑気に町並みを眺めてなんていられないって!
「大丈夫かな……無事に戻ってきますように……無事に戻ってきますように……!」
私はその場でしゃがみ込むと、両手をこすり合わせてラルフの無事を祈る。
この行動に何の意味もないのは分かりきっているけど、何もしないよりはきっと良いはずだよね!
「戻ってきますように……戻ってきますように……」
「あの子、なにしてんだ……?」
「さぁ……? 誰か漁から戻ってくるのを祈ってるのか……?」
通りすがりの漁師の人の視線も、背中に照り付けるお日様の熱も一切気にせず、私はただその場で祈り続けた――
湖に放り出されてから三日後の夜、私は騒ぎ続けるお腹の虫に耐えながら、オールを動かしていた。その隣では、ラルフが静かに寝息を立てている。
交代で進んでいるというのに、いまだに陸地は影も形も見えてこない。方角は合っているはずだけど、所詮は素人が操縦しているから、思った以上に進めていないのだろう。
食料も、既に半分以上が無くなってきている。だから、かなり節約をしているせいで、お腹もペコペコというわけだ。飲み水に関しては、湖の水があるから困らないのが、唯一の救いかな。
「せっかく自由を手に入れたというのに、このままずっと湖の上をさまよい続けて……お魚のエサになっちゃうのかなぁ……」
「……ぐぅ……」
「ラルフ……ごめんね、私がバカなせいで、こんなことに巻き込んじゃって」
小さな毛布を掛けて丸くなるラルフの頬を、そっと撫でながら呟く。
この漂流の旅の間、ラルフは私のために食事を減らし、私を長い時間寝かせて、夜中はずっと漕いでくれていた。それを続けていたから、私が強く言って、半ば無理やり寝かせたの。
そんな優しいラルフを、私は巻き込んでしまった――
私がもっとしっかりしていれば、もっと計画的だったら、もっとお父様達の行動を先読みできていれば……もっと、もっと私が……。
「……って、何を弱気になっているの私は! 本当に情けないよ!」
自分で自分を叱りながら、首を大きく横に振る。空腹と疲れと不安のせいで、弱気になっちゃってた。
弱気になったところで、状況は何も好転しない! 今するべきことは、弱気になることよりも、一回でも多くオールを動かすことだよ!
反省も後悔も、後ですればいい! 絶対に諦めてたまるもんか! お父様達の思い通りになんてなるもんか! こちとら、散々厳しいしつけといじめのおかげで、体力と根性だけは自信があるんだから!!
「えぇぇぇぇい!!」
隣でラルフが寝ていることなどお構いなしに、雄たけびをあげながらオールを動かす! 動かす! 動かす!!
負けない、絶対に負けない! 私はラルフと一緒に自由で幸せになるんだから!!
****
いつの間にか空がほんのりと明るくなってきた中、私は一切休まずに漕ぎ続けていた。それでも、まだ陸地は見えてこない。
さすがに夜中の間、ずっと休まずに漕ぎ続けるのは、体に負担がかかるなぁ……体力に自信があると思っていたけど、まだまだみたいだ。
「んっ……シエル様……?」
「あっ、おはようラルフ。よく眠ってたね」
「はい、おかげさまで……もしかして、ずっと漕いでいらしたのですか?」
「そうだよ。少しでも早く目的地に着きたいからね」
「いけません。早くお休みになられてください。あとは私がやりますから」
「えぇ~……それをラルフが言う? 初日の夜、私を起こさないで朝まで漕いでたよね?」
「私は良いのです」
あまりにも理屈にかなっていない反論過ぎて、思わず吹き出してしまった。
いつも冷静で、何か聞いても的確に返してくれると思っていたから、この子供みたいな返し方が、なんだかすごく面白く感じちゃった。
「とにかく交代してください。シエル様は、朝食をとりながら休憩していてください」
「わーいごはんー! って、ラルフも食べないとダメだよ」
「私は後でいただきますので、ご心配は不要です」
「本当に? 約束だよ。破ったら……うーん……デコピンの刑だから!」
「それは恐ろしいですね」
ラルフはふふっと微笑んでから、私と交代をして漕ぎ始める。一方の私は、ラルフが用意してくれたリンゴに噛り付いた。空腹の私には、ただのリンゴでも最高のご馳走だ。
「こうして改めて見ると、ラルフが一回漕いだ時と、私が一回漕いだ時の進み方が、全然違うね」
「その辺りは、やはり筋力の差があるでしょう。それに、私は多少は経験があるので、その差もあるでしょう」
「それは確かに……って……あ、あれは……?」
ラルフの説明に納得していると、進んでいる方向にぼんやりと何かがあるのが見えてきた。
それは……今までずっと見えなかった、陸地だった。
「あれって、陸地だよね!?」
「そのようですね。シエル様が諦めずに行こうとしたおかげで、無事にここまで来れましたね」
「何を言っているの? たくさん漕いでくれたあなたのおかげだよ!」
「さあ、一体何のことでしょう?」
もう、ラルフったら……あくまで知らないフリをするんだね。本当は主として、もう無理をしないように、注意をしないといけないんだけど……ラルフの意思を尊重して、これ以上追求しないでおこう。
「ラルフ、オールをちょうだい。あなたを巻き込んだ責任として、最後までやり遂げたいの!」
「いえ、シエル様は夜中に頑張られていたのですから、朝食を食べながら、ゆっくりしていてください」
「ダメ! これは主の絶対命令! 言うことを聞けないなら……うーん、どうしよう……?」
デコピン以外の何か重い罰を与えようと思ったけど、良い案が思いつかない。唯一思いついたのは、くすぐりの刑くらいだよ。
「……シエル様は、こうと決めたら曲げませんよね……わかりました」
「うん、後は私に任せて!」
私は腕をまくって気合を入れると、再び漕ぎはじめる。
気合と疲労のせいでオールの動きが乱れて、小舟がその場でまたクルクル回るだけなんて事件もあったけど、私達は無事にリマール国の港町に到着した。
港には、多くの漁師達やその関係者の人達、そして少し離れた所から聞こえてくる威勢の良い声で、とても活気に満ち溢れている。
「凄い、これが港町の光景なのね!」
「リマール国で一番栄えている港町です。シエル様は、リマール国の港は初めてですか?」
「うんっ。ラルフと出会う前にも来たことがないんだ。いつも屋敷で勉強とか習い事をしてて、後は社交界に出たりとかだったからね」
「なるほど、そうだったのですね」
自分の過去を思い出しても、本当につまらない人生を送ってきたなとしか思わない。貴族の家に生まれた宿命と言われたら、それまでだけどね。
「おいあんたら、あんな小舟で来るなんて、どこのもんだ? もしかして、密売人じゃないだろうな?」
「えっと……?」
この辺りを行き交ってた人達の中の一人が、私達に話しかけてきた。筋骨隆々で白い捻じり鉢巻きをしているその姿は、まさに漁師ですって感じだ。
「我々は怪しい者ではございません。のっぴきならない事情で、スンリー国からやってきたものです」
「事情だぁ? ますます怪しいな……」
ど、どうしよう!? これ、完全に怪しまれちゃってるよ! 不審者に間違われて、牢屋行きとかになったら、せっかくここまで頑張ってくれたラルフの苦労が水の泡だし、自由なんて夢のまた夢になる!
「では、あなた方の代表者……この町の町長とお話させていただけませんか? 彼ならきっとわかってくれるはずです」
「ふん、まあいいだろう。町長もさっき漁が終わって一息ついてたし、今なら大丈夫だろう。ただし、この嬢ちゃんと荷物はここに置いていってもらう」
えっ、私を……? 一体どういうこと?
「あんたが変なことをしないための予防だ」
「なるほど、かしこまりました。ですが、もし私がいない間に彼女に何かあったら、その時は……」
「それはあんた次第だな。ほら、こっちだ」
「シエル様、ここでのんびりと町を眺めていてください。すぐに戻りますから」
完全に話に置いてけぼりになってしまった私は、反射的にラルフに頷いて見せると、漁師の人とどこかに行ってしまった。
のんびりと言われても……ラルフが大丈夫かどうか心配で、呑気に町並みを眺めてなんていられないって!
「大丈夫かな……無事に戻ってきますように……無事に戻ってきますように……!」
私はその場でしゃがみ込むと、両手をこすり合わせてラルフの無事を祈る。
この行動に何の意味もないのは分かりきっているけど、何もしないよりはきっと良いはずだよね!
「戻ってきますように……戻ってきますように……」
「あの子、なにしてんだ……?」
「さぁ……? 誰か漁から戻ってくるのを祈ってるのか……?」
通りすがりの漁師の人の視線も、背中に照り付けるお日様の熱も一切気にせず、私はただその場で祈り続けた――
138
お気に入りに追加
1,330
あなたにおすすめの小説

婚約者を譲れと姉に「お願い」されました。代わりに軍人侯爵との結婚を押し付けられましたが、私は形だけの妻のようです。
ナナカ
恋愛
メリオス伯爵の次女エレナは、幼い頃から姉アルチーナに振り回されてきた。そんな姉に婚約者ロエルを譲れと言われる。さらに自分の代わりに結婚しろとまで言い出した。結婚相手は貴族たちが成り上がりと侮蔑する軍人侯爵。伯爵家との縁組が目的だからか、エレナに入れ替わった結婚も承諾する。
こうして、ほとんど顔を合わせることない別居生活が始まった。冷め切った関係になるかと思われたが、年の離れた侯爵はエレナに丁寧に接してくれるし、意外に優しい人。エレナも数少ない会話の機会が楽しみになっていく。
(本編、番外編、完結しました)

初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

精霊の加護を持つ聖女。偽聖女によって追放されたので、趣味のアクセサリー作りにハマっていたら、いつの間にか世界を救って愛されまくっていた
向原 行人
恋愛
精霊の加護を受け、普通の人には見る事も感じる事も出来ない精霊と、会話が出来る少女リディア。
聖女として各地の精霊石に精霊の力を込め、国を災いから守っているのに、突然第四王女によって追放されてしまう。
暫くは精霊の力も残っているけれど、時間が経って精霊石から力が無くなれば魔物が出て来るし、魔導具も動かなくなるけど……本当に大丈夫!?
一先ず、この国に居るとマズそうだから、元聖女っていうのは隠して、別の国で趣味を活かして生活していこうかな。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

王太子に婚約破棄されてから一年、今更何の用ですか?
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しいます。
ゴードン公爵家の長女ノヴァは、辺境の冒険者街で薬屋を開業していた。ちょうど一年前、婚約者だった王太子が平民娘相手に恋の熱病にかかり、婚約を破棄されてしまっていた。王太子の恋愛問題が王位継承問題に発展するくらいの大問題となり、平民娘に負けて社交界に残れないほどの大恥をかかされ、理不尽にも公爵家を追放されてしまったのだ。ようやく傷心が癒えたノヴァのところに、やつれた王太子が現れた。


裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……
希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。
幼馴染に婚約者を奪われたのだ。
レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。
「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」
「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」
誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。
けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。
レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。
心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。
強く気高く冷酷に。
裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。
☆完結しました。ありがとうございました!☆
(ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在))
(ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9))
(ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在))
(ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))

婚約を破棄され辺境に追いやられたけれど、思っていたより快適です!
さこの
恋愛
婚約者の第五王子フランツ殿下には好きな令嬢が出来たみたい。その令嬢とは男爵家の養女で親戚筋にあたり現在私のうちに住んでいる。
婚約者の私が邪魔になり、身分剥奪そして追放される事になる。陛下や両親が留守の間に王都から追放され、辺境の町へと行く事になった。
100キロ以内近寄るな。100キロといえばクレマン? そこに第三王子フェリクス殿下が来て“グレマン”へ行くようにと言う。クレマンと“グレマン”だと方向は真逆です。
追放と言われましたので、屋敷に帰り準備をします。フランツ殿下が王族として下した命令は自分勝手なものですから、陛下達が帰って来たらどうなるでしょう?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる