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第二話 計画通りの婚約破棄
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突然突き付けられた婚約破棄という事実は、私の家族や貴族達を動揺させるのには、あまりにも十分すぎた。
「君の姉妹はとても優秀だというのに、君は秀でているものが何もない、平凡な人間だ。いつかは何か素晴らしい才能に恵まれるかと思っていたが、その気配は全くないだろう?」
マーヴィン様の問いに、私は数秒程おいてから、小さく頷いて見せた。
「我がテネース家に平凡な人間はいらない。テネース家の優秀な血が薄まってしまうからな。だから、私は新しい婚約者を見つけた」
マーヴィン様は、隣に立っていた綺麗な女性の肩を抱きながら、自慢げに言い放った。その女性もまんざらではないのか、笑顔でそれを受け入れていた。
「……マーヴィン様……」
「お、おいふざけるな! マーヴィン卿、そんな話は聞いていないぞ!」
「お伝えしてませんからね。何を言われようとも、これはもう決定事項です。シエル、いままで世話になったな」
マーヴィン様は、眉間にしわを寄せて、見下すような目で私を見つめる。そして、小さく首を横に振って見せた。
……合図が入った! ここで私のするべきことをしなくちゃ!
「愛しいあなたと婚約を破棄するなんて、私にはつらすぎます! 悲しくて、今にも涙が零れそう……でも、愛しいあなたがそうお決めになられたのでしたら、私は……受け入れます」
「うわー、婚約破棄の現場って初めて見たけど、めっちゃ惨めなんだね。シエルお姉様にはピッタリかも!」
「よしなさいリンダ。ああ、可哀想なシエル……」
ケラケラ笑いながら、ストレートに私を貶すリンダと、哀れみで顔を隠しているけど、ちらっとだけ見えた口元が笑っているヴィオラお姉様の姿は、私のことを心からバカにしているのがよくわかる。
周りの貴族達も、口では可哀想とか言っているけど、クスクスと嘲笑する声も聞こえてきた。
「話は終わりだ。私は彼女とパーティーを楽しまなくてはいけないから、これで失礼する」
マーヴィン様は新しい婚約者と一緒に、私達から離れて違う方と談笑をし始めた。残された私は、姉妹や貴族達に笑われながら、青筋を立てて怒るお父様に腕を引っ張られて、会場の控室へと連れていかれた。
「お、お父様! 離してください!」
「黙れ!! お前のような出来損ないでも、マーヴィンと結婚をして、両家が更により良い関係を結べると思っていたのに、計画が全て破綻した!! それに、大衆の前であんな恥をかいて……ああ腹立たしい! 家の役にも立たない、物覚えも悪い、器量も良くない、魔法は使えない! そんなお前に生きる価値があるのか!?」
ここに来るまでに乱暴に腕を掴んでいたお父様は、私を壁に叩きつけると、頬を思い切り叩いた。
「おやめください、旦那様」
「邪魔だラルフ、そこを退け!」
「退きません。シエル様をお守りするのは、私の責務ですので。それと、シエル様には立派に生きる価値がある人間です。あなたには永遠にわからないでしょうが」
痛みで床に座り込む私の前に立ったラルフは、物凄い形相のお父様に、一切怯まずに言い切る。それに続くように、私は立ち上がってお父様の前に立った。
「お父様、今回は本当に申し訳ありません。お父様もご存じの通り、私のような凡人では、家のために何かを成すことは不可能どころか、名前に傷をつけてしまいます。だから家を――」
「ああ、その通りだ! 唯一貢献できたであろう婚約も、今回の件で無くなってしまった! お前のような人間はマーチャント家に不要だ! お前はこの家から追放する! 明日には出ていってもらうから、さっさと荷物をまとめてこい!!」
自分から出て行くと言おうとした瞬間に、お父様から直々に追放処分をされた私は、少しだけ呆気に取られてしまった。
そして、それだけ言って満足したのか、お父様は乱暴な態度で控室を後にした。
お父様ってば、凄い怒りようだったなぁ……唯一役に立つだろうと思っていたことがふいになったら、怒るのも無理はないのはわかる。
だからって、会場の控室で怒ったり、叩いたりするのはやりすぎなような気がする。家でやられるのは予想してたけど……もし誰かに見られたり聞かれたりしたら、マーチャント家にとって不利益になると思うよ?
「シエル様、お怪我はありませんか?」
「ええ、大丈夫! 私のことを守ってくれてありがとう、ラルフ」
「お礼を言われるようなことはしておりません」
「もう、相変わらず謙虚というか……それよりも!」
私は一度言葉を区切ってから、ラルフの両手を掴んで、グッと顔を近づけた。
「作戦は大成功だよ! これで私は……自由になれる!」
「シエル様、お気持ちは重々承知ですが、お静かに」
「あっ……ご、ごめんなさい」
ラルフに指摘をされて、咄嗟に口元を両手で抑えた。そこに、丁度部屋の扉がノックされる音が聞こえてきた。
も、もしかして今の声が聞かれてた? どうしよう、つい上手くいったことで舞い上がって、こんなミスをするなんて……私のバカバカっ!
「失礼する」
「ま、マーヴィン様!」
部屋にやってきたのは、先程私に婚約破棄を突き付けてきた張本人だった。会場の時と同じ様に、冷たい表情を貫いている――と思いきや、物凄い早歩きで私の元に来ると、両肩をガシッと掴んだ。
「シエル、先程はすまなかった。あんなにつらい目にあって……傷ついただろう」
「大丈夫ですよ、マーヴィン様! 全部、私が望んだことですから!」
「しかし……いくらシエルの望んだこととはいえ、あんな大勢の前で恥をかいたんだぞ? 心配しないわけがないだろう」
あの冷たい雰囲気で婚約破棄をした人と同一人物とは思えないくらい、感情をむき出しにして私の心配をしてくれた。
――実は今回の婚約破棄は、全て私が望み仕組んだことだ。
お父様に見捨てられたり、ヴィオラお姉様に悪口を言われたり、リンダに痛ぶられたり……もう我慢の限界! 誰も愛してくれないこんな家なんて出ていって、自由になってやる! って思うようになった。
そのことを、数少ない信用できる人であるラルフとマーヴィン様に相談したら、今回の婚約破棄大作戦を提案してくれたの!
作戦の内容は至ってシンプル。マーヴィン様に婚約破棄をしてもらい、その責任として家を自ら出ていくというものだ。マーヴィン様もこの婚約自体に乗り気ではなかったから、この作戦が成り立った。
でも、万が一に婚約破棄されたのを許されて、家にいるようにって言われたら意味が無いから、多くの人の前で恥をかくような形にし、お父様の怒りを買うように仕向けた。
結果的にうまくいったけど、お父様から出ていくように言われたのは、想定外だったけどね。
「作戦はうまくいきました! 先ほどお父様に、屋敷を出ていくようにと!」
「おお、そうか。妹のように思っていたシエルを貶すようなことを言って、胸が抉られるような痛みに耐えた甲斐はあった」
「ごめんなさい、マーヴィン様につらい思いをさせてしまって」
「なに、義妹であるシエルのためなら、これくらい当然だ」
あくまで妹のように接してくれたってだけで、義妹ってなるとちょっとおかしいかなぁ、なんて思っていたら、マーヴィン様の手が私の頭に乗り、わしゃわしゃと撫で始めた。
「マーヴィン様、お戯れはその辺りで」
今までずっと静かに見守ってくれていたラルフが、突然私達の間に割って入った。それも、少しだけ怒ったような表情で。
「これ以上はラルフに怒られそうだから、やめておこう。さて、私はそろそろ会場に戻るよ。あんまり長い間会場にいないと、怪しまれてしまうからね。君達はもうここにいても仕方ないから、家に帰ると良い」
「はい、そうさせてもらいます! マーヴィン様、本当にありがとうございました!」
心の底から感謝を伝えながら、部屋を去っていくマーヴィン様を見送った。
成功する自信があったとはいえ、やっぱり実際にやるまでは不安だったから、無事に終わって本当に良かった! 安心で少し眠くなってきちゃった……あと、凄くお腹がすいた!
「ラルフ、急いで帰ってご飯にしましょう!」
「残念ですが、表向きはパーティーでお食事の予定でしたので、屋敷には何も用意が無いかと」
「えぇ~!? そ、そんなぁ……」
うぅ、何も無いってわかったら、余計にお腹が空いてきちゃった……。
「そんな悲しそうな顔をしないでください。あなたには笑顔が良く似合う」
「ラルフ……」
目じりに沢山の涙を溜めながら顔を上げると、ラルフがフッと笑みを浮かべていた。
ラルフって、私のことをよく褒めてくれるんだけど、嬉しい反面、ちょっとドキッとするんだよね。なんでだろう?
「君の姉妹はとても優秀だというのに、君は秀でているものが何もない、平凡な人間だ。いつかは何か素晴らしい才能に恵まれるかと思っていたが、その気配は全くないだろう?」
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「……マーヴィン様……」
「お、おいふざけるな! マーヴィン卿、そんな話は聞いていないぞ!」
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「愛しいあなたと婚約を破棄するなんて、私にはつらすぎます! 悲しくて、今にも涙が零れそう……でも、愛しいあなたがそうお決めになられたのでしたら、私は……受け入れます」
「うわー、婚約破棄の現場って初めて見たけど、めっちゃ惨めなんだね。シエルお姉様にはピッタリかも!」
「よしなさいリンダ。ああ、可哀想なシエル……」
ケラケラ笑いながら、ストレートに私を貶すリンダと、哀れみで顔を隠しているけど、ちらっとだけ見えた口元が笑っているヴィオラお姉様の姿は、私のことを心からバカにしているのがよくわかる。
周りの貴族達も、口では可哀想とか言っているけど、クスクスと嘲笑する声も聞こえてきた。
「話は終わりだ。私は彼女とパーティーを楽しまなくてはいけないから、これで失礼する」
マーヴィン様は新しい婚約者と一緒に、私達から離れて違う方と談笑をし始めた。残された私は、姉妹や貴族達に笑われながら、青筋を立てて怒るお父様に腕を引っ張られて、会場の控室へと連れていかれた。
「お、お父様! 離してください!」
「黙れ!! お前のような出来損ないでも、マーヴィンと結婚をして、両家が更により良い関係を結べると思っていたのに、計画が全て破綻した!! それに、大衆の前であんな恥をかいて……ああ腹立たしい! 家の役にも立たない、物覚えも悪い、器量も良くない、魔法は使えない! そんなお前に生きる価値があるのか!?」
ここに来るまでに乱暴に腕を掴んでいたお父様は、私を壁に叩きつけると、頬を思い切り叩いた。
「おやめください、旦那様」
「邪魔だラルフ、そこを退け!」
「退きません。シエル様をお守りするのは、私の責務ですので。それと、シエル様には立派に生きる価値がある人間です。あなたには永遠にわからないでしょうが」
痛みで床に座り込む私の前に立ったラルフは、物凄い形相のお父様に、一切怯まずに言い切る。それに続くように、私は立ち上がってお父様の前に立った。
「お父様、今回は本当に申し訳ありません。お父様もご存じの通り、私のような凡人では、家のために何かを成すことは不可能どころか、名前に傷をつけてしまいます。だから家を――」
「ああ、その通りだ! 唯一貢献できたであろう婚約も、今回の件で無くなってしまった! お前のような人間はマーチャント家に不要だ! お前はこの家から追放する! 明日には出ていってもらうから、さっさと荷物をまとめてこい!!」
自分から出て行くと言おうとした瞬間に、お父様から直々に追放処分をされた私は、少しだけ呆気に取られてしまった。
そして、それだけ言って満足したのか、お父様は乱暴な態度で控室を後にした。
お父様ってば、凄い怒りようだったなぁ……唯一役に立つだろうと思っていたことがふいになったら、怒るのも無理はないのはわかる。
だからって、会場の控室で怒ったり、叩いたりするのはやりすぎなような気がする。家でやられるのは予想してたけど……もし誰かに見られたり聞かれたりしたら、マーチャント家にとって不利益になると思うよ?
「シエル様、お怪我はありませんか?」
「ええ、大丈夫! 私のことを守ってくれてありがとう、ラルフ」
「お礼を言われるようなことはしておりません」
「もう、相変わらず謙虚というか……それよりも!」
私は一度言葉を区切ってから、ラルフの両手を掴んで、グッと顔を近づけた。
「作戦は大成功だよ! これで私は……自由になれる!」
「シエル様、お気持ちは重々承知ですが、お静かに」
「あっ……ご、ごめんなさい」
ラルフに指摘をされて、咄嗟に口元を両手で抑えた。そこに、丁度部屋の扉がノックされる音が聞こえてきた。
も、もしかして今の声が聞かれてた? どうしよう、つい上手くいったことで舞い上がって、こんなミスをするなんて……私のバカバカっ!
「失礼する」
「ま、マーヴィン様!」
部屋にやってきたのは、先程私に婚約破棄を突き付けてきた張本人だった。会場の時と同じ様に、冷たい表情を貫いている――と思いきや、物凄い早歩きで私の元に来ると、両肩をガシッと掴んだ。
「シエル、先程はすまなかった。あんなにつらい目にあって……傷ついただろう」
「大丈夫ですよ、マーヴィン様! 全部、私が望んだことですから!」
「しかし……いくらシエルの望んだこととはいえ、あんな大勢の前で恥をかいたんだぞ? 心配しないわけがないだろう」
あの冷たい雰囲気で婚約破棄をした人と同一人物とは思えないくらい、感情をむき出しにして私の心配をしてくれた。
――実は今回の婚約破棄は、全て私が望み仕組んだことだ。
お父様に見捨てられたり、ヴィオラお姉様に悪口を言われたり、リンダに痛ぶられたり……もう我慢の限界! 誰も愛してくれないこんな家なんて出ていって、自由になってやる! って思うようになった。
そのことを、数少ない信用できる人であるラルフとマーヴィン様に相談したら、今回の婚約破棄大作戦を提案してくれたの!
作戦の内容は至ってシンプル。マーヴィン様に婚約破棄をしてもらい、その責任として家を自ら出ていくというものだ。マーヴィン様もこの婚約自体に乗り気ではなかったから、この作戦が成り立った。
でも、万が一に婚約破棄されたのを許されて、家にいるようにって言われたら意味が無いから、多くの人の前で恥をかくような形にし、お父様の怒りを買うように仕向けた。
結果的にうまくいったけど、お父様から出ていくように言われたのは、想定外だったけどね。
「作戦はうまくいきました! 先ほどお父様に、屋敷を出ていくようにと!」
「おお、そうか。妹のように思っていたシエルを貶すようなことを言って、胸が抉られるような痛みに耐えた甲斐はあった」
「ごめんなさい、マーヴィン様につらい思いをさせてしまって」
「なに、義妹であるシエルのためなら、これくらい当然だ」
あくまで妹のように接してくれたってだけで、義妹ってなるとちょっとおかしいかなぁ、なんて思っていたら、マーヴィン様の手が私の頭に乗り、わしゃわしゃと撫で始めた。
「マーヴィン様、お戯れはその辺りで」
今までずっと静かに見守ってくれていたラルフが、突然私達の間に割って入った。それも、少しだけ怒ったような表情で。
「これ以上はラルフに怒られそうだから、やめておこう。さて、私はそろそろ会場に戻るよ。あんまり長い間会場にいないと、怪しまれてしまうからね。君達はもうここにいても仕方ないから、家に帰ると良い」
「はい、そうさせてもらいます! マーヴィン様、本当にありがとうございました!」
心の底から感謝を伝えながら、部屋を去っていくマーヴィン様を見送った。
成功する自信があったとはいえ、やっぱり実際にやるまでは不安だったから、無事に終わって本当に良かった! 安心で少し眠くなってきちゃった……あと、凄くお腹がすいた!
「ラルフ、急いで帰ってご飯にしましょう!」
「残念ですが、表向きはパーティーでお食事の予定でしたので、屋敷には何も用意が無いかと」
「えぇ~!? そ、そんなぁ……」
うぅ、何も無いってわかったら、余計にお腹が空いてきちゃった……。
「そんな悲しそうな顔をしないでください。あなたには笑顔が良く似合う」
「ラルフ……」
目じりに沢山の涙を溜めながら顔を上げると、ラルフがフッと笑みを浮かべていた。
ラルフって、私のことをよく褒めてくれるんだけど、嬉しい反面、ちょっとドキッとするんだよね。なんでだろう?
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