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第4話 国の現状
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「うぅん……あれ……?」
翌日、目を覚ました私は、見慣れない風景に一瞬戸惑ってしまった。
そうだ、ここはアインベルトのお城だった。まだ来てから日数が経っていないから、どうにも違和感を拭えない。
「とりあえずお日様の光を浴びよう」
私はいつも日課にしている日光浴をしようと、昨日からずっと閉められていたカーテンを開けると、目の前の光景に目を疑った。空は紫黒色の厚い雲に覆われて薄暗く、大きな街には瘴気が漂っていたからだ。
どういう事なの? 母国程の規模は無いにしろ、ここまで大きな国になるまで発展するには、必ず聖女がいるはずなのに……この惨状は……!?
「フェリシア様、失礼いたします」
「は、はい。どうぞ」
「ガレス様がお呼びです。謁見の間にお越しください」
「わかりました」
「では私共で準備をさせていただきます」
そう言うと、何人かのメイドが部屋に入って来て、慣れた手つきで私の髪のセット、ドレスの着付、お化粧をしてくれた。すると、鏡には今までの私とはまるで別人のように綺麗な人間が映っていた。
これが……私? 母国にいる時はおしゃれなんてしてる暇があったら聖女の勉強に時間を当ててたから、こんなに綺麗にしてもらえた事はない。なんだか変な感じ……。
「大変美しゅうございます」
「あ、ありがとうございます」
「ではこちらにどうぞ」
メイドの案内の元、私はお城の最上階にある広い部屋に招かれた。そこには玉座があり、一人の男性が堂々と座っていた。その両脇には、ガレス様と、彼によく似た男性が立っていた。
「おはようフェリシア。今日はいつにもまして美しいね」
「あ、ありがとうございます」
そんなストレートに褒めないでほしい。照れちゃって顔が真っ赤になっちゃう……。
「お初にお目にかかる。余はアインベルト国の国王だ。隣は我が息子であり、第一王子のノアだ」
「ノアだよ。昨晩はよく眠れた?」
「フェリシア・バギーニャと申します。この度は国王陛下、並びにノア様にお会いできて大変光栄ですわ。皆様の大変暖かいご厚意のおかげで、昨晩は快眠でしたわ」
「それはなにより。そなたの事はガレスから聞いておる。かの大国、ガトリオ国の聖女だと」
ガトリオ国は、私の住んでいた国の名前。国王陛下の仰る通り、この辺りでは一番の大国だったりする。
「はい。時期聖女の筆頭候補として勉強をしておりました。ですが……」
「闇の魔力が原因で追放……だったな。なんとも過酷な運命を背負ってしまったものだ」
「私自身も驚いております。あの……ご存じでしょうが、闇の魔力を持っている人間は悪魔の子として忌み嫌われております。もしご迷惑でしたら、すぐに出ていきますので……」
一宿一飯のご恩があるとはいえ、私は悪魔の子。もし邪魔ならさっさと出ていった方が良いと思って提案したんだけど……国王陛下は静かに首を横に振った。
「あいにくだが、瘴気を浄化してくれた大恩人を追い払うような非人道的な事は趣味ではないのでな。もし心の底から出ていきたいと願うなら止めはせんが……」
「い、いえ! ただ……ご迷惑じゃないかと思って……」
「なに、気にする必要は無い! 外は大変危険だからね! 一日と言わず、ずっといてくれて構わないよ!」
ガレス様のお兄様であるノア様は、満面の笑みを浮かべながらそう仰った。
気持ちはとても嬉しいけど、だからといって何もしないでお世話になり続けるのも……そうだ!
「国王陛下、先程外を拝見したのですが……」
「そうか、見てしまったか」
「申し訳ございません。いつもの癖で日光浴をしようとして……一体何があったのでしょうか?」
「それは僕から説明しよう」
ずっと黙っていたガレス様は、とても難しい表情を浮かべながら、ゆっくりと口を開いた。
「この国には、以前から優秀な聖女がいなかった。その影響で強固で広範囲の結界を張ることが出来ず、国は日頃から瘴気の問題に悩まされていた。それでも、日々何とか生きていく事は出来た。だが……その聖女が二年前に持病で亡くなってしまった」
亡くなった……それなら次の聖女が役目を引き継いで、新しい聖女が国を守るはずなんだけど……。
「その聖女は病弱でね。跡継ぎを生む身体を持ち合わせていなかった。僕達もそれはわかっていたから、民の中で光の魔力を僅かでも持っている人間を探した」
聖女の家系じゃなくても、遠いご先祖様の中に光の魔力を持っている方がいて、隔世遺伝で光の魔力を持っている一般の民は極稀にいるのは確かだ。王家もそれを期待して探したんだろう。
「結果、三名ほど見つかった。これはかなり幸福な事だった。彼女達も喜んで協力してくれたんだが……残念な事に、聖女になれるほどの魔力量も才能も無かった。そして……跡継ぎも見つからないまま、聖女は……」
「そんな……」
「だが、その聖女は最後の力を振り絞って、国を守る結界を出来る限り強固なものにしてくれた。そして、瘴気を防ぐ魔力が込められた魔法石をいくつか残してくれたんだ。その後に……魔力を全て使い切った彼女は、病気に耐えられず……」
ガレス様は悔しそうに握り腰を作りながら、ギリッと歯を食いしばった。その隣では、国王陛下もノア様も悲しそうな表情を浮かべている。
なんて立派な聖女だったのだろう。きっと病気で苦しかったはずなのに、最後の最後まで国や民のために頑張って……考えるだけで涙が出そうになる。
「彼女が残してくれた時間。それを無駄にしないために、僕達は国と民を守るために、今日まで行動した。新しい聖女候補を探し、他国に掛け合って聖女の力を借りようとしたり、聖女の力が無くても瘴気をどうにかできないか、現地に赴いて研究したり……だが、どれも成果が出なかった」
「そんな……」
「そして……一月ほど前、ついに彼女が残してくれた結界が消え、国の中枢にまで瘴気が蔓延した。それが君が見た、今の国の姿だ。空は厚い雲に覆われて常に暗くなり、瘴気がそこら中に漂っている。民達は瘴気に苦しみ、中には亡くなった者やモンスター化した者もいる……まさに地獄だ。今は何とか耐えているが、このままでは作物や大地や水、そして家畜も完全に瘴気に汚染される未来も遠くない……」
結界が無いのなら、私が見た光景も頷ける。結界が薄れて瘴気が少し入ってきたとは思えないような感じだったから。
でも……それは聖女がいないから。今のアインベルト国には、私がいる。この力で、困っている沢山の人達を救える!
「あ、あの! それなら私が瘴気を何とかします! 私は幼い頃からずっと聖女としての勉強をしてきました! その、聖女の儀式をちゃんとしてないので、正式な聖女ではないんですけど……それでも少しはこの国や民の力になれると思います!」
「これは僕達の問題……それに巻き込む形になってしまうけど……それでもいいのかい?」
「勿論です。私は聖女として瘴気に苦しんでいる民を助け、瘴気から民を守るのを目標にしてました。それは他国の民でも同じです! それに、ガレス様に助けてもらった恩をお返ししたいんです!」
「フェリシア……本当にありがとう」
「あ、頭を上げてください!」
私は聖女として当然の事をしようとしているだけだから、そんなに頭を下げられても困ってしまう。相手が王族の方となったら尚更だ。
「その、どこかこの国を見渡せる場所があると好都合なのですが……」
「それなら城の屋上が適任だろう。余が案内しよう」
「ありがとうございます、国王陛下」
私は国王陛下と王子様達と一緒に、お城の屋上に出れる扉の前まで来た。扉の小窓から見える外は、相変わらず瘴気が漂っている。
昨日はガレス様にドキドキしていたせいで気づかなかったけど……こうして外に意識を向けていると、瘴気による乱れた魔力の影響なのか、凄く嫌な感じがする。なんていうか……胸が重くなるって言えばいいのだろうか。
「お待ちください。外に出る前に、皆様に結界魔法を施します」
「私達には聖女が残した魔法石があるから、心配ないよ!」
「それは失礼しました。では参りましょう」
私は自分だけ結界魔法を使ってから、ガレス様達と一緒に外に出る。
……本当に酷い瘴気だ。私が迷い込んだ森よりは酷くないが、このまま普通に生活をしていたら、すぐに瘴気に汚染されてしまい、命を落とすかモンスター化してしまうだろう。
とにかく迅速に、かつ丁寧に浄化をしなければ――そう思いながら、私は両膝をついて祈り始めると、私の足元には大きな白い魔方陣が生まれた。
「これは……彼女も使っていた魔法と同じ……!」
「すー……はー……」
目を閉じたまま、同じ体制で精神統一をする事数時間。その間、ガレス様達は何も言わずに私を見守り続けてくれた。
「……お待たせしました。準備が出来ました」
翌日、目を覚ました私は、見慣れない風景に一瞬戸惑ってしまった。
そうだ、ここはアインベルトのお城だった。まだ来てから日数が経っていないから、どうにも違和感を拭えない。
「とりあえずお日様の光を浴びよう」
私はいつも日課にしている日光浴をしようと、昨日からずっと閉められていたカーテンを開けると、目の前の光景に目を疑った。空は紫黒色の厚い雲に覆われて薄暗く、大きな街には瘴気が漂っていたからだ。
どういう事なの? 母国程の規模は無いにしろ、ここまで大きな国になるまで発展するには、必ず聖女がいるはずなのに……この惨状は……!?
「フェリシア様、失礼いたします」
「は、はい。どうぞ」
「ガレス様がお呼びです。謁見の間にお越しください」
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「大変美しゅうございます」
「あ、ありがとうございます」
「ではこちらにどうぞ」
メイドの案内の元、私はお城の最上階にある広い部屋に招かれた。そこには玉座があり、一人の男性が堂々と座っていた。その両脇には、ガレス様と、彼によく似た男性が立っていた。
「おはようフェリシア。今日はいつにもまして美しいね」
「あ、ありがとうございます」
そんなストレートに褒めないでほしい。照れちゃって顔が真っ赤になっちゃう……。
「お初にお目にかかる。余はアインベルト国の国王だ。隣は我が息子であり、第一王子のノアだ」
「ノアだよ。昨晩はよく眠れた?」
「フェリシア・バギーニャと申します。この度は国王陛下、並びにノア様にお会いできて大変光栄ですわ。皆様の大変暖かいご厚意のおかげで、昨晩は快眠でしたわ」
「それはなにより。そなたの事はガレスから聞いておる。かの大国、ガトリオ国の聖女だと」
ガトリオ国は、私の住んでいた国の名前。国王陛下の仰る通り、この辺りでは一番の大国だったりする。
「はい。時期聖女の筆頭候補として勉強をしておりました。ですが……」
「闇の魔力が原因で追放……だったな。なんとも過酷な運命を背負ってしまったものだ」
「私自身も驚いております。あの……ご存じでしょうが、闇の魔力を持っている人間は悪魔の子として忌み嫌われております。もしご迷惑でしたら、すぐに出ていきますので……」
一宿一飯のご恩があるとはいえ、私は悪魔の子。もし邪魔ならさっさと出ていった方が良いと思って提案したんだけど……国王陛下は静かに首を横に振った。
「あいにくだが、瘴気を浄化してくれた大恩人を追い払うような非人道的な事は趣味ではないのでな。もし心の底から出ていきたいと願うなら止めはせんが……」
「い、いえ! ただ……ご迷惑じゃないかと思って……」
「なに、気にする必要は無い! 外は大変危険だからね! 一日と言わず、ずっといてくれて構わないよ!」
ガレス様のお兄様であるノア様は、満面の笑みを浮かべながらそう仰った。
気持ちはとても嬉しいけど、だからといって何もしないでお世話になり続けるのも……そうだ!
「国王陛下、先程外を拝見したのですが……」
「そうか、見てしまったか」
「申し訳ございません。いつもの癖で日光浴をしようとして……一体何があったのでしょうか?」
「それは僕から説明しよう」
ずっと黙っていたガレス様は、とても難しい表情を浮かべながら、ゆっくりと口を開いた。
「この国には、以前から優秀な聖女がいなかった。その影響で強固で広範囲の結界を張ることが出来ず、国は日頃から瘴気の問題に悩まされていた。それでも、日々何とか生きていく事は出来た。だが……その聖女が二年前に持病で亡くなってしまった」
亡くなった……それなら次の聖女が役目を引き継いで、新しい聖女が国を守るはずなんだけど……。
「その聖女は病弱でね。跡継ぎを生む身体を持ち合わせていなかった。僕達もそれはわかっていたから、民の中で光の魔力を僅かでも持っている人間を探した」
聖女の家系じゃなくても、遠いご先祖様の中に光の魔力を持っている方がいて、隔世遺伝で光の魔力を持っている一般の民は極稀にいるのは確かだ。王家もそれを期待して探したんだろう。
「結果、三名ほど見つかった。これはかなり幸福な事だった。彼女達も喜んで協力してくれたんだが……残念な事に、聖女になれるほどの魔力量も才能も無かった。そして……跡継ぎも見つからないまま、聖女は……」
「そんな……」
「だが、その聖女は最後の力を振り絞って、国を守る結界を出来る限り強固なものにしてくれた。そして、瘴気を防ぐ魔力が込められた魔法石をいくつか残してくれたんだ。その後に……魔力を全て使い切った彼女は、病気に耐えられず……」
ガレス様は悔しそうに握り腰を作りながら、ギリッと歯を食いしばった。その隣では、国王陛下もノア様も悲しそうな表情を浮かべている。
なんて立派な聖女だったのだろう。きっと病気で苦しかったはずなのに、最後の最後まで国や民のために頑張って……考えるだけで涙が出そうになる。
「彼女が残してくれた時間。それを無駄にしないために、僕達は国と民を守るために、今日まで行動した。新しい聖女候補を探し、他国に掛け合って聖女の力を借りようとしたり、聖女の力が無くても瘴気をどうにかできないか、現地に赴いて研究したり……だが、どれも成果が出なかった」
「そんな……」
「そして……一月ほど前、ついに彼女が残してくれた結界が消え、国の中枢にまで瘴気が蔓延した。それが君が見た、今の国の姿だ。空は厚い雲に覆われて常に暗くなり、瘴気がそこら中に漂っている。民達は瘴気に苦しみ、中には亡くなった者やモンスター化した者もいる……まさに地獄だ。今は何とか耐えているが、このままでは作物や大地や水、そして家畜も完全に瘴気に汚染される未来も遠くない……」
結界が無いのなら、私が見た光景も頷ける。結界が薄れて瘴気が少し入ってきたとは思えないような感じだったから。
でも……それは聖女がいないから。今のアインベルト国には、私がいる。この力で、困っている沢山の人達を救える!
「あ、あの! それなら私が瘴気を何とかします! 私は幼い頃からずっと聖女としての勉強をしてきました! その、聖女の儀式をちゃんとしてないので、正式な聖女ではないんですけど……それでも少しはこの国や民の力になれると思います!」
「これは僕達の問題……それに巻き込む形になってしまうけど……それでもいいのかい?」
「勿論です。私は聖女として瘴気に苦しんでいる民を助け、瘴気から民を守るのを目標にしてました。それは他国の民でも同じです! それに、ガレス様に助けてもらった恩をお返ししたいんです!」
「フェリシア……本当にありがとう」
「あ、頭を上げてください!」
私は聖女として当然の事をしようとしているだけだから、そんなに頭を下げられても困ってしまう。相手が王族の方となったら尚更だ。
「その、どこかこの国を見渡せる場所があると好都合なのですが……」
「それなら城の屋上が適任だろう。余が案内しよう」
「ありがとうございます、国王陛下」
私は国王陛下と王子様達と一緒に、お城の屋上に出れる扉の前まで来た。扉の小窓から見える外は、相変わらず瘴気が漂っている。
昨日はガレス様にドキドキしていたせいで気づかなかったけど……こうして外に意識を向けていると、瘴気による乱れた魔力の影響なのか、凄く嫌な感じがする。なんていうか……胸が重くなるって言えばいいのだろうか。
「お待ちください。外に出る前に、皆様に結界魔法を施します」
「私達には聖女が残した魔法石があるから、心配ないよ!」
「それは失礼しました。では参りましょう」
私は自分だけ結界魔法を使ってから、ガレス様達と一緒に外に出る。
……本当に酷い瘴気だ。私が迷い込んだ森よりは酷くないが、このまま普通に生活をしていたら、すぐに瘴気に汚染されてしまい、命を落とすかモンスター化してしまうだろう。
とにかく迅速に、かつ丁寧に浄化をしなければ――そう思いながら、私は両膝をついて祈り始めると、私の足元には大きな白い魔方陣が生まれた。
「これは……彼女も使っていた魔法と同じ……!」
「すー……はー……」
目を閉じたまま、同じ体制で精神統一をする事数時間。その間、ガレス様達は何も言わずに私を見守り続けてくれた。
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