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第二十四話 支えてくれる人
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私はアルベール様の所に向かうと、先ほど見た怖い夢の内容を、アルベール様に伝えた。それを、アルベール様は何も言わず、ただ黙って聞いてくれていた。
「それは辛い夢でしたね……でも大丈夫! 俺はここにいます! その証拠に……ほら」
アルベール様は、私の手を引っ張って部屋の中に入ると、そのまま一緒にベッドに倒れこんだ。
「ひゃあああ!? え、な、なにを……!?」
「ご安心を、食べたりするわけではないので」
「あっ……」
ベッドに寝転んだ私のことを、同じ様に寝ころぶアルベール様が、そっと抱きしめてくれた。
状況が少し違うとはいえ、していることは、ただアルベール様に触れているだけ。そんなのは今まで何度も経験していることなのに、いつも以上にドキドキすると同時に、さっきまであった不安が和らいでいた。
「どうですか? 人肌で少しは落ち着くと思うのですが」
「はい、少し落ち着きました。ありがとうございます」
「ならよかった。リーゼ嬢がお望みなら、朝までこうしていてもいいですよ?」
「それなら……って違う違う。本当にもう少しだけで結構です」
「それは残念です」
ここで身をゆだねてしまえば、とても楽だろう。でも、これ以上アルベール様に甘えるわけにはいかない。あと、純粋に恥ずかしい。
「私……さきほど偉そうなことを言ってしまいました。でも……悪い夢を見るくらい、私の心は弱いんです。自信の無さと、大切な人がいなくなる不安に勝てないんです」
「怖いのは、誰だってそうでしょう? 俺だって、また大切な人を失うなんて思ったら、夜も眠れない。現に、領地が瘴気に侵されていた時、不安でほとんど眠れませんでした」
アルベール様も? てっきり私の心が異様に弱くて、アルベール様はとても強い方だと思っていたから、それは少々意外だわ。
「俺は、あなたが世界一聖女に相応しい女性と確信しているので、人一倍不安になってしまうと思ってますけどね」
「えっ……!?」
「力があるから聖女だというのは、少し違うと俺は思っています。人を慈しみ、大切にし、時には自分を犠牲にしてでも守る……それこそが聖女だと思いませんか? 少なくとも、力だけあって心が無い聖女は、聖女だとは思えません」
「…………」
私が世界一の聖女……そう言われると、気恥ずかしさを覚えてしまう。それに、さすがに世界一というのは大げさだと思う。
「いや、待てよ……世界一では足りないかもしれない」
「あ、アルベール様?」
「歴代最高の聖女……それも違うな。過去現在未来……全てにおいてリーゼ嬢が最高の聖女であり、俺にとっての女神……うん、この表現が一番しっくりくる」
「しっくりきませんわよ!? 誇張表現も甚だしいです!」
「リーゼ嬢、もう夜も遅いのでお静かに」
「うっ……」
穏やかに笑うアルベール様は、人差し指を私の唇に軽く乗せて、騒ぐ私を優しく止めた。
その動作を、あまりにも迷い無くできるあたり、さすがというべきか……やられた私の方は、ドキドキしすぎて大変なことになっているというのに。
どうしよう。このままお話をしていたら、不安感が減った代わりに、ドキドキして余計に眠れなくなりそうね……。
「わ、私はもう寝ます」
「わかりました。ゆっくり休んでください」
「……部屋に戻るので、離していただけると……」
「ここで寝れば良いでしょう?」
「先程と仰ってることが同じな気がするのですが……」
「なんのことかさっぱりですね。大丈夫、ベッドは二人で寝ても余裕があるし、俺はいびきをかかないし、寝相も悪くありませんから。そうだ、子守唄でも歌ってあげましょうか?」
「う、歌!?」
アルベール様の歌は非常に不味い。以前聞いた時に、その……独創的な歌い方で、色々と大変だった。さすがに大仕事が控えているのに、体調を崩したくない。
「そ、それはまたの機会に。あと、一人で寝られますわ」
「そうですか……リーゼ嬢がそこまで言うなら仕方ありません。ではあなたが眠るまで、傍にいさせてください。もちろん一緒に寝たりはしませんから」
「それでしたら……」
実際問題、一人ぼっちでいると不安になるのは容易に想像できた。だから、私はアルベール様の提案を快く了承し、一緒に私の部屋へと移動した。
「アルベール様、今日は……いえ、今日もありがとうございました」
「礼には及びませんよ。明日は頑張りましょう」
私はベッドに、アルベール様は枕元に椅子を置いてから、私は沢山の感謝を込めて言葉にした。
「はい。おやすみなさい」
「おやすみ、我が愛しの妻よ」
最後の最後でドキドキさせないでほしいと思いつつ、私はゆっくりと目を閉じる。すると、私の手が何かにギュッと握られている感覚を覚えた。
これは……アルベール様が私の手を握ってくれているのね。またドキドキしてしまうけど、同時に安心感もあって……いつの間にか私は深い眠りについていた。
****
「…………」
「リーゼ嬢、そろそろ機嫌を直してください」
「別に怒ってませんっ」
翌日の早朝、私は鎧を着たアルベール様と一緒に馬車に乗り、まだ来ていないクラリスのことを待っていた。
そんな中、私は少しだけ頬を膨らまし、アルベール様にそっぽを向いていた。
実は今朝、起きたらアルベール様が私の布団の隣で寝ていて、起きて早々に大声を出してしまったの。眠るときは、枕元に椅子を置いて座っていたというのに……本当に色々な意味で恥ずかしかったわ……。
「一緒に寝ないと仰っていたのに……」
「申し訳ない、眠っているリーゼ嬢を見ていたら、俺もそのまま眠くなってしまいまして」
「それは仕方がないですが、それならご自身の部屋に戻ればいいじゃないですか」
「そこはまぁ……一秒でも一緒にいたかったもので」
「意味がわかりませんわ!」
「将来は夫婦になるのだから、一緒に寝ても問題は無いでしょう? それとも、リーゼ嬢は嫌だったのですか?」
「うっ……」
そう聞かれると、否定はできない。何故なら、私は既にアルベール様の虜になってしまっているから。これが他の男性だったら、もっと大騒ぎしていたに違いない。
だからといって、そうだと肯定をしたら……ちょっとだけ面倒なことになりそうな気もする。主にアルベール様の褒め言葉なんだけど。
「い、嫌ってわけでは……ま、まあ……なにもされていないようですし……今回は大目に見ます」
「大変お待たせいたしました。準備に少々手間取ってしまい……リーゼお嬢様、どうかされましたか? お顔が赤いですが」
「な、なんでもないわ。ところでクラリス。その服は?」
「私が使う武術の正装です。いつものドレスでは、さすがに動きづらいので着替えました。これだと大変動きやすくて良いのです」
いつもと全く雰囲気が違うクラリスを見て、少々面をくらってしまった。
この服、どこかで見たことがあるような……そうだ、お母様が読んでくれた絵本に、似た服を着た登場人物がいたわ。確か、ニン……ニン、ニンジン? 違うわね。とにかく、ニンなんとかって人が着ていた服が、クラリスの服と似てるのよ!
「ガレス様も、別の馬車に既にお乗りになっているようです」
「俺達の準備も出来ているから、あとは出発を待つだけですね」
「そうですね……あっ、言っている傍から動き出しましたわ」
三人で話をしていると、馬車がゆっくりと動き始めた。
ここからヴレーデ国まで、馬車ならさほど時間はかからない。今のうちに少しでも集中して、聖女の力を使えるようにしておこう。
「すぅ……はぁ……私なら出来る、私なら出来る……大丈夫……」
息を整え、自分に言い聞かせるように呟いていると、震える私の両手がほんのりと光り始めた。
まだ必要は無いのに、聖女の力が少しだけ漏れ出てしまっているわね……きっと私の焦りと不安で、聖女の力を制御できていないのだろう。
「リーゼ嬢、大丈夫です。俺達がついています」
「きっと全てうまくいきますよ」
「アルベール様……クラリス……」
私の右手にはアルベール様が、左手にはクラリスの手がそっと重ねられた。
……そうよね、二人の言う通りだ。私は一人じゃない……きっとうまくいって、みんなで笑顔になれるはず……いえ、なってみせる!
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「俺は、あなたが世界一聖女に相応しい女性と確信しているので、人一倍不安になってしまうと思ってますけどね」
「えっ……!?」
「力があるから聖女だというのは、少し違うと俺は思っています。人を慈しみ、大切にし、時には自分を犠牲にしてでも守る……それこそが聖女だと思いませんか? 少なくとも、力だけあって心が無い聖女は、聖女だとは思えません」
「…………」
私が世界一の聖女……そう言われると、気恥ずかしさを覚えてしまう。それに、さすがに世界一というのは大げさだと思う。
「いや、待てよ……世界一では足りないかもしれない」
「あ、アルベール様?」
「歴代最高の聖女……それも違うな。過去現在未来……全てにおいてリーゼ嬢が最高の聖女であり、俺にとっての女神……うん、この表現が一番しっくりくる」
「しっくりきませんわよ!? 誇張表現も甚だしいです!」
「リーゼ嬢、もう夜も遅いのでお静かに」
「うっ……」
穏やかに笑うアルベール様は、人差し指を私の唇に軽く乗せて、騒ぐ私を優しく止めた。
その動作を、あまりにも迷い無くできるあたり、さすがというべきか……やられた私の方は、ドキドキしすぎて大変なことになっているというのに。
どうしよう。このままお話をしていたら、不安感が減った代わりに、ドキドキして余計に眠れなくなりそうね……。
「わ、私はもう寝ます」
「わかりました。ゆっくり休んでください」
「……部屋に戻るので、離していただけると……」
「ここで寝れば良いでしょう?」
「先程と仰ってることが同じな気がするのですが……」
「なんのことかさっぱりですね。大丈夫、ベッドは二人で寝ても余裕があるし、俺はいびきをかかないし、寝相も悪くありませんから。そうだ、子守唄でも歌ってあげましょうか?」
「う、歌!?」
アルベール様の歌は非常に不味い。以前聞いた時に、その……独創的な歌い方で、色々と大変だった。さすがに大仕事が控えているのに、体調を崩したくない。
「そ、それはまたの機会に。あと、一人で寝られますわ」
「そうですか……リーゼ嬢がそこまで言うなら仕方ありません。ではあなたが眠るまで、傍にいさせてください。もちろん一緒に寝たりはしませんから」
「それでしたら……」
実際問題、一人ぼっちでいると不安になるのは容易に想像できた。だから、私はアルベール様の提案を快く了承し、一緒に私の部屋へと移動した。
「アルベール様、今日は……いえ、今日もありがとうございました」
「礼には及びませんよ。明日は頑張りましょう」
私はベッドに、アルベール様は枕元に椅子を置いてから、私は沢山の感謝を込めて言葉にした。
「はい。おやすみなさい」
「おやすみ、我が愛しの妻よ」
最後の最後でドキドキさせないでほしいと思いつつ、私はゆっくりと目を閉じる。すると、私の手が何かにギュッと握られている感覚を覚えた。
これは……アルベール様が私の手を握ってくれているのね。またドキドキしてしまうけど、同時に安心感もあって……いつの間にか私は深い眠りについていた。
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「…………」
「リーゼ嬢、そろそろ機嫌を直してください」
「別に怒ってませんっ」
翌日の早朝、私は鎧を着たアルベール様と一緒に馬車に乗り、まだ来ていないクラリスのことを待っていた。
そんな中、私は少しだけ頬を膨らまし、アルベール様にそっぽを向いていた。
実は今朝、起きたらアルベール様が私の布団の隣で寝ていて、起きて早々に大声を出してしまったの。眠るときは、枕元に椅子を置いて座っていたというのに……本当に色々な意味で恥ずかしかったわ……。
「一緒に寝ないと仰っていたのに……」
「申し訳ない、眠っているリーゼ嬢を見ていたら、俺もそのまま眠くなってしまいまして」
「それは仕方がないですが、それならご自身の部屋に戻ればいいじゃないですか」
「そこはまぁ……一秒でも一緒にいたかったもので」
「意味がわかりませんわ!」
「将来は夫婦になるのだから、一緒に寝ても問題は無いでしょう? それとも、リーゼ嬢は嫌だったのですか?」
「うっ……」
そう聞かれると、否定はできない。何故なら、私は既にアルベール様の虜になってしまっているから。これが他の男性だったら、もっと大騒ぎしていたに違いない。
だからといって、そうだと肯定をしたら……ちょっとだけ面倒なことになりそうな気もする。主にアルベール様の褒め言葉なんだけど。
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