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第十二話 恩返しの第一歩
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「んんっ……」
「リーゼお嬢様、お目ざめになられましたか」
「クラリス……」
重いまぶたをゆっくりと開けると、枕元にいたクラリスが、私を見つめながら安堵の表情を浮かべていた。
見覚えのない天井……あ、そうだ。私とクラリスは家を出て、サヴァイア家でお世話になっているんだったわ。
それで、昨日は……そうだっ!!
「クラリス、あの方のその後は!? それに、私はどれくらい眠っていたの!?」
「落ち着いてくださいませ。あの女性はすっかり良くなりました。リーゼお嬢様がお休みになられたのは、昨晩のことです。ああ、それと治療をした彼女には、聖女の力については他言しないようにと、強く念を押ししておきました」
「そっか……」
良かった、無事に浄化は成功していたのね。これであの方が瘴気で苦しむことは無くなる。
それにしても、思った以上に休息を取らずに目覚められたのね。酷い時は、一週間後に目が覚めたくらい、力を使った時があるから、今回はとても短く感じられる。
「リーゼお嬢様がお目覚めになられたら、アルベール様をお呼びするようにとのことですので、少々席を外しますね」
「わかったわ」
クラリスはペコっと頭を下げてから、静かに部屋を後にした。
……なんだか一人になったら、凄く静かになってしまったわね。この部屋が一人でいるには広すぎるから、余計にそう思うのかもしれない。
「ふぅ……ちょっと寂しいわね……クマさん、私の相手をしてくれる?」
ベッドに置いてあるクマのぬいぐるみを抱きしめる。ボロボロになってはいるけど、この子を抱っこしていると、とても安心できるの。
「リーゼ嬢! お目覚めになられたか!!」
「きゃっ」
寂しさをぬいぐるみで紛らわせていた矢先、廊下からドタドタと騒がしい音が聞こえてきた。それとほぼ同時に、部屋の扉が勢いよく開かれ、アルベール様とクラリスがやってきた。
「どこか具合は悪くないですか? お腹は空いてませんか? 汗をかいたりしていませんか? 大丈夫、俺が治るまで看病をするし、食事も大至急用意させるし、汗が止まるまで拭き続けます! さあ服を脱いでください!」
「だ、大丈夫ですから落ち着いてくださいませ! 具合は悪くありませんし、お腹も空いておりません! それに汗は自分で拭きますわ!」
相変わらずこの人のペースにはついていけないわ。心配してくれるのはとても嬉しいけど、少し加減というのを覚えてもらいたい。
「失礼、つい取り乱してしまった。ごほんっ……彼女を助けてくれて本当にありがとうございました。まさかあなたに特別な力があるとは、驚きましたよ」
「隠していてごめんなさい」
「いや、あの力を秘密にするのは当然です。我が国にも、一人だけ力を持つ者はいますが、素性は明かしておりませんからね」
やっぱりどの国でも、聖女の扱いというのは同じなのね。それくらい、希少な力ということの証明だわ。
「それで……リーゼ嬢にお願いがあるんです」
「なんでしょうか?」
「我が領土では、最近瘴気の問題に悩まされています。まだ犠牲者は出ていないが、このままではいずれ出てもおかしくはない」
瘴気……まさかサヴァイア家の領地でも、そんな大変なことになっていただなんて……。
「瘴気の原因を調べているのですが、瘴気のせいで調査が難航しているのです。そこで、リーゼ嬢には俺と一緒に、瘴気の原因の調査と、浄化をしてもらいたい」
「…………」
「いや、わかっています。リーゼ嬢が力を使ったら、とても疲れてしまうことは。それに、リーゼ嬢さえよければ、王家にこのことを報告して、国で瘴気で苦しんでいる人達を助ける活動をしてもらった方が、多くの助けになることも」
横になっている私の枕元にまで来たアルベール様は、私の手を取って強く握った。その力と悲痛そうな表情が、アルベール様がすがる思いで私にお願いしてるのが、よくわかった。
「でも俺は……また大切な人を失いたくない……大切な民を……ご先祖様達が守ってきた地を……失いたくないんだ……」
「アルベール様、顔を上げてください」
「リーゼ嬢……」
「私にやらせてくださいませ」
微笑みながら肯定の意を示すと、アルベール様の顔が勢いよく上がった。
「い、良いんですか……!?」
「はい。私には、アルベール様に迎えてもらった大恩があります。その恩返しの第一歩にさせてください」
「リーゼ嬢……ありがとう……本当にありがとう……!」
「また顔が俯いておられますよ」
「…………」
「えっと……そうだ……こほんっ。男のくせに情けないわね! 仮にも私の夫を名乗るのなら、これくらいのことでへこたれてるんじゃないわよ!!」
「っ……!」
こういう時は、活を入れた方が良いと思った私は、悪者を演じていた時のように強い口調で激励を飛ばすと、アルベール様は目を強くこすってから、立ち上がった。
「あなたの言う通りですね。俺は家長なのだから、俯いている暇があったら行動をしなければ! リーゼ嬢、俺は引き続き瘴気の調査と、被害が広がらないように尽力します。リーゼ嬢は体力が戻るまで休んでもらって、動けるようになったら共に調査に向かってもらえますか?」
「わかりました」
「ありがとう! では俺は失礼する! クラリス殿、リーゼ嬢のことをよろしくお願いします!」
「お任せくださいませ」
「では失礼――おっと……忘れていた。本当にありがとう、リーゼ嬢! 心から愛しています!」
「ふぇっ!?」
アルベール様は、今までずっと欲しかったものを手に入れてワクワクする子供のように、嬉しそうに部屋を後にした。
も、もう……去り際に何てことを言うのよ……ビックリしすぎて意味の分からない声が出ちゃったじゃないの……ああ恥ずかしい。
「リーゼお嬢様、良かったんですか?」
「なにが?」
「瘴気の浄化です。リーゼお嬢様の体が耐えられるか……心配です」
「心配してくれてありがとう。でも私はやるわ。だって……私みたいな人間にずっと話しかけてくれて、困ったらすぐに手を差し伸べてくれて、仮とはいえ婚約までしてくれた人が、あんな辛そうな顔をされていたら……助けたいと思うのが普通よ」
私の持っている力で、誰かが助けられるなんて、こんな素晴らしいことは無いわ。仮に己の身を削ったとしても、やり遂げる価値はある。
「それに……私はジュリアのことで間違えてしまったわ。だから、今度こそ間違えたくないの」
「リーゼお嬢様は、なにも間違ったことはしておりません」
「クラリス……ふふっ、ありがとう」
クラリスってば、私のことになると、少し盲目的になり過ぎではないかしら? もっと物事は冷静に見ないといけないのに。
……でも、その気持ちはとても嬉しいわ。本当にありがとう、クラリス。
「では私は、そろそろお仕事に向かいます。ここの使用人に、色々と教わらないとなりませんので」
「そうね、同じ様な仕事とはいえ、やり方は違いそうだものね」
「その通りです。何かあったらすぐにお呼びください。では、失礼いたします」
クラリスを見送った私は、ぼんやりと天井を眺める。
この地の浄化か……上手くできるかしら。瘴気に侵された人の治療は何度も行ったけど、こんなに大きな仕事はしたことが無い。
それに、いずれはこの国の王族の方にお会いして、聖女として活動をしないといけない。もし聖女の仕事が多忙を極めたら、アルベール様とお話する時間は限られるだろう。
……なんだろう。そう思うと胸の奥がチクリと痛んだ。
「リーゼ様、少々よろしいでしょうか?」
「あ、どうぞ」
「失礼いたします」
変なことを考えて少し気分が落ち込んでいるところに、使用人の男性が入ってきた。
「お部屋の準備ができましたので、そちらにご案内いたします。荷物は我々が移動させますので、置いていってくださって構いません」
「わかりました」
そうだった、私がいる部屋は、まだ本来の部屋の準備ができていなかったから、仮に用意された部屋だったわね。
全く、自分の間抜けさに呆れるわ。さっさと用意してくださった部屋に案内してもらいましょう。
「…………あはは」
部屋に案内してもらった私は、思わず乾いた笑い声を漏らしてしまった。
用意されていた部屋は、さっきまでいた部屋よりも更に広く、おまけに置いてある家具も全て新品だ。ベッドも一人で寝るにはあまりにも大きい。
なんていうか……さすがアルベール様と言うべきなのかしら……改めて、彼の凄さが垣間見えた気がするわ……。
「リーゼお嬢様、お目ざめになられましたか」
「クラリス……」
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良かった、無事に浄化は成功していたのね。これであの方が瘴気で苦しむことは無くなる。
それにしても、思った以上に休息を取らずに目覚められたのね。酷い時は、一週間後に目が覚めたくらい、力を使った時があるから、今回はとても短く感じられる。
「リーゼお嬢様がお目覚めになられたら、アルベール様をお呼びするようにとのことですので、少々席を外しますね」
「わかったわ」
クラリスはペコっと頭を下げてから、静かに部屋を後にした。
……なんだか一人になったら、凄く静かになってしまったわね。この部屋が一人でいるには広すぎるから、余計にそう思うのかもしれない。
「ふぅ……ちょっと寂しいわね……クマさん、私の相手をしてくれる?」
ベッドに置いてあるクマのぬいぐるみを抱きしめる。ボロボロになってはいるけど、この子を抱っこしていると、とても安心できるの。
「リーゼ嬢! お目覚めになられたか!!」
「きゃっ」
寂しさをぬいぐるみで紛らわせていた矢先、廊下からドタドタと騒がしい音が聞こえてきた。それとほぼ同時に、部屋の扉が勢いよく開かれ、アルベール様とクラリスがやってきた。
「どこか具合は悪くないですか? お腹は空いてませんか? 汗をかいたりしていませんか? 大丈夫、俺が治るまで看病をするし、食事も大至急用意させるし、汗が止まるまで拭き続けます! さあ服を脱いでください!」
「だ、大丈夫ですから落ち着いてくださいませ! 具合は悪くありませんし、お腹も空いておりません! それに汗は自分で拭きますわ!」
相変わらずこの人のペースにはついていけないわ。心配してくれるのはとても嬉しいけど、少し加減というのを覚えてもらいたい。
「失礼、つい取り乱してしまった。ごほんっ……彼女を助けてくれて本当にありがとうございました。まさかあなたに特別な力があるとは、驚きましたよ」
「隠していてごめんなさい」
「いや、あの力を秘密にするのは当然です。我が国にも、一人だけ力を持つ者はいますが、素性は明かしておりませんからね」
やっぱりどの国でも、聖女の扱いというのは同じなのね。それくらい、希少な力ということの証明だわ。
「それで……リーゼ嬢にお願いがあるんです」
「なんでしょうか?」
「我が領土では、最近瘴気の問題に悩まされています。まだ犠牲者は出ていないが、このままではいずれ出てもおかしくはない」
瘴気……まさかサヴァイア家の領地でも、そんな大変なことになっていただなんて……。
「瘴気の原因を調べているのですが、瘴気のせいで調査が難航しているのです。そこで、リーゼ嬢には俺と一緒に、瘴気の原因の調査と、浄化をしてもらいたい」
「…………」
「いや、わかっています。リーゼ嬢が力を使ったら、とても疲れてしまうことは。それに、リーゼ嬢さえよければ、王家にこのことを報告して、国で瘴気で苦しんでいる人達を助ける活動をしてもらった方が、多くの助けになることも」
横になっている私の枕元にまで来たアルベール様は、私の手を取って強く握った。その力と悲痛そうな表情が、アルベール様がすがる思いで私にお願いしてるのが、よくわかった。
「でも俺は……また大切な人を失いたくない……大切な民を……ご先祖様達が守ってきた地を……失いたくないんだ……」
「アルベール様、顔を上げてください」
「リーゼ嬢……」
「私にやらせてくださいませ」
微笑みながら肯定の意を示すと、アルベール様の顔が勢いよく上がった。
「い、良いんですか……!?」
「はい。私には、アルベール様に迎えてもらった大恩があります。その恩返しの第一歩にさせてください」
「リーゼ嬢……ありがとう……本当にありがとう……!」
「また顔が俯いておられますよ」
「…………」
「えっと……そうだ……こほんっ。男のくせに情けないわね! 仮にも私の夫を名乗るのなら、これくらいのことでへこたれてるんじゃないわよ!!」
「っ……!」
こういう時は、活を入れた方が良いと思った私は、悪者を演じていた時のように強い口調で激励を飛ばすと、アルベール様は目を強くこすってから、立ち上がった。
「あなたの言う通りですね。俺は家長なのだから、俯いている暇があったら行動をしなければ! リーゼ嬢、俺は引き続き瘴気の調査と、被害が広がらないように尽力します。リーゼ嬢は体力が戻るまで休んでもらって、動けるようになったら共に調査に向かってもらえますか?」
「わかりました」
「ありがとう! では俺は失礼する! クラリス殿、リーゼ嬢のことをよろしくお願いします!」
「お任せくださいませ」
「では失礼――おっと……忘れていた。本当にありがとう、リーゼ嬢! 心から愛しています!」
「ふぇっ!?」
アルベール様は、今までずっと欲しかったものを手に入れてワクワクする子供のように、嬉しそうに部屋を後にした。
も、もう……去り際に何てことを言うのよ……ビックリしすぎて意味の分からない声が出ちゃったじゃないの……ああ恥ずかしい。
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「なにが?」
「瘴気の浄化です。リーゼお嬢様の体が耐えられるか……心配です」
「心配してくれてありがとう。でも私はやるわ。だって……私みたいな人間にずっと話しかけてくれて、困ったらすぐに手を差し伸べてくれて、仮とはいえ婚約までしてくれた人が、あんな辛そうな顔をされていたら……助けたいと思うのが普通よ」
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「それに……私はジュリアのことで間違えてしまったわ。だから、今度こそ間違えたくないの」
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「クラリス……ふふっ、ありがとう」
クラリスってば、私のことになると、少し盲目的になり過ぎではないかしら? もっと物事は冷静に見ないといけないのに。
……でも、その気持ちはとても嬉しいわ。本当にありがとう、クラリス。
「では私は、そろそろお仕事に向かいます。ここの使用人に、色々と教わらないとなりませんので」
「そうね、同じ様な仕事とはいえ、やり方は違いそうだものね」
「その通りです。何かあったらすぐにお呼びください。では、失礼いたします」
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この地の浄化か……上手くできるかしら。瘴気に侵された人の治療は何度も行ったけど、こんなに大きな仕事はしたことが無い。
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……なんだろう。そう思うと胸の奥がチクリと痛んだ。
「リーゼ様、少々よろしいでしょうか?」
「あ、どうぞ」
「失礼いたします」
変なことを考えて少し気分が落ち込んでいるところに、使用人の男性が入ってきた。
「お部屋の準備ができましたので、そちらにご案内いたします。荷物は我々が移動させますので、置いていってくださって構いません」
「わかりました」
そうだった、私がいる部屋は、まだ本来の部屋の準備ができていなかったから、仮に用意された部屋だったわね。
全く、自分の間抜けさに呆れるわ。さっさと用意してくださった部屋に案内してもらいましょう。
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