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第八話 本性見たり
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「あ、お姉様!」
何事もなかったかのように、アクセサリーを机の上に置いたジュリアは、とても悲しそうな表情を浮かべた。
「先程お父様に、出て行かれる旨を話していたって、使用人からお聞きして……私、お姉様を引き止めようと……今ならまだ謝れば許してくれます!」
「いいのよ。もう決めたことだから」
なんというか……この猫かぶりっぷりは、悪者を演じる私と大差がない気がするわ。
今だって、さっきまでは私がいないうちに欲しいものを持っていこうとしてたけど、私が戻ってきたから、猫を被って誤魔化そうとしているのね。
「これから荷物をまとめるから、出て行ってもらえると助かるわ」
「……意志は固いんですね。わかりました。では私から……ご婚約、おめでとうございます!」
「え、ええ。ありがとう。それも聞いていたのね」
「はい! もう会えなくなるかもと思ったら、いち早く言わないとと思って!」
ジュリアはとても嬉しそうに私の手を取り、強く握る。
傍から見たら、姉を祝福する妹の図に見えるだろう。しかし、今私の手は、ジュリアに強くつねられている。
「……やっぱりいなくなられたら、わたくしは寂しいです。行かないでください!」
まだ未練たらしく、私の腕にしがみついてくるジュリアだったが、腕を大きく動かして、ジュリアを払いのけた。
私はジュリアを妹として、今も愛しているけど、さすがの私でも、今のジュリアの態度に腹が立ってしまったの。
「きゃん! お姉様、酷い……ぐすん」
「もうあなたの魂胆はわかってるのよ。そろそろ猫かぶり……いえ、猿芝居をやめたらどうかしら?」
ペタンと座り、めそめそと泣いているそぶりを見せていたが、私の一言で吹っ切れたのか、お芝居に出てくる悪役のような、大きな声で笑い始めた。
「あははははははっ!! なーんだ、お姉様ってば知ってたんだ。え、もしかして知ってたのに悪ぶってたとか、そんな馬鹿なことはしてないよね?」
「してないわよ。最近知ったんだから」
「そっかー、お姉様がそこまで馬鹿じゃなくて安心したよ。まあ散々悪人を演じてたのも、大概馬鹿だと思うけど!」
ジュリアは私を見下すような目を向けながら、ドスンっとソファに腰を下ろした。
「それにしても、ついにお姉様とさよならかぁ。あたしのためとか言って、わけのわからない悪役を演じるとか、正直面白かったけど、迷惑でもあったんだよね。おかげであたしは、大人しくて良い子なご令嬢っていう地位と、婚約者が手に入ったからいいんだけどね」
よほど上機嫌なのだろう。ジュリアは聞いてもいない自分の感想を、ペラペラと話していた。
「あ、出て行くって言っても、そんなに色々は持っていけないよね? あたしが貰っていくから、安心して置いて出て行っていいよ」
「あらそう。丁度あなたに押し付けてやろうかと思ってたのよ」
「なに? 急に悪者を演じて、負け惜しみのつもり?」
「別に、そんなつもりはないわ」
咄嗟に誤魔化しながら、私はテーブルに置かれた一枚の絵を手に取った。
これは、まだお母様がご存命の時に有名な画家に書いてもらった、お母様と私が一緒にいる絵だ。小さな絵だけど、とても綺麗に描かれている。
お母様が亡くなってから、この絵はずっとずっと大事にしてある。だから、これは絶対にサヴァイア家に持っていきたい。
あとは……このボロボロのクマのぬいぐるみもだわ。お母様は裁縫が得意で、このクマを作ってくれたの。それからというもの、ずっと寝る時のパートナーになってしまって……お恥ずかしながら、これが無いとぐっすり眠れないの。
そして、アルベール様から頂いたバラも持っていかないと。せっかく頂いたのに、置いていきたくない。
でも、どうやって持っていこうかしら……見栄えは良くないかもしれないけど、花瓶に活けられたまま持っていくしかないわね。
「これは持っていくから、それ以外の物なら自由にしていいわよ」
「あ、それお母様とお姉様の絵じゃん、なつかしー。まだ持ってたんだ」
「持ってたって……あなたも自分のがあったでしょう。あなたとお母様の絵」
「そんなの、随分前に無くしちゃったけど」
「っ……!?」
無くした……? お母様の絵を、失くしたですって……!?
「なにそんな怒ってるの? たかが絵じゃん」
「お母様が生きてきた証を無くしたって……あなた、何を考えているの!!」
お母様は私達姉妹を、分け隔てなく愛してくれていた。亡くなる時も私達の心配していて……私に何度も謝りながら、ジュリアを託して旅立たれた。
そんな優しくて愛に溢れたお母様との……母親との思い出の品を、失くしたなんて……しかも全く悪びれる素振りもないなんて、信じられない!
「離しなさい! 離しな――きゃあ!」
私から無理やり離れようとするから、バランスを崩してしまったジュリアは、尻餅をついてしまった。そこにタイミングよく、お父様が勢いよく入ってきた。
「さっきから何の騒ぎだ!」
「うぅ、お父様ぁ……お姉様が……私を突き飛ばして……ぐすん」
「なっ!? 貴様、最後の最後にジュリアに手を出すとは何事だ!? 怪我でもしたらどうする!」
私の話なんて聞きもしないで、全面的にジュリアの味方をするお父様、そして泣き真似をしながら、私を馬鹿にするように口角を上げるジュリア。
この二人の姿を見ていたら……一言言ってやりたくなったわ。
「仕方ないでしょう? 実の母との思い出も満足に扱えないような愚妹に、私が教育をしてあげたのです。感謝されることはあっても、怒られる筋合いはありませんわ!」
私は、悪者のようにきっぱりと言い切ってから、残りの荷物を一気にまとめ切った。これであとはクラリスと合流し、この家を出て行くだけだわ。
「では私はこれで。今までお世話になりました。私は新天地で何とか生きていくので、これからはお二人で色々頑張ってくださいませ。さようなら」
別れの前にしてはあっさりとした挨拶を残して、私は自室……いえ、自室だったものから出た。向かう先は、屋敷の玄関だ。
……私は今でも家族のことは大切に思っている。でも、あの二人の態度を見てると、私のしていたことって何だったのかしらって思ってしまう。
「あっ、リーゼお嬢様」
「クラリス……」
「なにかございましたか? 随分とお荷物が少ないですが」
「ちょっとね。荷物は最低限のものだけよ。後はジュリアが欲しがっていたからあげたわ」
「はい……? 少しお時間をください。私が彼女を叱ってきます」
「必要ないわ。今は……関わりたくない」
「リーゼお嬢様……配慮が足りず、申し訳ございません」
「いいの。さあ、行きましょう」
また会っても、酷いことを言われ、酷いことをされるのが関の山だ。だから……今は会いたくない。これ以上二人を嫌いになる前に、ここを去りたい。
「お母様……ごめんなさい。私……ジュリアを守り切れませんでした」
私は、荷物からお母様の絵を出すと、ポツリポツリと言葉を漏らし始める。
「それどころか、私のしていた大きな間違いで……本当に馬鹿ですよね……お母様にも、きっと笑わっていますわよね……」
お母様と話をしていたら、自然と目から零れた雫が、私の頬と絵を濡らしていた。そして、なぜか荷物の中に入っていた、クマのぬいぐるみが出て来て、私に寄り添うような形になった。
「クマさん、私を慰めてくれるの? ありがとう」
家で受けた寂しさや悲しさといった感情を押しつぶすように、私はクマのぬいぐるみを強く抱きしめながら、クラリスに聞こえないように、声を殺して泣いた――
何事もなかったかのように、アクセサリーを机の上に置いたジュリアは、とても悲しそうな表情を浮かべた。
「先程お父様に、出て行かれる旨を話していたって、使用人からお聞きして……私、お姉様を引き止めようと……今ならまだ謝れば許してくれます!」
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今だって、さっきまでは私がいないうちに欲しいものを持っていこうとしてたけど、私が戻ってきたから、猫を被って誤魔化そうとしているのね。
「これから荷物をまとめるから、出て行ってもらえると助かるわ」
「……意志は固いんですね。わかりました。では私から……ご婚約、おめでとうございます!」
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「はい! もう会えなくなるかもと思ったら、いち早く言わないとと思って!」
ジュリアはとても嬉しそうに私の手を取り、強く握る。
傍から見たら、姉を祝福する妹の図に見えるだろう。しかし、今私の手は、ジュリアに強くつねられている。
「……やっぱりいなくなられたら、わたくしは寂しいです。行かないでください!」
まだ未練たらしく、私の腕にしがみついてくるジュリアだったが、腕を大きく動かして、ジュリアを払いのけた。
私はジュリアを妹として、今も愛しているけど、さすがの私でも、今のジュリアの態度に腹が立ってしまったの。
「きゃん! お姉様、酷い……ぐすん」
「もうあなたの魂胆はわかってるのよ。そろそろ猫かぶり……いえ、猿芝居をやめたらどうかしら?」
ペタンと座り、めそめそと泣いているそぶりを見せていたが、私の一言で吹っ切れたのか、お芝居に出てくる悪役のような、大きな声で笑い始めた。
「あははははははっ!! なーんだ、お姉様ってば知ってたんだ。え、もしかして知ってたのに悪ぶってたとか、そんな馬鹿なことはしてないよね?」
「してないわよ。最近知ったんだから」
「そっかー、お姉様がそこまで馬鹿じゃなくて安心したよ。まあ散々悪人を演じてたのも、大概馬鹿だと思うけど!」
ジュリアは私を見下すような目を向けながら、ドスンっとソファに腰を下ろした。
「それにしても、ついにお姉様とさよならかぁ。あたしのためとか言って、わけのわからない悪役を演じるとか、正直面白かったけど、迷惑でもあったんだよね。おかげであたしは、大人しくて良い子なご令嬢っていう地位と、婚約者が手に入ったからいいんだけどね」
よほど上機嫌なのだろう。ジュリアは聞いてもいない自分の感想を、ペラペラと話していた。
「あ、出て行くって言っても、そんなに色々は持っていけないよね? あたしが貰っていくから、安心して置いて出て行っていいよ」
「あらそう。丁度あなたに押し付けてやろうかと思ってたのよ」
「なに? 急に悪者を演じて、負け惜しみのつもり?」
「別に、そんなつもりはないわ」
咄嗟に誤魔化しながら、私はテーブルに置かれた一枚の絵を手に取った。
これは、まだお母様がご存命の時に有名な画家に書いてもらった、お母様と私が一緒にいる絵だ。小さな絵だけど、とても綺麗に描かれている。
お母様が亡くなってから、この絵はずっとずっと大事にしてある。だから、これは絶対にサヴァイア家に持っていきたい。
あとは……このボロボロのクマのぬいぐるみもだわ。お母様は裁縫が得意で、このクマを作ってくれたの。それからというもの、ずっと寝る時のパートナーになってしまって……お恥ずかしながら、これが無いとぐっすり眠れないの。
そして、アルベール様から頂いたバラも持っていかないと。せっかく頂いたのに、置いていきたくない。
でも、どうやって持っていこうかしら……見栄えは良くないかもしれないけど、花瓶に活けられたまま持っていくしかないわね。
「これは持っていくから、それ以外の物なら自由にしていいわよ」
「あ、それお母様とお姉様の絵じゃん、なつかしー。まだ持ってたんだ」
「持ってたって……あなたも自分のがあったでしょう。あなたとお母様の絵」
「そんなの、随分前に無くしちゃったけど」
「っ……!?」
無くした……? お母様の絵を、失くしたですって……!?
「なにそんな怒ってるの? たかが絵じゃん」
「お母様が生きてきた証を無くしたって……あなた、何を考えているの!!」
お母様は私達姉妹を、分け隔てなく愛してくれていた。亡くなる時も私達の心配していて……私に何度も謝りながら、ジュリアを託して旅立たれた。
そんな優しくて愛に溢れたお母様との……母親との思い出の品を、失くしたなんて……しかも全く悪びれる素振りもないなんて、信じられない!
「離しなさい! 離しな――きゃあ!」
私から無理やり離れようとするから、バランスを崩してしまったジュリアは、尻餅をついてしまった。そこにタイミングよく、お父様が勢いよく入ってきた。
「さっきから何の騒ぎだ!」
「うぅ、お父様ぁ……お姉様が……私を突き飛ばして……ぐすん」
「なっ!? 貴様、最後の最後にジュリアに手を出すとは何事だ!? 怪我でもしたらどうする!」
私の話なんて聞きもしないで、全面的にジュリアの味方をするお父様、そして泣き真似をしながら、私を馬鹿にするように口角を上げるジュリア。
この二人の姿を見ていたら……一言言ってやりたくなったわ。
「仕方ないでしょう? 実の母との思い出も満足に扱えないような愚妹に、私が教育をしてあげたのです。感謝されることはあっても、怒られる筋合いはありませんわ!」
私は、悪者のようにきっぱりと言い切ってから、残りの荷物を一気にまとめ切った。これであとはクラリスと合流し、この家を出て行くだけだわ。
「では私はこれで。今までお世話になりました。私は新天地で何とか生きていくので、これからはお二人で色々頑張ってくださいませ。さようなら」
別れの前にしてはあっさりとした挨拶を残して、私は自室……いえ、自室だったものから出た。向かう先は、屋敷の玄関だ。
……私は今でも家族のことは大切に思っている。でも、あの二人の態度を見てると、私のしていたことって何だったのかしらって思ってしまう。
「あっ、リーゼお嬢様」
「クラリス……」
「なにかございましたか? 随分とお荷物が少ないですが」
「ちょっとね。荷物は最低限のものだけよ。後はジュリアが欲しがっていたからあげたわ」
「はい……? 少しお時間をください。私が彼女を叱ってきます」
「必要ないわ。今は……関わりたくない」
「リーゼお嬢様……配慮が足りず、申し訳ございません」
「いいの。さあ、行きましょう」
また会っても、酷いことを言われ、酷いことをされるのが関の山だ。だから……今は会いたくない。これ以上二人を嫌いになる前に、ここを去りたい。
「お母様……ごめんなさい。私……ジュリアを守り切れませんでした」
私は、荷物からお母様の絵を出すと、ポツリポツリと言葉を漏らし始める。
「それどころか、私のしていた大きな間違いで……本当に馬鹿ですよね……お母様にも、きっと笑わっていますわよね……」
お母様と話をしていたら、自然と目から零れた雫が、私の頬と絵を濡らしていた。そして、なぜか荷物の中に入っていた、クマのぬいぐるみが出て来て、私に寄り添うような形になった。
「クマさん、私を慰めてくれるの? ありがとう」
家で受けた寂しさや悲しさといった感情を押しつぶすように、私はクマのぬいぐるみを強く抱きしめながら、クラリスに聞こえないように、声を殺して泣いた――
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