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第一話 偽りの悪役令嬢
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「なんですのこれは? よくも私の十七歳の誕生日に、こんな低レベルな料理を出せましたわね。私を誰だとお思いなのかしら? 恥を知りなさい!」
私――リーゼ・ラトゥールは、多くの来賓の方々や使用人の前で、暴言を吐きながら、オレンジ色の髪をバサッとなびかせた。
せっかくのパーティーだというのに、空気を悪くするようなことを口にしたからか、私のことをヒソヒソと話す声が聞こえてきた。
「またリーゼ様が場の空気を壊しているぞ」
「ラトゥール男爵家のご息女なのに、なんて品が無いのかしら 」
「品の良さは妹様に受け継がれたのよ、きっと」
どうやら今日も、来賓の貴族達の注目が、私に向けられているようだ。良い注目ではないのは間違いないが、これも全て自分で望んでやっていることだから、不満は無い。
「陰口を叩いてないで、直接私に仰ったらどうかしら? 言う度胸もないくせにね? くすくす」
「あの、お姉様……」
私を笑っている連中を馬鹿にするように笑っていると、一人の少女が話しかけてきた。肩くらいまで伸びるフワッとした金の髪と赤い目が美しく、お淑やかな雰囲気が、彼女を上品に仕上げている。
身長は私よりも頭一つくらいは大きく、スタイルもとても良い。私があまりにも小さいから、相対的に彼女が大人っぽく見えるだけかもしれないけど。
「あら、ジュリアじゃないの。何か用?」
「あ、あんまり大きな声を出すと、来賓の方に……ご迷惑かと……」
「あんたが一々気にする必要なんかないわよ、鬱陶しい」
「ご、ごめんなさい……でも、わたくし……」
「おいリーゼ、そこまで言う必要は無いだろう?」
顔を俯けて落ち込む妹のジュリアの姿は、まるで悲劇のヒロインのように儚げだった。
そこに、私の婚約者であるジェクソン・ラヴィーヌ様がやってきた。彼は侯爵家のご子息様で、真っ白な髪と、前髪で少し隠れた緑色の目が特徴的な殿方だ。
婚約者と言っても、政略結婚だから愛情は互いに無い。そもそもお話をしたこと自体があまりない。
「ジェクソン様には関係ありません。これは私達姉妹の問題です。引っ込んでてくださいます?」
「いや、ある。私は君の婚約者なのだから」
「くだらない理由ですこと。はぁ、興が削がれたから、風にでも当たってきますわ。では、失礼いたします」
これ以上喋っていても意味が無いと考えた私は、適当に理由をつけてから、一礼もせずにその場を後にし、会場の外にある庭園へと足を運んだ。
外は満天の星空が広がっている。それはあまりにも壮大で、私のやっていることなんて、本当にちっぽけなものだと突きつけられているようだった。
「はぁ~……いつまでたっても慣れないわ」
周りに誰もいないのをいいことに、私はベンチに腰を下ろしてから、もう溜息を漏らした。
――こんなに疲弊をしているのには、理由がある。
実は私、本当はあんなに悪い性格ではない。自分で言うのもおかしな話だけど、これといった特徴は無い、ごく普通の女性だ。パーティー会場での私の振る舞いは、ただの演技なの。
そんな私が、なぜこんなことをしているか……それは、妹のジュリアのためだ。
ジュリアは大人しい性格で、泣き虫で、一人で生きていくにはあまりにもか弱い女性だ。
私はそんなジュリアを姉として守ってあげたいと思っている。それは幼い頃からずっと持っている気持ちだ。だから、幼い頃の私は、なんとかしてジュリアを守れないかと考えた。
その結果、私が悪いことをして注目を浴びれば、大人しいジュリアに目が行かずに静かに過ごせるし、仮に悪い人がいても、私の方に目が行けば、ジュリアを悪い人から助けられると思ったの。
もちろん、この件についてはお父様も認識されている。好きにやって構わないが、内容があれだから、援助は出来ないと言われてしまったけど。
結果的に、ジュリアは大人しくて聡明な少女で、出来の悪い姉と比べて、本当に良く出来た子だという評判に落ち着いた。
ジュリアを守れて、ついでにジュリアの良い評判も手に入って、これで一件落着。これからも続けましょう……って思ったのだけど……やってみるとかなり大変で……本来の自分とは全然違う振る舞いをするせいか、酷く疲れてしまうの。
「少し休みましょ……あら?」
ぼんやりとしていると、私の足元をリスが通った。
とっても愛らしいけど、少し弱っているみたいだわ。動きも鈍いし、体の所々に紫色のアザがある。触っても逃げる元気もないみたい。
「これは……どこでもらっちゃったのかしら。とにかく、すぐに元気にしてあげなきゃ。周りに誰もいないわよね……」
周りに誰もいないことを確認してから、掌に載せたリスに向かって、祈りをささげる。すると、リスの体がほんのりと白い光に包まれていった。
「はい、これで終わりよ」
数秒も経たないうちに、光はまるで最初から無かったかのように消えていた。そして、その光の中にいたリスのアザも綺麗に無くなり、元気になって走り去った。
今のは、私が持っている不思議な力の一端だ。世間一般では、この力を持っている人は聖女と呼ばれている。
この力は、軽微な傷の手当てが出来る。それと一番特別な力として、瘴気と呼ばれる不思議な力を浄化出来る。
この瘴気というのは、自然や動植物を汚染し、死に至らしめる危険なものだ。もちろん人間も汚染される。未だな謎が多く、高名な学者様によって、日夜研究されている。
この瘴気で一番厄介なのが、聖女にしか治せないことだ。だから私は、瘴気の浄化を依頼された時に、患者や現場の元に赴いて、浄化を行っている。
こんな不思議な力だからか、基本的に聖女は国の偉いお方や、家の人間といった、特定の人物にしか自分の聖女の力のことを明かさないわ。悪用しようとする輩から、自分の身を守るためにね。仕事をする時も、名前を明かさないし、仮面をして顔を見られないようにするのよ。
あと、この力はジュリアも持っているわ。ジュリアの方が、私よりもはるかに優れた力を持っている。私の力は不完全なのか、力を使うと異様に疲れるし、ジュリアの方が浄化をする力が強い。
でも、瘴気なんて危ないものに、ジュリアを近づけさせたくないから、極力私が仕事を奪う形で請負い、浄化をしているの。
ちなみに聖女の力は、ある日突然力に目覚めることもあるが、遺伝によって力を得ることが大半と言われている。現に私のお母様も聖女の力を持っていて、私とジュリアがその力を受け継いでいる。
「ふぅ、早めに気づいてよかったわ。あれくらいの瘴気の影響なら、周りに被害は出てないだろうし……ふぅ、更に疲れちゃったわ……」
「リーゼお嬢様、こちらにいらっしゃったのですね。そろそろ会場にお戻りください」
「ええ、わかったわクラリス」
リスの手当ての影響でさらに疲れた私の元に、短く揃えた白い髪が特徴的な女性に話しかけられた。
彼女は、私が幼い頃から侍女として仕えてくれている、クラリスという名の女性だ。侍女という肩書ではあるが、私にとっては姉のような存在で、心の底から信頼している。
そんな彼女に、パーティー会場にいた時とは真逆な、柔らかい話し方で返事をしてから、会場に戻った。
随分と疲弊してしまっているけど、人前に出た以上はしっかりと演じなければ。頑張れ、私!
「戻ってきたか。そろそろパーティーを本格的に始めるのだが……その前に私から話がある」
「話? なんだか知らないけど、手短にしてくださる?」
「ああ。リーゼ、今日この場で君と婚約を破棄させてもらう」
私――リーゼ・ラトゥールは、多くの来賓の方々や使用人の前で、暴言を吐きながら、オレンジ色の髪をバサッとなびかせた。
せっかくのパーティーだというのに、空気を悪くするようなことを口にしたからか、私のことをヒソヒソと話す声が聞こえてきた。
「またリーゼ様が場の空気を壊しているぞ」
「ラトゥール男爵家のご息女なのに、なんて品が無いのかしら 」
「品の良さは妹様に受け継がれたのよ、きっと」
どうやら今日も、来賓の貴族達の注目が、私に向けられているようだ。良い注目ではないのは間違いないが、これも全て自分で望んでやっていることだから、不満は無い。
「陰口を叩いてないで、直接私に仰ったらどうかしら? 言う度胸もないくせにね? くすくす」
「あの、お姉様……」
私を笑っている連中を馬鹿にするように笑っていると、一人の少女が話しかけてきた。肩くらいまで伸びるフワッとした金の髪と赤い目が美しく、お淑やかな雰囲気が、彼女を上品に仕上げている。
身長は私よりも頭一つくらいは大きく、スタイルもとても良い。私があまりにも小さいから、相対的に彼女が大人っぽく見えるだけかもしれないけど。
「あら、ジュリアじゃないの。何か用?」
「あ、あんまり大きな声を出すと、来賓の方に……ご迷惑かと……」
「あんたが一々気にする必要なんかないわよ、鬱陶しい」
「ご、ごめんなさい……でも、わたくし……」
「おいリーゼ、そこまで言う必要は無いだろう?」
顔を俯けて落ち込む妹のジュリアの姿は、まるで悲劇のヒロインのように儚げだった。
そこに、私の婚約者であるジェクソン・ラヴィーヌ様がやってきた。彼は侯爵家のご子息様で、真っ白な髪と、前髪で少し隠れた緑色の目が特徴的な殿方だ。
婚約者と言っても、政略結婚だから愛情は互いに無い。そもそもお話をしたこと自体があまりない。
「ジェクソン様には関係ありません。これは私達姉妹の問題です。引っ込んでてくださいます?」
「いや、ある。私は君の婚約者なのだから」
「くだらない理由ですこと。はぁ、興が削がれたから、風にでも当たってきますわ。では、失礼いたします」
これ以上喋っていても意味が無いと考えた私は、適当に理由をつけてから、一礼もせずにその場を後にし、会場の外にある庭園へと足を運んだ。
外は満天の星空が広がっている。それはあまりにも壮大で、私のやっていることなんて、本当にちっぽけなものだと突きつけられているようだった。
「はぁ~……いつまでたっても慣れないわ」
周りに誰もいないのをいいことに、私はベンチに腰を下ろしてから、もう溜息を漏らした。
――こんなに疲弊をしているのには、理由がある。
実は私、本当はあんなに悪い性格ではない。自分で言うのもおかしな話だけど、これといった特徴は無い、ごく普通の女性だ。パーティー会場での私の振る舞いは、ただの演技なの。
そんな私が、なぜこんなことをしているか……それは、妹のジュリアのためだ。
ジュリアは大人しい性格で、泣き虫で、一人で生きていくにはあまりにもか弱い女性だ。
私はそんなジュリアを姉として守ってあげたいと思っている。それは幼い頃からずっと持っている気持ちだ。だから、幼い頃の私は、なんとかしてジュリアを守れないかと考えた。
その結果、私が悪いことをして注目を浴びれば、大人しいジュリアに目が行かずに静かに過ごせるし、仮に悪い人がいても、私の方に目が行けば、ジュリアを悪い人から助けられると思ったの。
もちろん、この件についてはお父様も認識されている。好きにやって構わないが、内容があれだから、援助は出来ないと言われてしまったけど。
結果的に、ジュリアは大人しくて聡明な少女で、出来の悪い姉と比べて、本当に良く出来た子だという評判に落ち着いた。
ジュリアを守れて、ついでにジュリアの良い評判も手に入って、これで一件落着。これからも続けましょう……って思ったのだけど……やってみるとかなり大変で……本来の自分とは全然違う振る舞いをするせいか、酷く疲れてしまうの。
「少し休みましょ……あら?」
ぼんやりとしていると、私の足元をリスが通った。
とっても愛らしいけど、少し弱っているみたいだわ。動きも鈍いし、体の所々に紫色のアザがある。触っても逃げる元気もないみたい。
「これは……どこでもらっちゃったのかしら。とにかく、すぐに元気にしてあげなきゃ。周りに誰もいないわよね……」
周りに誰もいないことを確認してから、掌に載せたリスに向かって、祈りをささげる。すると、リスの体がほんのりと白い光に包まれていった。
「はい、これで終わりよ」
数秒も経たないうちに、光はまるで最初から無かったかのように消えていた。そして、その光の中にいたリスのアザも綺麗に無くなり、元気になって走り去った。
今のは、私が持っている不思議な力の一端だ。世間一般では、この力を持っている人は聖女と呼ばれている。
この力は、軽微な傷の手当てが出来る。それと一番特別な力として、瘴気と呼ばれる不思議な力を浄化出来る。
この瘴気というのは、自然や動植物を汚染し、死に至らしめる危険なものだ。もちろん人間も汚染される。未だな謎が多く、高名な学者様によって、日夜研究されている。
この瘴気で一番厄介なのが、聖女にしか治せないことだ。だから私は、瘴気の浄化を依頼された時に、患者や現場の元に赴いて、浄化を行っている。
こんな不思議な力だからか、基本的に聖女は国の偉いお方や、家の人間といった、特定の人物にしか自分の聖女の力のことを明かさないわ。悪用しようとする輩から、自分の身を守るためにね。仕事をする時も、名前を明かさないし、仮面をして顔を見られないようにするのよ。
あと、この力はジュリアも持っているわ。ジュリアの方が、私よりもはるかに優れた力を持っている。私の力は不完全なのか、力を使うと異様に疲れるし、ジュリアの方が浄化をする力が強い。
でも、瘴気なんて危ないものに、ジュリアを近づけさせたくないから、極力私が仕事を奪う形で請負い、浄化をしているの。
ちなみに聖女の力は、ある日突然力に目覚めることもあるが、遺伝によって力を得ることが大半と言われている。現に私のお母様も聖女の力を持っていて、私とジュリアがその力を受け継いでいる。
「ふぅ、早めに気づいてよかったわ。あれくらいの瘴気の影響なら、周りに被害は出てないだろうし……ふぅ、更に疲れちゃったわ……」
「リーゼお嬢様、こちらにいらっしゃったのですね。そろそろ会場にお戻りください」
「ええ、わかったわクラリス」
リスの手当ての影響でさらに疲れた私の元に、短く揃えた白い髪が特徴的な女性に話しかけられた。
彼女は、私が幼い頃から侍女として仕えてくれている、クラリスという名の女性だ。侍女という肩書ではあるが、私にとっては姉のような存在で、心の底から信頼している。
そんな彼女に、パーティー会場にいた時とは真逆な、柔らかい話し方で返事をしてから、会場に戻った。
随分と疲弊してしまっているけど、人前に出た以上はしっかりと演じなければ。頑張れ、私!
「戻ってきたか。そろそろパーティーを本格的に始めるのだが……その前に私から話がある」
「話? なんだか知らないけど、手短にしてくださる?」
「ああ。リーゼ、今日この場で君と婚約を破棄させてもらう」
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