そこは獣人たちの世界

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第三章

窃盗主犯役教官

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森を魔素探知を広げながら探してるけど、あれっきり全然見つからずに夜に。そこそこ広い森だけど、もしかして本当に手下役3人、あと騙され商人役みたいな人しか配置されてないんじゃないかってくらい出会わない。
他の受験者とも出会わない。かなりの人数が初日に脱落したって可能性もあるけど、魔物の気配はあっても人の気配はとにかくない。僕が見つけられてないだけって可能性もあるけど。
こんな調子で明日に配置されるらしい主犯役を見つけられるんだろうかと不安になりつつも就寝。起きてテントを片付けおえても薄暗いのこの森だ。目視では緑のフードを見つけるのはまず無理だろう。そして魔素感知にも引っかからないように動いているだろうから、今日はすこし薄くなっても広く延ばすより、できるだけ細かい動きも察知できるように濃い魔素感知を広げる。
多分いつもは20メートルは超えるくらい、今は10メートルいかないくらいで半分の距離も感知できていない。余計に足を使って探すことになる。自分の疲労状態にも注意しないといけないな。
もっともふつうに魔素感知を使いながら森を歩くだけなら多分一日中くらいは歩けるくらいに体力がついた。ただ濃い魔素感知は集中力を使う。しかもこれを使っていなかったのはちょっと集中しにくい理由があるからだ。確かに細かい地面の動きとかもわかるんだけど、それはつまり、なんでもなくても木や地面の草花が揺れたのまで感じてしまう。どうにもその感覚になれなくてむずむずするんだ。
むずむずするからって集中を途切れさせたら魔素感知が切れてしまう。こればかりは我慢するしかない。あ、草が踏まれた感じがする。いや、歪角鹿か。鹿のほうの動きも感知できてる。こっちを向いているわけではないようだし無視でいいな。
また地面の草が踏みしめられる感覚が違う方からする。その上に歪角鹿の気配を感じてちょっとため息をつく。正直お前らの気配を感じたくないんだよと言いたいところだ。愚痴ってもしょうがないと昼頃まで集中はしつつも不快感たっぷりに森を捜し歩いた。
しかし、人の気配はない。こりゃダメだと一度休憩を入れる。その場にとどまって地べたに座って昼食のサンドイッチを食べる。中身は生姜焼きだったけど、保存瓶に入れてマジックポーチに入れてあったから少し暖かさもある。ほんとポーチ様様だ。
食べ終えて少し体を伸ばしたら集中力も戻ってきた。改めて濃い魔素感知を広げると、僕の後ろの方の魔素感知ぎりぎりのところに、明らかに靴で踏みしめたような草と地面のへこみを確認する。そのままその足がこっちに寄ってくる。受験生か?それとも教官か?はたまた違う人か、一応剣に手をかけつつ、木に隠れてこちらもできうる限り気配を消しつつ様子をうかがう。
人が踏みしめてる地面の気配はわかるけど、肝心の人そのものの気配がわからないからだ。かなり気配を消すのがうまいんだろう。つまり、犯人役の教官の可能性は高い。完全に僕のほうに来るわけじゃなく、少しずれ気味に歩いて来ているけど、姿を見ることができた。緑のフード、ビンゴかもしれない。腕輪を見るまではわからないけど。

「すいませんそこの人、この森は魔物もいて危ないですが、そんなフードをかぶりどこに行くのですか?」

「うぉっと!?人がいたのか!気が付かなかった。」

おかしい、何かノイズがかかったような声をしている。声色まで変えているのか?実際そんな盗難車がいるんだろうか?でもどこかで聞いたことあるようなこえな気がする。どこだったかはわからないけど。

「お手数ですが顔を見せていただいても?」

「冒険者さんでしたか。いえいえ、怪しいものではないので、遠慮させていただきます。」

「そうもいきません。この森に窃盗犯が逃げ込んだそうなのです。フードをかぶっていたという目撃情報があります。あなたが何もやましくないのであれば、フードをとって姿を見せてください。」

「・・・わかりました。」

フードをとった姿にちょっと面食らってしまった。少し声を変えていても聞いたことがあるような気もするはずだ。今回の昇格試験の説明をしていたブルドックっぽい犬種の人、確かマーシャルさんだった。

「どうしました?これでよろしいのですか?」

「あ、はい。いえ、ではなく、その腕輪、フードを脱ぐときに見えていましたよ。」

まさか説明役が犯人役もやってるとは思ってなくってちょっと対応がおかしくなっちゃったけど、確かにフードを外すときに説明の時の腕輪をはめているのを見た。

「おっと、俺としたことが、やっちまったか。仕方ねぇ。」

どっからともなくガロが訓練の時に使ってたハンマーの倍くらいの大きさはあるだろうハンマーを構え始めた。でもここですぐに戦闘態勢をとってはいけない。まずは相手をなだめて降伏させれないか試すのが今回の試験だ。

「争うつもりはありません。降伏してください。今ならその盗難の罪だけで済みます。こちらに攻撃をすれば、罪はかなり重くなりますよ?」

「うるせぇ!すでにいくつもの金品を窃盗してる!足がついちまったらどっちにしろ永久に労働生活確定だ!」

うわぁ、降伏させるの難しいこと言い始めたよ。でもめげない。向こうが襲い掛かってきたの受け止め、さらにまだ襲い掛かってく量な石を見せたときにだけ反撃していいんだ。武器を構えたけど向こうは攻撃してきていない。

「たとえそうだとしても、ここで僕と争ってたとえ僕を撃退したら、次に来る冒険者はあなたを殺すことを狙うかもしれません。あなたは殺人を行ったことがあるのですか?」

「いや、まだない。」

ここで殺した設定があった場合は降伏はほぼ無理だと判断される。だがそういう相手ならば事前にギルドから情報があるはずだ。ギルドが把握していない殺人を怠たことがある相手だった場合、かなりの危険人物扱いになる。情報を調べるためにも武力による拘束に移る場合もあるが、今回はこのまま口上による降伏を勧めるわけだ。

「では労働生活でも生きていきましょう。ここで僕を殺したりした場合は、あなたの罪はとても重くなってしまうのですよ?」

「ちっ!お前に何がわかる!俺は知っているんだぞ!お前、Sランクの連れだろ?情報だけは仕入れているんだ!」

うっ、始まった、多分ここから僕の逆上を狙うような話が始める。でも心を乱さずに、あなたを心配していますという表情のままで話し続けなきゃいけない。

「落ち着いてください。」

「いいや!Sランクにおんぶにだっこで対して実力もないのに冒険者をやってるようなやつの言葉など聞きたくない!」

「それところとは関係ありません。まず武器を下ろしてください。話し合いましょう。」

まぁ今言われたのは半分事実だ。Cランク昇格試験を受けれるほどには努力はしたけど、実際ガロに連れられて依頼はこなしていっていた。もちろん倒したのは僕なんだけど、ガロに倒してもらってるだけと思う人がいないわけじゃないだろう。

「どうとりいったのかは知らねぇがSランクとパートナーなんておこがましい!しかも同居してるってか?あぁそうか、精奴隷みたいなものってことか?」

おうふ、あながち間違ってないとも言えないのが困る。お互い楽しみあってるけど確かに性的な関係でもあるわけだ。パートナーになるとそういう人が多いからこういう攻め方をするんだろう。

「それは今は関係ないことです。あなたの処遇について話し合いたいのです。」

「俺は知ってるぞ!パートナー以外にもSランクとやAランクと交流があるだろ!誰にでも股を開きやがって!」

または開いてないけど確かに交流がある。というか水竜に至ってはたぶん僕とはやりたくもないと思うけど、どうなんだろうか?僕はガロ以外とは考えたくもない。けれどただの挑発だ、無視するだけでいい。

「もし僕が本当に高ランクと交流があったとして、そうだとしたら余計にあなたが僕に武器を向けるのは危険なんですよ?」

「うるせぇ!もういい!力づくでどかす!」

両手で持ったハンマーを思いっきり振り下ろしてきた。意外と向こうからの言葉責めは少なかったななんて思いつつ、かなり手加減されてるだろうハンマーの振り降ろしを軽々と剣で受け流す。そして構えなおしつつ剣先を教官にとむける。

「次に僕に武器を振り下ろしたら、こちらからも反撃し、武力拘束します。いいんですね?」

「上等だ。ここからは戦闘面の試験だ!」

もう犯人役としてではなく僕の戦闘力を図る教官として立ちはだかるんですね。つまり、ここからの攻撃はさっきの手加減した攻撃じゃない可能性もあるってことで、改めて剣を強く握りしめた。
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