そこは獣人たちの世界

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第二章

合流

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ギルドで転移石を受け取った後、町の外に出てドーパーへと転移する。アリストクラットに転移した 時と流れは同じだったけど、緊張感が全然違った。ガロもそんじゃ行くかくらいの軽いノリだったし。
転移先の教会は相変わらず真っ白。ただ王都ほどじゃないけどそこそこ広い。まぁ像も女神像だけだし部屋も一つだし、王都の広さが別格すぎるんだろうけど。

「まずはカレントたちと合流しないとな。ギルドに行くぞ。」

「うん、了解。」

まぁリヴァイアサンを討伐したって時も水竜とガロがペアを組んでたときみたいだし、合流するのは当然の流れだ。というよりそのまままっすぐ討伐に行くぞといわれた方が僕が困る。
で、ギルドに行くぞといわれたけど、教会のすぐ真横がギルドだった。広さはこっちのが広いけどセリーヌの町のようなギルドですぐにわかった。中に入ると入り口横の机で座る見たことのある二人のうち、一人がすぐに近づいてきた。

「よぉガロ!来てくれたか!」

「そりゃ来るだろ。リヴァイアサンだろ?他のSランクで動けそうなのがいなければ来るさ。」

「えっと、久しぶり水竜。」

「あぁ!キオも元気そうだな!だけどなぁ、今回は出番があるかどうか・・・」

腕を組んで悩み始める青い竜種の水竜ことカレントさん。まぁ彼の言うとおり今回僕は見学がいいところだろう。ガロのパートナーとは言え、まだFランク。リヴァイアサンがどれだけの相手かってのは聞いた限り僕の知識通りやばい相手みたいだし。

「カレント、やめるんだ。キオ君、久しぶりだね。これに悪気はないんだろうがどうにも言葉が悪い様でね。」

「悪いだなんてそんな。実際僕は実力不足でしょうから出番はないと思ってます。」

茶色というかクリーム色といえばいいかどんな毛並みにとても立派で大きい角を持つ鹿種のドラドさん。持ってる雰囲気は結構優しい人という感じだけど実は顔はちょっといかついんだよね。にっこり笑ってるとそうでもないけど。

「ふむ、だがキオ君も雷を扱えるのであればリヴァイアサンへの牽制にはなるんじゃないか?」

「あー、なるほどな!だがキオがやりたいかどうかだ。どうするんだ?」

「え?」

なんかドラドさんと水竜の話で僕も参戦する流れになってる?でもやりたいかどうかって言われてるから断ってもいいのかな?ちらっとガロを見ると軽く首を横にひった。

「やめておいた方がいいな。確かに威力も精度もそれなりになってきているが、基本は俺とカレントの合わせ技で倒すことに変わりはない。牽制も二人合間に行えば以前のように倒せるだろう。今回はドラドにその役を頼むつもりだが。」

「いや、そうもいかねぇかもしれねぇ。ドラドには別に頑張ってもらわなきゃだからな。もちろん俺たち二人で牽制してもいいが、もう一人いると楽になりそうなのは間違いねぇ。」

「何が起こってる?詳しく聞かせてくれ。」

それまで軽く聞いてたガロが一気に真剣な表情になって、さっきまで水竜たちが座ってたテーブル前に座った。僕も一応聞くためにガロの隣座って4人で机を囲むことになる。

「以前のリヴァイアサンとはちげぇんだよ。前のは湖に沸いた中型種だっただろ?今回は海域にいる大型種なんだ。聞いてるだろ?クラーケンを追ってきちまった個体だと。」

「あぁ、聞いているが、陸側への誘導は難しそうなのか?」

「ふむ、可能か不可能かといわれれば可能かもしれないが、それをすれば船への被害が出るだろうな。港には大量の船がある。当然だが船の上からでは戦えない。戦えるほど陸に近づけるのはやめるべきだろう。」

「確かにそれは問題になるな。となるとどうするか、別の岸に寄せるのはかなりきつい。」

「えっと、すいません。なんで船の上では戦えないんですか?」

どうしても気になって遮ってしまうとちょっと微妙そうな顔をガロと水竜がするけど、ドラドさんはにっこりとほほ笑んで説明し始めてくれた。

「これはクラーケンなどにも言えることなのだけれどね。海洋性の大型魔物と戦うときに船を使ったとしよう。そして船そのものを破壊された場合、足場を失うことになる。それはわかるだろ?」

「あ、なるほど。」

「そういえばクラーケンのほうはどうしたんだ?あれだって港に近づけたら船への被害が出るだろ。」

「それがあるからドラドが呼ばれたんだろうな。」

「どうやらそのようだな。自分の樹と土の魔法があれば水上でも地上戦と変わらなくなる。もっとも攻撃面のほうには力を割けなくなるがね。」

どうやらドラドさんの力でクラーケンのほうは解決したようだ。リヴァイアサンも同じようにドラドさんは補助役的立場に徹するつもりのようだ。

「まさか、噂は本当だったのか。さすがはドラドさんというべきか?」

「かの雷剣ガロにも知られているとは光栄ですよ。」

「まぁまぁお互いそれくらいにしとけって。で、問題はキオだ。どうするんだ?」

「そうだな、四人乗れるというならばキオがきめることだ。」

「四人くらいは問題ない。キオ君が決めるんだ。リヴァイアサンとの戦いに参加するかしないかを。」

3人の目が一気にこっちを向く。ここで決めなきゃいけないってことだよね。そりゃ不安面もある。でもここで行かないっていうのは、ガロのパートナーとは言えないだろう。ちょっとした水竜への対抗心もあったのかもしれないけど。

「行きます。できることがあるかはわかりませんけど。」

「なるほどな。なら援護してもらうか。キオのサンダーショットも二日前に見た感じ、まぁまぁになってきてるからな。」

「そりゃ楽しみだ!だが当日はドラドのそばを離れるなよぉ?守ってくれるガロ様はオレと一緒にリヴァイアサンへ特攻だからな。」

「はぁ、言い方が悪い。でもキオ君。これの言うことは正しい。ガロとカレントで突っ込み、君は自分のそばから魔法弾で援護くらいだ。いいね?」

「はい、わかりました。」

できる限りはっきりと返事したはずだ。わかってる。ガロと一緒に動くどころか、ついていくことすら難しいことは。あのホワイトグレータータイガーとの戦いでわかってるはずだった。それでもどこか悔しい気分の自分がいたのは確かだった。
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