そこは獣人たちの世界

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第二章

あっけない白巨虎戦

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三日目の昼頃インフィリアまでかなり近づいたところでガロが止まりテントを立てた。寝てから半日ほどでまだ眠気はなかったけど体は休めるようにとすでに寝袋に包まるガロが言った。
そのちょっと前までお昼のおにぎりの具が唐揚げで、ライスの中に入ってるのも悪くないとか、もっと唐揚げ握りを作らないかとかかなりからあげに夢中な話をしてたんだけど、切り替えが早い。
でもわかってる。村に入ってからは休めるかわからないんだよね。僕も寝袋に入り込んで無理やり目をつぶり体を休めることにした。
一応寝たとはいえ、その前はほぼ二日間ぶっ通しで歩いていたからか、寝てしまっていて、むしろガロのほうが早く起きたくらいだ。セリーヌでは僕のほうが早く起きることもあったくらいだけど、外ではやっぱり意識が違うんだろう。
それほど長く寝ていたわけでもなく、林を抜け平原にでて、夕飯時より前にインフィリアにと到着した。外から見る限り村っていうほど規模が小さくは見えない。建物も結構多くたっている。下手したらセリーヌよりも密集して立っているかも。

「全員が全員危険人物というわけではないが、どこにやばいやつがいてもおかしくない村だ。予定通りまっすぐ通り抜けるぞ。」

「うん、わかった。」

ガロは何度かこの村に来ていて顔を知ってる人も多いらしい。というかガロの言う危険人物からは顔を覚えられているそうだ。襲うべき対象ではないリストとして。
だから村を通り抜けるだけでもギルドからガロが遠征派遣されたというのがわかるらしい。僕は喋ることなくガロにくっつくくらい近くを歩いて通り過ぎればいい。それが予定通りだ。
村唯一らしい大通りを通るけど、下手にきょろきょろするわけにはいかない。ただなんとなくこっちを見られているような感じがする。それも大通りの人からというより、路地の方面から。
といっても村を抜けるまで何かされたりもしなかった。ちょっと意識しすぎ、緊張しすぎだっただろうか?いや、ガロの様子からしてそんなことはなさそうだ。

「やはりかなりみられていたな。討伐報告に依頼者と話すときが不安で仕方ない。」

「そういえば依頼内容に討伐報告も含まれてるんだっけ。」

「遠征依頼では基本的に必須となる。今回の依頼者はヘビーボアの管理者ということだが、怪しいところだ。」

「うーん、ほんと不安だね。」

依頼者がほんとに管理者かどうかは正直こっちではわからない。でもホワイトグレータータイガーの被害は実際出ているのはパッスで確認済みだ。魔物が誤報でギルドに依頼を出せば後々面倒になるのはインフィリア側だとガロもいてったし。
草の短い平原をすすみ、村からかなり離れたところでビギーという悲痛なブタっぽい叫びが聞こえてくる。あれ、ヘビーボアの鳴き声なんだろうか。

「来るぞ、白巨虎はくきょこだ。」

「ほんとにいるんだね。僕は基本的に魔法支援だけど見てるだけ、ガロが片付けるんだよね?」

「あぁ、今回は俺の戦いを見ておけ。」

よくみると平原の先が白い靄になっている。その靄がだんだんとこちら側に近づいてきてるようだ。靄の中に影が見えてくる。ほんとにでかい。象くらいのサイズはあるんじゃないか?あれがホワイトグレータータイガーか。
まさに白虎と呼ぶべき白い毛並みに黒い線の入る毛並み、そして何より口からはみ出る日本のオレンジ色をしたとてつもなくでかい牙。そして加えているのはヘビーボアだろう。猪らしいそれなりに大きい個体なはずだが、白虎の巨体にとっては小さいものなんだ。
グチャリとすでに死んでいただろう猪の体を食いちぎった。紫色の血が白虎の口周りと牙に滴る。腹を食い破られた猪の残りの肉体は地面につくとすぐに黒い靄になって消えていった。

「え、死体が消えた・・・」

「吸収しやがったんだ。かなりここで力を蓄えたようだな。後ろにいろよ?下手に手を出さなくていい。」

そういいつついつの間にかガロがポーチから取り出していた剣を構える。いや、剣というよりも大剣といった方がいいだろう。黒い刀身は僕の背丈よりも長さがあり幅だって僕の体ほどある。柄も合わせればガロよりも長いだろう。そんな大剣を軽々と構えているのだ。
しかもただ構えているだけではない。その刀身がばちばちと青い光を放ち始める。ガロの雷を纏わせているんだとすぐに気が付いた。
ふとピキピキという変な音が聞こえ始める。何の音かと思ったら白虎のほうからする音だった。白虎の周囲にかなり鋭く長いつららが大量に浮かんでいた。その先端は明確にこちらを狙ってきている。

「氷の力を操るって聞いてたけど、いざ対峙するとすごい。」

「感心してるな。構えておけ。お前にも飛んでくるぞ。」

「え、あ、うん!」

おっと、ガロがやるとか後方支援とかで剣を構えておいていなかった。急いで自分のハンガーを構える。ガロみたいに様に放ってないだろうけど、受け流し訓練はずっとやってきた。こっちへの流れ弾くらいはさばいてみせる。
白虎の猛烈ないななきの後、すぐにガロが動き始めた。いななきに驚いてたらこっちにつららが飛んできていた。でも僕を明確に狙う弾ではなくってそれほど苦労せず受け流せた。
ガロのいた位置につららがいくつもささっていた。狙いはガロだったらしい。僕よりもガロが危険だと本能で察していたんだろう。
だけどまさに電光石火、ガロは白虎が反応しても逃げ切れないほどにすでに詰め寄り、そのの首元を大剣でバッサリと切り裂いていた。たった一撃であの巨体が首と体が離れたんだ。すごいというかすさまじいというか、ただ生唾を飲み込むことしかできなかった。
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