そこは獣人たちの世界

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第二章

僕についての話し合い

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うーん、それにしても立派だよなあの角。つい何度か目が行ってしまう。ほんとに木の枝のように細くいくつもに分かれているのに、左右どっちも同じ形なんだ。まさにイメージ通りの和竜の角だ。

「それで、キオ君のことを聞かせてほしいんだけど、ビャクラクからの報告書だけでも結構面白かったけど、実際会ってみるとその魔素保有量はすごいものがある。」

「ディバン、まずはガロがSランクに上がってくれたことを感謝し、あがったことを祝うのが先でしょう。」

「あぁ、わりぃわりぃ、ガロ、ようやくの決断感謝、そしておめでとうだな。」

うわぁ、ぜんぜん悪びれてないしかなりおざなりに言い放ったよこの人。かなりガロびいきだと思ってた僕でもきれいだともうような見た目なのに、性格が残念過ぎる。絶対口が裂けてもそんなこと言わないけど。

「あぁ、俺もSランクなんか興味なかったんだがな。」

「わかっています。こちらにも報告が来ているのとこちらで調べた通り、キオ君を保護するためだったのでしょう?」

「あぁ、そうだな。」

僕は思わずガロを見ると、ガロも一瞬だけ目配せしてくれた。その目は心配してくれてるようで、この状況になっちゃったのを悪いと思ってるかのような目だった。でもすぐに前を向くとその表情は消えた。

「だからこそ、あまり答えたくない質問もある。それでも質問するのか?こちらはあなたたちに質問されたら答えざるを得ない立場なんだが。」

「拒否してもいいよというのは簡単だが、俺様達にも確認しなきゃいけないことがある。安心しろ、どんな答えでも手を出すことは絶対ないと誓おう。」

「ディバン、それはいくら口だけの約束としても・・・」

「セリス!もし俺様がこの立場じゃなくいろいろ王族からつつかれていたら、お前だってこういう対応していただろ?」

「・・・今の立場には出生的に絶対なっていたでしょうが、そうかもしれませんね。」

なるほど、今の立場は出生によって得たものでもあるのか。でも実力だってかなりあるんだろう。さっきから時折僕を見てくる目は好奇心だけじゃなく警戒の色もある。ガロは感情隠せるらしいし、この人もわざと僕に見せるようにそうしているのかも知れない。セリスさんの表情は全くわからないからな。

「まぁそういうことだ。キオ君はガロの保護下に置くことを認める。口約束だけじゃあれだからできれば書類も作りたいんだが。」

「はぁ、分かりました。でもこの話し合いが終わってからです。」

「それでも助かる。」

話し合いの内容次第では書かないかもってことじゃないの?それともそういったからにはセリスさん書いてくれるだろうか。わからなかった表情があからさまに困った表情でディバンさんを見つめていた。

「んじゃやっと本題に入れるな。早速聞くがどこで拾った子なんだ?合同の加護取得にいなかったというのがまず不思議だ。セリーヌにはスラムとかもないだろ?」

「あぁ、そういうのはない。」

え、他の町にはスラムがあるってこと?この王都もあったりするんだろうか?王都どころかセリーヌも隅から隅まで全部を回ったことがなかったから知らなかったけど。

「では他の町で拾ってきたと?」

「いや、俺が見つけたのはセリーヌから南の森のログハウスだ。」

「あんなところに?戦闘訓練を積んでない者が一人でそこまで行くのは不可能なはず。誰かに連れ去られてとかですか?」

おっと、セリスさんが僕のほうを向いて質問してきた。どうしようとちょっとガロを見たら軽くうなずいてきた。そのまま答えていいのね。

「いえ、目を覚ましたらそこにいました。」

「目を覚ましたら?じゃあその前は普通に寝てたのか?」

「はい、別の場所で普通に寝ていました。」

「まさか転移魔法?距離によってはかなり強力なものになるはず。それなら各所のギルドマスターが気づきそうなものですが。」

あぁ、そういえばこの世界に慣れすぎてて忘れてたけど、どうやって、どうして、この世界に来たかってのは全然わからないんだよね。まぁ原因究明するつもりもあんまないけど。

「・・・気づかなかったってことは人為的な転移魔法じゃないってことだろ。」

「ディバン?」

ちょっと考えるようなしぐさをしていたけど、じっと僕のことを見つめてきた。あれ、今の話だけでなんかわかっちゃったの?いや、まさかね。

「すまないが、困ってるようだからあんまじろじろ見ないでほしい。」

「ん?あぁすまん。俺様配慮が足りなかったな。好きなやつをほかの奴がじっと見てるのが気分が悪いってやつだな。俺様も同じだからわかる。」

「い、いや、そういうんじゃなく。」

「いや、そういうのなんだと思うぞ。はぁ、それにしても俺様としては狼となにかの混種でその何かが神龍種なのかと思っていたんだが、当てが外れたな。」

「神龍種?」

あ、思わず聞いちゃった。聞いたことのない種族名だけど仰々しい種族名だったから、ついいつもガロに聞き返すようなノリが出てしまった。

「ガロ、キオ君は神龍種を知らないのですか?」

「あー、説明しておけばよかったと今後悔してるところだ。」

ギロッとにらまれてしまった。ちょ、ちょっと怖いのでほんと勘弁してよ。教えてくれてたら僕だって聞いてなかったし。そう思ったのが届いたのか、場が場だからか、すぐにやめてくれたけど。

「神龍種っていうのは俺様みたいなドラゴン種のことをさすのさ。ちなみに、王族も神龍種だぞ。」

「え、そうなんですか?」

そういえば2代目国王が初代グランドマスターとかっていう話を聞いた記憶がある。つまり、ディバンさんは王族の血を引いてるってこと!?あぁ、なるほど、出生ってそういうことか。

「スラムで育ったならその丁寧な口調はあり得ない。矯正されたものじゃない、育ちによるものだろ?だが、王族種である神龍種を知らない。そうなりゃ答えは一つだ。この地の生まれじゃないってことだ。」

「海の外ですか、そこから転移されてきたなら我々が感知できないのにも合点がいきますね。」

「いやちげぇぞセリス。俺が言いたいのはそういうことじゃねぇ。」

セリスさんの考えをバッサリと切った。どうやらディバンさんは僕がどういう存在なのか、気づいているようだ。どこで気づいたんだろう。やっぱり神龍種の流れ?だとしたらかなりやっちゃったかなぁ。
まぁどうなるにしても聞かれたら嘘をつくつもりはない。ガロもそう言っていたし、一応口約束だけどガロの保護下のままでいいと言われた。僕はガロといられれば、別に知られてもいいんだ。拉致、誘拐、の危険があるから隠してるだけで、秘密にしたいことなわけじゃない。
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