そこは獣人たちの世界

レクセル

文字の大きさ
上 下
74 / 303
第一章

食品店でお買い物

しおりを挟む
食品店は外から見た感じは正直大きさもそんなに大きくはなく、人が入る様子も少なめだったけど、中はなかなかに盛況だ。混んでるほどじゃないけど。

「おぉー、ちゃんとスーパーの食料品みたいになってる。」

「スーパー?何かすごいことでもあったか?」

「え?あ、いや、こっちの話。」

ガロとのかみ合わない会話はしょうがない。スーパーって確かにそっちの意味もあるもんね。まぁそれはともかく、入ってすぐにはまず野菜がたくさん置いてあった。後室内全体がちょっと涼しくなってるみたいだ。
進みながら見ていったけど、野菜に関しては一種類のものがいっぱいおいてある感じで種類豊富とは言えなかった。
トマト、ニンジン、玉ねぎ、キャベツ、じゃがいもにトウモロコシと買ってきてもらったのはとりあえず全部置いてあった。買ってきてもらってないので置いてあったのはレタス、ナス、長ネギ、そして緑の豆!だけどこれはインゲン豆だな。

「確かに豆も置いてあるけど、これじゃ大豆は出てこなさそう。」

「ここにはこの豆しか置いてないが、他の街ならそのダイズとやらもあるかもな。」

「他の入れてないのは入荷の問題とかなのかな?まぁないものを悩んでもしょうがないね。」

野菜に続いて隣のレーンに行くと片側が果実系になる。リンゴが超大量においてある。他のに比べて多すぎないか?あんな酸っぱいけど好きな人が多いのかもしれない。置くスペースの少しがすでになくなってるし。そういえば蜂蜜をかけて食べるとか聞いたっけ。
あとはブドウ、オレンジ、イチゴそして桃が置いてあった。ただももはかなりおいている量が少ない。気に留めてなかったけど値段もよく見ると他より高いようだ。
そういえばお金の単位を見るのはこれが初めてだった気もする。というか文字っぽい文字を見るのが初めて?値段の数値の部分は普通に数字で書かれているからすぐ値段だと分かったけど、最後のRの文字がおそらくお金の名称なんだろう。

「ねぇガロ、この世界でのお金って何て読むの?あそこにRって書いてあるけど。」

「そういえば話してなかったか。金の単位は輪だな。その頭文字でRになったらしいぞ。」

「輪かまぁわかりやすいから大丈夫かな。」

でもちょっと違和感はある。そこにだけRが使われてるだけで、他の商品の下に書いてある名前とかは全部カタカナ表記なんだ。平仮名や漢字はないんだろうか?本でも読めばわかるかな。

「金のことなら気にするな。ほしいのがあったら買っていいぞ。」

「え、あ、うん。ありがとう。」

そう、ずっとガロにお金のことは世話になりっぱなしなんだよね。でもギルドで仕事を貰えれば少しは稼げるかな?まずは基礎訓練はしないと戦いにも出れないだろうけど。
今はガロに甘えて買いたいものがあったら買おう。で、悩むのは桃だよな。これも甘くないんだろうか?桃って甘いイメージしかないけど。

「なんだ?モモがほしいのか?それも他と同様ちょいと酸っぱいぞ。それでも保谷よりは甘いほうだがな。」

「これも蜂蜜かけて食べるの?」

「あぁ、そうだな。そういえば蜂蜜は買ってないからな。これを買うなら蜂蜜も買わないとだな。」

「いや、桃は買わなくていいや。はちみつは買いたいけどね。ちょっと料理に使いたいから。」

「おぉ、料理に使うのか。甘くならないのか?」

「なるけど、そのほうがおいしいだろうからね。」

「俺はあんまり甘いものは好まないんだが、まぁキオが作ったのは何でもうまいからな。楽しみにしておくぜ。」

あぁ、やっぱりあんまり甘いのは好きじゃないのか。というか好きだったら蜂蜜買ってきたり常備してたりするよね。その蜂蜜を探すためにもどんどん見ていこうか。
果物の逆側が肉、魚、後奥に瓶詰めの何かが売ってるようだ。さっきは両側野菜、途中から果物だったんだけどな。で、肉は疾走豚、暴れ牛、角兎、そして飛来鶏の肉の4種類だけ。こっちの表記もカタカナなのか。角兎の肉と疾走豚の肉だけは大量においてあるけど、牛と鶏は量も少なめで、鶏のほうの値段は結構なものだ。切り分けられたこの量で3000輪って円と同じ換算だと倍以上はするだろうな。
丸々一匹のは1万・・・元の世界だったら高級鶏でもこの値段いくだろうか?ちょっとスマホで確認したいけど、ここで出すのはよくないよな。他の人の目もあるし。
そして瓶があるのが見えてたところには大量の瓶詰めされたナッツが3種類だけ置いてあった。クルミとアーモンド、ジャイアントコーンかな?普通はあげてあるけど、ここのは生だから一瞬わからなかった。焼いて食べたりするのかな?それとも生で?まぁ考えても仕方ないか。
魚も3種類。シュンビンアユなるアユ、セイジャクイワナなるイワナ、そしてクイツキフナなるフナ。フナは正直美味しくはなさそうだけど、他二つは焼き魚にしたらおいしそうだと思う。

「ガロ、魚ってどうなの?」

「魚か、味は悪くねぇが量が少ないからな。たまに外の屋台でやってるのをつまむくらいだな。」

「あー、なるほど。じゃあわざわざ買うことはないかな。料理法も魚によって美味しいかどうか変わるし。」

お値段もそこそこするし、ちょっと食べたい気もしたけど、それは屋台で食べる機会があった時でもいいかな。さて次のレーンに行こうか。
次には白い綺麗な棚になってビン詰め商品が両側に陳列されていた。一番に目に入ったのは蜂蜜だ。これはガロは使わないかもだけど買っておきたい。
それと塩や胡椒も数種類売られていた。普通の塩じゃなく岩塩も売ってるんだな。塩はさらにどこで取れたとかの違いがあるようだ。一番多い粉の塩の商品名にカイサイのシオと書かれていた。のは平仮名だから多分平仮名もあるんだろうな。
胡椒は粉か粒か、粒の大きさや粉粒兼用で5種類くらい売られてた。こっちは地域名が書いてないからどこで取れたとかの違いじゃないっぽい?そんな細かく分けなくてもとは思うけど。
あとケチャップ売ってました。ちゃんとケチャップって名前で。じゃあジャガイモもあるしポテト作ろうかな?細く切り分けてあげればそれっぽくはなるはず。これは買ってしまいましょう。いいよねガロ?
入り口にあった買い物かご、そういえば何気に持っちゃったけど、これもどことなく元の世界っぽい雰囲気があるんだよな。もしかしたら僕以外にも人間がいたのかもしれないし、ただ似ちゃっただけかもしれない。
あとマヨネーズも売ってました。その隣のレーンには卵も売っていたのでどっちも購入しようと思ったけど、ガロが卵買ってくれてたかな?

「あぁ、買ってあるぞ卵。いつ使うのかと待ってるんだがな?」

「あ、ご、ごめん。」

「いや、いいんだぜ?いろいろ使っていったほうがいいもんな。」

まぁその通りなんだけど、楽しみにさせてたようなのは悪かったかな。今日のお昼も夕飯も卵づくしと行くか?それも悪くないかもしれない。買った量を聞いて少し買い足しさせてもらう。卵スープ作るならその量じゃ足りないからね。
卵のあったレーンは残りがそんなにあってどうするんだという量の小麦粉。そして逆側はあの固いパン。ちょっと丸とか四角っぽかったりとか形が違うけど、それもほぼ同じに見える。想像以上に結構内容がない食品店だったのが悲しいところだけどしょうがないか・・・

「結局買うのはこのくらいだね。家に帰ったらお昼にしないとだね。」

「おぉ。なら早く帰らねぇとな。」

お昼の話題を出したらほんのり声色が上がったガロにお会計を頼む。5つのカウンターがあってそこで商品渡してお買い上げするだけか。対応してくれたのはちょっとすらっとしてる豚種の人だった。

「お買い上げありがとうございます。お支払いは?」

「ギルドカードだ。」

「ではこちらにかざしてください。」

相手の差し出してきた厚めのカードにガロも同じようなカードを重ねた。あれがギルドカードか。それで支払いもできるの?IDカードみたいだな。すさまじく便利だ。

「確認しました。お持ち帰りはかごのレンタル、または購入をしますか?」

「いや、ポーチにしまっていく。」

「かしこまりました。またの来店お待ちしています。」

あ、そっか、マジックポーチって誰でも持ってるわけじゃないから籠を持参したり、レンタル、購入しちゃったりするんだな。そこは元の世界でも買い物かご持参とかしてたし、なんとなく同じものだなと思えた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

エレベーターで一緒になった男の子がやけにモジモジしているので

こじらせた処女
BL
 大学生になり、一人暮らしを始めた荒井は、今日も今日とて買い物を済ませて、下宿先のエレベーターを待っていた。そこに偶然居合わせた中学生になりたての男の子。やけにソワソワしていて、我慢しているというのは明白だった。  とてつもなく短いエレベーターの移動時間に繰り広げられる、激しいおしっこダンス。果たして彼は間に合うのだろうか…

勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。 町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。 オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。

異世界二度目のおっさん、どう考えても高校生勇者より強い

八神 凪
ファンタジー
   旧題:久しぶりに異世界召喚に巻き込まれたおっさんの俺は、どう考えても一緒に召喚された勇者候補よりも強い  【第二回ファンタジーカップ大賞 編集部賞受賞! 書籍化します!】  高柳 陸はどこにでもいるサラリーマン。    満員電車に揺られて上司にどやされ、取引先には愛想笑い。  彼女も居ないごく普通の男である。  そんな彼が定時で帰宅しているある日、どこかの飲み屋で一杯飲むかと考えていた。  繁華街へ繰り出す陸。  まだ時間が早いので学生が賑わっているなと懐かしさに目を細めている時、それは起きた。  陸の前を歩いていた男女の高校生の足元に紫色の魔法陣が出現した。  まずい、と思ったが少し足が入っていた陸は魔法陣に吸い込まれるように引きずられていく。  魔法陣の中心で困惑する男女の高校生と陸。そして眼鏡をかけた女子高生が中心へ近づいた瞬間、目の前が真っ白に包まれる。  次に目が覚めた時、男女の高校生と眼鏡の女子高生、そして陸の目の前には中世のお姫様のような恰好をした女性が両手を組んで声を上げる。  「異世界の勇者様、どうかこの国を助けてください」と。  困惑する高校生に自分はこの国の姫でここが剣と魔法の世界であること、魔王と呼ばれる存在が世界を闇に包もうとしていて隣国がそれに乗じて我が国に攻めてこようとしていると説明をする。    元の世界に戻る方法は魔王を倒すしかないといい、高校生二人は渋々了承。  なにがなんだか分からない眼鏡の女子高生と陸を見た姫はにこやかに口を開く。  『あなた達はなんですか? 自分が召喚したのは二人だけなのに』  そう言い放つと城から追い出そうとする姫。    そこで男女の高校生は残った女生徒は幼馴染だと言い、自分と一緒に行こうと提案。  残された陸は慣れた感じで城を出て行くことに決めた。  「さて、久しぶりの異世界だが……前と違う世界みたいだな」  陸はしがないただのサラリーマン。  しかしその実態は過去に異世界へ旅立ったことのある経歴を持つ男だった。  今度も魔王がいるのかとため息を吐きながら、陸は以前手に入れた力を駆使し異世界へと足を踏み出す――

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

異世界転移した先で女の子と入れ替わった!?

灰色のネズミ
ファンタジー
現代に生きる少年は勇者として異世界に召喚されたが、誰も予想できなかった奇跡によって異世界の女の子と入れ替わってしまった。勇者として賛美される元少女……戻りたい少年は元の自分に近づくために、頑張る話。

会社を辞めて騎士団長を拾う

あかべこ
BL
社会生活に疲れて早期リタイアした元社畜は、亡き祖父から譲り受けた一軒家に引っ越した。 その新生活一日目、自宅の前に現れたのは足の引きちぎれた自称・帝国の騎士団長だった……!え、この人俺が面倒見るんですか? 女装趣味のギリギリFIREおじさん×ガチムチ元騎士団長、になるはず。

【R-18】僕のえっちな狼さん

衣草 薫
BL
内気で太っちょの僕が転生したのは豚人だらけの世界。 こっちでは僕みたいなデブがモテて、すらりと背の高いイケメンのシャンはみんなから疎まれていた。 お互いを理想の美男子だと思った僕らは村はずれのシャンの小屋で一緒に暮らすことに。 優しくて純情な彼とのスローライフを満喫するのだが……豚人にしてはやけにハンサムなシャンには実は秘密があって、暗がりで満月を連想するものを見ると人がいや獣が変わったように乱暴になって僕を押し倒し……。 R-18には※をつけています。

序盤で殺される悪役貴族に転生した俺、前世のスキルが残っているため、勇者よりも強くなってしまう〜主人公がキレてるけど気にしません

そらら
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ 大人気ゲーム「剣と魔法のファンタジー」の悪役貴族に転生した俺。 貴族という血統でありながら、何も努力しない怠惰な公爵家の令息。 序盤で王国から追放されてしまうざまぁ対象。 だがどうやら前世でプレイしていたスキルが引き継がれているようで、最強な件。 そんで王国の為に暗躍してたら、主人公がキレて来たんだが? 「お前なんかにヒロインは渡さないぞ!?」 「俺は別に構わないぞ? 王国の為に暗躍中だ」 「ふざけんな! 原作をぶっ壊しやがって、殺してやる」 「すまないが、俺には勝てないぞ?」 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル総合週間ランキング40位入り。1300スター、3800フォロワーを達成!

処理中です...