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第一章
*キオと買い物へ
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訓練所にと戻り、キオのいるところにと戻る。障壁のいろは黒くなっていなかったから問題なく入れるな。俺が外にいる間に起動しなおしていたらそのまま入れないからな。
ただ障壁越しに座り込んでちょっと下を向くキオの姿を見て、俺は少し急ぐように中に入っていく。ずっとあの調子だったのか?
「キオ、大丈夫か?」
「あ、ガロ。座り込んでるけど大丈夫だよ。話は終わったんだね。」
「あぁ、それで伝えなきゃならないことがある。」
キオに相談せずにギルド役員の仕事を始めることを決めたのは完全に俺のエゴだ。決まっちまったならしっかり話しておく必要はある。
「ん?なに?」
「前に俺のランクがAだといっただろ?だけどな、Sランクになるために明日からギルド役員の仕事をすることになった。」
「そうなんだ、まぁ、大丈夫だよ。」
「ん、なんでそうなったかとか聞かないのか?」
いつもなら理由を聞いてきそうなのに、あまり動揺もせずに大丈夫と言ってくれたのは驚いた。
「いやだって、多分だけどそれ、僕の為なんでしょ?なんかそれを聞くのは、ちょっと恥ずかしくて。」
「なるほどな。でもなんでわかったんだ?」
「だってそんな急にSランクに昇格って話が来るのかなって。ガロはずっとギルドでやってるんだろうから話くらい聞きそうかなと。いくら発情期前で少しギルド開けてたとしてもね。」
「そうか、確かにずっと前から俺はSランクに上がろうと思えば上がれたんだけどな、どうにも役員の仕事は俺向きじゃないのがわかってるから距離を置いちまってたんだよな。」
「あー。確かに、ちょっと苦手そうな感じする。」
「なんだと?」
実際苦手なんだかキオがちょっと小ばかに言うもんだからさすがに俺もむっとしてしまった。それをみてキオはなぜかクスリと小さく笑い返していた。俺も釣られて表情を緩めちまう。
「それで、僕もギルドに入りたいんだけど・・・」
「あぁ、それなら明日ギルド登録だな。俺が受付してやる。そのほうが気が楽だろ?」
「あ、うん。ちょっと今日にでもやっちゃいたい気もするけどね。」
「だが、まだ立ち上がれないくらいじゃないのか?」
「いや、立ち上がれるよ。ちょっと前にもう一度ウォーターバレットを打ってみて座り込んでただけ。やっぱ魔法にしようとするとなんか結構きついね。」
「初めはそんなもんだ。むしろあそこまでできてるお前は成長が早いほうだぞ。」
「そっか、うん。そうだね。今日はこれで帰るんでしょ?明日も頑張らなきゃ。」
「あぁそうだな。でもその前に帰る途中に食材勝って帰るか?まだまだ家にはあるが実際見てみたいだろ?」
「うん、見たい!」
あぁ、子犬みたいにはしゃぎやがって、狼種としての威厳がないぞそれじゃ。尻尾だってめちゃくちゃ揺れてやがる。こんなことでここまで喜ぶなんてな。
「それなら行くか。ちょうど帰り道の途中にあるからな。」
「え、あったの?来る途中は気付かなかった・・・」
「そりゃ大通りを店とは逆沿いに歩いたからな。」
「あぁ、あの大通り沿いか。じゃあ難しいかもね。かなり広いし。」
馬車や荷車が通り抜けるために大通り沿いだけはかなり大きく作られている。そして大通り沿いには物資を受け取れるから店が多い。食材店は一番大きいがキオは道行く人に眼が行ってたし、反対側を歩いていれば気づかない可能性はある。
「あと行く前に一応だが体のほうの時間は大丈夫そうか?」
「うん、特にはあのむずむずとする戻る前兆みたいのはきてないね。」
「そうか、ならたっぷり注いだかいもあるってもんだな。」
「も、もう!昼間だし外なのにそんな話しないでよ!」
「はは、わりぃわりぃ。」
いや、お前のそういう反応が見れたから全然悪いとは思っていないんだけどな。ちょっと怒り気味のキオをあしらいながら障壁を消して訓練場を後にする。
さっきも思ったがギルドの中は少し賑やかになりつつある。そして俺たちに、いや俺に向く視線も自然と多くなる。こんなところで油打ってないで外に魔物がりにもっと行けばいいんだがな。いや、もう朝の狩りが終わって昼休憩前というところか。
「なんか、人増えたね。」
「あぁ、絡まれても面倒だ。さっさと出よう。」
キオは気付いてないかもしれないが、小さく単語雷剣とつぶやいているやつらが何人かいる。勝手に広まった名前だからあまりなじみがないんだがな。
しかし特に話しかけてくるようなやつはいなかった。あの近くを通り過ぎたやつがなれなれしいだけだったか。あいつには今度会ったら絡むんじゃねぇと言っておくか。
ギルドをでて帰りは大通りをギルド側のほうによりながら帰る。そうすれば途中にこの町一の食材店もある。他の店もあるが、キオはちょくちょく中を気にしているようだったな。
「他の店も見たかったのか?もう食材店ついちまったぞ?」
「あ、いや、ちょっと気になっただけ。そういえば昨日も今日もちゃんとお店見てなかったからね。どういうところがあるのかちゃんと見ておこうと思って。」
「そうか、ただ普通の家もあるからあまり覗き見るのはよくないぞ。」
「あ、うん、気を付けます。」
こういう時はちゃんと素直なのはキオのいいところだな。
「まぁ今は食材店だ。どうだ?この町にしてはでかいだろ?」
「そうだね、ここ食材しか扱ってないの?」
「まぁそうだな。」
「ふーん、そっか。じゃあ入っていい?」
「あ、あぁ。」
あんまり大きさについてははしゃがないのか、ちょっと残念だな。ギルドの時ははしゃぎ気味でかわいかったんだけどな。
ただ障壁越しに座り込んでちょっと下を向くキオの姿を見て、俺は少し急ぐように中に入っていく。ずっとあの調子だったのか?
「キオ、大丈夫か?」
「あ、ガロ。座り込んでるけど大丈夫だよ。話は終わったんだね。」
「あぁ、それで伝えなきゃならないことがある。」
キオに相談せずにギルド役員の仕事を始めることを決めたのは完全に俺のエゴだ。決まっちまったならしっかり話しておく必要はある。
「ん?なに?」
「前に俺のランクがAだといっただろ?だけどな、Sランクになるために明日からギルド役員の仕事をすることになった。」
「そうなんだ、まぁ、大丈夫だよ。」
「ん、なんでそうなったかとか聞かないのか?」
いつもなら理由を聞いてきそうなのに、あまり動揺もせずに大丈夫と言ってくれたのは驚いた。
「いやだって、多分だけどそれ、僕の為なんでしょ?なんかそれを聞くのは、ちょっと恥ずかしくて。」
「なるほどな。でもなんでわかったんだ?」
「だってそんな急にSランクに昇格って話が来るのかなって。ガロはずっとギルドでやってるんだろうから話くらい聞きそうかなと。いくら発情期前で少しギルド開けてたとしてもね。」
「そうか、確かにずっと前から俺はSランクに上がろうと思えば上がれたんだけどな、どうにも役員の仕事は俺向きじゃないのがわかってるから距離を置いちまってたんだよな。」
「あー。確かに、ちょっと苦手そうな感じする。」
「なんだと?」
実際苦手なんだかキオがちょっと小ばかに言うもんだからさすがに俺もむっとしてしまった。それをみてキオはなぜかクスリと小さく笑い返していた。俺も釣られて表情を緩めちまう。
「それで、僕もギルドに入りたいんだけど・・・」
「あぁ、それなら明日ギルド登録だな。俺が受付してやる。そのほうが気が楽だろ?」
「あ、うん。ちょっと今日にでもやっちゃいたい気もするけどね。」
「だが、まだ立ち上がれないくらいじゃないのか?」
「いや、立ち上がれるよ。ちょっと前にもう一度ウォーターバレットを打ってみて座り込んでただけ。やっぱ魔法にしようとするとなんか結構きついね。」
「初めはそんなもんだ。むしろあそこまでできてるお前は成長が早いほうだぞ。」
「そっか、うん。そうだね。今日はこれで帰るんでしょ?明日も頑張らなきゃ。」
「あぁそうだな。でもその前に帰る途中に食材勝って帰るか?まだまだ家にはあるが実際見てみたいだろ?」
「うん、見たい!」
あぁ、子犬みたいにはしゃぎやがって、狼種としての威厳がないぞそれじゃ。尻尾だってめちゃくちゃ揺れてやがる。こんなことでここまで喜ぶなんてな。
「それなら行くか。ちょうど帰り道の途中にあるからな。」
「え、あったの?来る途中は気付かなかった・・・」
「そりゃ大通りを店とは逆沿いに歩いたからな。」
「あぁ、あの大通り沿いか。じゃあ難しいかもね。かなり広いし。」
馬車や荷車が通り抜けるために大通り沿いだけはかなり大きく作られている。そして大通り沿いには物資を受け取れるから店が多い。食材店は一番大きいがキオは道行く人に眼が行ってたし、反対側を歩いていれば気づかない可能性はある。
「あと行く前に一応だが体のほうの時間は大丈夫そうか?」
「うん、特にはあのむずむずとする戻る前兆みたいのはきてないね。」
「そうか、ならたっぷり注いだかいもあるってもんだな。」
「も、もう!昼間だし外なのにそんな話しないでよ!」
「はは、わりぃわりぃ。」
いや、お前のそういう反応が見れたから全然悪いとは思っていないんだけどな。ちょっと怒り気味のキオをあしらいながら障壁を消して訓練場を後にする。
さっきも思ったがギルドの中は少し賑やかになりつつある。そして俺たちに、いや俺に向く視線も自然と多くなる。こんなところで油打ってないで外に魔物がりにもっと行けばいいんだがな。いや、もう朝の狩りが終わって昼休憩前というところか。
「なんか、人増えたね。」
「あぁ、絡まれても面倒だ。さっさと出よう。」
キオは気付いてないかもしれないが、小さく単語雷剣とつぶやいているやつらが何人かいる。勝手に広まった名前だからあまりなじみがないんだがな。
しかし特に話しかけてくるようなやつはいなかった。あの近くを通り過ぎたやつがなれなれしいだけだったか。あいつには今度会ったら絡むんじゃねぇと言っておくか。
ギルドをでて帰りは大通りをギルド側のほうによりながら帰る。そうすれば途中にこの町一の食材店もある。他の店もあるが、キオはちょくちょく中を気にしているようだったな。
「他の店も見たかったのか?もう食材店ついちまったぞ?」
「あ、いや、ちょっと気になっただけ。そういえば昨日も今日もちゃんとお店見てなかったからね。どういうところがあるのかちゃんと見ておこうと思って。」
「そうか、ただ普通の家もあるからあまり覗き見るのはよくないぞ。」
「あ、うん、気を付けます。」
こういう時はちゃんと素直なのはキオのいいところだな。
「まぁ今は食材店だ。どうだ?この町にしてはでかいだろ?」
「そうだね、ここ食材しか扱ってないの?」
「まぁそうだな。」
「ふーん、そっか。じゃあ入っていい?」
「あ、あぁ。」
あんまり大きさについてははしゃがないのか、ちょっと残念だな。ギルドの時ははしゃぎ気味でかわいかったんだけどな。
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