『ラノベ作家のおっさん…異世界に転生する』

来夢

文字の大きさ
上 下
64 / 67
第1章 異世界転生

第64話

しおりを挟む
翌日、午前の筋肉トレーニングの鍛錬を終えたので、昼食を摂った後、アイテムボックスがどの程度のものなのか検証してみる事になった。

「それでは、この机から試すとするか」

最初は小さな物からがいいだろう。机に手を置いて「収納」と詠唱すると、3歳の時には何も起こらなかったのに今回は机が光に包まれ、そして消えた。

「凄いなこれ!」

「ほんとににね。これなら竜車に何も積まなくていいから、竜馬に負担が掛からなくていいわね」

アイテムボックスに収納した物はステータスカードに表示された。取り出す時は念じればいいだけだ。使い勝手はこの上ない。

つい調子に乗っておもしろ半分で「むんっ!いでよ机」と言ってみる。あら不思議。机が現れた。ニヤニヤしているとみんながジト目で見てくる。

そう。念じればいいだけなのはわかっているんだが、これ、男の子の浪漫だろ?わかるよね!まあ、恥ずかしいから今回限りにしておくけど。

さっ次っ!次っ!と外に出て、馬車を収納してみるとさらっと収納出来た。無制限と表示はされていたがこんな大きな物まで入るとは。
それじゃ屋敷は?やってみたいが自重する。基礎や配管はどうなるんだろう。塩ビ菅(いや、この世界には無いんだけど)がプラプラしてる家を思い浮かべそっと思考を止める。

てな事で、外に出てから馬も試してみたけど馬まで収納できたのは驚きだ。スラすけも入れてみたが普通に入れられた。旅に一緒に連れていけそうだ。そうか。生き物もいけるのか。おれの知ってる小説では命NGが多かったからちょっと嬉しい。

「それじゃ人間はどうかな?」

ジュリエッタは興味津々で聞いてきた。

「いやいや。そこは流石に試さないってば!」

倫理的に、もし何かあったときに責任が取れない。いや、馬やスラすけがいけるならとは思うけど。とりあえず今度神様にお会いする機会があったら聞いてみるよう。入れっぱなしになったらどうなるんだろう?とも思うし。

ひととおりアイテムボックスを試したあと、午後から昨日シャロンさんに「実演を兼ねて野外で」と言う約束をしていたので、声を掛けたら「準備を致しますのでお待ちください」と言われたので待っていると馬車がやってきた。

「お待たせしました。こちらも準備が整いましたので採石場に向かいましょう」

「野外でっていってたから屋敷の庭だと思っていたんだけど、何で採石場なんだい?」

「王都に流れているの川はご存知ですよね?砕石に使う山から削りだされた岩や瓦礫は、その川のある砕石場に運ばれています。魔法を覚えたみなさんは、そこで試し打ちしています。砕石に使う岩なので、どれだけ壊しても怒られませんから」

そう。これから攻撃魔法を試してみるわけだ。

ちなみに、王都の中には自然の川と人工河川がある。火事や魔物の進入を防ぐ為らしい。

孫子の兵法?水攻め?とちょっと期待したけどそうでは無いようだ。

単純に魔物は泳げないので水があれば魔物避けになるとの事だった。個人的な嗜好だけど陛下には水攻めを出来るように進言したい。

馬車に乗り閑静な住宅街を抜けて人口の川沿いに走っていくと、川は想像していたよりも大きく釣り人もいる。

「なにが釣れますか?」と、釣りキチ○平世代のおれとしてはマストと言える質問だが、今は王族であるマイアも連れているので声を掛ける雰囲気では無い。残念…

まあいい。到着するまでに、武器や魔石について疑問に思ったことを聞いておこう。釣り人じゃなくてジュリエッタとマイアに。

「ちょっと聞いていいかな?スキルリストを見ると全属性魔法が使えるよね?発動するときに杖とかロッドとかって必要ないのじゃないの?」

「相手に触れて発動する魔法だけなら武器はいらないけど、魔法を詠唱した後、放つタイミングとか方向を決めるのに武器は必要だわ」

お?指向性を持たせるだけなら指でもいけるんじゃね?

「なるほどね。それでは剣や槍にに魔法を付与する意味は?」

「剣技のレベルが上がると魔法剣が使えるのよ」

「じゃさ、雷の魔法を付与した状態で剣を交えれば感電させる事が可能じゃないのか?」

「ミスリルなどの魔鉱石は磁気や電気を通さないし、魔鉱石じゃなくても武器の持ちてはゴムか、もしくはミスリルの粉末を精錬する時のコーティングで配合してあるから感電はしないわよ。もちろん体に触れれば感電するけどね」

なるほど。んじゃ、次は魔石についてだ。

2人によれば、魔石の価値は色々あって内訳を纏めるとこうだ。

まず、1cm未満は銀貨数枚で魔法レベルが1~2までの魔法が付与できる。主に家庭生活用の魔道具として使われている。

1cm以上~2cm未満は小金貨1枚~2枚で魔法レベルが1~3までの魔法が付与できる。耐久性に優れ主に生活用の魔道具や初心者~中級者用の武器や防具に使用されている。

2cm以上~3cm未満は小金貨3枚~金貨1枚で魔法レベル1~4までの魔法が付与出来る。主に日本で言う業務用の魔道具や中級冒険者用の武器や防具に使用されている。値段に開きがあるのはレベル4の魔法を付与する時に掛かる値段との話だ。

3cm以上~4cm未満は金貨2枚~5枚で魔法レベル1~5までまでの魔法が付与出来る。主に大型設備の魔道具や中級~上級冒険者の武器や防具に使用されている。

4cm以上~5cm未満は金貨6枚~大金貨1枚で魔法レベル1~6までまでの魔法が付与出来る。主に大型設備の魔道具やBランク冒険者の武器や防具に使用されている。

5cm以上~ 要応談。魔法レベルが7となると付与出来る魔法付与スキル持ちが希少。魔道具に使うと十年単位の回数に耐えられる。Aランク迷宮の下層、もしくはSランク迷宮の中層レベルの魔物からしか得られない。

なお現在発見されている最大の魔石は8cm。神話級の魔石と呼ばれており、500年前に勇者が付与したレベル10のエリア エクストラヒールが付与されているらしい。

神聖国ヴァリスタの大神殿に保管されていると言う話なのだか、発動するのに莫大な魔力を必要とするため誰も発動出来た者はいない。

こっそりジュリエッタに過去の記憶に使った事が無いか聞いたところ、聖女の魔力があればギリで使えるようで、効果は欠損部分を治すまでの治癒魔法であるエクストラヒールが半径100m以内であるが掛かるらしい。

「まさに聖女様の大魔法だな~。そんな魔法が使えるなら無敵じゃないの?」と聞いてみたら、その時のジュリエッタの聖属性のレベルは8、無理やり使ったのが悪かったのか発動後に気絶して魔力が戻るまでに3日かかったそうだ。

そのせいで戦況が悪くなったうえに、エクストラヒールは呪いには効かないので、前々世の俺の死を止めることができなかったらしい。なんだかそんな高度な魔法を使って貰って死んじゃって申し訳ない。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。 小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。 本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。 お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。 その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。 次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。 本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。

おっさん、異世界でスローライフはじめます 〜猫耳少女とふしぎな毎日〜

桃源 華
ファンタジー
50代のサラリーマンおっさんが異世界に転生し、少年の姿で新たな人生を歩む。転生先で、猫耳の獣人・ミュリと共にスパイス商人として活躍。マーケティングスキルと過去の経験を駆使して、王宮での料理対決や街の発展に挑み、仲間たちとの絆を深めながら成長していくファンタジー冒険譚。

処理中です...