『ラノベ作家のおっさん…異世界に転生する』

来夢

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第1章 異世界転生

第62話

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ある程度説明を受けて、コーヒーを飲みながら一息いれると、シャロンさんは大きくため息を吐いた。

「いやはや。こうなるともう私達が教えると言うレベルの話ではないんではなかろうか?」

「ええ。ヴェル様にいたっては、さすがは勇者と言ったところですね」

レリクさんはそいう言って苦笑いをしたがそれはあくまでもスキルの話だ。鍛錬では到底二人には敵わない。手を抜かれてやっと二人の練習相手になれる程度なんだ。

「確かにステータスの上のスキルではそうかもしれませんが、僕達はお二人に比べて圧倒的に経験や体の大きさが足りません。それに、魔王軍が攻めてくる前に仲間を集める旅に出なくてはいけませんし」

「仲間?ですか?それに旅とは?」

「はい。そのあたりはジュリエッタに任せることになるのですが、ジュリエッタ、まずどこから目指すのがいいと思う?」

俺たちのパーティーは前中衛が俺一人、婚約者二人は後衛が主な役割なので戦術も限られてくるし何よりバランスが悪すぎる。現実の戦闘はドラ○エのようなゲームのようにターン制じゃないから、いくら二人がレイピアの鍛錬もしてると言っても聖女と賢者という職ではアンマッチも甚だしい。

ま、そこらへんは神界でジュリエッタの記憶で見た二人を探しに行くことになってるので具体的な行動についてはジュリエッタに振る。

「そうね。この王都からだとフェミリエがいるギルディス帝国の方が近いわね。近いと言っても竜車でひと月はかかるかしら。ミラのいるレギオン王国は、王都からおじい様の領地の港まで竜車だと3日、船で2週間、馬車で3週間と言ったところかな」

「そのフェミリエと言う方とミラと言う方は存知上げませんがどう言うご関係で?それに、なぜお嬢様がそこまで旅に詳しいのかいささか疑問ですが?私の記憶ではお嬢様が他国に行ったと言う記憶がないのですが?」

レリクさんは目を少し細め腕を組んで考え始めると、ジュリッタはやってしまったって顔をしている。そう言えば、レリクさんはジュリエッタが幼い頃からの護衛だった事を考えると完全な俺のミスだ。

「レリクさん、これって神様の予言、と言うか神託なんですよ。そこから言わないとだよ、実は僕たちもこの話は知らないんです。な、ジュリエッタ」

「そう!そうよ。ちょっと端折り過ぎたかしら。実は神様がギルディス帝国にいるフェミリエとレギオン王国にいるミラと言う女性を仲間にして魔王軍と戦うようにと私に仰られたのよ」

「なるほど。そういうことだったんですね」

若干言い繕っているような言い回しだけど納得してくれた。かな?

「話は戻るけど、ギルディス帝国の方が近いんだよね?それでも竜車でひと月か。かなり長旅になりそうだなけど、妹が生まれたみたいだから、もし通り道なら実家に寄りたいんだけど、それぐらいの余裕はありそう?」

妹も生まれたし、王都に来てから早1年。ここに留まるとは知らずに家を飛び出したままだ。テーゼにも結婚祝いを渡したいから一度帰郷したい。

「そうね。若干遠回りにはなるけどたいしたロスじゃないし私もヴェルの妹を見てみたいから寄りましょうか?マイアもそれでいい?」

「はい。私も賛成です。ヴェルの妹さんなら私達の義理の妹になるのですもの。是非ともお会いしたいです。ヴェルの育った生家に行くなんて…なんだか新鮮でワクワクします」

マイアは少し顔を赤くしてそう言う。なにが目的なんだ?

「二人ともありがとう。そう言ってもらえてうれしいよ。それで御者とかはどうしようか?折角操馬を覚えた事だし僕がしようか?」

乗馬と一緒に御者の練習もしたので馬車なら操れる。だが婚約者の二人は猛反対。子供だけで旅をするのは危険だし、今はまだ預かりだが伯爵ともあろう者が自ら御者をするのは駄目だと言うことらしい。

「それなら御者は護衛を兼ねて、私とレリクが付き合いましょうか?」

「でもシャロンさんは王宮騎士の団長なんでしょ?空けるわけにはいかないんじゃ?」

「それなら私がお父様に話してみるわ。じいやはこの屋敷の留守番をお願いするわね」

そうマイアが言うと「へっ?」と珍しくじいやさんが動揺した顔をする。

生まれてからずっと一緒にいるんだもんな~。そりゃ動揺もするか。

「なぜ私を置いていくのでしょうか?」

「だって、身分を隠して旅に出るのに執事なんて連れて行ったら身分がバレちゃうじゃないのよ。それにじいやは家宰でしょ?この屋敷を守るのが勤めじゃない?」

今までずっとマイアの世話をしてきたじいやさんには申し訳ないが、今更家宰の仕事を他の者に任せるわけにはいかないと思う。

「確かにそのおりだな。悪いけどじいやさんはこの屋敷の世話を任せるよ」

「なに、心配なされるな。かわいい孫にはなんとやらだ」

「左様でございますか。皆様がそう仰るのなら致し方ございませぬな」

じいやさんはそう言っていたが、こっちにも『かわいい孫には旅をさせろ』なんて言葉がある方に俺は驚いた。

「レリクはどうする?」

「もちろん私も同行しますよ。お嬢様をお守りせよとの閣下からの厳命を受けておりますし、陛下からも勅命を受けておりますしね」

結果として竜車は外装は商人の使う竜車に改良。内装はキャンピングカーのように、後部にラダー梯子を取り付けて仮眠できるようにした。天井は少し低くなるが子供の俺達なら気にもならないだろうからね。

「なるほど。その発想はありませんでした。竜馬2頭引きなら問題なさそうですし。あったら快適な旅になりそうですね」

「陛下にお願いすれば竜馬は用意してくれるでしょう。流石にお風呂はむりでしょうが、野宿をしなくてもいいですし、テントも張る必要が無いから時間も省けます」

レリクさんも賛成してくれ、シャロンさんも乗り気だ。俺としてはこの旅でレリクさんの恋が成就してほしいものだよ。

「ふふふ、それはいい提案ですわね」

マイアはほくそ笑む。何を想像しているのやら。俺と同じ思いならいいのだが、こちらを見て言ったのでちょっと怖い気がするぞ。

「少しお三方に提案があるのですが、学園にあるDランク迷宮で1週間ほど修行するのはどうでしょうか?このままでも、私達が旅のお供をするので心配はないですが、先ほどヴェル殿の話のあったとおり、魔物と戦う経験も積んでおいた方が何かと役に立つと思いますよ」

「そうね。学園の迷宮なら階層も浅いしリスクが少ないから戦術とか役割を決めるには丁度いいかも」

「それはいい提案ですね。ところでDランク迷宮とは?」

話によれば、ギルドで指定される迷宮のランクであり、基準としては、おおよその迷宮で出現する魔物のランクであった。

Dランクの魔物の討伐依頼を一定数こなすか、もしくは討伐部位を一定数ギルドに持っていけばDランク冒険者に昇格出来るようだ。 まったく、本当にラノベ設定そのままだ。わかりやすいのは素晴らしいな。

「どうしたの?にやにやしちゃってさ」

「ちょっとね。思う事もあるんだよ。ま、詳しい話はまた迷宮に行く時に聞くとして、シャロンさんの言うとおり冒険者ランクもあげておこうか」

「そうと決まれば、今話した竜車の件と学園迷宮の話は、お父様に相談をしてから詳しい話は詰めましょう」

「それじゃ、今日の所はここでお開きにするとしようか」

そんなわけで、とりあえず一旦ここで話を打ち切った。とは言え俺たち3人でしか話せないこともあるのでそれはまた寝る前に詰めていかないとだな。
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