61 / 67
第1章 異世界転生
第61話
しおりを挟む
屋敷に戻る前にこれから俺たちがどう行動すべきか二人に意見を聞いてみる。今この年齢、この状況で神託が出た事実に意識的なものも含めて、いろいろ修正していかなければいけないだろう。
「これからどうしようか迷ってるんだけど何か良い案はある?本来なら学園に入って勉学に励むのが流れだろうけど、こうなってはそうもいかなくなると思うんだ」
「そうですね。はっきり言ってしまえば、今の私達が学園に行っても学ぶ事は多くは無いでしょう。それに、もし勉強が必要なら、私かジュリエッタが教えてさしあげます」
「そうね。今更作法や算術なんかの勉強は必要ないかもね。それに私達がいくら基礎値が高いからといって、魔王軍とまだ戦えるほど甘いあいてじゃない…もし私が決めていいなら、フェミリエとミラと早めに合流して、日ごろの鍛錬を続けながら迷宮でレベルアップを目指すのがいいと思うけどどうかな?」
「私もジュリエッタの意見に賛成です」
神様の所でエルフと獣人の二人の姿を見たけど、中々の美人さんだったな。あの二人が仲間にね…おっと。いかんいかん。何考えてんだオレは…
「その二人は仲間になってくれるのか?それに基礎値が現在の僕らに比べたら低いから、言い方は悪いけど入口を間違えたら足手まといにしかならないからな。もし居場所が分かっているなら今からでも手紙を書いて、時期がくるまで鍛錬をするように書いたらどうだろうか?」
「ふふふ。もう1年前に手紙は送ったわよ」
「えっ!本当に?流石と言うか抜け目ないな~」
「当然よ。彼女達は転生前に魔王軍と一緒に戦った戦友ですもの。ほとんど記憶は消されちゃったけど、また一緒に旅に出て共に戦いたい。そう思ったらいても経ってもいられなくなってね」
「神様は何も言ってなかったけど二人の記憶はどこまで残ってるんだろう?記憶が無かったら知らない女性からの手紙なんてただの怪文書じゃないか?」
「神様がなんとかしてくれるよ。きっと…」
『神頼みかよ!』
「それから。マイアはこの国の姫君だろ?長期の旅なんて許されるのか?野宿する事もあるだろうし」
そういうと、マイアの顔が強張ったと思うと呆れた顔になる。
「この国が滅びようとしているのに、私だけこの王都に残れと仰るのですか?あり得ません。そもそも私は…これは言うべきじゃありませんね。先ほども言いましたがヴェルの隣に一生いると言いました。死んでも付いて行きます」
何を言いたかったんだろうか?だがマイアの決心は固いようだな。
「この件については、陛下にお伺いを立ててからにしよう」
「責任問題にもなりますし、分かりました。私が直談判します」
「うん。それでいいよ。それとさ、旅に出るなら馬車とかも用意しないといけないな。他国に行くのに王室の馬車で行くわけにもいかないし」
「そうね。他国の王女が行くとなれば、外交から始めないといけないから時間が掛かるわね。ここは身分を隠していくのがいいと思うわ」
「そうですね。その件も含めてお父様に相談してみます。それから、勧誘する二人が神託の儀を受けられるのは1年後ですよね?基礎値が上がるとしてもレベルが上がらないんじゃ意味が無くありませんか?」
「そこは心配しなくてもいいんじゃない?基礎値が高ければ高いほどアドバンテージになるのは間違いないわ。これは事実よ。レベリングは急がなくても一緒に行動していけば時間が解決してくれるわよ」
「そうか。そうだろうな。じゃあ次だ。シャロンさん、レリクさん、じいやさんにどう話をする?隠しておいたほうがいい?」
「隠すのは下策だわ。自分たちの行動に制限をかける必要は無いでしょう。あの3人が誰かに話すとも思えないし、きっと協力をしてくれるわよ」
「もし不安でしたら、契約の魔道具を使ったらようのでは?」
今名前を出した3人は既に一蓮托生の仲と言って良い。だからと言って旅に巻き込んでいいわけでも魔王軍と戦う事を強要していいわけでもない。
しかしながら、全てを話して外部に漏れると世界が混乱しかねない。ま、子供の言う事をまともに聞くかどうかは別としてもだ。
そんな訳で3人には、絶対に口外しないと言う魔道具である契約書を使って契約を結ぶ事にした。もしこの契約を結びんだ後に破ろうとすると、契約内容の事を全て忘れてしまうそうだ。
魔法とは本当に便利なものである。まあ信用してないよと言ってるようで心苦しくはあるけど。
会話が止まったのでユグドクラシルの武器を鑑定してみたのだが、レベルが低いためなのか全ての項目が???表示だった。ま、使用しながら解明するしかないな。
屋敷に到着すると、レリクさん達3人を呼び出し、国家機密に係る内容なので他言無用と伝えると、一瞬真顔になった。
「それならばこの方が良いでしょう」と、こちらからもちかけるまでもなく契約のスクロールを使う。なんというか、やはり素晴らしい人達だ。
俺達の過去の部分など隠さねばならない重要な部分は隠しながら、話を進めると3人は信じられないという顔をして言葉を失っていた。
ただでさえ12歳にもなっていないのに、ステータスカードに勇者、聖女、賢者なんて表示されていて、かつ魔王の復活ときたもんだ。
「やっぱり驚きますよね」
「それはそうですよ。まさか、お三方が勇者、聖女、賢者だとは…不都合が無ければ一度、詳しく数値やスキルを見せていただいても?」
俺の言葉にいち早く反応をしたシャロンさんがそう言うので、全員が机の上にステータスカードを出してステータスの数値を詳しく見てみる。ま、俺もチラッと確認しただけなので、色々とゲームのようで興味は尽きないが。
勇者 ヴェルグラッド・フォレスタ
スキル 勇者の心得 火、水、風、土、雷、聖(3)光、闇(3)剣技(4)魔法創造 魔法陣付与 剣技創造 居合斬り 鑑定 アイテムボックス(無限)
聖女 ジュリエッタ・ジーナス
スキル 聖女の心得 火(3)水、風、土、雷(1)聖(5)アイテムボックス(時間停止5t)
賢者 マイア・レディアス
賢者の心得 火、水、風、土、雷、聖(2) 瞬間記憶能力 真偽サーチ アイテムボックス(時間停止5t)
「はあ。まさかこれほどとは、お三方は子供にしては異常だと思っていましたが。それにしても光属性と闇属性は勇者特有の属性と習いましたが、どんな魔法が使えれるのだ?レリクは知っているか?」
「私も知りませんよ。それに、今まで護衛をしていたお嬢様達がまさか伝説の聖女で、ヴェル様が勇者。極めつけに姫殿下が賢者。まるで御伽噺のようで実感が湧きません」
一般的に神託の儀で封印を解かれるのは生活魔法の火、水、風、土(1) 職業スキルで火、水、風、土の四属性の内どれか一つが(2)聖職者、医者、薬師は聖属性(1)戦いに殉じるものは雷属性(1)が与えられるそうだ。
シャロンさんとレリクさんの会話をみれば、俺たち3人は常識から逸脱した存在のようである。
日本にいた時には、アマチュアながらも小説を書いていた自分としたらラノベ設定がそのままこの世界に来たようで、あまりにも話が出来すぎている。少々複雑な気分である。与えられた役割もでかいしな。
ジュリエッタは16歳以降の記憶が封印されていると言う話しなので、シャロンさんを中心として、みんなでステータスの内容を一緒に確認し知識を擦り合わせする事になった。
「通説ですが魔法属性などは()内のレベルが剣技は熟練度が上がる度に使用出来るのですが、鍛錬で上げるには限界があります。戦などで人間を倒しても経験や技術は上がってもそこまで顕著には上がりませんが、魔物を倒せばその目に見えてレベルが上昇しやすいというのが一般的な考えです」
「まあ魔物を倒す機会など冒険者しかいませんからね。強い力を求めるならば冒険者になるのは必然となるのです。魔物を倒せば、その魔物の強さに合わせた魔石が得られるのも魅力的ですし」
「なので王族や王宮で上級職に就く方々でも一度は冒険者になる必要があるのですね。じゃないと剣技や魔法のレベルが低くて仕事に差し支えがある。やっと納得できました」
「まぁ、一般の方々の認識や見解はそれで間違ってはいませんが、私達王族からしてみれば冒険者になるという認識ではありません。あくまでも教育で得られる副産物的な物だと考えられているのです。剣技や魔法関係の職業に就職して食べて行く訳ではありませんから」
「ところで話は変わりますけど魔道具はどんな意味合いで作られるのでしょうか?生活に必要な魔法ならば神託の儀で与えられると思うのですが」
「それは、誰しも高等な教育を受けれるわけではありませんし、例をあげますと火種なんかであれば誰しも使えれます。しかしながら魔力の消費は軽微なのですが、細かな制御が出来なければ火事や大怪我の原因となってしまいます。例えば料理の時常に魔力を放出しっぱなしって事にはできません。魔力を蓄積出来る魔道具ありきでではないと生活ですらままなりません。それに細かな魔力操作は正直面倒ですし何よりも夢中になって魔力切れが怖いのですよ」
「なるほどです。魔法操作の鍛錬は誰しもが出来る訳ではなく、得意不得意があるけど、魔石なら魔力を蓄積出来るし魔法陣で制御できるので出しっぱなしでもいいし、魔力切れの心配もない。全ては魔道具で解決すると言うことなんですね?」
「はい。そのとおりです」
なんとなくは分かったが、俺の知る限り四属性魔法の他にも、水魔法が使えれば氷魔法が使えると言った派生のような魔法も幾つか存在している様だし、俺が使える光属性魔法、闇属性魔法と言ったような特殊な魔法などは手探りで探すしかないかな。
今まで、閃光として使っている光属性魔法は、光の魔石の術式を変えて使っていると誤魔化しているが、ひょっとしたら、光属性魔法は、癒しの魔法かもしれないし、重力魔法は闇属性の派生かもしれない。
次に、シャロンさんは魔鉱石の基礎知識を教えてくれる事になった。ま、知らないのは俺だけっぽいけどね。
そこで説明を受けたのを纏めると、武器に直接魔法を流すなんて事は出来ないようで、魔金属と呼ばれているミスリル、緋緋色金、オリハルコンの武器や防具に魔石を入れれば魔法を付与する事が出来るようだ。
これら魔金属は迷宮でしか手に入れられない希少金属のようで値段も張るみたい。ちなみにミスリルに魔法付与出来るのは1種類、緋緋色金は3種類、オリハルコンは5種類らしい。
魔道具には主に魔糸と呼ばれる糸が使われていて、ミスリルを粉にして溶かした物と液体樹脂に混ぜて糸にコーティングして使うとの事。実際に分解して見せて貰ったが、日本の物に言い換えるならプリント基板のパターンとか半田みたいな感じだった。
これなら、色々と切り替えとかも出来るし日本での知識も役に立ちそうだし、廃材や加工で余ったミスリルを使うのでコストが安いのだとか。エコだよね。
教わった事はメモを取り、ひととおり理解を示すと、基礎の話はまた実演を兼ねて野外で教えて貰う事に決まる。
「これからどうしようか迷ってるんだけど何か良い案はある?本来なら学園に入って勉学に励むのが流れだろうけど、こうなってはそうもいかなくなると思うんだ」
「そうですね。はっきり言ってしまえば、今の私達が学園に行っても学ぶ事は多くは無いでしょう。それに、もし勉強が必要なら、私かジュリエッタが教えてさしあげます」
「そうね。今更作法や算術なんかの勉強は必要ないかもね。それに私達がいくら基礎値が高いからといって、魔王軍とまだ戦えるほど甘いあいてじゃない…もし私が決めていいなら、フェミリエとミラと早めに合流して、日ごろの鍛錬を続けながら迷宮でレベルアップを目指すのがいいと思うけどどうかな?」
「私もジュリエッタの意見に賛成です」
神様の所でエルフと獣人の二人の姿を見たけど、中々の美人さんだったな。あの二人が仲間にね…おっと。いかんいかん。何考えてんだオレは…
「その二人は仲間になってくれるのか?それに基礎値が現在の僕らに比べたら低いから、言い方は悪いけど入口を間違えたら足手まといにしかならないからな。もし居場所が分かっているなら今からでも手紙を書いて、時期がくるまで鍛錬をするように書いたらどうだろうか?」
「ふふふ。もう1年前に手紙は送ったわよ」
「えっ!本当に?流石と言うか抜け目ないな~」
「当然よ。彼女達は転生前に魔王軍と一緒に戦った戦友ですもの。ほとんど記憶は消されちゃったけど、また一緒に旅に出て共に戦いたい。そう思ったらいても経ってもいられなくなってね」
「神様は何も言ってなかったけど二人の記憶はどこまで残ってるんだろう?記憶が無かったら知らない女性からの手紙なんてただの怪文書じゃないか?」
「神様がなんとかしてくれるよ。きっと…」
『神頼みかよ!』
「それから。マイアはこの国の姫君だろ?長期の旅なんて許されるのか?野宿する事もあるだろうし」
そういうと、マイアの顔が強張ったと思うと呆れた顔になる。
「この国が滅びようとしているのに、私だけこの王都に残れと仰るのですか?あり得ません。そもそも私は…これは言うべきじゃありませんね。先ほども言いましたがヴェルの隣に一生いると言いました。死んでも付いて行きます」
何を言いたかったんだろうか?だがマイアの決心は固いようだな。
「この件については、陛下にお伺いを立ててからにしよう」
「責任問題にもなりますし、分かりました。私が直談判します」
「うん。それでいいよ。それとさ、旅に出るなら馬車とかも用意しないといけないな。他国に行くのに王室の馬車で行くわけにもいかないし」
「そうね。他国の王女が行くとなれば、外交から始めないといけないから時間が掛かるわね。ここは身分を隠していくのがいいと思うわ」
「そうですね。その件も含めてお父様に相談してみます。それから、勧誘する二人が神託の儀を受けられるのは1年後ですよね?基礎値が上がるとしてもレベルが上がらないんじゃ意味が無くありませんか?」
「そこは心配しなくてもいいんじゃない?基礎値が高ければ高いほどアドバンテージになるのは間違いないわ。これは事実よ。レベリングは急がなくても一緒に行動していけば時間が解決してくれるわよ」
「そうか。そうだろうな。じゃあ次だ。シャロンさん、レリクさん、じいやさんにどう話をする?隠しておいたほうがいい?」
「隠すのは下策だわ。自分たちの行動に制限をかける必要は無いでしょう。あの3人が誰かに話すとも思えないし、きっと協力をしてくれるわよ」
「もし不安でしたら、契約の魔道具を使ったらようのでは?」
今名前を出した3人は既に一蓮托生の仲と言って良い。だからと言って旅に巻き込んでいいわけでも魔王軍と戦う事を強要していいわけでもない。
しかしながら、全てを話して外部に漏れると世界が混乱しかねない。ま、子供の言う事をまともに聞くかどうかは別としてもだ。
そんな訳で3人には、絶対に口外しないと言う魔道具である契約書を使って契約を結ぶ事にした。もしこの契約を結びんだ後に破ろうとすると、契約内容の事を全て忘れてしまうそうだ。
魔法とは本当に便利なものである。まあ信用してないよと言ってるようで心苦しくはあるけど。
会話が止まったのでユグドクラシルの武器を鑑定してみたのだが、レベルが低いためなのか全ての項目が???表示だった。ま、使用しながら解明するしかないな。
屋敷に到着すると、レリクさん達3人を呼び出し、国家機密に係る内容なので他言無用と伝えると、一瞬真顔になった。
「それならばこの方が良いでしょう」と、こちらからもちかけるまでもなく契約のスクロールを使う。なんというか、やはり素晴らしい人達だ。
俺達の過去の部分など隠さねばならない重要な部分は隠しながら、話を進めると3人は信じられないという顔をして言葉を失っていた。
ただでさえ12歳にもなっていないのに、ステータスカードに勇者、聖女、賢者なんて表示されていて、かつ魔王の復活ときたもんだ。
「やっぱり驚きますよね」
「それはそうですよ。まさか、お三方が勇者、聖女、賢者だとは…不都合が無ければ一度、詳しく数値やスキルを見せていただいても?」
俺の言葉にいち早く反応をしたシャロンさんがそう言うので、全員が机の上にステータスカードを出してステータスの数値を詳しく見てみる。ま、俺もチラッと確認しただけなので、色々とゲームのようで興味は尽きないが。
勇者 ヴェルグラッド・フォレスタ
スキル 勇者の心得 火、水、風、土、雷、聖(3)光、闇(3)剣技(4)魔法創造 魔法陣付与 剣技創造 居合斬り 鑑定 アイテムボックス(無限)
聖女 ジュリエッタ・ジーナス
スキル 聖女の心得 火(3)水、風、土、雷(1)聖(5)アイテムボックス(時間停止5t)
賢者 マイア・レディアス
賢者の心得 火、水、風、土、雷、聖(2) 瞬間記憶能力 真偽サーチ アイテムボックス(時間停止5t)
「はあ。まさかこれほどとは、お三方は子供にしては異常だと思っていましたが。それにしても光属性と闇属性は勇者特有の属性と習いましたが、どんな魔法が使えれるのだ?レリクは知っているか?」
「私も知りませんよ。それに、今まで護衛をしていたお嬢様達がまさか伝説の聖女で、ヴェル様が勇者。極めつけに姫殿下が賢者。まるで御伽噺のようで実感が湧きません」
一般的に神託の儀で封印を解かれるのは生活魔法の火、水、風、土(1) 職業スキルで火、水、風、土の四属性の内どれか一つが(2)聖職者、医者、薬師は聖属性(1)戦いに殉じるものは雷属性(1)が与えられるそうだ。
シャロンさんとレリクさんの会話をみれば、俺たち3人は常識から逸脱した存在のようである。
日本にいた時には、アマチュアながらも小説を書いていた自分としたらラノベ設定がそのままこの世界に来たようで、あまりにも話が出来すぎている。少々複雑な気分である。与えられた役割もでかいしな。
ジュリエッタは16歳以降の記憶が封印されていると言う話しなので、シャロンさんを中心として、みんなでステータスの内容を一緒に確認し知識を擦り合わせする事になった。
「通説ですが魔法属性などは()内のレベルが剣技は熟練度が上がる度に使用出来るのですが、鍛錬で上げるには限界があります。戦などで人間を倒しても経験や技術は上がってもそこまで顕著には上がりませんが、魔物を倒せばその目に見えてレベルが上昇しやすいというのが一般的な考えです」
「まあ魔物を倒す機会など冒険者しかいませんからね。強い力を求めるならば冒険者になるのは必然となるのです。魔物を倒せば、その魔物の強さに合わせた魔石が得られるのも魅力的ですし」
「なので王族や王宮で上級職に就く方々でも一度は冒険者になる必要があるのですね。じゃないと剣技や魔法のレベルが低くて仕事に差し支えがある。やっと納得できました」
「まぁ、一般の方々の認識や見解はそれで間違ってはいませんが、私達王族からしてみれば冒険者になるという認識ではありません。あくまでも教育で得られる副産物的な物だと考えられているのです。剣技や魔法関係の職業に就職して食べて行く訳ではありませんから」
「ところで話は変わりますけど魔道具はどんな意味合いで作られるのでしょうか?生活に必要な魔法ならば神託の儀で与えられると思うのですが」
「それは、誰しも高等な教育を受けれるわけではありませんし、例をあげますと火種なんかであれば誰しも使えれます。しかしながら魔力の消費は軽微なのですが、細かな制御が出来なければ火事や大怪我の原因となってしまいます。例えば料理の時常に魔力を放出しっぱなしって事にはできません。魔力を蓄積出来る魔道具ありきでではないと生活ですらままなりません。それに細かな魔力操作は正直面倒ですし何よりも夢中になって魔力切れが怖いのですよ」
「なるほどです。魔法操作の鍛錬は誰しもが出来る訳ではなく、得意不得意があるけど、魔石なら魔力を蓄積出来るし魔法陣で制御できるので出しっぱなしでもいいし、魔力切れの心配もない。全ては魔道具で解決すると言うことなんですね?」
「はい。そのとおりです」
なんとなくは分かったが、俺の知る限り四属性魔法の他にも、水魔法が使えれば氷魔法が使えると言った派生のような魔法も幾つか存在している様だし、俺が使える光属性魔法、闇属性魔法と言ったような特殊な魔法などは手探りで探すしかないかな。
今まで、閃光として使っている光属性魔法は、光の魔石の術式を変えて使っていると誤魔化しているが、ひょっとしたら、光属性魔法は、癒しの魔法かもしれないし、重力魔法は闇属性の派生かもしれない。
次に、シャロンさんは魔鉱石の基礎知識を教えてくれる事になった。ま、知らないのは俺だけっぽいけどね。
そこで説明を受けたのを纏めると、武器に直接魔法を流すなんて事は出来ないようで、魔金属と呼ばれているミスリル、緋緋色金、オリハルコンの武器や防具に魔石を入れれば魔法を付与する事が出来るようだ。
これら魔金属は迷宮でしか手に入れられない希少金属のようで値段も張るみたい。ちなみにミスリルに魔法付与出来るのは1種類、緋緋色金は3種類、オリハルコンは5種類らしい。
魔道具には主に魔糸と呼ばれる糸が使われていて、ミスリルを粉にして溶かした物と液体樹脂に混ぜて糸にコーティングして使うとの事。実際に分解して見せて貰ったが、日本の物に言い換えるならプリント基板のパターンとか半田みたいな感じだった。
これなら、色々と切り替えとかも出来るし日本での知識も役に立ちそうだし、廃材や加工で余ったミスリルを使うのでコストが安いのだとか。エコだよね。
教わった事はメモを取り、ひととおり理解を示すと、基礎の話はまた実演を兼ねて野外で教えて貰う事に決まる。
0
お気に入りに追加
141
あなたにおすすめの小説

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。
破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。
小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。
本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。
お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。
その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。
次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。
本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる