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第1章 異世界転生
第59話
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ダイジェストではあったが、ジュリエッタの前世の記憶を見せられて、俺とマイアは驚愕に言葉が出てこない。
こんなこと想像もできなかった。俺は四天王シルフィスに呪いを掛けられ日本に転生したこと。心臓病が呪いの影響だったこと。マイアもコレラで亡くなりこの星が滅亡を待つだけだったこと。
何よりあの夢は夢では無く実際の記憶だったこと、自分のことを転生した日本人だと思っていたのが、元々はこちらの人間だったなんて。
更に言えばオレなんかよりジュリエッタの転生前の人生は壮絶の一言に尽きる。前世の俺の気持ちに応える為に、50年も耐え生き抜いてきたとは…
彼女の年齢にそぐわない言動や俺が関わったときの積極性にも合点がいった。俺が「こちとら還暦よ、孫みたいな世代でうんぬん」と思っていたことが恥ずかしくなるくらいの、ジュリエッタの人生との格差に愕然とするばかりだ。
自然と涙が頬をつたう。俺は隣にいたジュリエッタを抱きしめ何か言おうとしたものの「ありがとう」と一言発するのが精一杯だった。マイアも小刻みに震えながら泣いている。
「積年の想いもあろうが、時間にも制約があるので伝えるべきことは伝えなければならん。話を続けるぞ。神の血、つまり勇血について説明しよう。まず、魔王とはどう言うものかを説明する」
神様の話によれば、魔王とは人の醜い心、欲望、悲劇、怨念など人の負の魂を具現化した存在と言う事だった。日本の知識でいうと七つの大罪といったところだろう。
神様曰く、その日の魂を悪意のリソースと呼んでいるみたいだ。なので、戦争や強奪、虐殺や恥辱などが大量発生すれば、500年と言わず魔王は復活をしてしまうそうだ。
これは、はっきり言って防ぎようが無い。この世界は平和だとは思うし人間とは罪深く欲深い生き物だ。どんなゆっくりでもヘイトゲージは積まれていくだろう。平和が長く続ければ、人は幸せ感や充実感が感じにくくなると言うもの日本で生活していたので実感できる。
「それでは、今生で私達が魔王を倒してもいずれは復活をすると?」
「そうじゃな。その認識で間違っておらぬ。だからこそ、ワシからもしアドバイスをするとすれば、それは勇血を多数残せと言うことじゃ。切り札は多ければ多いほど良いからな」
「なぜら前回の勇者はそれをしなかったのでしょうか?」
「迫害をされたのじゃ。勇者の力は絶大であった。かつての人の王や皇帝達は、勇者の力を恐れ出して魔王を倒した勇者を亡き者としようと考えたのだ」
キタよラノベ設定!!あるあるだな。
「あまりにもそれは理不尽ではないですか!!」
現王族であるマイアは納得いかないようで顔色が悪い。
「何を今更言うのじゃ。人間とは欲望や保身の塊。強欲ばかりなのはそなた達も知っておろうが?」
「うっ…我が国は平和だとはいえ、過去の歴史などを踏まえれば…」
「宜しい。それで、かつての勇者達は、そんな人間達に見切りをつけ、当時魔王軍に滅ぼされた国を再構築した国に身形、身分を偽り移り住んだ。それがそなた達の国が勇者の末裔が住む土地となった理由じゃ。目立たぬようにと正当な勇者の血を引く一族が上級貴族に与えられる特権の一夫多妻制を望まなかったが故に、勇者の血筋が少ないのもそれが影響しておる」
「魔王を打ち滅ぼしても僕達が討伐対象になる可能性だってあるか…だからと言って魔王軍に加担すべき話でもない。どちらを取っても棘の道だな」
「大丈夫ですよ。私はこれでも一国の王女なのですから。それにヴェルは伯爵位ではありませんか?私と結婚をすれば公爵扱いです。時間もありますし、一度お父様に相談をしてみましょう」
「ああ。まあ元々この興国の先祖が迫害を受けた側だからいろいろと余地はあるだろう。ここで悩んでも仕方が無い。取り敢えずは魔王が現れてる事と、それを打ち滅ぼさなければならないことは明白になったな」
「よろしい。魔王を倒したあかつきには、何かワシも出来る事を考えておこうとしようか。そなた達はワシ達と同じ神の血が流れておるのじゃからな。それと記憶の事じゃが、ヴェルとマイアはこのままにしておく。完全に消去できる訳ではないが依存は無いな」
「はい。既にジュリエッタの過去は少し見せていただきましたし、既に過去は変わっています。今後の影響を考えても戻して貰う必要はありません」
「私もです。9歳でコレラで死んだのなら、過去の記憶は必要ありません」
「うむ。では次にそなた達にはユグドクラシルの武器を与える」
ユグドクラシルって世界樹の事か?神話のような話じゃないか!
そんな事を思っていると、神様は何やら詠唱し始めた。すると自分達の手が薄っすらと光るがそれらしき武器は見当たらない。
「それでは、自分のイメージする武器を頭の中で描き、心の中でもいい。顕現せよと詠唱するのじゃ」
ユグドクラシルの武器は魔法で呼び出すようだ。俺はここは剣ではなく刀をイメージする。神様が与えてくれる武器だ。居合いも練習したし日本人ぽくもあるからな。
「顕現せよ!」
ほぼ3人同時に詠唱すると、イメージ通りの刀と鞘が手に握られた。ジュリエッタとマイアは形は違うがロッドであった。
「うむ、それぞれに行き渡ったようじゃな。武器を収めるのは顕現解除と言うだけで良い。武器の特徴として刃が欠ける事もないし折れもせぬ。それに、そなた達のレベルに応じてまた武器も成長をする。鍛錬に励むがよい」
「うむ、それぞれに行き渡ったようじゃな。武器を収めるのは顕現解除と言うだけで良い。武器の特徴として刃が欠ける事もないし折れもせぬ。それに、魔物を倒せば倒すほど武器も成長をする。鍛錬に励むがよい」
顕現解除すると、オレ達は各スキルを与えらた。ステータスを確認すると。
勇者 ヴェルグラッド・フォレスタ
スキル 勇者の心得 火、水、風、土、雷、聖(3)光、闇(3)剣技(4)魔法創造 魔法陣付与 剣技創造 居合斬り 鑑定 アイテムボックス(無限)
聖女 ジュリエッタ・ジーナス
スキル 聖女の心得 火(3)水、風、土、雷(1)聖(5)アイテムボックス(時間停止5t)
賢者 マイア・レディアス
賢者の心得 火、水、風、土、雷、聖(2) 瞬間記憶能力 真偽サーチ アイテムボックス(時間停止5t)
『イイねイイね。ゲームのようじゃないか?あれ?魔法関係の事もこれが使えるとか魔法ごとの表記は無いのか?情報が少ないような気がする』
「少し驚いたのですが、16歳になるまで勇者、聖女、賢者の称号は与えられないのでは無かったのですか?」
「確かにそうじゃが、今回魔王軍と戦う時にそなた達の国が滅んでしまったら、流石のワシら神とてもう一度過去に戻ってやり直すことは出来ぬ。そんな事をすればワシが他世界の神から干されるのは目に見えているからな。だから、まあ安全マージンを多めに取った特例じゃよ」
『神様でも干されるんだ。神様の世界も世知辛いんだな~』
「しかし、そなたちはいささか鍛錬し過ぎではないか?」
「ええまあそれは。3歳から鍛えていましたから」
「以後も鍛錬に励むと良い。それともう一つワシからのアドバイスじゃが、地球で得た知識を用いて剣技や魔法を研究するがよいじゃろう。その為にそなたには魔法創造、剣技創造のユニークスキルを与えておいた」
ん?科学の事かな?また試してみるか。
「はい、やってみます。それからこのステータスカードですが、表示を偽装出来ませんか?この歳で勇者と呼ばれ騒がれるのは悪目立ちするんじゃないかと」
「確かにそうであったな。宜しい。そなた達の好きに表示するがよい」
偽装した俺の職業は剣士、ジュリエッタは治癒術士、マイアは魔法師だ。
「うむ。それでは、この世界の事はそなた達に任す。また、ワシらに用があるときは教会で祈りを捧げると良い」
「「「はい」」」
最後はずいぶんとあっさりとしたものだったが、神様との話が終わると、人界に戻る事になった。
こんなこと想像もできなかった。俺は四天王シルフィスに呪いを掛けられ日本に転生したこと。心臓病が呪いの影響だったこと。マイアもコレラで亡くなりこの星が滅亡を待つだけだったこと。
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「積年の想いもあろうが、時間にも制約があるので伝えるべきことは伝えなければならん。話を続けるぞ。神の血、つまり勇血について説明しよう。まず、魔王とはどう言うものかを説明する」
神様の話によれば、魔王とは人の醜い心、欲望、悲劇、怨念など人の負の魂を具現化した存在と言う事だった。日本の知識でいうと七つの大罪といったところだろう。
神様曰く、その日の魂を悪意のリソースと呼んでいるみたいだ。なので、戦争や強奪、虐殺や恥辱などが大量発生すれば、500年と言わず魔王は復活をしてしまうそうだ。
これは、はっきり言って防ぎようが無い。この世界は平和だとは思うし人間とは罪深く欲深い生き物だ。どんなゆっくりでもヘイトゲージは積まれていくだろう。平和が長く続ければ、人は幸せ感や充実感が感じにくくなると言うもの日本で生活していたので実感できる。
「それでは、今生で私達が魔王を倒してもいずれは復活をすると?」
「そうじゃな。その認識で間違っておらぬ。だからこそ、ワシからもしアドバイスをするとすれば、それは勇血を多数残せと言うことじゃ。切り札は多ければ多いほど良いからな」
「なぜら前回の勇者はそれをしなかったのでしょうか?」
「迫害をされたのじゃ。勇者の力は絶大であった。かつての人の王や皇帝達は、勇者の力を恐れ出して魔王を倒した勇者を亡き者としようと考えたのだ」
キタよラノベ設定!!あるあるだな。
「あまりにもそれは理不尽ではないですか!!」
現王族であるマイアは納得いかないようで顔色が悪い。
「何を今更言うのじゃ。人間とは欲望や保身の塊。強欲ばかりなのはそなた達も知っておろうが?」
「うっ…我が国は平和だとはいえ、過去の歴史などを踏まえれば…」
「宜しい。それで、かつての勇者達は、そんな人間達に見切りをつけ、当時魔王軍に滅ぼされた国を再構築した国に身形、身分を偽り移り住んだ。それがそなた達の国が勇者の末裔が住む土地となった理由じゃ。目立たぬようにと正当な勇者の血を引く一族が上級貴族に与えられる特権の一夫多妻制を望まなかったが故に、勇者の血筋が少ないのもそれが影響しておる」
「魔王を打ち滅ぼしても僕達が討伐対象になる可能性だってあるか…だからと言って魔王軍に加担すべき話でもない。どちらを取っても棘の道だな」
「大丈夫ですよ。私はこれでも一国の王女なのですから。それにヴェルは伯爵位ではありませんか?私と結婚をすれば公爵扱いです。時間もありますし、一度お父様に相談をしてみましょう」
「ああ。まあ元々この興国の先祖が迫害を受けた側だからいろいろと余地はあるだろう。ここで悩んでも仕方が無い。取り敢えずは魔王が現れてる事と、それを打ち滅ぼさなければならないことは明白になったな」
「よろしい。魔王を倒したあかつきには、何かワシも出来る事を考えておこうとしようか。そなた達はワシ達と同じ神の血が流れておるのじゃからな。それと記憶の事じゃが、ヴェルとマイアはこのままにしておく。完全に消去できる訳ではないが依存は無いな」
「はい。既にジュリエッタの過去は少し見せていただきましたし、既に過去は変わっています。今後の影響を考えても戻して貰う必要はありません」
「私もです。9歳でコレラで死んだのなら、過去の記憶は必要ありません」
「うむ。では次にそなた達にはユグドクラシルの武器を与える」
ユグドクラシルって世界樹の事か?神話のような話じゃないか!
そんな事を思っていると、神様は何やら詠唱し始めた。すると自分達の手が薄っすらと光るがそれらしき武器は見当たらない。
「それでは、自分のイメージする武器を頭の中で描き、心の中でもいい。顕現せよと詠唱するのじゃ」
ユグドクラシルの武器は魔法で呼び出すようだ。俺はここは剣ではなく刀をイメージする。神様が与えてくれる武器だ。居合いも練習したし日本人ぽくもあるからな。
「顕現せよ!」
ほぼ3人同時に詠唱すると、イメージ通りの刀と鞘が手に握られた。ジュリエッタとマイアは形は違うがロッドであった。
「うむ、それぞれに行き渡ったようじゃな。武器を収めるのは顕現解除と言うだけで良い。武器の特徴として刃が欠ける事もないし折れもせぬ。それに、そなた達のレベルに応じてまた武器も成長をする。鍛錬に励むがよい」
「うむ、それぞれに行き渡ったようじゃな。武器を収めるのは顕現解除と言うだけで良い。武器の特徴として刃が欠ける事もないし折れもせぬ。それに、魔物を倒せば倒すほど武器も成長をする。鍛錬に励むがよい」
顕現解除すると、オレ達は各スキルを与えらた。ステータスを確認すると。
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「少し驚いたのですが、16歳になるまで勇者、聖女、賢者の称号は与えられないのでは無かったのですか?」
「確かにそうじゃが、今回魔王軍と戦う時にそなた達の国が滅んでしまったら、流石のワシら神とてもう一度過去に戻ってやり直すことは出来ぬ。そんな事をすればワシが他世界の神から干されるのは目に見えているからな。だから、まあ安全マージンを多めに取った特例じゃよ」
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「しかし、そなたちはいささか鍛錬し過ぎではないか?」
「ええまあそれは。3歳から鍛えていましたから」
「以後も鍛錬に励むと良い。それともう一つワシからのアドバイスじゃが、地球で得た知識を用いて剣技や魔法を研究するがよいじゃろう。その為にそなたには魔法創造、剣技創造のユニークスキルを与えておいた」
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偽装した俺の職業は剣士、ジュリエッタは治癒術士、マイアは魔法師だ。
「うむ。それでは、この世界の事はそなた達に任す。また、ワシらに用があるときは教会で祈りを捧げると良い」
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