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第1章 異世界転生
第45話
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陛下とマーレさんは今日の事について喋っていたようだ。執務室に入ったとたん悪魔と言う単語が耳に入る。
「陛下、お待たせを致しました」
「いや、待ってはおらぬよ。二人ともそのこソファーに掛けるとよい」
一礼をして腰掛けると、陛下とマーレさんも目の前に腰掛を下ろした。
「さてと、それで余らが去った後何があった?簡単でいいから顛末を教えて欲しい」
経緯を話すとなるとオレが魔法を使えることが前提となるので、そこから理解してもらわないと話が進まない。驚くんだろうな…
「先にお伝えしなければならないことがあります。まず見ていただけますか?」
「ふむ。いいだろう」
オレは魔力を手に流して手に明かりを灯す。
「なんと!これは驚いた。まさかその歳で魔法が使えるのか?いったいどういうことだ?」
「はい。続けます」
それから、魔力操作をしながら光の強弱をつけると、3人は信じられないものを見たような顔をする。
「魔力操作も完璧だ。兵士が太陽の光を見たと言っていたが、それがその正体か?光の魔石が暴走したのだと思っていたが」
「はい。上級悪魔に使った魔法は光量を最大まで上げてあります。それを使えば悪魔といえど、暫く目は使い物にはなりません」
「人間の目には影響は無いのか?」
「あります。失明をする危険も否定できません。しかしながら、治癒魔法で治る事は実証済みです。そうではないと簡単には使えませんから」
「なるほど、それでは、ヴェルは上級悪魔に対しその光魔法で目くらまし、いや目潰しを使った。それで悪魔が怯んだところを攻撃、悪魔が倒れたところをジュリエッタが兵士の落とした剣を拾いトドメをさした。その流れで良いな」
「はい。大筋はそんなところです」
「それではもう一つ問うが、ヴェルが使える魔法はそれだけなのか?」
「いえ。重力魔法が使えます。体を軽くしたり重くしたり出来る程度ですが」
そう答えると3人はの顔が固まる。3人とも光属性魔法は勇者だけが使える魔法属性と知っている様だ。スキルの事は聞かれていないので黙っておく。嘘はついていないので大丈夫だろう。
「勇者ではない?なぜ自分がそうでは無いとなぜ言い切れる。上級悪魔が現れたのだ、魔王が誕生し、勇者が生まれてもおかしく無い!」
「それは僕が勇者の使える魔法を全てを使えるわけではないからです。本に載っていた魔法全てを試しましたが、使えたのはこの光属性魔法と重力魔法だけなのです」
「なるほど。全ての魔法を試したのか。それで、ヴェルが魔法を使えると知っているのは、後は誰がおるのだ」
「ジュリエッタとウォーレス伯爵と言ったところでしょうか。護衛の兵士、野盗の前で使ったことはありますが気付かれてはいないと思います」
「むむむむ…そうか。ヴェル、もしかしてジュリエッタも魔法が使えるのか?」
「ご賢察痛み入ります」
「あ~、やはり。お前が教えたのだろう。血統的に聖属性魔法か」
「ええ。話が早くて、とても助かります」
「分かった。ではこうしよう。ヴェルは神託の儀は知っておるな」
「もちろん知っています」
「今年は、まだ終ったばかりだから、来年にジュリエッタと一緒に年齢を詐称してでも受けてみよ。手筈は全てワシに任せておけ」
「いいのですか?」
「うむ。本来は今からでも行って貰いたいが、神は、神託の儀の日にしか地上に降りてこられない。過去の文献でも何度か試したらしいが、上手くいった試がない。年齢を詐称して言った例もあったそうだが、成功した事はないらしい」
『試した事があるんかい!しかも何度も』
「そう言う事だから来年の4月になったら、神託の儀を受けて貰うぞ。これは王命だ」
「失敗しても怒らないでくださいよ」
「怒りはせぬ。がっかりはするかも知れないがな」
陛下は結果に期待してるみたいだけどいい気なもんだな。
笑って誤魔化していると今度はマイアは目を輝かせて席を立つ。あ~これは、言っても聞かないやつだ。
「お待ち下さい。ひょっとしたら私も魔法を使えるのかも知れないのですよね?」
「確実とは言えないけど、おそらく」
たぶんきちんと時間をかければ使えるだろう。そもそも瞬間記憶能力もスキルじゃないかと思ってるし。
「今日から私、ヴェルの屋敷で寝泊りします。だから私にも神託の儀を受けさせて下さい」
「無論そのつもりだ。この流れだからな」
あ~やっぱりこうなるか。でもこれで今日の話は終わりかな、と思っていると、陛下が口を開く。
「ヴェル。お主は勇者と魔王の事をどれだけ知っておる」
「文献を色々調べてみたのですが、どれも御伽噺のような話ばかりで詳しくは存じません」
「そうか。それでは王室典範に書いてある500年前の話を簡単にしようか」
陛下の話を要約すると、約500年前、魔王が突如現れて魔物を従え世界へ侵攻した。どの場所に現れたのかは未だ特定は出来ていない。
各国で騎士、兵士、上位ランクの冒険者を中心とした軍を立ち上げて各国は奮闘したが、魔王軍の絶大なる魔物の力と数の暴力の前に抗う術も無く次々と軍は敗れ去った。
各国は国の存亡の危機を回避するため、防衛ラインに各国の強者を結集して魔王軍と戦った。
しかし、魔王軍はあまりにも強く、敗退を繰り返し、今この国に位置していた、ゼネスト王国は魔王軍の手に落ちると、今のアーレン王国に位置していたグリフ公国もまた半年も持たずに魔王軍に落とされた。
魔王は、グリフ公国に魔王城を築城。聖連合軍の戦士たちは倒れ、多くの命が儚く散った。神聖国ヴァリスタの教皇達は神に祈りを捧げると、神が降臨し勇者カルム、聖女ユリファ、賢者セリヌを遣わした。
勇者一行は、魔物を使役する4天王と呼ばれる悪魔を次々と倒して行き、ついには魔王城に辿り着き魔王を倒し平和をもたらしたと言う。
なるほど。本当に王道の物語の様な話だ。
「なぜ魔王軍はこの大陸の中央に位置する国に攻め込んだのでしょうか?」
「この大陸の中央には竜脈が流れているのだよ」
「竜脈ですか?」
「そうだ。専門家ではないし地中を掘って確かめたわけではないので確証は無いが、竜脈とは魔素の元となる液体が流れる川のようなものだと言われている。魔物は魔素から生まれ、またエサとしてる。だから、魔王軍は効率よく魔物を得る為に、竜脈が流れるこの大陸の二国を狙ったのだろうと言うのが、当時の歴史家が出した見解だ」
「それにしては、この国の魔物との遭遇率は低くありませんか?」
「そんな事はない。確かにこの王都は竜脈から離れた位置しているから気付かぬだろうが、迷宮都市があるラロッカに行けば魔物も強くAランク迷宮もある」
「それよりランクの高い迷宮はこの国には無いのですか?」
「この国の竜脈の通る川は深層が深いのか、Aランク迷宮までしか無い。隣国のアーレン王国にはSランク迷宮が2つあるのだがな」
「そうですか。話を戻しますが今日の事はどう国民に知らせるおつもりなのでしょうか?」
「そうだな。今回の件の詳細は他言無用とする予定だ。またいつ災いがヴェル達に降りかかるとも限らんしな」
「それでしたら、出来たら上級悪魔と相打ちと国内外に知らせていただければと思います。幸い僕の名前や顔は、国民に知れ渡ってはいないので」
「なるほど。この国に現れた英雄は上級悪魔と戦って刺し違えたと触れ回るようにしよう」
「ご理解していただいてありがとうございます」
「なに、マイアの婿殿の頼みだ。聞かぬわけにはいくまいて。それと最後にだが。そなた達に剣術を教える者を用意しよう。勇者の可能性がある以上剣の腕を上げておいた方が事は有利に進むだろうからな」
「勇者や英雄など僕には荷が勝ちすぎです。そこの所は忘れて下さい」
「ふはは、そうだな。ヴェルと喋っていると、子供相手に喋っている感覚を忘れる。プレッシャーを掛けてすまないな」
今回上級悪魔が現れたことが魔王復活のフラグだとしたら平穏な日々が終わるかもしれない。となるとこれから勇者や英雄と呼ばれる者達が現れるはずだ。オレはその者達を支えられるよう力をつけておかなければならない。
「陛下、お待たせを致しました」
「いや、待ってはおらぬよ。二人ともそのこソファーに掛けるとよい」
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オレは魔力を手に流して手に明かりを灯す。
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「はい。続けます」
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「はい。上級悪魔に使った魔法は光量を最大まで上げてあります。それを使えば悪魔といえど、暫く目は使い物にはなりません」
「人間の目には影響は無いのか?」
「あります。失明をする危険も否定できません。しかしながら、治癒魔法で治る事は実証済みです。そうではないと簡単には使えませんから」
「なるほど、それでは、ヴェルは上級悪魔に対しその光魔法で目くらまし、いや目潰しを使った。それで悪魔が怯んだところを攻撃、悪魔が倒れたところをジュリエッタが兵士の落とした剣を拾いトドメをさした。その流れで良いな」
「はい。大筋はそんなところです」
「それではもう一つ問うが、ヴェルが使える魔法はそれだけなのか?」
「いえ。重力魔法が使えます。体を軽くしたり重くしたり出来る程度ですが」
そう答えると3人はの顔が固まる。3人とも光属性魔法は勇者だけが使える魔法属性と知っている様だ。スキルの事は聞かれていないので黙っておく。嘘はついていないので大丈夫だろう。
「勇者ではない?なぜ自分がそうでは無いとなぜ言い切れる。上級悪魔が現れたのだ、魔王が誕生し、勇者が生まれてもおかしく無い!」
「それは僕が勇者の使える魔法を全てを使えるわけではないからです。本に載っていた魔法全てを試しましたが、使えたのはこの光属性魔法と重力魔法だけなのです」
「なるほど。全ての魔法を試したのか。それで、ヴェルが魔法を使えると知っているのは、後は誰がおるのだ」
「ジュリエッタとウォーレス伯爵と言ったところでしょうか。護衛の兵士、野盗の前で使ったことはありますが気付かれてはいないと思います」
「むむむむ…そうか。ヴェル、もしかしてジュリエッタも魔法が使えるのか?」
「ご賢察痛み入ります」
「あ~、やはり。お前が教えたのだろう。血統的に聖属性魔法か」
「ええ。話が早くて、とても助かります」
「分かった。ではこうしよう。ヴェルは神託の儀は知っておるな」
「もちろん知っています」
「今年は、まだ終ったばかりだから、来年にジュリエッタと一緒に年齢を詐称してでも受けてみよ。手筈は全てワシに任せておけ」
「いいのですか?」
「うむ。本来は今からでも行って貰いたいが、神は、神託の儀の日にしか地上に降りてこられない。過去の文献でも何度か試したらしいが、上手くいった試がない。年齢を詐称して言った例もあったそうだが、成功した事はないらしい」
『試した事があるんかい!しかも何度も』
「そう言う事だから来年の4月になったら、神託の儀を受けて貰うぞ。これは王命だ」
「失敗しても怒らないでくださいよ」
「怒りはせぬ。がっかりはするかも知れないがな」
陛下は結果に期待してるみたいだけどいい気なもんだな。
笑って誤魔化していると今度はマイアは目を輝かせて席を立つ。あ~これは、言っても聞かないやつだ。
「お待ち下さい。ひょっとしたら私も魔法を使えるのかも知れないのですよね?」
「確実とは言えないけど、おそらく」
たぶんきちんと時間をかければ使えるだろう。そもそも瞬間記憶能力もスキルじゃないかと思ってるし。
「今日から私、ヴェルの屋敷で寝泊りします。だから私にも神託の儀を受けさせて下さい」
「無論そのつもりだ。この流れだからな」
あ~やっぱりこうなるか。でもこれで今日の話は終わりかな、と思っていると、陛下が口を開く。
「ヴェル。お主は勇者と魔王の事をどれだけ知っておる」
「文献を色々調べてみたのですが、どれも御伽噺のような話ばかりで詳しくは存じません」
「そうか。それでは王室典範に書いてある500年前の話を簡単にしようか」
陛下の話を要約すると、約500年前、魔王が突如現れて魔物を従え世界へ侵攻した。どの場所に現れたのかは未だ特定は出来ていない。
各国で騎士、兵士、上位ランクの冒険者を中心とした軍を立ち上げて各国は奮闘したが、魔王軍の絶大なる魔物の力と数の暴力の前に抗う術も無く次々と軍は敗れ去った。
各国は国の存亡の危機を回避するため、防衛ラインに各国の強者を結集して魔王軍と戦った。
しかし、魔王軍はあまりにも強く、敗退を繰り返し、今この国に位置していた、ゼネスト王国は魔王軍の手に落ちると、今のアーレン王国に位置していたグリフ公国もまた半年も持たずに魔王軍に落とされた。
魔王は、グリフ公国に魔王城を築城。聖連合軍の戦士たちは倒れ、多くの命が儚く散った。神聖国ヴァリスタの教皇達は神に祈りを捧げると、神が降臨し勇者カルム、聖女ユリファ、賢者セリヌを遣わした。
勇者一行は、魔物を使役する4天王と呼ばれる悪魔を次々と倒して行き、ついには魔王城に辿り着き魔王を倒し平和をもたらしたと言う。
なるほど。本当に王道の物語の様な話だ。
「なぜ魔王軍はこの大陸の中央に位置する国に攻め込んだのでしょうか?」
「この大陸の中央には竜脈が流れているのだよ」
「竜脈ですか?」
「そうだ。専門家ではないし地中を掘って確かめたわけではないので確証は無いが、竜脈とは魔素の元となる液体が流れる川のようなものだと言われている。魔物は魔素から生まれ、またエサとしてる。だから、魔王軍は効率よく魔物を得る為に、竜脈が流れるこの大陸の二国を狙ったのだろうと言うのが、当時の歴史家が出した見解だ」
「それにしては、この国の魔物との遭遇率は低くありませんか?」
「そんな事はない。確かにこの王都は竜脈から離れた位置しているから気付かぬだろうが、迷宮都市があるラロッカに行けば魔物も強くAランク迷宮もある」
「それよりランクの高い迷宮はこの国には無いのですか?」
「この国の竜脈の通る川は深層が深いのか、Aランク迷宮までしか無い。隣国のアーレン王国にはSランク迷宮が2つあるのだがな」
「そうですか。話を戻しますが今日の事はどう国民に知らせるおつもりなのでしょうか?」
「そうだな。今回の件の詳細は他言無用とする予定だ。またいつ災いがヴェル達に降りかかるとも限らんしな」
「それでしたら、出来たら上級悪魔と相打ちと国内外に知らせていただければと思います。幸い僕の名前や顔は、国民に知れ渡ってはいないので」
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「ふはは、そうだな。ヴェルと喋っていると、子供相手に喋っている感覚を忘れる。プレッシャーを掛けてすまないな」
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