19 / 67
第1章 異世界転生
第19話
しおりを挟む
ジュリエッタが扉を開けると「お母様、ヴェルを連れて参りました」と言って部屋に入って行った。
ジュリエッタの後に部屋に入ると、ジュリエッタに良く似た赤い髪の美しい女性が、ベージュのマタニティドレス姿で赤ちゃんに授乳していた。今は子供であるが恥ずかしいったらありゃしない。
そう、ジュリエッタの母親は思わず拝みそうになるぐらい美乳だった。オレはいったいこんな時に何んて事を考えているんだ!!いかんいかん。すぐに視線を外さなければ。
そう思った俺はしっかりガン見してから視線を外し深呼吸する。ジュリエッタも将来の成長に期待大だ。「結婚する時には母親を見るべし。20年後の姿だ」とはよく言ったもんだ。
「お初にお目に掛かります。お嬢様からご紹介に預かりました、ヴェルグラッド・フォレスタと申します。二年もの間、挨拶が遅れた事を深くお詫び申し上げます」
左足を引いて、手を胸に当て、そして出来るだけ優雅に見せるように挨拶をする。女性のカーテシーに対して行うボウ・アンド・スクレープってやつだ。
貴族社会において礼儀作法は重要なものである。武芸の鍛錬、政治の知識など、様々な分野も無論大事ではあるが、第一印象が悪ければ話も聞いてはくれない事も度々あるそうだ。
なので自分自身も幼い頃から、頭を下げる角度、タイミングなどの練習を重ねた。その集大成が今の自分の挨拶である。
「噂には聞いていたけど驚きだわ。入って来た時は顔が強張っていたのに、その落ち着きように言葉の言い回し、それに礼儀作法、あなた本当に9歳なの?ジュリエッタも異常だと思っていたけど、あなたは更に上を行くのね。ヴェル君とお呼びしていいかしら?」
「はい。お好きなようにお呼び下さい。それに、いつも伯爵閣下やお嬢様には目をお掛けいただいて感謝をしております。これからもどうぞよしなに」
先ほどの雑念は緊張だと捉らえてくれたようだ。子供で良かった。
「もういいわ。噂って尾ひれ背びれがついて普通はがっかりすることが多いのだけど、ヴェル君は噂以上ね。合格よ。ジュリエッタ、あなたの騎士はヴェル君で文句はないわ」
「やったね。小難しいお母様を一発で認めさせるなんてさっすがー。こんな事ならもっと早くお母様に紹介をするべきだったわね」
「ちょっと~。あなたそんな風にお母さんの事を見ていたの?」
「お母様も私の事を異常だと思っていたんでしょう?おあいこだわ。それよりもヴェル。私の弟のウェールズよ。かわいいでしょ?」
ジュリエッタは満面の笑みを浮かべながら、赤ちゃんの頬をぷにぷにと押す。
「それにしては、今日ヴェル君を迎えにいくと言ったら、ウェールズの世話を放りだしてまで行くと泣きついていたじゃないの?行っていいって言った時のあなたの顔を忘れられないわ」
「へ~。そうなんだ~」
「あら?そう?そんな昔のことはもう忘れたわ」
鳴らない口笛を吹こうと口を尖らせてフーフしている。
「そんな事よりヴェル君、本当にジュリエッタに決めていいの?専属騎士になると言う事は結婚の約束、つまり婚約と同義なのよ?」
「えっ!!婚約なんて、そんなの聞いてません。それって本当の話なんですか?」
「ええ。未婚者が専属騎士になった場合はね。お互いにいつも傍にいて命を懸けて守るのですもの。ある意味で夫婦よりも絆は深いのよ」
「ジュリエッタは、本当にそれでいいのかい?」
「もちろんよ。ヴェルなら文句はないわ。以前一度好きだと言ったじゃない?」
もうこうなると青田買いと言うより、見初められたと言ったほうがしっくりくる。若干狼狽えながらジュリエッタの顔を見るが、より満面の笑みである。ジュリエッタは最初からこうなる事を望んでいたようだ。
ここで一発ギャグをカマシて誤魔化す事も考えたが、そんな雰囲気でもない。なんだ、このピンク色の空気!
ジュリエッタの事が好きか嫌いかと聞かれたらもちろん好きだ。だがそれは異性としてと問われると気持ちが揺らぐ。
あの夢で死んでしまったヴェルとは明らかに違う人生を歩んでいる。でも、いったいどうしてこうなった。
そうは言っても、答えを早急に出さなければならない。ここまで来て今更茶を濁すなど出来る筈もない。覚悟を決める。
「はい。お嬢さんの隣にいても、恥ずかしくない大人になれるように努めて参ります。ですが、答えは少しお待ちいただいても宜しいでしょうか?」
「えっ、なんで?ここまできて何か問題があるの?」
ジュリエッタはかなり不満気だ。当然俺が即答すると思ったのだろう。
「そうじゃないって。肝心の伯爵閣下がどう言うか分からないじゃないか?それに僕の両親にも許可を貰わないと」
「ああそれね。それなら心配無用よ。もう全員に許可は貰ってるから」
「えっ、お父様とお母様にもですか?」
「ええ。そうよ。これを見る?あなたの両親からの承諾書よ。文面を見てごらんなさいな。もの凄く乗り気だから」
承諾書を見ると、
【この良縁を喜んでお受けします。 アルフォンス・フォレスタ】
【息子はまだ9歳と、まだまだ至らない面が多々ございますが、どうぞ息子の事を宜しくお願いします。 グレース・フォレスタ】
と、見覚えのある筆跡で書かれている。
『何たる茶番で出来レースなんだ!知らぬは俺だけだったなんて!この歳で外堀を埋められるなんてありえねーだろ』
そんな心の声など誰にも届く筈も無かった。
いきなり専属騎士になると言うのは、独身者の場合は婚約と同じ扱いになると告げられた俺は、気持ち抵抗はあるがジュリエッタの用意周到な策略になす術もなく敢え無く白旗を上げる。
「分かりました。誠心誠意尽くす事を誓います」
「そんな訳でヴェル君、これから宜しくね。あ~なんだか肩の荷が降りた気がしましたよ。ジュリエッタに合う同じぐらいの歳頃の婚約者なんて、絶対にいないと思っていましたから」
「えっ、相当話を盛られてませんか?それって?」
「私は話なんか盛ってないわよ。勉強は家庭教師より上で教養は既に貴族レベル、神童と呼ばれてもそれに奢らず常に向上思考、礼儀作法や言葉遣いは貴族並み、しかも、かわいい歳下。こんな条件のいい男の子なんて、存在自体が奇跡よ」
ジュリエッタは自慢気にそう言ったあとに、ドヤ顔をしてこっちを見ると思わず溜息を吐く。
「いや盛りすぎでしょうが。それは僕が自信が無いから努力を常にしているだけで…」
「だから、それがヴェルの凄さじゃない?威張る事なく、自慢する事無く、普通なら現状で満足して終わりよ」
「確かにね。ジュリエッタの言うとおりね。それよりもそうね。少しヴェル君の算術の実力に興味があるわ。今から読み上げる数字を計算してみてくれないかな?」
「意図が読めませんが、やってみます」
そう答えると、ジュリエッタの母は机に置いてあった紙を取り、まるで珠算教室の読み上げ暗算のように、書かれた数字を読み上げる。
「その答えは?」
「315,391ですね」
数字を覗きこんでいたジュリエッタも指で数字を指して驚く。
「合ってる…何で出来ちゃうわけ~?ありえないわ。家で雇っている文官でも紙とペンを使わずに答える人なんていやしないわ。ヴェル君、騎士なんかやめて私専属の文官にならない?給金なら文官の倍、いえ3倍払うから、ねっお願い」
伯爵夫人は、赤ちゃんを抱えたまま片手で俺の手をって、真剣な目をして説得する。
「お母様、私のヴェルを取らないでよ!」
ジュリエッタが涙目でそう訴えると、伯爵夫人は慌てて掴んでいた手を離して申し訳なさそうな顔をする。
それにしても私のヴェルって…照れるじゃないか。ってなに少女に言われて喜んでんだ!オレ!
「ジュリエッタごめんなさい。つい感動して本音が口に出てしまったわ」
それにしては具体的な数字を出していたじゃないか?食えない親子だよまったく。美人と美女親子だと得だな。あの調子で頼まれたら断れるやつはそうそういないだろ…
「ひとつ提案なんですが、僕がこの屋敷にいる間は文官としての仕事を手伝うというのはどうでしょう」
見兼ねてそう言うと二人は「その手があったか」と、口を揃える。親子だなまったく。
「その話、乗ったわ。お給金は出来高払いでいいわね」
「とんでもない、お金なんていりませんよ」
「駄目よ、働いたらお金を貰う。それが社会のルールだからね」
これ以上断ると、機嫌を損ねかねないので受け取ることにした。
「分かりました。それでお願いします」
「交渉成立ね。それじゃ、私がいなかった間に溜まった書類の整理をお願い出来るかな?」
「はい。がんばります。その書類はどちらにあるのでしょうか?」
「ジュリエッタ。ウェールズを少しの間、見ていてくれる?」
「はい、お母様」
伯爵夫人は、授乳中に寝てしまった赤ちゃんをジュリエッタに渡し、マタニティードレスを直して、ピンク色のカーデガンを羽織った。その昔、友人に子供が生まれた時に見舞いに行った事があるが、似たような感じで随分と懐かしい。
「それじゃ、ゲップが出るまでお願いね。出たら寝かせてくれたらいいから」
「分かったわ。私もヴェルを手伝うから、用事が済んだら直ぐに戻って来て」
「分かってるわよ」
そう言うと夫人は早速ドアに向かって歩き出したので、俺は慌てて後を追った。
ジュリエッタの後に部屋に入ると、ジュリエッタに良く似た赤い髪の美しい女性が、ベージュのマタニティドレス姿で赤ちゃんに授乳していた。今は子供であるが恥ずかしいったらありゃしない。
そう、ジュリエッタの母親は思わず拝みそうになるぐらい美乳だった。オレはいったいこんな時に何んて事を考えているんだ!!いかんいかん。すぐに視線を外さなければ。
そう思った俺はしっかりガン見してから視線を外し深呼吸する。ジュリエッタも将来の成長に期待大だ。「結婚する時には母親を見るべし。20年後の姿だ」とはよく言ったもんだ。
「お初にお目に掛かります。お嬢様からご紹介に預かりました、ヴェルグラッド・フォレスタと申します。二年もの間、挨拶が遅れた事を深くお詫び申し上げます」
左足を引いて、手を胸に当て、そして出来るだけ優雅に見せるように挨拶をする。女性のカーテシーに対して行うボウ・アンド・スクレープってやつだ。
貴族社会において礼儀作法は重要なものである。武芸の鍛錬、政治の知識など、様々な分野も無論大事ではあるが、第一印象が悪ければ話も聞いてはくれない事も度々あるそうだ。
なので自分自身も幼い頃から、頭を下げる角度、タイミングなどの練習を重ねた。その集大成が今の自分の挨拶である。
「噂には聞いていたけど驚きだわ。入って来た時は顔が強張っていたのに、その落ち着きように言葉の言い回し、それに礼儀作法、あなた本当に9歳なの?ジュリエッタも異常だと思っていたけど、あなたは更に上を行くのね。ヴェル君とお呼びしていいかしら?」
「はい。お好きなようにお呼び下さい。それに、いつも伯爵閣下やお嬢様には目をお掛けいただいて感謝をしております。これからもどうぞよしなに」
先ほどの雑念は緊張だと捉らえてくれたようだ。子供で良かった。
「もういいわ。噂って尾ひれ背びれがついて普通はがっかりすることが多いのだけど、ヴェル君は噂以上ね。合格よ。ジュリエッタ、あなたの騎士はヴェル君で文句はないわ」
「やったね。小難しいお母様を一発で認めさせるなんてさっすがー。こんな事ならもっと早くお母様に紹介をするべきだったわね」
「ちょっと~。あなたそんな風にお母さんの事を見ていたの?」
「お母様も私の事を異常だと思っていたんでしょう?おあいこだわ。それよりもヴェル。私の弟のウェールズよ。かわいいでしょ?」
ジュリエッタは満面の笑みを浮かべながら、赤ちゃんの頬をぷにぷにと押す。
「それにしては、今日ヴェル君を迎えにいくと言ったら、ウェールズの世話を放りだしてまで行くと泣きついていたじゃないの?行っていいって言った時のあなたの顔を忘れられないわ」
「へ~。そうなんだ~」
「あら?そう?そんな昔のことはもう忘れたわ」
鳴らない口笛を吹こうと口を尖らせてフーフしている。
「そんな事よりヴェル君、本当にジュリエッタに決めていいの?専属騎士になると言う事は結婚の約束、つまり婚約と同義なのよ?」
「えっ!!婚約なんて、そんなの聞いてません。それって本当の話なんですか?」
「ええ。未婚者が専属騎士になった場合はね。お互いにいつも傍にいて命を懸けて守るのですもの。ある意味で夫婦よりも絆は深いのよ」
「ジュリエッタは、本当にそれでいいのかい?」
「もちろんよ。ヴェルなら文句はないわ。以前一度好きだと言ったじゃない?」
もうこうなると青田買いと言うより、見初められたと言ったほうがしっくりくる。若干狼狽えながらジュリエッタの顔を見るが、より満面の笑みである。ジュリエッタは最初からこうなる事を望んでいたようだ。
ここで一発ギャグをカマシて誤魔化す事も考えたが、そんな雰囲気でもない。なんだ、このピンク色の空気!
ジュリエッタの事が好きか嫌いかと聞かれたらもちろん好きだ。だがそれは異性としてと問われると気持ちが揺らぐ。
あの夢で死んでしまったヴェルとは明らかに違う人生を歩んでいる。でも、いったいどうしてこうなった。
そうは言っても、答えを早急に出さなければならない。ここまで来て今更茶を濁すなど出来る筈もない。覚悟を決める。
「はい。お嬢さんの隣にいても、恥ずかしくない大人になれるように努めて参ります。ですが、答えは少しお待ちいただいても宜しいでしょうか?」
「えっ、なんで?ここまできて何か問題があるの?」
ジュリエッタはかなり不満気だ。当然俺が即答すると思ったのだろう。
「そうじゃないって。肝心の伯爵閣下がどう言うか分からないじゃないか?それに僕の両親にも許可を貰わないと」
「ああそれね。それなら心配無用よ。もう全員に許可は貰ってるから」
「えっ、お父様とお母様にもですか?」
「ええ。そうよ。これを見る?あなたの両親からの承諾書よ。文面を見てごらんなさいな。もの凄く乗り気だから」
承諾書を見ると、
【この良縁を喜んでお受けします。 アルフォンス・フォレスタ】
【息子はまだ9歳と、まだまだ至らない面が多々ございますが、どうぞ息子の事を宜しくお願いします。 グレース・フォレスタ】
と、見覚えのある筆跡で書かれている。
『何たる茶番で出来レースなんだ!知らぬは俺だけだったなんて!この歳で外堀を埋められるなんてありえねーだろ』
そんな心の声など誰にも届く筈も無かった。
いきなり専属騎士になると言うのは、独身者の場合は婚約と同じ扱いになると告げられた俺は、気持ち抵抗はあるがジュリエッタの用意周到な策略になす術もなく敢え無く白旗を上げる。
「分かりました。誠心誠意尽くす事を誓います」
「そんな訳でヴェル君、これから宜しくね。あ~なんだか肩の荷が降りた気がしましたよ。ジュリエッタに合う同じぐらいの歳頃の婚約者なんて、絶対にいないと思っていましたから」
「えっ、相当話を盛られてませんか?それって?」
「私は話なんか盛ってないわよ。勉強は家庭教師より上で教養は既に貴族レベル、神童と呼ばれてもそれに奢らず常に向上思考、礼儀作法や言葉遣いは貴族並み、しかも、かわいい歳下。こんな条件のいい男の子なんて、存在自体が奇跡よ」
ジュリエッタは自慢気にそう言ったあとに、ドヤ顔をしてこっちを見ると思わず溜息を吐く。
「いや盛りすぎでしょうが。それは僕が自信が無いから努力を常にしているだけで…」
「だから、それがヴェルの凄さじゃない?威張る事なく、自慢する事無く、普通なら現状で満足して終わりよ」
「確かにね。ジュリエッタの言うとおりね。それよりもそうね。少しヴェル君の算術の実力に興味があるわ。今から読み上げる数字を計算してみてくれないかな?」
「意図が読めませんが、やってみます」
そう答えると、ジュリエッタの母は机に置いてあった紙を取り、まるで珠算教室の読み上げ暗算のように、書かれた数字を読み上げる。
「その答えは?」
「315,391ですね」
数字を覗きこんでいたジュリエッタも指で数字を指して驚く。
「合ってる…何で出来ちゃうわけ~?ありえないわ。家で雇っている文官でも紙とペンを使わずに答える人なんていやしないわ。ヴェル君、騎士なんかやめて私専属の文官にならない?給金なら文官の倍、いえ3倍払うから、ねっお願い」
伯爵夫人は、赤ちゃんを抱えたまま片手で俺の手をって、真剣な目をして説得する。
「お母様、私のヴェルを取らないでよ!」
ジュリエッタが涙目でそう訴えると、伯爵夫人は慌てて掴んでいた手を離して申し訳なさそうな顔をする。
それにしても私のヴェルって…照れるじゃないか。ってなに少女に言われて喜んでんだ!オレ!
「ジュリエッタごめんなさい。つい感動して本音が口に出てしまったわ」
それにしては具体的な数字を出していたじゃないか?食えない親子だよまったく。美人と美女親子だと得だな。あの調子で頼まれたら断れるやつはそうそういないだろ…
「ひとつ提案なんですが、僕がこの屋敷にいる間は文官としての仕事を手伝うというのはどうでしょう」
見兼ねてそう言うと二人は「その手があったか」と、口を揃える。親子だなまったく。
「その話、乗ったわ。お給金は出来高払いでいいわね」
「とんでもない、お金なんていりませんよ」
「駄目よ、働いたらお金を貰う。それが社会のルールだからね」
これ以上断ると、機嫌を損ねかねないので受け取ることにした。
「分かりました。それでお願いします」
「交渉成立ね。それじゃ、私がいなかった間に溜まった書類の整理をお願い出来るかな?」
「はい。がんばります。その書類はどちらにあるのでしょうか?」
「ジュリエッタ。ウェールズを少しの間、見ていてくれる?」
「はい、お母様」
伯爵夫人は、授乳中に寝てしまった赤ちゃんをジュリエッタに渡し、マタニティードレスを直して、ピンク色のカーデガンを羽織った。その昔、友人に子供が生まれた時に見舞いに行った事があるが、似たような感じで随分と懐かしい。
「それじゃ、ゲップが出るまでお願いね。出たら寝かせてくれたらいいから」
「分かったわ。私もヴェルを手伝うから、用事が済んだら直ぐに戻って来て」
「分かってるわよ」
そう言うと夫人は早速ドアに向かって歩き出したので、俺は慌てて後を追った。
0
お気に入りに追加
141
あなたにおすすめの小説

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
疲れ切った現実から逃れるため、VRMMORPG「アナザーワールド・オンライン」に没頭する俺。自由度の高いこのゲームで憧れの料理人を選んだものの、気づけばゲーム内でも完全に負け組。戦闘職ではないこの料理人は、ゲームの中で目立つこともなく、ただ地味に日々を過ごしていた。
そんなある日、フレンドの誘いで参加したレベル上げ中に、運悪く出現したネームドモンスター「猛き猪」に遭遇。通常、戦うには3パーティ18人が必要な強敵で、俺たちのパーティはわずか6人。絶望的な状況で、肝心のアタッカーたちは早々に強制ログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク役クマサンとヒーラーのミコトさん、そして料理人の俺だけ。
逃げるよう促されるも、フレンドを見捨てられず、死を覚悟で猛き猪に包丁を振るうことに。すると、驚くべきことに料理スキルが猛き猪に通用し、しかも与えるダメージは並のアタッカーを遥かに超えていた。これを機に、負け組だった俺の新たな冒険が始まる。
猛き猪との戦いを経て、俺はクマサンとミコトさんと共にギルドを結成。さらに、ある出来事をきっかけにクマサンの正体を知り、その秘密に触れる。そして、クマサンとミコトさんと共にVチューバー活動を始めることになり、ゲーム内外で奇跡の連続が繰り広げられる。
リアルでは無職、ゲームでは負け組職業だった俺が、リアルでもゲームでも自らの力で奇跡を起こす――そんな物語がここに始まる。
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる