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はじまり
精霊王は怒っています 2 改稿
しおりを挟むダークに有無を言わさず抱えられたライラは王城の与えられた部屋へと強制的に戻らされていた。
今なお、不服そうに顔を顰めるダークと向き合い大きく咳払いをする。
「ダーク!?貴女は何て無茶をするのですか!!相手は竜王ですよ!?」
本当になんて無謀な真似をするのかと、あの場にいたときライラは生きた心地がしなかった。
このさい、ライラを無断で部屋から連れ出したことは置いておくとしよう。
だが、竜王に喧嘩を売ったことだけは見過ごすわけには行かなかった。
それを伝えるために、幼い体を震わせ憤りを露にするが、その姿に迫力はない。
『…………あいつはお前に矢を放ったではないか。敵意がなくとも、魔力を向けたんだ。首を刎ねられても文句は言えまい。それに彼奴からは嫌な臭いがした。』
強く言い切るダークにどう伝えればいいか、ライラは考えを巡らせる。
確かに、なんの予告もなく矢を放たフワンカに非があるのは確かだが、あそこで争っていたらダークだって無事では済まなかったはずだ。
「気持ちは嬉しいですし、私を助けて下ったことは本当に感謝しています。ですが、あの場で戦えば貴女だって怪我をしたかも知れないんですよ?」
精霊王がどれほどの力を持っているの何てライラは想像もつかないのだが、
『私があんな若造に傷つけられるとでも?ありえんな。要らぬ心配をするな』
その自信気な姿に思わず目を瞬く。
「ですが・・・・・・、」
言い淀むライラの腕を引き、自身の腕の中へ抱き寄せたダークはその力を強める。
『お前は弱い。非力だ。何の力も持たず、自分を守るすべも知らない。だが、私には守る力がある。手の届く場所に守るべき者がいるのになぜ指を咥えて見ていなければならない?少しでも、危害を咥えそうなものを消して何が悪い?』
表情は見えなかったが、あまりにも切実に訴えかけるその声にライラは何も言えなくなってしまう。
『私はお前を失いたくない。』
精霊は契約者を第一に考える存在ではあると聞いていはいたがここまで執着するのだろうかと、小さな疑問がライラの中で生まれる。
「・・・・・・確かに、私は強くはありません。貴女から見たら赤子も同然でしょう。でも、これから強くなります。貴女が無理をしないように、私も貴女の負担にならないように努力します。だから、貴女も無理はしないでください。」
抱きしめられたダークの背にライラも腕を伸ばす。
まだ、出会ったばかりの二人である。
これから互いを知っていけばいい。
『分かった。だが、私が大丈夫だと判断するまで、お前の守りは私がする』
「・・・・・・お手柔らかにお願いします。」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・加減はする。』
ぽそりと呟いたダークの言葉にライラは苦笑いを浮かべた。
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