2 / 9
始まり
嫌な予感
しおりを挟むいよいよ明日は入学式の日。
私専属のメイドのミアも、ものすごく張り切っている。私以上に。
「さあっ!!お嬢様!!御髪をとかせていただきますね!!念入りに肌のケアもしなくては!!なんて言ったって明日はお嬢様の記念すべき初の登校日なのですから!!」
「あ...うん...。よろしくお願いね....。(これは長くなりそうね....)」
やっと終わった.....。ミアの本気をなめてたわ....。
髪をといて、なんかクリームみたいなのつけて、顔パックして、爪を研いて、肌のケアして....世の中の女の子って大変なのね...。いや私も女だけど。
はぁ、疲れたからもう寝よう。明日何も起こらないといいなぁ。
でも、なんか嫌な予感がするのよね。
こういう時の予感って大抵当たるからなぁ....
そんな事を考えているうちに私は眠りについてしまった。
翌朝、またもやミアのケアによってぐったりしてしまった私だけど気を取り直して学校へと向かった。
もちろん移動は馬車。だけどものすごく揺れるし疲れるのよね。車がいいわやっぱり。
学校に着くともう生徒たちが登校し始めていて賑わっていた。
「.....でか。」
有名な公爵家や貴族家の子供が通うんだからもちろん大きい学校だとは思ってたけど....それにしてもでかい。東京ドーム何個分で表せる感じだ。
管理もきちんと行き渡っていて、そこら中に薔薇が咲き乱れている。
10分以上かかるであろう距離のある校門と校舎の間には大きな噴水や、ベンチがある。
英国のバロック式をイメージさせるような校舎はピカピカで一周しようと思ったら1時間は軽く超えるだろうというレベル。
前の高校の入学式と同じ感じかなーとか思ってた昨日の私を殴りたい。
こんなところでやっていけるのかしら私...。
「お嬢様、行ってらっしゃいませ。また、午後にお迎えに参ります。」
「え、ええ。ありがとう。では、行ってきますね。」
(もうすでに帰りたいんだけど....)
校門をくぐると先生らしき人が立っていて、ペンダントのようなものを渡された。校章バッチらしい。
.....ん??なにか妙に周りから視線を感じる。すると、周りからこんな声が聞こえてきた。
「まぁ。レーチャル家のご令嬢よ。なんてお綺麗なのかしら。」
「まぁ!ほんと!リリー様よ!!あの日の光に輝く黄金色の御髪に、宝石のように美しい瞳。白く透き通った肌で鼻筋の通った御鼻。薄い唇がまた色気を醸し出されていて、本当にお美しいわ!!!」
は、恥ずかしい!!!な、なに!?あなたは詩人か何かなのかしら!?
急にべた褒めされても、恥ずかしいだけなんですけど!?ていうか声が大きいのよ!!
そう、すっかり忘れてたのだ。昔の私はごく普通の女子高生だったけど、今は違うんだ。言うなれば、超絶美少女。道を歩けば誰もが振り返るほどの美しさ。
これは目立つわね....。目立ちたくないのになぁ。
私は普通の生活を送りたいわ...。平穏な日々を...。
いたたまれない気持ちになりながら、足を早めてクラス発表されている掲示板の方に向かった。
掲示板の辺りはすでに賑わっていて、人が大勢いた。
クラスを確認すると、私はD組のようだった。
D組かぁ...。知り合いは1人もいないし、一から友達作らなきゃいけないのね。
すると突然、
「きゃあー!!!!!」
と、ひときわ大きい女子生徒の声がした。
驚いて振り返ると、そこにはこの世のものかと思えないほどの美形な男子生徒が立っていた。つくりもののような美しさである。
しかし、なぜだか見たことがある気がする。
その男子が歩く度に女子の声はさらに一層大きくなる。
あ、耳元で叫ばないで。
「きゃあー!!!ブラウン様よ!!なんて麗しいのかしら!!!」
へぇ、ブラウンっていうのねこの人。
ん?ブラウン?聞いたことある名前だなぁ。
するとまたもや、詩人チックな女子生徒が
「アレクサンド=ソフィアナ=ブラウン様よ!!!
あぁ国王陛下に似ていらっしゃるだけあって、お美しいわ...!!あの黒髪のさらさらな御髪に切れ長で澄んだ瞳...!なんて神々しいのかしら...!!」
とまぁご丁寧に説明してくれた。
なるほど、どっかで見たことあるなぁ思ったら国王主催の夜会で一度だけ会ったことがあるんだわ。
とは言ってもチラッと見ただけで話しかけたりはしなかったけどね。
でもこんな目立つ人と一緒のクラスだったら嫌だなぁ。女子がめんどくさそうだし。
同じクラスなりませんようにと祈りながら、クラス表に目を向けると....
まさかの同じクラス....。
あぁ...詰んだわ....。さようなら私の平穏な学校生活。
嫌な予感ってやっぱり当たるわね。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
【完結】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか?
曽根原ツタ
恋愛
「クラウス様、あなたのことがお嫌いなんですって」
エルヴィアナと婚約者クラウスの仲はうまくいっていない。
最近、王女が一緒にいるのをよく見かけるようになったと思えば、とあるパーティーで王女から婚約者の本音を告げ口され、別れを決意する。更に、彼女とクラウスは想い合っているとか。
(王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは身を引くとしましょう。クラウス様)
しかし。破局寸前で想定外の事件が起き、エルヴィアナのことが嫌いなはずの彼の態度が豹変して……?
小説家になろう様でも更新中
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
離婚ですね?はい、既に知っておりました。
杉本凪咲
恋愛
パーティー会場で、夫は離婚を叫ぶ。
どうやら私が他の男性と不倫をしているらしい。
全くの冤罪だが、私が動じることは決してない。
なぜなら、全て知っていたから。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
あなたが望んだ、ただそれだけ
cyaru
恋愛
いつものように王城に妃教育に行ったカーメリアは王太子が侯爵令嬢と茶会をしているのを目にする。日に日に大きくなる次の教育が始まらない事に対する焦り。
国王夫妻に呼ばれ両親と共に登城すると婚約の解消を言い渡される。
カーメリアの両親はそれまでの所業が腹に据えかねていた事もあり、領地も売り払い夫人の実家のある隣国へ移住を決めた。
王太子イデオットの悪意なき本音はカーメリアの心を粉々に打ち砕いてしまった。
失意から寝込みがちになったカーメリアに追い打ちをかけるように見舞いに来た王太子イデオットとエンヴィー侯爵令嬢は更に悪意のない本音をカーメリアに浴びせた。
公爵はイデオットの態度に激昂し、処刑を覚悟で2人を叩きだしてしまった。
逃げるように移り住んだリアーノ国で静かに静養をしていたが、そこに1人の男性が現れた。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※胸糞展開ありますが、クールダウンお願いします。
心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。イラっとしたら現実に戻ってください。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる