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第82話 俺は奴隷だけど自由だ

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『ナイトメアゴーレム』の巨大な拳が
アレクシアに向かって振り下ろされ
彼女はとどめを刺される寸前だった。



しかし、その瞬間!

レオが光のような速さで駆け寄り
アレクシアを抱き上げた。





ゴーレムの攻撃が地面に炸裂し
地面が割れたが
レオはそれをかわし
アレクシアを安全な距離まで連れて行った。







「アレクシア様
大丈夫ですか?」

レオは
アレクシアを支えながら焦りの中にも
優しい声で問いかけた。






アレクシアは痛みに顔をしかめながらも
何とか立ち上がろうとした。

「ありがとうございます
レオ殿」




レオは

「俺が奴らをここで食い止めます
アレクシア様は先に進んでください」

と穏やかに微笑み
彼女を見つめた。





アレクシアは慌てて

「あんな手強い相手をお一人で相手にするなんて無茶です!」




するとレオは

「大丈夫です
アレクシア様

俺が何とかします

それよりも…
今は生贄いけにえにされてしまう
街の人々を助けるのが先です」



「!」






アレクシアは複雑な表情を浮かべたが
レオの決意に満ちた表情を見て
その言葉を飲み込んだ。





レオは真剣な目でアレクシアを見つめ続けた。





「ここは俺に任せてください。

あなたには
守るべき命が待っている

どうか
街の人たちを助けて」






アレクシアはその言葉に心を揺さぶられた。


レオの微笑みには確かな自信があり
彼が必ずやゴーレムとラミアを倒すという強い意志が伝わってきた。





アレクシアは一瞬だけ目を伏せ
そして再びレオを見つめた。






「わかりました

生贄の人たちを助けます…

でも、レオ殿
無事で戻ってきてくださいね」







アレクシアは剣を握りしめ
決意の表情を浮かべた。


「もちろんです、必ず!」




レオはにこりと笑い
アレクシアを送り出した。




アレクシアは迷わず方向転換し
街の外れに向かって走り出した。



森の奥で拘束されているという人々を救うために
アレクシアは今や使命を全うしようとしていた。



その背中を見送りながら
レオは剣を構え直し
『ナイトメアゴーレム』とラミアに向き直った。





それを見たラミアは

「逃げられるとでも思ったか!」

と叫び
アレクシアを追跡しようとしたが
その前にレオが立ちはだかった。





「俺が相手だ」


レオは自らの決意を込めて
静かに呟いた。




ラミアはレオの行動を見て
一瞬首を傾げ
次の瞬間
嘲笑を込めて大声で笑い出した。





奴隷風情どれいふぜいが何を言っているのか?」


ラミアはステータス画面を見せつけるようにしながら
その表情に余裕が浮かぶ。



「ほら、見なさい
あなたの職業は『奴隷』

レベルはたったの51ですって

そんな低いレベルで
しかも奴隷が私に立ち向かうなんて……
正気なの?』」




レオはその言葉に動じることなく
じっとラミアを睨みつけた。



レオは薄ら笑いを浮かべながら

「だったら、試してみるんだな」

と応えた。



その言葉にラミアは最初こそ呆れたような表情を浮かべたが
すぐにその顔が冷酷なものへと変わった。



ラミアの目にはもう先ほどの嘲笑はなく
代わりに鋭い憎悪と殺意が宿っていた。





「奴隷が生意気なことを
言ってはいけないってルールがあるの

知らないみたいね

いいわ
教えてあげる」



ラミアは冷たく言い放ち
背後に従える二体のモンスターに目配せをした。





「『ブラッドドラゴン』、『ナイトメアゴーレム』
この無礼な奴隷をここで
始末してしまいなさい!」



その瞬間
巨大なブラッドドラゴンが吼え
真紅の翼を大きく広げながらレオに向かって飛びかかった。



『ナイトメアゴーレム』もまた
黒曜石の拳を振りかざし
圧倒的な力でレオを押しつぶそうとする。





だが
レオは一歩も退かず
その場にしっかりと立ち続けた。



レオの眼差しは鋭く
強い決意が込められていた。





「俺は『奴隷』だけど
自由で幸せだ

そんな俺を受け入れてくれるみんなを
俺は守る必要がある」


レオは剣をしっかりと構え
迫り来る強敵たちに向かって
呟くように言った。


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