奴隷と呼ばれた俺、追放先で無双する

第61話 ヒロインたちと同調させる力

その時だった

レイヴァンはふと違和感を覚え
アレクシアの背中を見下ろした。


確かに深く斬りつけたはずの傷が
いつの間にか血の流れが止まっていたのだ。


「……おかしいな
ちゃんと斬りつけたはずなのに……」


レイヴァンは困惑しながら
再び槍を振り上げ
今度こそ確実にアレクシアの命を奪おうとした。


その瞬間
アレクシアが急に動き出した。




「うあああっ！」


アレクシアは叫びながら一気に起き上がり
血に染まった手で聖剣『セラフィム』を振りかざし
レイヴァンの喉元を狙って剣を振り上げた。




レイヴァンは驚愕し
一瞬で反応してその攻撃をかわしたが
完全に避けきれず
首にかすり傷を負った。


「くっ……！」

レイヴァンはその傷に手を当てながら
信じられないという顔でアレクシアを見つめた。




アレクシアは
血まみれの顔を拭うことなく
フラフラとしながらも必死に立ち上がり
鋭い瞳でレイヴァンを睨みつけた。


アレクシアの体は限界を超えていたが
その目には未だ闘志が燃えていた。



レイヴァンは驚愕し
思わず後ずさりしながら

「どこにこんな力が……？

どうして
立ち上がれる……？」

とアレクシアに問いかけた。



アレクシアはフラフラとしながらも
目の前のレイヴァンに
毅然とした態度で立ち向かい
強い意志を込めて語り始めた。



アレクシアは口の中を
切って痛みに耐えながらも
力強く声を発した。


「私たちは……

『世界最強のレオ』と
常に一緒にいるのよ……


戦う時も
食事をする時も

そして
私はレオ殿と体を重ねた
たくさん愛し合った……

だからこそ
私たちは強くなっている
今この瞬間もね」


リリスも苦しみながら
アレクシアの言葉を支えるように続けた。




「レオ殿は『パワーシンク』というスキルを持っているわ

自分のエネルギーや能力を
愛する相手のエネルギーとゆっくりと同調させる力なの

特に、性行為を行ったときに大きな効果を発揮するのよ」



アレクシアは苦痛に顔を歪めつつも
強気な笑みを浮かべた。




「最初はあなたが怖いと思ったけど
気づけば本能的にあなたの戦力を
冷静に分析していたわ

これもレオ殿の力」


レイヴァンはその言葉に一瞬動揺したが
すぐに嘲笑を浮かべた。




「バカな……
お前なんかに俺の戦力を
分析できるわけがないだろう


それにレオだと？
ただの『奴隷』だろう？
魔王ヴァルドス様は
そんな存在は相手にする価値がないと判断したんだ」


レイヴァンは笑いながら続けた。



「そんなことで強くなれるはずがない

お前らは幻想に騙されているだけだ」


レイヴァンの嘲笑を受けても
アレクシアとリリスは動じなかった。




アレクシアとリリスたちは
レオから吸収したことが
ただの幻想ではなく
自分たちの中で確かな力として
根付いていることを知っていた。




そして
その力が彼女たちを支え続けていた。