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第60話 崩れゆくヒロインたち

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レイヴァンは
冷ややかな笑みを浮かべながら倒れ込んだリリスに
ゆっくりと歩み寄っていった。



レイヴァンの足音が近づくたびに
リリスの胸には焦りと恐怖が広がる。



しかし
リリスの魔力はレイヴァンの圧倒的な闇の力によって封じ込められ
回復魔法さえもまともに使えなくされていた。





「無駄だ

今のお前に何ができる?」


とレイヴァンは冷たく言い放ち

リリスの喉元に手を伸ばそうとしたその時
不意に背後から力強い声が響いた。




「待ちなさい!」

それは
血だらけのアレクシアの声だった。



アレクシアは痛みに耐えながら
ふらつきつつも必死に立ち上がり
手には聖剣『セラフィム』を握りしめていた。



アレクシアの右手は傷つき
血で染まっていたが
その瞳には決意の炎が燃え続けていた。





「リリス様を放しなさい!」



アレクシアは
苦しさを押し殺しながら
レイヴァンに剣を向けた。



アレクシアの体は限界を迎えつつあったが
仲間を守るため
勇敢に彼の背後から立ち向かおうとしていた。





レイヴァンは一瞬振り返り
アレクシアの立ち姿を見て冷笑を浮かべた。



「まだ立ち上がるとは……

だが
その傷ついた体で何ができる?
無駄な抵抗だ」


それでも
アレクシアは一歩も引かず
レイヴァンに向けて剣を構え続けた。




レイヴァンは冷笑を浮かべたまま
高速でアレクシアの背後に瞬時に回り込んだ。



ーーーーーーーッズズ!!!!!!


アレクシアが気づく間もなく
レイヴァンは槍を一閃し
その鋭い刃がアレクシアの背中を切り裂いた。




「きゃああっ!」



アレクシアは悲鳴をあげ
痛みに全身が震えた。



傷は致命的ではなかったが
背中には大きく開いた傷口ができ
アレクシアの服は瞬く間に血で染まった。



アレクシアはあまりの激痛に耐えきれず
手から聖剣『セラフィム』を落とし
膝をついた。




「これが限界か、女勇者よ」


レイヴァンは冷酷な声で嘲笑しながら
アレクシアを見下ろした。



アレクシアは地面に手をつき
何とか立ち上がろうとしたが
激痛が全身に広がり
体が言うことを聞かない。



「まだ……終わってない……!」


アレクシアは声を振り絞ったが
その力は明らかに弱まっていた。



アレクシアの背中からは血が流れ続け
その痛みが意識を鈍らせていた。





レイヴァンは膝をついている
アレクシアにゆっくりと歩み寄り
そのまま彼女を無情に地面へ押し倒した。



傷口がさらに開くように
レイヴァンは冷酷にアレクシアの
背中の傷に足を乗せ
体重をかけて踏みつけた。





「ぐあああっ!」

アレクシアは再び悲鳴を上げ
激痛が全身を貫いた。



背中の傷はさらに深まり
アレクシアの服は血で真っ赤に
染まっていった。



無力に地面に伏したまま
アレクシアは必死に耐えていたが
身体はもう限界に近かった。





その様子を見たリリスは
何とか起き上がり
レイヴァンを止めようとナイフを抜き取り
レイヴァンに向かって投げた。



しかし
レイヴァンはそれを冷笑しながら
素手で簡単に受け止めた。





「こんなもので
私を倒そうとするとは……」

とレイヴァンは嘲笑し
ナイフをすぐさま投げ返した。



「うううっ!!!」

ナイフはまっすぐリリスの左肩に突き刺さり
彼女は苦痛の叫びを上げた。




「リリス様……!」

アレクシアは声を絞り出したが
体は動かない。



リリスの肩からはおびただしい血が流れ
彼女もまた
痛みに耐えながら倒れかけていた。





レイヴァンは二人の無力な姿を見下ろし
勝利を確信したかのように冷たく微笑んだ。



「二人とも
もう終わりにしよう

抵抗することに意味はない」

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