奴隷と呼ばれた俺、追放先で無双する

第57話 ヒロインたち、別の戦場へ

レオは戦いながら
別の城門が襲撃を受けていることに対して
対策を練っていた。



その時
城兵の一人が息を切らしながら
駆け寄ってきて

「私たちも戦います！一緒にゴブリンを撃退しましょう！」


と強い決意を示した。


しかし
リリスはすぐにその申し出を拒否した。
彼女は冷静だが強い口調で言い放つ。




「ダメよ！魔王の力を得たゴブリンは
恐ろしい速度で動くの

100メートルをわずか2秒で走るほどのスピードよ

あなたたちでは対応しきれない
危険だから下がっていてください！」




リリスの叫びに
城兵たちは驚きながらも
彼女の言葉の重さを理解し
一歩引き下がった。


彼女はすでにゴブリンの脅威を見抜き
レオやアレクシアとともに前線での戦いに備えていた。



アレクシアはすぐに城兵たちに向かって叫んだ。


「それよりも
城門の修復と情報収集をお願いします！

私たちが前線で戦うので
皆さんは後方を守ってください！」




レオは
別の城門が襲撃されているという報告を聞いて
すぐに冷静に状況を判断した。


目の前のゴブリンの数は減ったはずだったが


しかし！


いつの間にかその数が再び増えており
今や2000体以上に膨れ上がっていた！



それでも
レオは一瞬も怯むことなく
アレクシアとリリスに向かって言葉を投げかけた。




「リリス様
アレクシア様
もう一つの城門が危機に瀕しています

お二人はそちらの援護に向かってください

ここは
俺一人で何とかしますので」




その言葉に
アレクシアは驚きの表情を浮かべ
「レオ殿、一人では危険すぎます！」


と声を上げた。


リリスも同じく心配そうに眉をひそめながら

「レオ殿、ゴブリンの数は予想以上に増えています

魔王の力を得た彼らに一人で立ち向かうのは無謀です」


と諭すように言った。



しかし
レオは微笑みを浮かべて二人を見つめた。


レオの目には
揺るぎない自信と決意が光っていた。


「お二人のご心配はありがたいですが
大丈夫です

これまで何度も危機を乗り越えてきました

今回も俺にお任せください

お二人は城門を守り
ヴァレンティア王国を守るために尽力してください」




アレクシアとリリスはレオの言葉に一瞬ためらったが
レオの強い意志を感じ取り
互いに視線を交わした後
ゆっくりと頷いた。




「分かりました、レオ殿

どうか無事でいてください」


とアレクシアが言い
リリスも続けて


「レオ殿
必ず戻ってきてくださいね」


と心配そうに言葉を添えた。




レオはその二人の言葉に微笑み返し
力強く頷いた。


「必ずお二人のもとへ戻ります

ご安心を」




そう言うと
リリスとアレクシアは別の城門へと急いだ。


レオは背後に迫るゴブリンたちを見つめ
魔力を高めながら
その場に立ち向かう決意を固めた。


レオの目の前には
2000体に増えたゴブリンが押し寄せてくるが
彼の心には一切の迷いはなかった。


レオは剣を構え
一瞬の隙も見せずに次々とゴブリンたちを切り裂いていった。


秒単位で数体が倒され
その動きはまさに風のように速く
正確だった。


レオの剣は光のように輝き
ゴブリンたちを一瞬で葬り去っていく。



それを見たアレクシアとリリスは
一瞬不安が和らいだ。


レオの強さを改めて感じた二人は
心配しつつも少し安心し
別の城門へと向かう決意を固めた。


「レオ殿なら大丈夫……」

と
二人は胸にそう言い聞かせながら
戦場を駆け抜けた。