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最終章 僕たちの未来へ☆
最後の舞台は白薔薇で!
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東京中に戸倉の部下による爆破事件が頻発して、警察が対処に追われている今、赤坂の元白薔薇があったビルに意識を向ける者は誰もいなかった。
ビルの20階。
かつて奴隷少年たちが暮らしていた階のエレベーター前フロア。
そこには4本の十字架が立てられていた。
十字架は横に並べられて、右から優、ヒロ、カオル、そして雪彦の人形が縛られて並べられていた。
3人は白いハイソックス裸で首輪を嵌められて、手枷足枷を十字架に繋がれている。
そしてかつて少年たちの居住フロアに置かれていた雪彦の人形は、当時と同じハイソックス裸を縄で緊縛された姿だった。
裏が襲撃してきた時に東に撃たれた弾跡が痛々しく見える。
ヒロたち3人は戸倉の部下である岡崎、馬場、木曽に激しい凌辱を受け、その疲労から皆、息も絶え絶えで首をガクリと前に垂らしていた。
特に逆さ吊りにされた優は、まだ撃たれた傷跡が完治もしていない事から、特にダメージを受けて見える。
ヒロが目の下に隈を作った状態で、やつれた表情の優に声を掛ける。
「優…大丈夫か?苦しく無いか…?」
「………あっ…ああっ…大丈夫…おっ…俺は大丈夫…心配すんな…よ…『微笑』」
優はかなり無理をしている。でも口は聞けるようだ。
ヒロはカオルにも声を掛けた。
「カオル…カオルは…大丈夫か…苦しい所は…無いか?」
「うん…うん…ありがとう…な。ヒロは…やっぱり…僕らの…リーダーやな…。
こんな時でも…みんなに…
気を配って。
さすがや…『微笑』」
ヒロは十字架に縛られた姿でフロアを見渡した。
かつて自分たち12人が暮らしていた場所。
毎朝エレベーターの前で、奴隷のポーズで並ばされて、奴隷唱和を唱えていたっけ。
妙に思い出すのは、少年たちの待遇が改まり一月だけだったけど、凄く幸せな時間があった。
ヒロの目にはカオルが三味線ではなくギターを引いて、ソラが優の手を取り、ミチルは綾人と、トモはヒカルと、ジュンも当時は一番落ち込んでいた和希を誘って楽しそうにみんなで踊っていた。
そんな風景を貴也は座って微笑みながら見ていて、横にいた風太はスケッチブックに絵を描いていた。
みんな白いシャツに黒いショートパンツにハイソックスとローファーの白薔薇の制服で。
首輪と枷付きではあったけど。
俺はあの時はあえて輪に入らずにみんなを見ていたんだ。
かけがえの無い俺の家族たちの楽しそうな姿をただ見ていたかったんだ…
幸せだったから…
でも…あの景色の中から、ジュンとトモはもういない…
貴也とも離ればなれになった。
あの時のみんなが…もう…一緒に会える事は…
もう…無いんだな…『涙』
「ヒロ…泣いてるの…?」
十字架に括られた姿のカオルが首を上げて俺の方を見ている。
優の方を見ると、首を落として目を瞑っていた。
寝ているんだろうな。
寝かせといてやろう。
「あっ…カオル…ごめんな。カオルがギターを弾いてみんなで踊った事があったろ?
あの時の事を思い出していたんだ。」
「……………ああっ…あったね。僕がギターを弾いたんやった。覚えてるよ…」
「うん…うん…でもジュンとトモは…もう…いないんだな。って思ったら泣けて来ちゃって。
心配かけてごめんな。
カオル。」
「………いや。ジュンもトモもここにおるよ。」
「えっ…?」
「僕らの戦いを最後まで見守ってくれとるよ。
そして貴也に力を貸してくれる。
隣におる雪彦さんも同様にね。」
「カオル…………」
「ヒロ。僕ら12人はずっと一緒や。あっ…雪彦さんを入れたら13人か。」
「うん。そうだなカオル。これが最後の闘いだ。
ジュンとトモが見守ってない訳がない。
ジュンもトモも雪彦もみんな俺たちの心の中に生きているんだからな。」
足音がして戸倉だけが20階フロアに戻ってきた。
気を失っている優を除き、ヒロとカオルは戸倉の姿を見て驚いた。
白い着物に袴姿に雪駄で左手には日本刀を携えている。
戸倉がかつてティエンシーを自分のものにした時、チャイニーズマフィアから奪い獲った村正だった。
それ以来村正は、戸倉の愛刀にされていたのだ。
「奴隷ども。十字架磔が良く似合う事よ。
ほう…優は気絶しているか。
まだ傷も癒えんのに健気なものだ。
で、奴隷同士で懐かしの場所で思い出話に花でも咲かせたか?『笑』」
ヒロは戸倉から視線を逸らす事なく、戸倉を睨みつけた。
貴也が来て、もし万が一戸倉に敗れる事が有れば、ヒロも優もカオルも、みんな貴也と一緒にトモとジュンのいる場所に行こうと決めていた。
俺たちは一蓮托生なんだ。
「戸倉様。何を話していたのか?
知りたいですか?」
「ほう…興味が有るな。
話して見ろ。」
ヒロが戸倉に口を開いている間、カオルも十字架に縛られた姿で戸倉を睨みつけていた。
「あなたが殺したトモとジュンの事ですよ。
二人はここで死んだんです。
だから二人ともここにいて、俺たちと共にこの結末を見守っています。
俺やカオルには分かるんです。
実はあなたにも良く分かっているんじゃないですか?」
「ハハハハハハハハハ!
何を言っている。この奴隷が!
そんなものがいるならさっさと私を呪えばよいものを。
それにこの刀は妖刀村正。
神に会えば神を切り、仏に会えば仏も斬る!
ましてや奴隷の亡霊などは一太刀で切り払ってくれようぞ。」
戸倉は踵を返して用意してあったソファーにドカリと腰を下ろした。
そして村正を肩に抱き置いて目を瞑る。
貴也を待つ為に。
しかし戸倉にもひとつだけ、ヒロとカオルに話してない事があった。
☆実はトモもジュンもここにいる姿が戸倉には見えていたのだ。
二人ともハイソックス裸でボロボロにされた血まみれの姿で…
ヒロの真横にジュン。
カオルの真横にトモ
無表情ではあったが、地獄の鬼でも怯みそうな凄まじい目つきで、戸倉を睨みつけていた。
『呪い殺してやるからな!』
トモとジュンの絶叫が戸倉の耳に聞こえる。
しかし戸倉は微笑んでいた。
お前たちは何も分かっていない。
私はお前らに呪われる程度で恐れる人間ではない。
全て切り払ってやる。
❀私の村正で❗️『笑』
ビルの20階。
かつて奴隷少年たちが暮らしていた階のエレベーター前フロア。
そこには4本の十字架が立てられていた。
十字架は横に並べられて、右から優、ヒロ、カオル、そして雪彦の人形が縛られて並べられていた。
3人は白いハイソックス裸で首輪を嵌められて、手枷足枷を十字架に繋がれている。
そしてかつて少年たちの居住フロアに置かれていた雪彦の人形は、当時と同じハイソックス裸を縄で緊縛された姿だった。
裏が襲撃してきた時に東に撃たれた弾跡が痛々しく見える。
ヒロたち3人は戸倉の部下である岡崎、馬場、木曽に激しい凌辱を受け、その疲労から皆、息も絶え絶えで首をガクリと前に垂らしていた。
特に逆さ吊りにされた優は、まだ撃たれた傷跡が完治もしていない事から、特にダメージを受けて見える。
ヒロが目の下に隈を作った状態で、やつれた表情の優に声を掛ける。
「優…大丈夫か?苦しく無いか…?」
「………あっ…ああっ…大丈夫…おっ…俺は大丈夫…心配すんな…よ…『微笑』」
優はかなり無理をしている。でも口は聞けるようだ。
ヒロはカオルにも声を掛けた。
「カオル…カオルは…大丈夫か…苦しい所は…無いか?」
「うん…うん…ありがとう…な。ヒロは…やっぱり…僕らの…リーダーやな…。
こんな時でも…みんなに…
気を配って。
さすがや…『微笑』」
ヒロは十字架に縛られた姿でフロアを見渡した。
かつて自分たち12人が暮らしていた場所。
毎朝エレベーターの前で、奴隷のポーズで並ばされて、奴隷唱和を唱えていたっけ。
妙に思い出すのは、少年たちの待遇が改まり一月だけだったけど、凄く幸せな時間があった。
ヒロの目にはカオルが三味線ではなくギターを引いて、ソラが優の手を取り、ミチルは綾人と、トモはヒカルと、ジュンも当時は一番落ち込んでいた和希を誘って楽しそうにみんなで踊っていた。
そんな風景を貴也は座って微笑みながら見ていて、横にいた風太はスケッチブックに絵を描いていた。
みんな白いシャツに黒いショートパンツにハイソックスとローファーの白薔薇の制服で。
首輪と枷付きではあったけど。
俺はあの時はあえて輪に入らずにみんなを見ていたんだ。
かけがえの無い俺の家族たちの楽しそうな姿をただ見ていたかったんだ…
幸せだったから…
でも…あの景色の中から、ジュンとトモはもういない…
貴也とも離ればなれになった。
あの時のみんなが…もう…一緒に会える事は…
もう…無いんだな…『涙』
「ヒロ…泣いてるの…?」
十字架に括られた姿のカオルが首を上げて俺の方を見ている。
優の方を見ると、首を落として目を瞑っていた。
寝ているんだろうな。
寝かせといてやろう。
「あっ…カオル…ごめんな。カオルがギターを弾いてみんなで踊った事があったろ?
あの時の事を思い出していたんだ。」
「……………ああっ…あったね。僕がギターを弾いたんやった。覚えてるよ…」
「うん…うん…でもジュンとトモは…もう…いないんだな。って思ったら泣けて来ちゃって。
心配かけてごめんな。
カオル。」
「………いや。ジュンもトモもここにおるよ。」
「えっ…?」
「僕らの戦いを最後まで見守ってくれとるよ。
そして貴也に力を貸してくれる。
隣におる雪彦さんも同様にね。」
「カオル…………」
「ヒロ。僕ら12人はずっと一緒や。あっ…雪彦さんを入れたら13人か。」
「うん。そうだなカオル。これが最後の闘いだ。
ジュンとトモが見守ってない訳がない。
ジュンもトモも雪彦もみんな俺たちの心の中に生きているんだからな。」
足音がして戸倉だけが20階フロアに戻ってきた。
気を失っている優を除き、ヒロとカオルは戸倉の姿を見て驚いた。
白い着物に袴姿に雪駄で左手には日本刀を携えている。
戸倉がかつてティエンシーを自分のものにした時、チャイニーズマフィアから奪い獲った村正だった。
それ以来村正は、戸倉の愛刀にされていたのだ。
「奴隷ども。十字架磔が良く似合う事よ。
ほう…優は気絶しているか。
まだ傷も癒えんのに健気なものだ。
で、奴隷同士で懐かしの場所で思い出話に花でも咲かせたか?『笑』」
ヒロは戸倉から視線を逸らす事なく、戸倉を睨みつけた。
貴也が来て、もし万が一戸倉に敗れる事が有れば、ヒロも優もカオルも、みんな貴也と一緒にトモとジュンのいる場所に行こうと決めていた。
俺たちは一蓮托生なんだ。
「戸倉様。何を話していたのか?
知りたいですか?」
「ほう…興味が有るな。
話して見ろ。」
ヒロが戸倉に口を開いている間、カオルも十字架に縛られた姿で戸倉を睨みつけていた。
「あなたが殺したトモとジュンの事ですよ。
二人はここで死んだんです。
だから二人ともここにいて、俺たちと共にこの結末を見守っています。
俺やカオルには分かるんです。
実はあなたにも良く分かっているんじゃないですか?」
「ハハハハハハハハハ!
何を言っている。この奴隷が!
そんなものがいるならさっさと私を呪えばよいものを。
それにこの刀は妖刀村正。
神に会えば神を切り、仏に会えば仏も斬る!
ましてや奴隷の亡霊などは一太刀で切り払ってくれようぞ。」
戸倉は踵を返して用意してあったソファーにドカリと腰を下ろした。
そして村正を肩に抱き置いて目を瞑る。
貴也を待つ為に。
しかし戸倉にもひとつだけ、ヒロとカオルに話してない事があった。
☆実はトモもジュンもここにいる姿が戸倉には見えていたのだ。
二人ともハイソックス裸でボロボロにされた血まみれの姿で…
ヒロの真横にジュン。
カオルの真横にトモ
無表情ではあったが、地獄の鬼でも怯みそうな凄まじい目つきで、戸倉を睨みつけていた。
『呪い殺してやるからな!』
トモとジュンの絶叫が戸倉の耳に聞こえる。
しかし戸倉は微笑んでいた。
お前たちは何も分かっていない。
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