『白薔薇』のマリオネット

最終章 僕たちの未来へ☆

最終決戦へ

♠戸倉
吹雪會が仮名を使って戸倉に対しメッセージを戸倉に送った。貴也と戸倉にしか分かりえない暗号文の形で。
貴也が戸倉も元に赴くという。
遂に私の元に来るか？
貴也！
さて問題はどこに貴也をおびきだすか？
警察や女傭兵どもも私を狙っているようだし。
さてどうなるか？

「戸倉さん。いいかね？
私に考えが有るんだけどね。」

戸倉に提案を持ちかけたのは、ヒロと町山の拉致を指揮した鹿島今日子。
小柄な50代の女だがなかなかの美女。
自衛官あがりで退役後にフランスの外人傭兵部隊に入隊して世界を廻り作戦を行っていた過去が有る。
もっともかつて音成たちの在籍していた傭兵組織で女隊長クインシー・ベラの指揮する「MARK8」とは別の部隊だった。
そして南米の政情不安の国で鹿島の外人部隊は「MARK8」に急襲されて鹿島今日子を除いて全滅させられたのだ。
もう15年も昔の話。
部隊には当時鹿島と恋仲だった米国SEALs上がりのトム・コーディもいたが「MARK8」に殺されたのだ。
煉獄の魔女クインシー・ベラの指揮する「MARK8」
ヒロの拉致作戦の折にあの狐目の女の姿を見て「MARK8」の匂いを感じ取った鹿島。
あの小娘はクインシーの薫陶を受けたガキどもに違いない！
許せないね。
皆殺しにしてやるさ！『笑』
ーーーーー
「うん。何だね？鹿島さん。」

「ああ。その白薔薇奴隷を呼び出す最適な場所と方法があるんだけどね。
厄介なのは吹雪會や女傭兵どもだろ。」

「ふん。そのとおりだがどうするつもりかね？」

「その貴也とか言う坊やと女傭兵どもをおびき出すいい場所がある。
女傭兵どもは私とヅイレンがなんとかしよう。
伊豆諸島の無人島に羅生島って無人島があってさ。
旧日本軍の塹壕なんかも残っていて遮蔽物も多い。
作戦を行うには向いている。
ましてや歴戦のヅイレンもいるしね。
そこにおびき寄せて始末してやる。」

戸倉は鹿島の案を愉快そうに聞いていた。
なるほど皆そこに移動して、女傭兵どもを待ち受けるのかね。
警察関係はどうするね。」

「そこはあの白薔薇少年たちを攫った時のように、街中の色々な場所で爆弾を使った陽動作戦といくさ。
陽動作戦用の部下は残しておくから、警察もてんやわんやになるだろうね。」

「ふむ。すると私も奴隷共も皆で羅生島に行くのかね？」

「おや。気が乗らないかい？戸倉さん。」

「いやいや！面白いとは思ったが、私の考えはあなたの考えに少しアレンジを加えたいのだ。
つまり陽動の陽動で奴らをかき回す。
私はティエンシーとあと腕利き3人くらいを連れてそこで貴也を待ち受けたい。
そうだな奴隷は三人。ヒロと優、カオルでも連れていくか。
綾人と和希は鹿島さんが囮。もしくは人質として連れていってくれたまえ。」

「うん？あんたはどこに行くつもりだい？」

「フフフフフフ！それはね私と貴也にとってもっとも因縁のある場所。
警察もまさか私と貴也がそこで対峙するとは思うまい。
調べてみればまだ施設の撤収はしてないようだ。
今ではビル全体が立ち入り禁止になっているしな。
まああれだけの大勢の血が流れたら無理もない。
ましてや街中で爆弾騒ぎの真っ最中ではまず目が行く事はなかろう。」

戸倉の意図を察した鹿島は思わず大きく息を吐く。
大胆と言うか、頭のネジが飛んでいるのか？

「戸倉さん。あんたは本気で白薔薇に戻るつもりかね？」

「そのとおり。私と貴也がやり合う舞台には位置も因縁も申し分ないさ。
古巣に戻る❗」