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最終章 僕たちの未来へ☆

外された茜

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ヒロと風太はパトカーで、優とミチルが入院している病院に向かっていた。
警護の警官が制服警官が二人だけ。
最初の頃はパトカーを何台もつけて警護をしていたのだが、いつまでもそんな事はしてられんと、警察上層部からの指摘があり、警護の人間を減らされたのだ。
茜はまだ戸倉が野放しであり、戸倉は恐ろしい相手で、白薔薇の少年たちの身が危険になると抗議をしたのだが。

「伊藤警備局長。戸倉は本当に恐ろしい相手なんですよ。今、少年たちの警護を手薄にする事は、あの少年たちが危険になります。
香坂を取り調べた結果、まだ戸倉は白薔薇に執着している可能性が高いです。
私は戸倉はまだ都内に潜伏してる可能性が高いと思ってます。
今、警護を緩めるのは、絶対に危険です。」

「戸倉が都内に?まさか?
奴は今頃下手すれば国外逃亡してるか、東京からは脱出して、どこかの地方から日本を逃げ出す算段をしているさ。
警視庁が血眼で追ってる東京で事を起こす訳が無い。
リスクが高すぎるからな。
それにたかだか一犯罪者に過ぎない戸倉に何が出来る。
まさか…警察全てを相手に事を起こすとでも。
それより片瀬参事官。そんなたかだか売春クラブの一調教師に参事官たる君が、いつまでかかっているのかね。
君には他にもっと追うべき事件がいくらでも有るだろう。
大体今回一番の大物の香坂はもう逮捕したし、黒幕と目された森田代議士も自らの罪を恥じて自殺をした。
戸倉などは小物だ。
あっ…それから君は異動でこの件からは外れてもらう。
警視庁一課の町山君に後は任せ給え。
あっ…これからの捜査は町山君と赤坂東署だけで管轄させるからね。」

「まっ待って下さい。町山はただの一課の刑事で対した権限もないし、白薔薇の件は公安の桂さんとも共同で追わなければいけない大きな事件です。
赤坂東署だけでなどは到底無理です。
だから私は警視庁一の腕利きの沖田警部補以下、精鋭を揃えたのです。
局長は戸倉を何も分かっていない。あの男は悪魔ですよ。」

「君は大げさすぎだなあ。
あのな。実は国会でも野党系議員などから、与党に捜査の進展状況が悪いとの意見が出ていて、マスコミも警察の怠慢などと書かれて、非難の的になっているんだよ。
それでこちらもしても香坂は逮捕出来たのだから、それをメディアに発表して捜査の目処はついた事にしたいんだ。
実際に香坂は逮捕したし、その男娼たちの保護はしたんだろ?」

「男娼?それは問題発言ですよ!」

「あ…そうかね。はいはい。じゃあ被害者ね。そう言うよ。
被害者の保護は終わったんだからこれで良し。
とにかく後の事は町山警部に全て任せる事。いいね。これは命令だ!」

ーーーーー
「待って下さい。片瀬参事官。これで俺達は引き上げって。納得できませんよ!
まだ戸倉や貴也君を逮捕してないんですよ。
俺は町山警部を知ってますが、あんな昇進試験だけで、出世した奴に戸倉や貴也君を相手に出来る訳が無い!
片瀬さんもあのメグとか言う女やロンと言う殺し屋。
また白薔薇があったビル内での、まるで戦場かと思うような死体の山。
それを良くご存知でしょう。」

沖田は茜に詰め寄るが茜にもどうする事も出来ない。
どの組織もそうだが、人間が上に立つと余計な贅肉がついて、緊張感を失うものだ。

「沖田警部補。それ以上は言わないで。私にもそれは分かってる。でも警察組織では上が決定した事は…どうしようもない…
それに私は人事で白薔薇から飛ばされた。手の打ちようもないわ。」

「参事官、あなたは娘さんの純子さんや真山刑事にどう説明するつもりですか?
白薔薇の少年たちを見捨てるつもりか?と激怒されますよ!」

「ふう…分かってる!分かってる!
とりあえず打てる手は打つ、公安の桂さんとだけは、密に連絡はとっておくわ。
それと純子を通してヒロ君たちとも。
沖田警部補。ひょっとしたら最悪…即座にまたあなたに協力してもらう事になるかも知れない。
あなたは真山君との連絡は欠かさないで。」

「なるほど。分かりました。真山とはしっかりと連絡は取り合います。任せて下さい。
しかし俺が思うに、白薔薇の少年たちが一番危険な気がします。
戸倉はまだ少年たちの事を諦めていませんよ。」

「私もそう思う。沖田警部補。真山巡査長には…あなたからも銃の所持は決して忘れないように伝えて。
そこはしっかりと町山にも伝えて置くから。
町山に聞く耳があるか?が問題だけど。」

ーーーーー
ヒロとヒカルは柴野純子に伴われて赤坂東署に顔を出した。
純子がばかに浮かない顔をしているのが妙に気にはなったが。

ヒカル
「純子さん。何か有りました?
何か浮かない顔をしてられてます…けど。」

「あ…うん…実はね、お母さん。あっ…片瀬参事官が白薔薇の件から外されて本庁に帰る事になって…代わりに本庁から人が来て、この事件を担当する事になったんだけど…」

ヒロもヒカルも頭の上に?がついている。
大人の事情などは、二人には全く分からない。
ただあまり良くない知らせだという事は想像できた。
純子は二人を捜査本部に案内する。
そこには茜に変わり白薔薇事件を担当する本庁から出向の町山警部がいた。
町山は自信たっぷりの表情でヒロとヒカルに挨拶をする。

「やあ。君たちがこの件の被害者の…」

それから机の上に置いてあった少年たちの書類に目を通すと。

「ああ、君がえ~と、三鷹君だな…後は…う~んと立花君か?
あっ…分かった分かった。
まっ、これからよろしくな!」

ヒロもヒカルも考えてる事は全く同じ。

◈大丈夫か❓このおじさん❗



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