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最終章 僕たちの未来へ☆

貴也とランディ コンバットファイト!

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◈貴也は姿を眩ませながら、逃亡を続けている。
メグとロンに手を掛けた事から、おそらく貴也は警察にも追われているだろう。
貴也も鉄大人と同じく、森田を狙ったが、謎の一団が森田の屋敷を襲う。
森田の屋敷が見える林の中で、訳が分からぬ貴也はいったんは、行方を晦まそうとしたが。

「そこを動くなよ!貴也くん。
悪いが動けば足を撃ち抜く。」

「おっ…音成…さん。あなたが…」

軍服を着た音成小夜がシグP228を構えて木の影から現れた。
横には同じく軍服のランディも愛用のコンバットナイフを構えて現れる。

「貴也くん。森田は死んだよ。鉄大人の手に掛かってね。
あとは戸倉だけさ。
君が出るまでもない。戸倉は我々が始末する。
君は警察に自首をしたまえ。
そうすれば私のボスが裏で手を回して、君の悪いようにはしないから。」

「悪いですが、僕は戸倉を殺します。
あなたの命には従えない。」

「貴也くん。私は君を撃ちたくないんだよ。
言う事を聞きな!坊や!」

「嫌です。聞けません!」

パン!P228が貴也の太腿を狙うが、貴也は驚くスピードで音成の銃をかわすや、左手首を振るい、枷鎖の分銅が音成を襲う!

「くっ…!」

さすがに傭兵の音成はかすかに分銅をかわすが、即座に二撃目が襲ってきた。

カキン!
ランディがグルカナイフを振るい分銅を弾き返した。
実はランディの一番得意な得物はグルカナイフでやっと調達出来たのだ。

「副長。大丈夫ですか?
くっそう…小僧。私が相手だ。」

ランディは黒豹のような速さで貴也にグルカナイフで襲いかかる。
貴也も瞬時にかわし、ランディと距離をとり林を抜け深夜の公園に出た。
鎖では林は不利との判断。
ランディも貴也を追い、二人は相対する。
ランディが踏み込もうとすると、貴也の顔に靄がかかり、雪彦の顔が宙に現れた。
さすがのランディの背筋にも、冷たい戦慄が走る。

ランディ
「なるほどね。人でない者であったか。
副長には手などは出させん。
神か悪魔か?それは知らないが、悪いが私は戦場にて幾度の地獄をくぐり抜けた。
神に会えば神をも刺し、悪魔に会えば悪魔を斬る。
それだけの事よ!」

ランディが凄まじい斬撃で貴也を襲い貴也も対抗しつ鎖を操る。
ギンギンギンギン!
ランディのグルカナイフと貴也の鎖が火花を散らす。
ランディがグルカナイフを手足の如く扱うのは見事だが、貴也も鎖を絡めず止めず舞わせ続けていた。
そして貴也の右手にもコンバットナイフが。
隙が有ればランディのグルカナイフに絡ませて、瞬時に右手のナイフでランディを倒すつもりだった。
さすがの音成も接近戦では、ランディのグルカナイフと貴也の鎖の舞いには手を出す余裕がない。
P228で撃てば貴也を打ち倒せるが、こう激しく動かれたら殺してしまうかも知れない。
ただの敵になら容赦は無いが、それが音成をためらわせた。

「よさねえか!貴也!」

野太い声が貴也を一喝した。

「て…鉄大人!生きておられたのですか!」

貴也は驚愕して動きが止まった。
そして音成もランディを制する。

「ランディ。その少年は敵では無い!止めるんだ。」

音成に諭されてランディも動きを止めた。
鉄大人の横にはマモルとライフルを持ったジュディ、そしてマルディ。
鉄大人は顔をクシャッと笑いながら貴也に親しげに話しかけた。

「貴也。本当に久しぶりだ。ちょっと顔貸せ。
俺の言う事には断れまい。
一応…俺はお前の母を弔ってやったんだからな。
それに、しばらく風呂にも入らなきゃ腹も減ってるだろ。
お前、血の匂いがプンプン匂うぞ『笑』」

貴也は鉄の隠れ家に使う八王子城跡近くのセーフハウスの別荘でシャワーを借りて久しぶりに身体を流した。
ああっ…身体に染み付いた硝煙や血のりが流されていく。
気持ちいいなあ…何か急に疲れが出てきて…
ああっ…意識が遠く…なる。
眠い…眠いよ…

◈ジャー!貴也はシャワーを浴びた状態で気を失っていた。

ーーーーー
「いやあ。こりゃイケメンだな。
まっ、俺ほどじゃねえけどよ。」

口ひげリーゼントに白いTシャツのすそを、鍛えられた肩にまくり上げた水原がアメリカ産タバコを咥えてベッドに寝ている貴也の顔を覗きこんだ。

「おい!おっさん。美少年が眼を覚ますだろ!
寝かせて置いてやれよ。
ったく気が利かねえ。」

鉄大人の看護師の瀬尾が水原に注意をする。
とりあえず貴也の看病は、看護師の瀬尾が担当する事にしたのだ。
というより、貴也があんまり美少年だから、看護師の瀬尾夏樹が立候補したのだが。

「おい!おっさんはないだろう。悪いが俺は吹雪會の水原だ。
子分の手前も有る。
おっさんじゃねえ。イカしたお兄さんと呼べ。
ちなみに俺はハマっ子だ。
カッコいいだろ!」

指をグッドサインにしつつニカッと笑う水原。
瀬尾はそんな水原に痛いものを見るような視線を送り。

「はぁ…ハマっ子か。ちなみにアタシは鎌倉だ。
鎌倉には幕府以来800年以上の歴史があるんだぜ。
横浜なんかいいとこ150年じゃねえか『笑』
鎌倉舞台の大河ドラマだってたくさんあるしな。」

水原はニカッとした笑いを浮かべて瀬尾に返答。

「はぁ…いいかっ!
日本でハマよりカッコいい街はねえ。
テレビドラマの舞台ならハマの方が多いぞ!」

マルディ
「ねえねえねえねえ!音成音成。
あの二人変な事、言い争ってるよ。止めなくてもいいの?」

「ほっとけ。同じ神奈川県同士で気が合うんだろう。
ちなみに私は沖縄県出身だよ。
年をとったらいつかは沖縄に帰るけどね。
まあ…横浜も鎌倉もいい所ではあるな。」


「ああっ…瀬尾さん。なんだ。貴也にはずいぶん優しいじゃねえか。俺には全然優しくないのにな。『笑』」

「あったりめえじゃん。だって口の悪い爺さんより若い女子にとったら美少年の方が誰だっていいだろ。
しっかしこの子。貴也って言うのか。
めっちゃ可愛いな。
やっべぇ好み🩷」


「なんだおい。そのハート型のお目目は。
貴也は俺のお気に入りだぞ。
瀬尾くん。お前にはやらん!」

「はぁ?何言ってんの?このジジイ!てめーみたいな変態ジジイよりアタシみたいな美女の方がいいに決まってんだろが!
これを見ろよ。
アタシのポン太も貴也くんと同じベッドで寝てるぞ。
人見知りのポン太が懐くなんて珍しいんだけどな。『苦笑』」


「なに?その短足猫もゲイなのか?」

瀬尾は笑顔を消して鉄大人を睨むと、空の注射器を手に取り、鉄に襲いかかった。

「覚悟しろよ!
空気注射してやるこのジジイ!
誰の猫がゲイだ!
ちなみに短足猫じゃねえ!
マンチカンだ!!!」

「うわぁ~…瀬尾さん瀬尾さん…待って待って待って!
冗談冗談冗談!
音成!マルディ!そんなとこで、ういろう食ってお茶飲んでないで、俺を助けろ!
助けなさい!
あ…いや!助けて下さいませ!お願いします。音成さん!」

ういろうの桜を食いながら、茶をすすりマルディが音成にのんびりと尋ねた?

「ねえ…どうする音成?」

「…ほっとけ❗」


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