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最終章 僕たちの未来へ☆

墓穴を掘る男たち!

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茜たちが風太を無事に保護した。
そして茜は少年たちがまだ白いハイソックス裸で、首輪手枷足枷付きなのを見るや激怒する。


「神田署長、袴田課長、これはどういう事なの?
なんでこの子たちはこんな姿なの?
なんで服くらいは着せてあげないの?
あなた達は本当に警察官?」

袴田
「い…いやいやいやいや!
これは上から、二人はこのままでいさせろ!と命令が有りまして…
私は…命令に従った…だけで!」

神田
「いえ…私はですね…そんな指示は出してません…
袴田!なんで君はこの子たちに服くらいは用意しないのだ!
私はこの少年たちに優しく対処するように命令したろう!」

袴田は神田の豹変ぶりに呆然とした。
都合の悪い事は全て部下になすりつけ自分は何も存ぜぬ!
なんて卑怯なジジイだよ!

袴田
「ふざけんなよ!神田!
おっおっお前の命令だったんじゃないかあ?
それにこの少年たちの対処は…そっ…そうだ!そうだ!そうだ!
この子たちの対処はあっ…ここにいる真山巡査長と、相方の強行班の柴野警部補に、私はちゃんとこの子たちに保護するように言って置きました!」

神田
「袴田!なんだ!君は署長に対してその口の聞き方は!?」

真山
「はっ?何言ってんの、こいつ?」

袴田
「真山。上司に対してその口の聞き方はなんだよ!
それに神田署長。私はあんたにこの少年たちはその姿のままでいさせろ!と命令を受けた!
片瀬参事官。真山はこういう問題児でして、また、相方の柴野警部補もキャリアではありますが、現場を何も知らない小娘でw
今日は出社しましたが、最近はずっと病欠だとかで休んでばっかりだし、困ったもんでして。
ワハハハハハハハ!『爆笑』」


「…………………………
あの…袴田課長?
それって…本当の…お話?」

袴田
「はいはいはいはい!
天地神明に誓います!
でっかいハンコを押して保証します。『媚笑』」


「はあっ…でかいハンコねえ…
ふぅ、まあ…いいわ。本人に聞くから。
純子。袴田課長がそんな風に言っているわよ。『笑』」

純子
「袴田課長。神田署長。本当にあなた方って人たちは…
はあっ…分かりました。
片瀬参事官。私は神田署長や袴田課長の非人間的なやり取りを録音しております。
これが証拠になります。」

純子は自分のスマホを茜に渡した。
その中には先程の神田や袴田と純子のやり取りが録音されていたのだ。

純子が茜に差し出したスマホを見て神田と袴田は、思わず顎が外れる程のショックを受けた。

袴田
「なっ…なっ…なっ…何を言ってんの?柴野っ?」

純子
「ふぅ…私は署長と課長が先程こちらの部屋にいらしてからのやり取りをバックの中のスマホの録音機能に録っておいたんです。
私のスマホは最新式で高性能だから、小さな声まではっきりと録音されてますよ。」

神田
「柴野!君はそんな同じ警察官を嵌めるような真似をするのかね!
そんな事して恥ずかしくないのか?
全く親の顔をみてみたいわ!
こんな出来の悪い女を産んだ母親の顔をな!『笑』」

眼鏡の奥の陰険な目をキラリと光らせて神田が純子を嘲る。
すると茜が怒りの眼を向けて神田に向き合った!


「はあっ…?母親の顔を見たいって?」

神田
「はい。はい。はい。
片瀬参事官。
警察官として上下の礼を知らぬ態度は許せません!
この女は私が責任を持って処断いたします!『媚態』」

茜は思わず頭を抱えた。


「神田署長…あなたはなんて…愚かすぎる人間なの?
愚かを通り越して哀れだわ…
母親の顔が見たいって…言ったわよね。
じゃあ見せてあげる…!
神田署長、袴田課長、自己紹介が遅れました。
柴野純子警部補の母である片瀬茜です!『怒』」

瞬間に袴田は氷結してそのまま尿を漏らして、神田は泡を拭いてひきつけを起こして失神した!

ーーーーー


「私は片瀬茜。警視庁参事官。
これから君たちの件は全て私が担当するわ。
君たちを保護するためのホテルはこの赤坂東警察署圏内に用意します。
あと色々と君たちに聞かなきゃならない事もある。
君たちのとって辛い事の質問もあるけどそこは協力してください。
いいかしら?
であなた達の本名を聞いておきたいわ。」

茜はヒロ、綾人、カオル、風太。ミヤ、ケイを呼んで話を聞いていた。
少年たちは皆、首輪や枷を外して赤坂東署が急いで購入した、ユニシロの衣服を着用する。
Tシャツにジーンズ。上に羽織るパーカーやトレーナーなど。
少年たちは互いの姿を見て思わずにはにかむ。
こんな服を着るのは何年ぶりだろう。

集団事情聴取の場所は最初に皆が連れてこられた部屋。
赤坂東署で集団を事情聴取できるのはこの部屋だけだったのだ。
そして茜以外にこの部屋にいるのは茜が白薔薇の捜査の為に集めた真山と娘でもある純子だった。

沖田は仲間と共に大勢の制服警官や赤坂東署の刑事たちを指揮して白薔薇本部に捜索をかけていく。
そして沖田たちは白薔薇で大量の死体の山を見ることになった。
まるで戦場における激戦地の後の様に。

会議室では茜と私服刑事で記録役の安達。そして真山と純子で話を聞いている。
安達も少年たちに同情的な刑事だ。

ヒロ
「はい。僕たちこそよろしくお願いします。
僕は白薔薇奴隷少年たちのリーダーのヒロといいます。
本名は…三鷹浩之といいます。」

綾人、風太、カオルの3人は改めて驚いた。
長い事、白薔薇に一緒にいて、本名を聞かされたのは初めてだったから。


「えっ…?あなたたちは今まで互いの本名も知らなかったの?」

聞かれたヒロが茜に答えた。

ヒロ
「はい。僕たちは白薔薇の奴隷とされた時から、名字と名前は剥奪されて呼び名だけにされるのです。
だからみんな本名を聞き合うのは、禁止されていました。
後は奴隷はみんな同格なので、その意味もあったと思います。」 

茜は呆然とする。そんな売春組織がこの日本に存在していたとは。
茜は次々に少年たちに色々な事を聞いていく。
まずは少年たちの本名から。

綾人「上杉綾人です。」
カオル「早見薫です。」
風太「岬風太郎です。」

少年たちは改めて顔を見合わせた。
互いに長い事同じ所で暮らしていて、初めて互いの本名を知ったのだ。

さらに茜は少年たちに聞いていく。
一番肝心な事。
残りの奴隷少年たちの数。
ヒロが一人一人名前を語り、記録官の安達刑事が名前を記していく。
負傷で病院の優。
行方不明のヒカル、ミチル、ソラ。
元の売春組織に戻された和希。
そして亡くなったジュン、トモ。

茜が訝しげな顔をする。
全員で11人。一人足りない?


「あれっ…これでは11人しかいないわよね。
あと一人は?」

少年たちは皆顔を見合わせた!
貴也の事はどう言えばいい?

カオル
「ヒロ…どうしよ?」

ヒロは腕を組んで考え込むが、意を決した顔をすると。

ヒロ
「みんな。貴也の事は正直に話そう。これから俺たちもヒカル、ミチル、ソラを助ける為にも警察に協力していかなきゃいけない。
風太。それでいいね。」

風太はあどけない顔をしながらコクンと頷く。
カオル、綾人もリーダーのヒロに従った。

ヒロ
「片瀬さん。最後の一人の名前は貴也。
今は貴也が不在だから、俺がリーダーを務めるけど、貴也は実質の俺たちのリーダーです。」


「貴也君。どんな子なの?」

綾人
「すげえ奴だよ。貴也は。」

カオル
「いつも僕らを守ってくれたんや!」

風太
「兄様は…僕の大事な人!です。」

ヒロ
「貴也とは白薔薇で別れました。
もちろん行先は分かりません?
貴也が俺たちと別れたのは、ジュンとトモを殺した仇の、戸倉修吾を追って仇をとる為。」

仇を!
茜は思わず首を振った。
この少年たちの仲間想いの気持ちは尊重するけど、それは法的に許されない事よ!


「仇を取る?
それは法律で許されないわ。
もしそんな事をしたら私達は貴也君を逮捕しなければならない。
犯罪者としてね。
貴也君にそんな事はさせられない。
ヒロ君。正直に話してくれてありがとう。
貴也君も警察が保護します。
もちろん戸倉や香坂も一刻も早く逮捕するわ。
それがジュン君とトモ君の二人を助けられなかった警察の贖罪よ。」

茜はまっすぐにヒロの瞳を見た。
ヒロも茜の瞳を見て確信する。
うん。この人は信頼できる。
俺はこの片瀬さんを信じよう!

ヒロ
「よろしくお願いします…
みんな…お礼を言おうよ…」

綾人、カオル、風太の3人はヒロと共に立ち上がり頭を下げる。
今は警察に頼るしかないのだ。
それにヒロとしても、貴也に戸倉と戦わせたくはなかった。
戸倉を警察が逮捕して裁いてくれるなら…!
それに貴也が必ず戸倉に勝てるとは限らない。

ヒロはもう仲間が死ぬのは見たくない❗


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