上 下
62 / 146
第七章 僕たちの闘い

貴也と優 絶望の鞭

しおりを挟む
「貴也です。奴隷少年たち。皆支度が整いました。扉の解錠をお願いします。」

ガチャリ!
鍵の解錠音がする。

「じゃあみんな今日もお務め、頑張ろうね…」

貴也が声も掛けるも、誰一人として返事を返す者はいない。
だだみんなそのまま黙って扉の向こうに去って行くだけ。
貴也は一人取り残されて最後に肩を落とし皆の後ろをトボトボと歩いていく。
奴隷少年たちは皆、白いハイソックス裸。
首輪と手枷、足枷だけをアクセサリーにして皆エレベーターホール前で指定の位置につく。
両手は頭の後ろ。
背をピンと伸ばし頭を上げて視線は真っ直ぐ。
足は開いて膝立ちになる奴隷のポーズだ。

あの特別調教日から10日経つ。
少年たちは9人になっていた。
和希が急に白薔薇から元の所有者に戻されたと聞いたのは翌日の事。
唐突過ぎる別れだった。
特に和希と親しくなっていたカオルは別れひとつも言えずに激しく泣いていた。

ソラと風太の最年少の二人はまだ帰って来ない。
皆二人は一体どうしたんだと心から心配していたが、それを白薔薇に問いただす事などは出来ない。
彼らはただの奴隷少年たちでしかないのだから。
そして今も9人は奴隷のポーズで調教師を待つ。
皆、哀しそうな表情をしながら。

調教師たちが現れた。
戸倉、壱、弐、サム、ミヤ、ケイ、真央、村雨。
そして今日はミヤとケイの最年少調教師の二人が鎖を引いていた。
鎖に首輪を繋がれていたのは…

風太とソラの二人だった。

「おはようございます。調教師様。」

奴隷少年たちは声を揃えていつもの挨拶をする。

「おはよう。奴隷どもよ。
今日も良い天気だな。もっとも日の当たる場所には出られないお前たちには関係無いかな『笑』」

戸倉の口上。笑顔ひとつ見せずに冷酷な風貌の壱が続ける。

「奴隷ども。こちらを向く事を許す。こっちを向け!」

「はい。ありがとうございます!」

少年たちは唱和すると膝を動かして一斉に言われた方へと身体を向けるが、
そこにはミヤとケイに首輪の鎖を握られているソラと風太の二人がいた。
二人は皆と同じ奴隷のポーズで視線を真っ直ぐにして微動だにしなかった。
そして皆が驚愕したのはソラにも風太にも全く表情が消えていた事。
まるでマネキン人形の様な表情をしていた。

「よし。ソラ、風太、奴隷の先輩どもに口上を述べるのだ。」

壱が二人に声を聞くことを許した。

「はい。壱様。
僕、奴隷少年ソラは上海で奴隷としての嗜みを学ばせて頂きました。
今日より心を入れ替えて、白薔薇の為に身体を売って尽くしていきたいと思います!」

ハキハキとした声でソラが返答する。
ついで風太も口を開いた。

「僕、風太も上海にて奴隷として、しっかりと躾けて頂きました。
僕は今までの白薔薇での奴隷としての心構えが全くなっておりませんでした。
ソラと同じく心を入れ替え白薔薇の為に身体を売り尽くしていきたいと思います。」

風太も淀む事無く、ハキハキと奴隷宣言を続ける。
それは無理に言わされてる訳では無く、明確な自分の意思で語っているように見えた。

「ふむ。ソラも風太も良い口上だが口だけでは信用できんな。
キチンと行動で示さないとな。」

戸倉が笑いながら二人に証を求める。するとソラがはっきりした口調で返答した。

「はい!分かりました。それでは僕は今まで一番親しくしていた優を鞭打ちする事で証明します!
それでは優。四つん這いになって僕の前に来い!」

「はい!僕、風太も慕っていました貴也を鞭打ちいたします。
痛くさせたいので一本鞭の使用をお許し下さい!
貴也。お前も僕の前に四つん這いで来るんだ!
モタモタするな!」

あまりのソラと風太の変貌に驚愕を隠せない奴隷少年たち。
特に名指しされた貴也と優は真っ青な顔でブルブルと震えながら首輪と枷を嵌められている裸で四つん這いで言われるままに這ってゆく!
優はソラの前に。
貴也は風太の前に。
それぞれ縦に並んで、優の後ろに貴也が並ぶ形だったが。

「優。お前は逆を向け!
貴也とお見合いをしてろ!
目を反らす事は許さない!
鞭打たれる姿を互いにお見合いしているんだ!」

優は言われるままに号泣しながら、貴也の顔の目の前に自分の顔を向けた。
貴也の目からも哀しみの涙が泉の様に溢れている。
ああ…貴也…俺はもう…心が壊れそう…だよ…『哀泣』

貴也も張り裂けそうな想いで優の目を見ていた。
優は少年たちの中で一番気が強くて生意気な少年だった。
ハーフゆえの金髪ストレートヘアーでで顔立ちもエキゾチックな美少年。
白薔薇の顧客からその小生意気な男の子を責められるのが人気だった。
その優が…こんな虚ろな目をして…
優は決してこんな…少年じゃあ無かったのに!

風太とソラは鞭を取る。
そして風太は二人に命令を。

「貴也、優、お前たちは鞭をもらうたびに数を数えて、感謝のお礼を述べるんだ。
ここにいる皆に良く聞こえる様な大きな声で!」

風太の残忍な命令が貴也と優の心を激しく抉る!
風太はまるで壱の様に表情や顔色やひとつ変わらない。
ソラが続いた。

「優、貴也、では今から鞭打ち開始だ!
覚悟はいいな!
行くぞ!」

ビュッ!バッシーン!
ビュッ!バッシーン!

「あっいっぱ~つ!ありがとう~ございま~す!」
「うっうっいっぱ~つ!ありがとうございます~!」

貴也が叫び、優が続く!
一本鞭は背中に打たれると、衝撃が内蔵まで襲う。
ソラも風太も全く二人に遠慮呵責なく鞭を振るう。
それなのに鞭を振るう二人の表情は氷の様な冷酷な表情を崩す事もない。
笑いもしない!
泣きもしない!
まるで機械が鞭を振るい続けるように冷酷な表情で!

貴也と優は今まで辛い調教は数限りなく受けてきた。
しかし鞭打たれる今ほど辛かった事はない。
愛していた風太やソラは全く人格が変わってしまった。
そして10発目!

貴也「うっ!じゅっぱ~つ!ううっ!ありがとうございます!」

優「ヒクッ!ああっじゅっぱ~つ!
ありがとうございます…
あっあああ~ん!」

その貴也と優のあまりにも凄惨な姿に他の奴隷少年7人は哀泣を流し続ける事しか出来なかった❗️


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

性的イジメ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。 全二話 毎週日曜日正午にUPされます。

ずっと女の子になりたかった 男の娘の私

ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。 ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。 そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。

男子中学生から女子校生になった僕

大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

松本先生のハードスパンキング パート1

バンビーノ
BL
 中学3年になると、新しい学年主任に松本先生が決まりました。ベテランの男の先生でした。校内でも信頼が厚かったので、受験を控えた大事な時期を松本先生が見ることになったようです。松本先生は理科を教えていました。恰幅のすごくいいどっしりした感じの先生でした。僕は当初、何も気に留めていませんでした。特に生徒に怖がられているわけでもなく、むしろ慕われているくらいで、特別厳しいという噂もありません。ただ生活指導には厳しく、本気で怒ると相当怖いとは誰かが言っていましたが。  初めての理科の授業も、何の波乱もなく終わりました。授業の最後に松本先生は言いました。 「次の授業では理科室で実験をする。必ず待ち針をひとり5本ずつ持ってこい。忘れるなよ」  僕はもともと忘れ物はしない方でした。ただだんだん中学の生活に慣れてきたせいか、だらけてきていたところはあったと思います。僕が忘れ物に気がついたのは二度目の理科の始業ベルが鳴った直後で、ほどなく松本先生が理科室に入ってきました。僕は、あ、いけないとは思いましたが、気楽に考えていました。どうせ忘れたのは大勢いるだろう。確かにその通りで、これでは実験ができないと、松本先生はとても不機嫌そうでした。忘れた生徒はその場に立つように言われ、先生は一人ずつえんま帳にメモしながら、生徒の席の間を歩いて回り始めました。そして僕の前に立った途端、松本先生は急に険しい表情になり、僕を怒鳴りつけました。 「なんだ、その態度は! 早くポケットから手を出せ!」  気が緩んでいたのか、それは僕の癖でもあったのですが、僕は何気なくズボンのポケットに両手を突っ込んでいたのでした。さらにまずいことに、僕は先生に怒鳴られてもポケットからすぐには手を出そうとしませんでした。忘れ物くらいでなぜこんなに怒られなきゃいけないんだろう。それは反抗心というのではなく、目の前の現実が他人事みたいな感じで、先生が何か言ったのも上の空で聞き過ごしてしまいました。すると松本先生はいよいよ怒ったように振り向いて、教卓の方に向かい歩き始めました。ますますまずい。先生はきっと僕がふてくされていると思ったに違いない。松本先生は何か思いついたように、教卓の上に載せてあった理科室の定規を手に取りました。それは実験のときに使う定規で、普通の定規よりずっと厚みがあり、幅も広いがっしりした木製の一メートル定規です。松本先生はその定規で軽く素振りをしてから、半ば独り言のようにつぶやいたのでした。「いまからこれでケツひっぱたくか……」。  

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

支配された捜査員達はステージの上で恥辱ショーの開始を告げる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

同僚くすぐりマッサージ

セナ
大衆娯楽
これは自分の実体験です

処理中です...