上 下
1 / 1

ツチノコ

しおりを挟む
真夏にソロキャンプに出掛けた。
昨今のキャンプブームでどこのキャンプ場も人が溢れ、人の立ち入らないようなところでキャンプが出来そうな所を探していた。

そんな時大きなヘビに出くわした。
かなり大きい、それに太くて短い。
そして、ヘビにしては恐ろしく動きが遅い。
それに飛び跳ねるような移動の仕方。
“まさか!ツチノコ!“
そう思うと居ても立っても居られない。
確か生捕にしたら賞金が貰えたはず。
だが、噛まれると毒があったような記憶も頭の片隅にある。

一旦、移動の遅いツチノコから離れて急いで、車へと戻るが、あんなに大きなツチノコを捕まえられるよう網も袋もない。

車に積まれていたのはブルーシート、それにビニールのロープ。
取り敢えずそれを手にすると、ツチノコがいた場所へと戻る。
ツチノコは草を薙ぎ倒しながら移動しているので、痕跡を辿るのは容易だった。
“いた!ツチノコ!“
ゆっくりと静かに背後から近づくとブルーシートをかける。
不意をつかれたツチノコは暴れるが、もう遅い。
ブルーシートで包んで袋状にし、口をロープで縛ってツチノコを捕まえた。





暴れるツチノコを引き摺りながら移動し始めた時だった。
草むらから数人の若い男性が出てきた。

背の高いイケメンが言った。
「すみません、ウチの部員、返して貰えませんか?」

初めのうちは、この若者たちの言っている事がさっぱり分からなかった。
しかし、イケメンがいましがた捕まえたツチノコの入ったブルーシートを指差す。

ブルーシートを縛っていたロープを離すと他の部員たちがツチノコをブルーシートから出す。
「本当に申し訳ございません、お騒がせしてしまって」
イケメンはそう言うと深々と頭を下げた。

ブルーシートから出されたツチノコは暴れる事なく大人しくしている。

イケメンに聞いてみた。
「部員ってどう言う事?」

イケメンはツチノコに近づき、ツチノコの頭を持ち上げる。

そして、ツチノコの口の中へ手を突っ込んだ。
『ジッジッジーッ!』
ファスナーの開く様な音がした後、ツチノコの口から赤くテカリのあるものが出てきた。
それをツチノコの皮を剥くように口から少しずつ出していく。
見た目が赤いので内臓か何かかと思ったが違った。

なんとなくだが、人の頭、肩のような形が見て取れる。
そして、イケメンが背中側を何かすると、その赤くテカリのあるものから顔が出てきた。

それを見て驚きしかなかった。
女の子が猿轡をされて汗だくで出てきたから。

髪も乱れ苦しそうな表情だが、その女の子はかなり可愛い。

ツチノコの着ぐるみの中で彼女を覆っている赤くテカリのあるものは、彼女の両手の自由も奪っているように見えた。

あんなに可愛い娘が拘束される形で、ツチノコの着ぐるみに閉じ込められて、炎天下の草むらにいたのか。

そんな事を考えていると勃起してきた。

猿轡を外された彼女は涎を垂らしながら言う。
「申し訳ございません、お騒がせしてしまって」
男たちに無理やり言わされている感じではい。
現にイケメンを見て彼女は嬉しそうな顔をしていた。

「良かったら、そのブルーシート使って!」
そう言うと慌ててその場を立ち去った。
勃起していたので、少し前傾になりながら。


車に戻っても、あの娘の事が頭から離れない。
車を少し走らせてひと気のない駐車スペースに車を停める。
着ぐるみに入って猿轡をされ声も出せない状態で汗だくになりながらツチノコを演じていたあの娘の事を想像しながら抜いた。
一瞬だった。

冷静になって考えた。
“彼らは何をしていたのだろう?“

「まっいいか!」
再び車を走らせてキャンプできる場所を探す事にした。




しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

巨大昆虫観察

ごむらば
大衆娯楽
巨大昆虫観察という番組の着ぐるみの中の人のお話。

女怪人 ビークイーン

ごむらば
恋愛
特撮番組の撮影をしている現場に遭遇した男性。女怪人を見かけたのだが、ある事を思い出して検索したら…

隊員の内部事情

元次三蔵
大衆娯楽
自衛隊の内部の内部。 いわゆる駐屯地の中で暮らしてる隊員たち(営内者)のドタバタヒューマンコメディ?を書いていこうと思います。(`ー´ゞ 一作品500~1000文字前後でサクッと読める感じでいきたいと思います。 めんどくさいからじゃないよ(-。-)y-~ なるべく毎日更新したいけど、たまには1週間くらい空いちゃうよね🎵 あっ、横書きの方が見やすいよ~🎵

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

徹夜でレポート間に合わせて寝落ちしたら……

紫藤百零
大衆娯楽
トイレに間に合いませんでしたorz 徹夜で書き上げたレポートを提出し、そのまま眠りについた澪理。目覚めた時には尿意が限界ギリギリに。少しでも動けば漏らしてしまう大ピンチ! 望む場所はすぐ側なのになかなか辿り着けないジレンマ。 刻一刻と高まる尿意と戦う澪理の結末はいかに。

とある女子高生の奇妙な振る舞い

akaoni_liquid
大衆娯楽
俺の隣の女子生徒の奇妙な行動に巻き込まれるだけのアホな話だぜ…。 ※我ながらアホな話だなぁと

パパと息子のオタク談義

つづれ しういち
大衆娯楽
 ここに、とあるパパと息子がいます。  息子の名前はタケシくん。いまは小学五年生です。  ふたりはちょっと見ると、どこにでもいそうな普通の親子。でも彼らはほんの少し風変わりな親子でもありました。  この物語では、読者のみなさんに、おもに彼らの普段の会話をのぞいていただこうと思います。  ではでは、風変りな親子のオタク談義、はじまりはじまり──。 ※気が向くと更新します。 ※小説家になろう、カクヨム、アルファポリスにて同時更新です。

【完結】【R18百合】会社のゆるふわ後輩女子に抱かれました

千鶴田ルト
恋愛
本編完結済み。細々と特別編を書いていくかもしれません。 レズビアンの月岡美波が起きると、会社の後輩女子の桜庭ハルナと共にベッドで寝ていた。 一体何があったのか? 桜庭ハルナはどういうつもりなのか? 月岡美波はどんな選択をするのか? おすすめシチュエーション ・後輩に振り回される先輩 ・先輩が大好きな後輩 続きは「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」にて掲載しています。 だいぶ毛色が変わるのでシーズン2として別作品で登録することにしました。 読んでやってくれると幸いです。 「会社のシゴデキ先輩女子と付き合っています」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/759377035/615873195 ※タイトル画像はAI生成です

処理中です...