14 / 18
14 意外過ぎる周囲の評価
しおりを挟む
「ベルジュロン様、先日は災難でしたわね」
「本当に、ベルジュロン様が他人に危害を加えるなんてあり得ないのに。
酷い濡れ衣ですわっっ!」
週明け、登校するとクラスメイトのご令嬢達に囲まれた。
彼女達は口々に、私に労いや慰めの言葉を掛ける。
「ベルジュロン様は、公爵家のご令嬢なのに全く偉ぶらないですし、誰にでもお優しくて素晴らしい方ですのに」
・・・・・・うん。
だって、平凡顔の癖に傲慢な公爵令嬢って、非常に残念な存在でしょ?
そうならない様に、努めて慎ましく見える様に振る舞ってきたのだ。
「私達でお力になれる事があれば、なんでも仰って下さいませ!」
「それは・・・どうも、有難うございます」
うーん・・・。
平凡顔だから親しみ易いのかしら?
この顔もたまには役に立つのね。
しかし、言葉通りに受け取って良いものだろうか?
私、周囲にそんなに好感を持って貰えてるとは思えないのだけど。
公爵家に媚を売りたいだけって可能性もある?
そんな風に考えるのは失礼かしら?
人の言葉の裏を読むのって難しいよね・・・。
ホント、公爵令嬢とか向いてないよ。
「普通に好かれてるんじゃ無い?」
お昼休み、殿下に相談したら即答された。
「そうでしょうか?」
「うん。
リュシーは気付いて無いけど、君は結構生徒達から慕われていると思うよ。
先日の階段での事件の時だって、君のクラスのご令嬢達が、リュシーがトラブルに巻き込まれてるって僕に知らせに来てくれたから、直ぐに駆けつける事が出来たんだよ」
殿下は私を安心させるように微笑んだ。
「まあ!そうだったのですか。
後で御礼を言わなければいけませんね」
自分の知らない所で、色々な人に助けられていたのかも知れない。
同年代に高位貴族のご令嬢がいない為遠巻きにされていて、お友達を作るのが難しいと思っていたのだが、それ程身構えなくても良かったのかも。
その数日後、階段事件の新たな証言が出始めた。
ある者は、図書室で例の男子生徒が私に「殿下が怪我をした」と嘘をついて呼び出したのを見たと言う。
そしてある者は、私が呼び出されたよりも前の時間に、大階段の5段目辺りで、例の男子生徒と共に〝よろめいて手摺りにしがみ付く仕草〟を繰り返しているモンタニエ伯爵令嬢を見たと証言した。
二つの証言が出てから、更に自分も見たと言う者が数名現れた。
そうなってくると、今迄私に疑惑の目を向けていた生徒達も、流石に事実を認識し始めた様で、私に同情的な空気が学園内にどんどん広がって行く。
ただ、私は少し疑問に思っている。
図書室に呼び出しに来たあの令息は、慌てている振りをしながらも、大声は出していなかった。
目撃されれば自分も疑われるのだから、当然気を付けていたのだろう。
そしてあの時、その程度の大きさの声が聞こえる範囲には、誰も居なかったと思うのだ。
誰かが、私に有利な証言を捏造しているのだろうか?
その誰かとは、当然あの人だろう。
でも、私は気付いていない振りをする。
私は嘘をつくのがあまり上手く無いのだから、具体的な事は何も知らずに居るのが一番なのだ。
そんな事を考えながら、私は帰り支度をして、ベルジュロン公爵家の馬車に近付いた。
御者台に見覚えのない男が座っていた事には気付いていたが、新しい使用人を雇ったのだろうとしか思わなかった。
「本当に、ベルジュロン様が他人に危害を加えるなんてあり得ないのに。
酷い濡れ衣ですわっっ!」
週明け、登校するとクラスメイトのご令嬢達に囲まれた。
彼女達は口々に、私に労いや慰めの言葉を掛ける。
「ベルジュロン様は、公爵家のご令嬢なのに全く偉ぶらないですし、誰にでもお優しくて素晴らしい方ですのに」
・・・・・・うん。
だって、平凡顔の癖に傲慢な公爵令嬢って、非常に残念な存在でしょ?
そうならない様に、努めて慎ましく見える様に振る舞ってきたのだ。
「私達でお力になれる事があれば、なんでも仰って下さいませ!」
「それは・・・どうも、有難うございます」
うーん・・・。
平凡顔だから親しみ易いのかしら?
この顔もたまには役に立つのね。
しかし、言葉通りに受け取って良いものだろうか?
私、周囲にそんなに好感を持って貰えてるとは思えないのだけど。
公爵家に媚を売りたいだけって可能性もある?
そんな風に考えるのは失礼かしら?
人の言葉の裏を読むのって難しいよね・・・。
ホント、公爵令嬢とか向いてないよ。
「普通に好かれてるんじゃ無い?」
お昼休み、殿下に相談したら即答された。
「そうでしょうか?」
「うん。
リュシーは気付いて無いけど、君は結構生徒達から慕われていると思うよ。
先日の階段での事件の時だって、君のクラスのご令嬢達が、リュシーがトラブルに巻き込まれてるって僕に知らせに来てくれたから、直ぐに駆けつける事が出来たんだよ」
殿下は私を安心させるように微笑んだ。
「まあ!そうだったのですか。
後で御礼を言わなければいけませんね」
自分の知らない所で、色々な人に助けられていたのかも知れない。
同年代に高位貴族のご令嬢がいない為遠巻きにされていて、お友達を作るのが難しいと思っていたのだが、それ程身構えなくても良かったのかも。
その数日後、階段事件の新たな証言が出始めた。
ある者は、図書室で例の男子生徒が私に「殿下が怪我をした」と嘘をついて呼び出したのを見たと言う。
そしてある者は、私が呼び出されたよりも前の時間に、大階段の5段目辺りで、例の男子生徒と共に〝よろめいて手摺りにしがみ付く仕草〟を繰り返しているモンタニエ伯爵令嬢を見たと証言した。
二つの証言が出てから、更に自分も見たと言う者が数名現れた。
そうなってくると、今迄私に疑惑の目を向けていた生徒達も、流石に事実を認識し始めた様で、私に同情的な空気が学園内にどんどん広がって行く。
ただ、私は少し疑問に思っている。
図書室に呼び出しに来たあの令息は、慌てている振りをしながらも、大声は出していなかった。
目撃されれば自分も疑われるのだから、当然気を付けていたのだろう。
そしてあの時、その程度の大きさの声が聞こえる範囲には、誰も居なかったと思うのだ。
誰かが、私に有利な証言を捏造しているのだろうか?
その誰かとは、当然あの人だろう。
でも、私は気付いていない振りをする。
私は嘘をつくのがあまり上手く無いのだから、具体的な事は何も知らずに居るのが一番なのだ。
そんな事を考えながら、私は帰り支度をして、ベルジュロン公爵家の馬車に近付いた。
御者台に見覚えのない男が座っていた事には気付いていたが、新しい使用人を雇ったのだろうとしか思わなかった。
120
お気に入りに追加
3,760
あなたにおすすめの小説
モブなので思いっきり場外で暴れてみました
雪那 由多
恋愛
やっと卒業だと言うのに婚約破棄だとかそう言うのはもっと人の目のないところでお三方だけでやってくださいませ。
そしてよろしければ私を巻き来ないようにご注意くださいませ。
一応自衛はさせていただきますが悪しからず?
そんなささやかな防衛をして何か問題ありましょうか?
※衝動的に書いたのであげてみました四話完結です。
小説主人公の悪役令嬢の姉に転生しました
みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
第一王子と妹が並んでいる姿を見て前世を思い出したリリーナ。
ここは小説の世界だ。
乙女ゲームの悪役令嬢が主役で、悪役にならず幸せを掴む、そんな内容の話で私はその主人公の姉。しかもゲーム内で妹が悪役令嬢になってしまう原因の1つが姉である私だったはず。
とはいえ私は所謂モブ。
この世界のルールから逸脱しないように無難に生きていこうと決意するも、なぜか第一王子に執着されている。
そういえば、元々姉の婚約者を奪っていたとか設定されていたような…?
せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません
嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。
人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。
転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。
せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。
少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
どうして私にこだわるんですか!?
風見ゆうみ
恋愛
「手柄をたてて君に似合う男になって帰ってくる」そう言って旅立って行った婚約者は三年後、伯爵の爵位をいただくのですが、それと同時に旅先で出会った令嬢との結婚が決まったそうです。
それを知った伯爵令嬢である私、リノア・ブルーミングは悲しい気持ちなんて全くわいてきませんでした。だって、そんな事になるだろうなってわかってましたから!
婚約破棄されて捨てられたという噂が広まり、もう結婚は無理かな、と諦めていたら、なんと辺境伯から結婚の申し出が! その方は冷酷、無口で有名な方。おっとりした私なんて、すぐに捨てられてしまう、そう思ったので、うまーくお断りして田舎でゆっくり過ごそうと思ったら、なぜか結婚のお断りを断られてしまう。
え!? そんな事ってあるんですか? しかもなぜか、元婚約者とその彼女が田舎に引っ越した私を追いかけてきて!?
おっとりマイペースなヒロインとヒロインに恋をしている辺境伯とのラブコメです。ざまぁは後半です。
※独自の世界観ですので、設定はゆるめ、ご都合主義です。
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
麗しの王子殿下は今日も私を睨みつける。
スズキアカネ
恋愛
「王子殿下の運命の相手を占いで決めるそうだから、レオーネ、あなたが選ばれるかもしれないわよ」
伯母の一声で連れて行かれた王宮広場にはたくさんの若い女の子たちで溢れかえっていた。
そしてバルコニーに立つのは麗しい王子様。
──あの、王子様……何故睨むんですか?
人違いに決まってるからそんなに怒らないでよぉ!
◇◆◇
無断転載・転用禁止。
Do not repost.
気だるげの公爵令息が変わった理由。
三月べに
恋愛
乙女ゲーの悪役令嬢に転生したリーンティア。王子の婚約者にはまだなっていない。避けたいけれど、貴族の義務だから縁談は避けきれないと、一応見合いのお茶会に参加し続けた。乙女ゲーのシナリオでは、その見合いお茶会の中で、王子に恋をしたから父に強くお願いして、王家も承諾して成立した婚約だったはず。
王子以外に婚約者を選ぶかどうかはさておき、他の見合い相手を見極めておこう。相性次第でしょ。
そう思っていた私の本日の見合い相手は、気だるげの公爵令息。面倒くさがり屋の無気力なキャラクターは、子どもの頃からもう気だるげだったのか。
「生きる楽しみを教えてくれ」
ドンと言い放つ少年に、何があったかと尋ねたくなった。別に暗い過去なかったよね、このキャラ。
「あなたのことは知らないので、私が楽しいと思った日々のことを挙げてみますね」
つらつらと楽しみを挙げたら、ぐったりした様子の公爵令息は、目を輝かせた。
そんな彼と、婚約が確定。彼も、変わった。私の隣に立てば、生き生きした笑みを浮かべる。
学園に入って、乙女ゲーのヒロインが立ちはだかった。
「アンタも転生者でしょ! ゲームシナリオを崩壊させてサイテー!! アンタが王子の婚約者じゃないから、フラグも立たないじゃない!!」
知っちゃこっちゃない。スルーしたが、腕を掴まれた。
「無視してんじゃないわよ!」
「頭をおかしくしたように喚く知らない人を見て見ぬふりしたいのは当然では」
「なんですって!? 推しだか何だか知らないけど! なんで無気力公爵令息があんなに変わっちゃったのよ!! どうでもいいから婚約破棄して、王子の婚約者になりなさい!! 軌道修正して!!」
そんなことで今更軌道修正するわけがなかろう……頭おかしい人だな、怖い。
「婚約破棄? ふざけるな。王子の婚約者になれって言うのも不敬罪だ」
ふわっと抱き上げてくれたのは、婚約者の公爵令息イサークだった。
(なろうにも、掲載)
転生先は推しの婚約者のご令嬢でした
真咲
恋愛
馬に蹴られた私エイミー・シュタットフェルトは前世の記憶を取り戻し、大好きな乙女ゲームの最推し第二王子のリチャード様の婚約者に転生したことに気が付いた。
ライバルキャラではあるけれど悪役令嬢ではない。
ざまぁもないし、行きつく先は円満な婚約解消。
推しが尊い。だからこそ幸せになってほしい。
ヒロインと恋をして幸せになるならその時は身を引く覚悟はできている。
けれども婚約解消のその時までは、推しの隣にいる事をどうか許してほしいのです。
※「小説家になろう」にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる