【完結】死を回避したい悪役令嬢は、ヒロインを破滅へと導く

miniko

文字の大きさ
上 下
190 / 200

190 去る者と生まれいずる者

しおりを挟む
 一年はどうして結婚を前提に自分と付き合おうと思ったのか。

香は一人思い悩んでいた。

彼からすれば、彼女は妻帯者と不倫しており、断るこそすれ、話を進めるとは道理にそぐわなかった。

てっきり、この見合い話はここいらで幕を閉じると、そう思い込んでいた香だったが、一年の意表を突いた返答に、困惑が頭をもたげた。

母親は、彼女が肯定的な返事を返すことを望んでいたが、返事も何も、それは不可能というものだった。

選択は断るの一択しかない。

何故?

どうして?

しかしながら、問いに対する答えを自力で見つけ出すのは非常に難しく、問題は解かれないまま、放置されるより他なかった。

とはいえ、彼女は女将に何と言って、断りの電話を入れる旨を説明すれば良いのだろうか。

何故このような良い話を蹴るのか。彼女はきっとそう娘をただすだろう。

今現在、夕貴と交際している香は、彼以外の相手など考えられないくらい彼に夢中だ。

だから、結婚を前提に一年と付き合うつもりはない。

しかし正直に打ち明けても、強気な母は夕貴ほどの男性とあれども、役不足だと、取り付く島もないのだろう。

香は彼女を相手に、自分一人で太刀打ちできるとは到底思えなかった。

もし、一人玉砕覚悟で踏み切ろうとするものならば、最悪も最悪、さっさと別れるよう、容赦なく言われてしまうかもしれない。

女将と違って気が弱い若女将は、大切なものを天秤にかけることなど、できるはずがなかった。

彼女には味方が必要だった。

母親と肩を並べられるくらいの後ろ盾が。


 香が彼に面会したいという一報が入ったとき、夕貴は執務室で業務にあたっていた。

事前に知らされていなかった夕貴は半ば驚きながらも、ここ執務室へ通すよう、命じた。

ほどなくして、ノック音に続き、入室を許可されると、仕事着では恥ずかしいのだろうか、洋服を着た香が彼の目前へ現れた。

彼女の表情は緊張から硬かった。

強張りを解すため、夕貴は鞣し革の張られたリクライニングチェアから立ち上がり、微笑みかけた。

「ようこそいらっしゃいました。香さん」

「夕貴さん、急に押し掛けてごめんなさい」

「いえ、全く問題はありません。会いに来てくださって嬉しいです。何か飲まれますか?」

「大丈夫です。あの、お話が」

「・・・お見合いの件でしょうか」

「!ど、どうして・・・!」

「『どうして』とはこちらの台詞です。どうして俺には言ってくださらなかったんですか」

「ご、ごめんなさい・・・。い、言いそびれてしまって・・・」

「始めから断ることもできたのではありませんか?」

「~~~ごめんなさい・・・!母に、夕貴さんとお付き合いしていることを、どうしても言えなくって・・・!」

だから今、それを相談しようとここへ来たのだと、香は言葉を続けようとしたが、遮られてしまった。

「俺はあなたにとって信用の足らない男なんですね」

夕貴の端麗な顔には、幾らかの落胆と怒りが浮き上がっていた。

「そんなことありません!」

「なら、『証明』してください」

「『証明』・・・?」

「服を脱いで、こちら・・・へ座ってください」

夕貴は良質のマホガニー材からできた彼の執務机を指した。

(えっ・・・)

聞き間違いではないかと、香は自らの耳を疑ったが、恋人の真剣な眼差しが、彼女の双眸をまっすぐ射抜いていたため、大いに動揺した。

何故、服を脱いで彼の目の前へ座ることが、夕貴を信頼していることに繋がるのか。

香は理解にすこぶる苦しんだ。

同時に、困惑も大きかった。

紳士の鑑とも言うべき恋人が、そのように大胆な指令を口にすること自体、彼女にとってにわかには信じられないことだった。

「ど、どうしてですか・・・?」

声が緊張のために上ずった。

「信頼しているのであれば、俺の要求に応えられるはずです」

要するに、彼女は正に今、恋人に対する愛情や忠誠心といった真心を試されているのだった。

故に、香は現実を悟ると、震える手を黙ってブラウスへやり、ボタンをゆっくりと外し始めた。

緊張と羞恥が空気を満たす中、薄着になっていく恋人へ、夕貴は静かな視線を注いだ。

遂に、スカートとストッキングも脱いでしまうと、ブラジャーとショーツだけを身に着けた香は、恥ずかしそうに顔を背けた。

「こちらへ」

恥じらいから、香はおずおずと近づくと、執務机へ腰を下ろし、夕貴と間近に対面した。

心臓が、ドキドキと張り裂けそうなほど激しく拍動するのを感じながら、彼女は整った顔立ちの恋人を見上げた。

羞恥と緊張のあまり、呼吸がいささか早くなってくる。

「良い眺めです」

夕貴は小さく微笑むと、唇を剝き出た肩へ、手を無防備な脇腹へ滑らせた。

反射的に、身体がビクンと強張った。

「あなたが毎日こんな風にいてくださったら、きっとどんなに退屈でつまらない仕事でも、捗ることでしょう」

耳元で低く囁かれると、既に高い心拍数は否応なく上昇し、せわしい胸の鼓動のために、香は答えることができなかった。

それから、触れるか触れないくらい、夕貴の唇が彼女の唇へもどかしく触れると、次の瞬間にはさっと塞がれ、海よりも深い、情熱的なキスが繰り広げられた。

「ぅん・・・♡♡!」

歓喜ゆえ、心臓は破裂寸前、右肩上がりの体温は、香を内側から溶かしていった。

すると、透明な粘液が、本人の意識の及ばないところで、股の間からとろりと浸み出し、ショーツを密かに濡らし始めた。

「・・・俺と別れて、海瀬さんと付き合うんですか」

夕貴は接吻の猛攻を緩めると、率直に訊いた。

「そんな・・・!」

香は面食らい、言葉が続かなかった。

「どのみち、彼に譲るつもりはありません・・・。あなたは俺のものなんですから」

瞬時に、唇が再び奪われた。

「・・・っ♡♡!」

その後、熱い口づけの最中、秘めた柔らかい部分をショーツ越しにくにゅりとなぞられると、香は機敏に反応した。

「っだめ・・・!」

「何故です?」

執務室ここではいやです・・・。場所を変えてください」

「心配しなくても、誰も入ってきはしませんよ」

「でも・・・っ」

「俺を信じていると、『証明』してください」

「あっ・・・!」

香の驚いたことに、隙を突いた夕貴の指が、下着の内側へするりと滑り込み、とろとろとふやけた蜜芯を触った。

「感心しませんね。一体いつから濡らしていたんです?」

指摘にも似た恥辱的な質問から、香の頬が赤く染まった。

続けて、痴態をほのめかす淫らな媚音が、蠢く指と同時に、艶かしく机上へ響いた。

「あ・・・っ♡♡や・・・あっ♡♡」

快感はすぐさま姿を現したが、自重的な女主人によって封じ込められてしまった。

「だめ、やめて・・・っ♡♡」

「やめません」

「は・・・ん♡♡あ・・・♡♡あぁ・・・♡♡!」

しこり・・・を重点的に擦られると、香は、ビリビリと静電気が通電したような感覚を覚え、体躯が時折机の上で弾んだ。

「机が濡れてしまいます」

夕貴は意地悪く微笑んだ。

「~~~♡♡!」

せめてもの抵抗として、辿り着いてしまわないよう、香は懸命に逆らった・・・・

しかしながら、抵抗は微弱なものに終わり、後戻りのない絶頂へ強制的に押し上げられると、香は悦びの悲鳴を上げた。

「あ、イク・・・♡♡!だめ、イク・・・ッ♡♡!!あ・・・♡♡!あぁッッ・・・♡♡!!・・・ッッ♡♡!」

その後、夕貴は蜜まみれの指を舐め、平静と言った。

「机がベトベトです。汚した責任を取ってもらいましょうか」

言葉尻にずるく告げると、彼は舐めた指を潤沢な蜜祠の中へ押し込んだ。

「あぁッ♡♡!」

「ん。もとろとろです」

続いて、ふしだらな泥濘へ埋もれた指が内側でゆっくりと擦れ動くと、明示的で卑猥な淫音が共に上がり、雌芯からは余った愛液がどんどん溢れ、優美なマホガニーの執務机を一段と湿らせた。

「あん・・・♡♡!、だめ・・・っ♡♡!」

「『だめ』じゃありません。『もっと』でしょう?」

「~~っ・・・♡♡!もっと、してぇ・・・っ♡♡!」

「良い子です」

褒美として、香の唇はすかさず夕貴の唇によって塞がれた。

「~~~♡♡!」

さりとて、先刻までの自重はどこへ行ってしまったのだろう?

今では、香は机の上で自ら脚を開き、ふしだらにも、腰を突き出していた。

「んッ♡♡んっ♡♡あ♡♡あぁッ・・・♡♡!んん・・・ッ♡♡!」

指が熱い。

気持ちがいい。

他に考えることもできず、当初の目的をすっかり忘れた彼女は、身も心もとろけてしまいそうな絶技に酔いしれた。

(もう、イク・・・♡♡!)

あと少しで、届こう・・・というところだった。

「いいですか?最後・・まで俺の要求に応えられなければ、『証明』にはなりませんよ?」

夕貴は冷ややかに宣言すると、熱い蜜で一杯に満たされていた狭い隘路から指を引き抜き、香の前で扇情的に舐めとった後、いつの間にか緩められた下腹部から、凝り切った雄茎を取り出した。

(えっ・・・!)

そして、啞然と驚く恋人に構わず、はずれたショーツの隙間から挿入ってきた。

「や・・・♡♡!」

刹那的な抵抗を覚える胸中とは裏腹に、淫猥な圧力のために、堪らず肘を机へ預けた香は、を着々と受け入れた・・・・・

「あッ・・・♡♡!あぁ・・・ッ♡♡!!」

彼女の意思に拘わらず、全てが収まり切ってしまうと、夕貴は恥じ入る香をしっかりと見据え、小刻みな性運動を開始した。

「だめ・・・♡♡!夕貴さ・・・♡♡!だめ・・・ッ♡♡!」

「何がだめなんです?まさか善くないですか?」

「ちが・・・♡♡!こんなところで・・・っ♡♡!」

それ・・はだめじゃないんですね」

淫らな思惑をにやりと見抜かれ、香の顔から火がボッと噴いた。

「香さん。いい加減もたれてくださらないと、激しくできませんよ?」

思わせぶりな発言が、彼女の性と期待を甚だ刺激し、香はすこぶる激しい歓喜のために、全身がゾクゾクと震えた。

故に、彼女はしおらしく、背中を机へ付け、仰向いた。

「良くできました」

口端を吊り上げた夕貴は褒めると、座骨の辺りを持ち、彼女のまで一息に突いた。

「ふぁあッ♡♡!」

快感が強すぎたあまり、香は意識が一瞬途切れ、呼吸もピタリと止まってしまったかのように思われた。

「ん。奥まで当たってますね」

「ひぁ♡♡!~~そんなの・・・♡♡!あぁぅッ♡♡!言っちゃ・・・♡♡あッ♡♡!だめ・・・っ♡♡!」

「分かりました。無駄口を叩かず、集中しろと」

「ッちが♡♡!あ、だめ♡♡!あッ♡♡!ん♡♡!あぁ~~~ッッ・・・♡♡!!」

反復運動が勢いを増してゆき、香は遂に顎をガクンと跳ね上げると、猛スピードで駆け抜けていった・・・・・・・・

「・・・あなたが俺を信じていると信じます。ですが念のため、もう一度『証明』してもらえますか」

弾む息を整えていた香は、机から抱き起こされると同時に訊ねられたが、答える前に唇が唇へ重なり、結局、可否はうやむやになった。

「・・・背中を向けてください」

したがって、香は求められるまま、机から遅々と降り、後ろを弱々しく向いた。

「――あッ・・・♡♡!やぁ、ん・・・ッ♡♡!」

すると速やかに、有言実行並びに、背後から、雄のいきりが雌の過敏な内部・・へ淀みなく進入してきて、悩ましくも、並行して嬉しい香は辛抱ならず、マホガニーの机へしな垂れかかった。

体勢は良い意味で具合が悪かった。

不埒にも、淫らな体液で濡れた、木目の美しい赤黒色の家具が、彼女の身体をしっかり支えてくれるので、香は遠慮のない激しい挿抜を、一心に受け止めねばならなかった。

女のいやらしい喘ぎと、運動から荒れた男の短い息遣い、そして、彼ら・・が擦れる度に湧き上がる、破廉恥な濁音が重なり合い、執務室ははち切れんばかりに、肉欲が充満した淫靡な空間へ変貌した。

「~~・・・あまり締め付けては困ります」

至福の苦悩に、整然な顔をやや歪めた夕貴は、嫋やかだが、同時に情熱的な恋人へ寄りかかると、手を上から被せ、彼女の小さな手を握った。

「~~ッ・・・♡♡!そんな・・・っ♡♡!あッ♡♡!こと・・・っ♡♡ん♡♡!な、い・・・っ♡♡!」

「ふふ。あなたは強情なひとですね?」

「~~夕貴さ・・・♡♡!あッ♡♡意地悪言っちゃ・・・♡♡!はん♡♡いやぁ・・・っ♡♡!」

「それは聞き捨てなりませんね。恋人に黙って、お見合いをしていた意地悪なひとはどちらですか?」

「あん・・・ッ♡♡!~~ッごめんなさ・・・♡♡!」

「全くです。あなたからどう見えているかは分かりませんが、俺は根に持つタイプなんです」

(そうなの・・・?)

途端に、恋人の知らなかった部分が垣間見え、香の胸がキュンと高鳴った。

更に、熱い唾液をまとった赤い舌が、耳をぬるりと小気味好く這い、香は新たな喜びに、ゾクゾクッと、身体の芯から震えた。

「・・・あなたは大した方です。俺がどれほどあなたを焦がれているか知っていて、海瀬さんを惹きつけたのでしょう?」

「あッ♡♡ひ、惹きつけてなんか・・・♡♡!」

「では何故、彼は結婚を前提にあなたと付き合いたがったのでしょうか?」

「結婚」という単語は、現在の状況からして、彼女には荷が重すぎたため、半ば自棄になった香は、頭を横に振った。

「ッもう・・・♡♡!許して・・・っ♡♡!!」

「嫉妬深い男は嫌いですか?」

「っ好き・・・♡♡!夕貴さんが好き・・・♡♡!!」

「やはりあなたはずるひとだ・・・。俺もあなたが好きです」

「ッ―――♡♡!!ッ・・・♡♡!・・・ッ♡♡!!」
しおりを挟む
感想 1,005

あなたにおすすめの小説

[完結]本当にバカね

シマ
恋愛
私には幼い頃から婚約者がいる。 この国の子供は貴族、平民問わず試験に合格すれば通えるサラタル学園がある。 貴族は落ちたら恥とまで言われる学園で出会った平民と恋に落ちた婚約者。 入婿の貴方が私を見下すとは良い度胸ね。 私を敵に回したら、どうなるか分からせてあげる。

【完結】恋は、終わったのです

楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。 今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。 『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』 身長を追い越してしまった時からだろうか。  それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。 あるいは――あの子に出会った時からだろうか。 ――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

ある王国の王室の物語

朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。 顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。 それから 「承知しました」とだけ言った。 ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。 それからバウンドケーキに手を伸ばした。 カクヨムで公開したものに手を入れたものです。

私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のキャリーヌは、婚約者で王太子のジェイデンから、婚約を解消して欲しいと告げられた。聞けば視察で来ていたディステル王国の王女、ラミアを好きになり、彼女と結婚したいとの事。 ラミアは非常に美しく、お色気むんむんの女性。ジェイデンが彼女の美しさの虜になっている事を薄々気が付いていたキャリーヌは、素直に婚約解消に応じた。 しかし、ジェイデンの要求はそれだけでは終わらなかったのだ。なんとキャリーヌに、自分の側妃になれと言い出したのだ。そもそも側妃は非常に問題のある制度だったことから、随分昔に廃止されていた。 もちろん、キャリーヌは側妃を拒否したのだが… そんなキャリーヌをジェイデンは権力を使い、地下牢に閉じ込めてしまう。薄暗い地下牢で、食べ物すら与えられないキャリーヌ。 “側妃になるくらいなら、この場で息絶えた方がマシだ” 死を覚悟したキャリーヌだったが、なぜか地下牢から出され、そのまま家族が見守る中馬車に乗せられた。 向かった先は、実の姉の嫁ぎ先、大国カリアン王国だった。 深い傷を負ったキャリーヌを、カリアン王国で待っていたのは… ※恋愛要素よりも、友情要素が強く出てしまった作品です。 他サイトでも同時投稿しています。 どうぞよろしくお願いしますm(__)m

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

奪われたものは、もう返さなくていいです

gacchi
恋愛
幼い頃、母親が公爵の後妻となったことで公爵令嬢となったクラリス。正式な養女とはいえ、先妻の娘である義姉のジュディットとは立場が違うことは理解していた。そのため、言われるがままにジュディットのわがままを叶えていたが、学園に入学するようになって本当にこれが正しいのか悩み始めていた。そして、その頃、双子である第一王子アレクシスと第二王子ラファエルの妃選びが始まる。どちらが王太子になるかは、その妃次第と言われていたが……

処理中です...