165 / 200
165 トラウマの発現
しおりを挟む
マドック男爵領から帰った日は、お土産という名の賄賂が功を奏し、サディアス殿下に帰宅の許可を貰えたアイザック。
しかしその翌日には、元施設長の証言によりエイリーンが生きている事が判明。
しかもレイラと同一人物である可能性が高まった事によって、アイザックもエイリーンの捜索に駆り出されて多忙を極める日々が続き、私と会う時間が殆ど取れなくなっている。
残念ながら、未だにエイリーンの所在は掴めていない。
両親にさえも死んだと思われていたし、現マドック男爵夫妻も母親の死後は連絡を取っていないと言うので、手掛かりはゼロに近い状態なのだから、当然といえば当然かもしれない。
だが、初動の期間は過ぎたので、今後は長期戦で探して行く形に方針が転換されると言う。
もうすぐ始まる新学期からはアイザックも基本的には学園に通いつつ、合間を縫って捜査に参加する事になるらしい。
過労についてはとても心配だが、本人は学園で私と過ごせる事を楽しみにしてくれている様だ。
「公爵家の家政の勉強は進んでいるのかい?」
晩餐の席で、前菜を食べ終わって手を止めたお父様が、珍しく私にそんな質問をした。
「はい。丁寧に教えて頂いてるので、順調ですよ」
「そうか。
その……、アイザック様とはあまりお会い出来ていない様だが、淋しくはないかい?」
ああ、それを心配してくれていたのか。
「多少は淋しいですが、お忙しい方なので仕方のない事です。
お手紙は頂いてますし、会えない間も気に掛けて下さっていますよ」
「うん、二人の気持ちが離れていないのならば良かった。
引き続き、頑張って学びなさい。
オフィーリアなら大丈夫だとは思うが、くれぐれも彼方のお宅にご迷惑が掛からない様にな」
「勿論です」
私の返事に安堵した様子のお父様だが、相変わらず顔色が悪い。
ゆくゆくは姻戚になるのだから、そろそろヘーゼルダイン家に慣れて欲しいものだ。
「姉上はあちらのご家族にも、使用人にも歓迎されているので、心配は要らないと思いますよ」
ジョエルは愛馬であるマノンに会う為に公爵邸に赴く事も多く、両親よりも公爵邸での私の様子を良く知っている。
「ジョエルも彼方のご家族の前では、ちゃんと猫を被っておきなさいね」
なんとも言えないお母様の助言に、ジョエルは「はい」と素直に頷いた。
まあジョエルの不遜な態度は、既にアイザックとフレデリカにはバレてるんだけどね。
そんな会話を楽しんでいると、食卓にとても美味しそうな匂いが漂って来た。
メイド達の手により、本日のメインディッシュである分厚い牛ヒレ肉のステーキが目の前に饗される。
お久し振りの牛肉ちゃん!
お父様があまり牛肉が好きじゃないせいで我が家の食卓にはあまり上らないのだけど、私の好物だから、料理長の気遣いで二ヶ月に一度くらいは、メニューに組み込んでくれていた。
私の好みに合わせてレアに焼き上げられたお肉に、密かに胸を弾ませながらナイフを入れる。
しかし、その瞬間、ゾワリと背筋が粟立った。
「───っ!?」
思わず声が零れそうになるのを何とか堪え、微かに震える手で一口分を切り分けて口に入れる。
とても美味しい。
けど───。
どうしよう。
食感も味も、大丈夫。今迄通り、美味しいと感じられる。血が滴る見た目も、別に嫌じゃない。
だけど、ナイフを入れたりフォークを突き刺す感触が、ダメみたいだ。
脳裏に蘇るのは、リンメル先生の太腿に短剣を突き立てた時の、あの嫌な感触。
あの事件からこれまで、何度も肉を食べる機会はあったが、鶏肉や豚肉の時はナイフで切るのも全く問題無かった。
思えば牛のステーキは、事件以降は食べていなかったかもしれない。
多分、レアで分厚い肉の方が感触がリアルだからダメなのだろう。
美味しいのに、食が進まない。
「姉上」
そんな私をジッと見詰めていたジョエルが、私に自分の皿を差し出した。
その皿の上のステーキは、まるで幼な子にしてやる様に、全て小さく切り分けられている。
「僕のと交換しましょう。
切る感触がダメなんでしょ?」
「え? 何で分かるの!?」
「見てれば想像はつきますよ。あんな事件の後ですしね」
私達の遣り取りを聞いて、お父様も心配そうに口を開いた。
「オフィーリア、ステーキが苦手になったのかい?
あんなに好物だったのに……。
私のは鶏肉だから、交換するか?
それとも、何か別の物を用意させようか?」
そんなお父様の気遣いには、私よりも先にジョエルが返事をした。
「いえ、父上だって牛は苦手なのですから、そのまま鶏肉をお召し上がり下さい。
多分姉上は、食べるのは大丈夫なのですよ。
切るのが嫌なだけで」
「だから、何で分かるのっ!?」
ええ、そうですよ。
ジョエルの言う通りですよ。
でも、普通は顔色を見ただけで、そこまで分からないよね?
読心術でも使ってるの?
「……我が息子ながら、シスコン過ぎて、ちょっと気持ち悪いわね」
お母様が苦笑しながらポツリと呟く。
私も心の中でブンブンと首を縦に振った。
いくら可愛い弟でも、頭の中身をそんなに言い当てられたら、ちょっと怖いよ?
でもまあ、ジョエルに婚約者が出来たら、どうせお姉ちゃんの事なんて構ってくれなくなるんだろうから、今の内に満喫しといた方が良いのかな?
結局私は、ジョエルが小さく切り分けてくれたステーキをフォークの上に乗せて口に運び、一皿ペロリと完食した。
あの事件のせいで日常生活に支障を感じた事はこれまで無かったから、安堵していたのに……。
まさか、こんなに時間が経ってから、トラウマが判明するなんて思わなかった。
まあ、レアなステーキさえ避ければ良いだけなのだから、心の傷が軽く済んで良かったと思うべきなのかもしれないけど。
「これから、ステーキが食べられないと思うと、ちょっと悲しいわね。
鹿肉も好きなのだけど、レアに焼いたのは無理そうだし……」
「心配しなくても、僕が毎回切り分ければ良いだけの話ですし、結婚後はアイザック様が嬉々として切り分けてくれますよ」
しょんぼりしながら愚痴を零した私に、ジョエルは何でもない事の様にそう言った。
「そうか。そうよね」
「いや、別にジョエルが切らなくても、料理長に言って、予め切った状態で出して貰えば良いんじゃないか?」
「父上は余計な事を言わないで下さい」
お父様の尤も過ぎる発言は、ジョエルによって華麗にスルーされた。
しかしその翌日には、元施設長の証言によりエイリーンが生きている事が判明。
しかもレイラと同一人物である可能性が高まった事によって、アイザックもエイリーンの捜索に駆り出されて多忙を極める日々が続き、私と会う時間が殆ど取れなくなっている。
残念ながら、未だにエイリーンの所在は掴めていない。
両親にさえも死んだと思われていたし、現マドック男爵夫妻も母親の死後は連絡を取っていないと言うので、手掛かりはゼロに近い状態なのだから、当然といえば当然かもしれない。
だが、初動の期間は過ぎたので、今後は長期戦で探して行く形に方針が転換されると言う。
もうすぐ始まる新学期からはアイザックも基本的には学園に通いつつ、合間を縫って捜査に参加する事になるらしい。
過労についてはとても心配だが、本人は学園で私と過ごせる事を楽しみにしてくれている様だ。
「公爵家の家政の勉強は進んでいるのかい?」
晩餐の席で、前菜を食べ終わって手を止めたお父様が、珍しく私にそんな質問をした。
「はい。丁寧に教えて頂いてるので、順調ですよ」
「そうか。
その……、アイザック様とはあまりお会い出来ていない様だが、淋しくはないかい?」
ああ、それを心配してくれていたのか。
「多少は淋しいですが、お忙しい方なので仕方のない事です。
お手紙は頂いてますし、会えない間も気に掛けて下さっていますよ」
「うん、二人の気持ちが離れていないのならば良かった。
引き続き、頑張って学びなさい。
オフィーリアなら大丈夫だとは思うが、くれぐれも彼方のお宅にご迷惑が掛からない様にな」
「勿論です」
私の返事に安堵した様子のお父様だが、相変わらず顔色が悪い。
ゆくゆくは姻戚になるのだから、そろそろヘーゼルダイン家に慣れて欲しいものだ。
「姉上はあちらのご家族にも、使用人にも歓迎されているので、心配は要らないと思いますよ」
ジョエルは愛馬であるマノンに会う為に公爵邸に赴く事も多く、両親よりも公爵邸での私の様子を良く知っている。
「ジョエルも彼方のご家族の前では、ちゃんと猫を被っておきなさいね」
なんとも言えないお母様の助言に、ジョエルは「はい」と素直に頷いた。
まあジョエルの不遜な態度は、既にアイザックとフレデリカにはバレてるんだけどね。
そんな会話を楽しんでいると、食卓にとても美味しそうな匂いが漂って来た。
メイド達の手により、本日のメインディッシュである分厚い牛ヒレ肉のステーキが目の前に饗される。
お久し振りの牛肉ちゃん!
お父様があまり牛肉が好きじゃないせいで我が家の食卓にはあまり上らないのだけど、私の好物だから、料理長の気遣いで二ヶ月に一度くらいは、メニューに組み込んでくれていた。
私の好みに合わせてレアに焼き上げられたお肉に、密かに胸を弾ませながらナイフを入れる。
しかし、その瞬間、ゾワリと背筋が粟立った。
「───っ!?」
思わず声が零れそうになるのを何とか堪え、微かに震える手で一口分を切り分けて口に入れる。
とても美味しい。
けど───。
どうしよう。
食感も味も、大丈夫。今迄通り、美味しいと感じられる。血が滴る見た目も、別に嫌じゃない。
だけど、ナイフを入れたりフォークを突き刺す感触が、ダメみたいだ。
脳裏に蘇るのは、リンメル先生の太腿に短剣を突き立てた時の、あの嫌な感触。
あの事件からこれまで、何度も肉を食べる機会はあったが、鶏肉や豚肉の時はナイフで切るのも全く問題無かった。
思えば牛のステーキは、事件以降は食べていなかったかもしれない。
多分、レアで分厚い肉の方が感触がリアルだからダメなのだろう。
美味しいのに、食が進まない。
「姉上」
そんな私をジッと見詰めていたジョエルが、私に自分の皿を差し出した。
その皿の上のステーキは、まるで幼な子にしてやる様に、全て小さく切り分けられている。
「僕のと交換しましょう。
切る感触がダメなんでしょ?」
「え? 何で分かるの!?」
「見てれば想像はつきますよ。あんな事件の後ですしね」
私達の遣り取りを聞いて、お父様も心配そうに口を開いた。
「オフィーリア、ステーキが苦手になったのかい?
あんなに好物だったのに……。
私のは鶏肉だから、交換するか?
それとも、何か別の物を用意させようか?」
そんなお父様の気遣いには、私よりも先にジョエルが返事をした。
「いえ、父上だって牛は苦手なのですから、そのまま鶏肉をお召し上がり下さい。
多分姉上は、食べるのは大丈夫なのですよ。
切るのが嫌なだけで」
「だから、何で分かるのっ!?」
ええ、そうですよ。
ジョエルの言う通りですよ。
でも、普通は顔色を見ただけで、そこまで分からないよね?
読心術でも使ってるの?
「……我が息子ながら、シスコン過ぎて、ちょっと気持ち悪いわね」
お母様が苦笑しながらポツリと呟く。
私も心の中でブンブンと首を縦に振った。
いくら可愛い弟でも、頭の中身をそんなに言い当てられたら、ちょっと怖いよ?
でもまあ、ジョエルに婚約者が出来たら、どうせお姉ちゃんの事なんて構ってくれなくなるんだろうから、今の内に満喫しといた方が良いのかな?
結局私は、ジョエルが小さく切り分けてくれたステーキをフォークの上に乗せて口に運び、一皿ペロリと完食した。
あの事件のせいで日常生活に支障を感じた事はこれまで無かったから、安堵していたのに……。
まさか、こんなに時間が経ってから、トラウマが判明するなんて思わなかった。
まあ、レアなステーキさえ避ければ良いだけなのだから、心の傷が軽く済んで良かったと思うべきなのかもしれないけど。
「これから、ステーキが食べられないと思うと、ちょっと悲しいわね。
鹿肉も好きなのだけど、レアに焼いたのは無理そうだし……」
「心配しなくても、僕が毎回切り分ければ良いだけの話ですし、結婚後はアイザック様が嬉々として切り分けてくれますよ」
しょんぼりしながら愚痴を零した私に、ジョエルは何でもない事の様にそう言った。
「そうか。そうよね」
「いや、別にジョエルが切らなくても、料理長に言って、予め切った状態で出して貰えば良いんじゃないか?」
「父上は余計な事を言わないで下さい」
お父様の尤も過ぎる発言は、ジョエルによって華麗にスルーされた。
1,859
お気に入りに追加
6,320
あなたにおすすめの小説

[完結]本当にバカね
シマ
恋愛
私には幼い頃から婚約者がいる。
この国の子供は貴族、平民問わず試験に合格すれば通えるサラタル学園がある。
貴族は落ちたら恥とまで言われる学園で出会った平民と恋に落ちた婚約者。
入婿の貴方が私を見下すとは良い度胸ね。
私を敵に回したら、どうなるか分からせてあげる。
【完結】恋は、終わったのです
楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。
今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。
『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』
身長を追い越してしまった時からだろうか。
それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。
あるいは――あの子に出会った時からだろうか。
――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。

ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。

私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のキャリーヌは、婚約者で王太子のジェイデンから、婚約を解消して欲しいと告げられた。聞けば視察で来ていたディステル王国の王女、ラミアを好きになり、彼女と結婚したいとの事。
ラミアは非常に美しく、お色気むんむんの女性。ジェイデンが彼女の美しさの虜になっている事を薄々気が付いていたキャリーヌは、素直に婚約解消に応じた。
しかし、ジェイデンの要求はそれだけでは終わらなかったのだ。なんとキャリーヌに、自分の側妃になれと言い出したのだ。そもそも側妃は非常に問題のある制度だったことから、随分昔に廃止されていた。
もちろん、キャリーヌは側妃を拒否したのだが…
そんなキャリーヌをジェイデンは権力を使い、地下牢に閉じ込めてしまう。薄暗い地下牢で、食べ物すら与えられないキャリーヌ。
“側妃になるくらいなら、この場で息絶えた方がマシだ”
死を覚悟したキャリーヌだったが、なぜか地下牢から出され、そのまま家族が見守る中馬車に乗せられた。
向かった先は、実の姉の嫁ぎ先、大国カリアン王国だった。
深い傷を負ったキャリーヌを、カリアン王国で待っていたのは…
※恋愛要素よりも、友情要素が強く出てしまった作品です。
他サイトでも同時投稿しています。
どうぞよろしくお願いしますm(__)m
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる