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132 星形の痣?
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男の腕を強く掴んだまま、ニコラスは低い声で質問する。
「君は何をしに此処へ?」
「あの、砂糖が足りないと連絡を受けまして……」
ちょっとした行き違いで未納入となっていたウチのクラスの砂糖は、既に数日前には届いていた。
他にも不足しているクラスがあるのだろうか?
「立入許可証を見せてくれ」
「……あ、はい」
ニコラスはおずおずと差し出されたそれを受け取ると軽く表面を撫でてから、無言でアイザックに手渡した。
「うん。
良く出来ているけど、若干紙質が違うね。
偽物だよ」
いつの間にか男の背後に移動していたニコラスが、手の中に隠し持った小さなナイフを男の首に軽く押し当てた。
「大事にしない方がお互いの為だ。大人しく着いて来てもらおうか。
抵抗しても無駄だと言う事は、分かるよな?」
肌をピリピリと刺すような空気は、ニコラスが発する殺気だろうか?
顔を青褪めさせた男は小さく頷き、素直に連行されて行った。
「ね、ちゃんとしてるでしょ?」
一連の出来事をポカンとした顔で眺めていた私の肩を、戻って来たアイザックがポンと叩く。
「ええ、本当に。ちょっと驚きました」
「文化祭、中止かしらね?」
ベアトリスの問いにアイザックは首を横に振った。
「学園側としても、騒ぎを大きくしたくはないだろう。
あの不審者の目的にもよるが、警備を強化して続行の可能性が高い。
取り敢えず何かしらの指示があるまでは、僕達も普通に過ごそう」
「そうね」
私達は予定通りフレデリカのピアノ演奏を聴きに講堂へ向かう。
『いつだって完璧』と豪語するだけあって、彼女の奏でる音色はとても美しかった。
演奏が終わると、他の生徒の時よりも明らかに大きな拍手があがる。
壇上で少し照れた笑みを浮かべながら礼をしたフレデリカは、とても可愛らしかった。
本当はハリエットや他の友人のクラスも覗いてみたかったんだけど、侵入者の捕縛騒動もあって、店番の交代まで残された時間はあと僅か。
軽く昼食をとってから戻ろうと食堂へ向かった私達に、取り調べを終えたニコラスが合流した。
食事をしながらニコラスの報告を聞く事になった。
どうやらあの不審者はただのストーカーだったらしい。
冒険者の彼はこの学園に通っている下位貴族の令嬢と付き合っていたが、一方的に振られてしまい、付き纏い行為に及んだ。
もう一度話し合いたかったのだが、普段は護衛に阻まれて近付く事すら儘ならない。
しかし、学園内では護衛がいないと知って侵入したのだと言う。
詳しい取り調べはまだ続けられるが、不審者の目的が暗殺とかでは無かった事と、再確認したところ、他に不審な来場者が居なかった事などから、アイザックの予想通り、警備を強化して文化祭は続行される事になったらしい。
「何故侵入者だと分かったのです?」
首を傾げて問うと、ニコラスがボソボソと説明してくれた。
「……手が、剣を握る者の手だった。
それに、菓子などは事前に各家の使用人が作った物を持ち寄る決まりだから、砂糖は茶に入れるくらいしか使わないのに、当日に足りなくなるなんて不自然だろ。
あの廊下の先には飲食系の店を出している教室は無かったし……」
「へえ、言われてみれば確かにそうね。
意外とやるじゃない!」
ベアトリスに褒められて、ニコラスの頬が仄かに赤くなった。
すれ違う迄のほんの短い時間で違和感に気付けたのは、常に周囲を警戒している証拠だろう。
(ポンコツだと思っていたけど、やっぱり乙女ゲームのヒーローなだけあるわね)
一瞬そう考えたのだが、クリスティアンの存在が頭に浮かび、ゲームの役柄と能力は無関係だと思い直した。
食事を終えて戻る途中、Bクラスの前を通りかかると、なんだかギスギスした雰囲気が漂っていた。
サンドイッチと果実水を販売しているらしいが、お昼も近いというのに客の姿はまばらだ。
まあ、サンドイッチなら食堂で食べた方が確実に美味しい気がする。
何を売りにしたいのか、良く分からない店である。
「あの人達、面倒な提案ばかりして、何にも手伝わないわよね」
女子生徒が愚痴る声が微かに聞こえた。
きっと、あの人達とはクリスティアンとプリシラの事だろう。
実行委員の仕事は生徒会に丸投げ。クラスの準備もクラスメイトに丸投げ。あの人達、何がしたいの?
教室の中にクリスティアンやプリシラが居るのかは分からないが、見付かって絡まれると面倒なので、私達は足早にその場を歩き去った。
「うわっ、並んでますよ」
Aクラスの教室の前に行列が出来ているのを見て、思わず声を上げる。
今回の祭りの売り上げは全て孤児院に寄付される予定なので、盛況なのは喜ばしい事ではあるけど……。
この後の仕事量を考えると、つい溜息が出そうになる。
「なんか、大変な事になりそうだね」
アイザックも微かに眉根を寄せた。
中へ入ると、ヘトヘトに疲れた様子だったお茶汲み担当の女子生徒が、私とアイザックを見て瞳を輝かせる。
「わー、救世主の帰還!!」
「忙しそうですね」
「そうなんですよぉ。
珍しい種類の紅茶が色々揃ってるって、口コミで広がったらしくて……」
「交代しますから、休憩に入ってください」
私がそう言うと、彼女は「ありがとう」と言い残し、踊り出しそうな足取りで教室を出て行こうとして───。
お客のコップに水を注いでいた生徒にぶつかった。
バシャッと零れた水が、客の手元にかかる。
「「も、申し訳ありませんっっ!」」
水を零した生徒もぶつかった生徒も、ペコペコと頭を下げて謝っている。
私は布巾とハンカチを手に、急いでそのテーブルへと向かった。
近付いてみて初めて、そこに座っているのがリンメル先生だという事に気付き、一瞬体が強張る。
が、直ぐに気を取り直して、先生にハンカチを手渡した。
「申し訳ありません。
良かったら使って下さい」
「気にするな。濡れたのは手だけだ」
そう言われて自然と彼の手元へ視線を移すと、トレードマークの白手袋が濡れてピタッと貼り付き、その下に薄らと何かが透けて見えた。
(星みたいな形の……痣?)
私の視線に気付いたのか、先生はハンカチで拭う様な自然な仕草でそれを隠す。
その仕草に気付かなかったフリをして、テーブルに零れた水を黙々と拭き取った。
(なんだろう、アレ?
隠したって事は、何か見られたくない理由があるのよね?
もしかして、いつも着けている手袋もアレを隠す為だったのかな?)
「オフィーリア、どうしたの?」
考え込みながら裏へ戻ると、アイザックが声を掛けて来た。
私は、今見た出来事を話す。
「星型……。そうか……」
私の話を聞いたアイザックは、とても難しい表情で呟いた。
「君は何をしに此処へ?」
「あの、砂糖が足りないと連絡を受けまして……」
ちょっとした行き違いで未納入となっていたウチのクラスの砂糖は、既に数日前には届いていた。
他にも不足しているクラスがあるのだろうか?
「立入許可証を見せてくれ」
「……あ、はい」
ニコラスはおずおずと差し出されたそれを受け取ると軽く表面を撫でてから、無言でアイザックに手渡した。
「うん。
良く出来ているけど、若干紙質が違うね。
偽物だよ」
いつの間にか男の背後に移動していたニコラスが、手の中に隠し持った小さなナイフを男の首に軽く押し当てた。
「大事にしない方がお互いの為だ。大人しく着いて来てもらおうか。
抵抗しても無駄だと言う事は、分かるよな?」
肌をピリピリと刺すような空気は、ニコラスが発する殺気だろうか?
顔を青褪めさせた男は小さく頷き、素直に連行されて行った。
「ね、ちゃんとしてるでしょ?」
一連の出来事をポカンとした顔で眺めていた私の肩を、戻って来たアイザックがポンと叩く。
「ええ、本当に。ちょっと驚きました」
「文化祭、中止かしらね?」
ベアトリスの問いにアイザックは首を横に振った。
「学園側としても、騒ぎを大きくしたくはないだろう。
あの不審者の目的にもよるが、警備を強化して続行の可能性が高い。
取り敢えず何かしらの指示があるまでは、僕達も普通に過ごそう」
「そうね」
私達は予定通りフレデリカのピアノ演奏を聴きに講堂へ向かう。
『いつだって完璧』と豪語するだけあって、彼女の奏でる音色はとても美しかった。
演奏が終わると、他の生徒の時よりも明らかに大きな拍手があがる。
壇上で少し照れた笑みを浮かべながら礼をしたフレデリカは、とても可愛らしかった。
本当はハリエットや他の友人のクラスも覗いてみたかったんだけど、侵入者の捕縛騒動もあって、店番の交代まで残された時間はあと僅か。
軽く昼食をとってから戻ろうと食堂へ向かった私達に、取り調べを終えたニコラスが合流した。
食事をしながらニコラスの報告を聞く事になった。
どうやらあの不審者はただのストーカーだったらしい。
冒険者の彼はこの学園に通っている下位貴族の令嬢と付き合っていたが、一方的に振られてしまい、付き纏い行為に及んだ。
もう一度話し合いたかったのだが、普段は護衛に阻まれて近付く事すら儘ならない。
しかし、学園内では護衛がいないと知って侵入したのだと言う。
詳しい取り調べはまだ続けられるが、不審者の目的が暗殺とかでは無かった事と、再確認したところ、他に不審な来場者が居なかった事などから、アイザックの予想通り、警備を強化して文化祭は続行される事になったらしい。
「何故侵入者だと分かったのです?」
首を傾げて問うと、ニコラスがボソボソと説明してくれた。
「……手が、剣を握る者の手だった。
それに、菓子などは事前に各家の使用人が作った物を持ち寄る決まりだから、砂糖は茶に入れるくらいしか使わないのに、当日に足りなくなるなんて不自然だろ。
あの廊下の先には飲食系の店を出している教室は無かったし……」
「へえ、言われてみれば確かにそうね。
意外とやるじゃない!」
ベアトリスに褒められて、ニコラスの頬が仄かに赤くなった。
すれ違う迄のほんの短い時間で違和感に気付けたのは、常に周囲を警戒している証拠だろう。
(ポンコツだと思っていたけど、やっぱり乙女ゲームのヒーローなだけあるわね)
一瞬そう考えたのだが、クリスティアンの存在が頭に浮かび、ゲームの役柄と能力は無関係だと思い直した。
食事を終えて戻る途中、Bクラスの前を通りかかると、なんだかギスギスした雰囲気が漂っていた。
サンドイッチと果実水を販売しているらしいが、お昼も近いというのに客の姿はまばらだ。
まあ、サンドイッチなら食堂で食べた方が確実に美味しい気がする。
何を売りにしたいのか、良く分からない店である。
「あの人達、面倒な提案ばかりして、何にも手伝わないわよね」
女子生徒が愚痴る声が微かに聞こえた。
きっと、あの人達とはクリスティアンとプリシラの事だろう。
実行委員の仕事は生徒会に丸投げ。クラスの準備もクラスメイトに丸投げ。あの人達、何がしたいの?
教室の中にクリスティアンやプリシラが居るのかは分からないが、見付かって絡まれると面倒なので、私達は足早にその場を歩き去った。
「うわっ、並んでますよ」
Aクラスの教室の前に行列が出来ているのを見て、思わず声を上げる。
今回の祭りの売り上げは全て孤児院に寄付される予定なので、盛況なのは喜ばしい事ではあるけど……。
この後の仕事量を考えると、つい溜息が出そうになる。
「なんか、大変な事になりそうだね」
アイザックも微かに眉根を寄せた。
中へ入ると、ヘトヘトに疲れた様子だったお茶汲み担当の女子生徒が、私とアイザックを見て瞳を輝かせる。
「わー、救世主の帰還!!」
「忙しそうですね」
「そうなんですよぉ。
珍しい種類の紅茶が色々揃ってるって、口コミで広がったらしくて……」
「交代しますから、休憩に入ってください」
私がそう言うと、彼女は「ありがとう」と言い残し、踊り出しそうな足取りで教室を出て行こうとして───。
お客のコップに水を注いでいた生徒にぶつかった。
バシャッと零れた水が、客の手元にかかる。
「「も、申し訳ありませんっっ!」」
水を零した生徒もぶつかった生徒も、ペコペコと頭を下げて謝っている。
私は布巾とハンカチを手に、急いでそのテーブルへと向かった。
近付いてみて初めて、そこに座っているのがリンメル先生だという事に気付き、一瞬体が強張る。
が、直ぐに気を取り直して、先生にハンカチを手渡した。
「申し訳ありません。
良かったら使って下さい」
「気にするな。濡れたのは手だけだ」
そう言われて自然と彼の手元へ視線を移すと、トレードマークの白手袋が濡れてピタッと貼り付き、その下に薄らと何かが透けて見えた。
(星みたいな形の……痣?)
私の視線に気付いたのか、先生はハンカチで拭う様な自然な仕草でそれを隠す。
その仕草に気付かなかったフリをして、テーブルに零れた水を黙々と拭き取った。
(なんだろう、アレ?
隠したって事は、何か見られたくない理由があるのよね?
もしかして、いつも着けている手袋もアレを隠す為だったのかな?)
「オフィーリア、どうしたの?」
考え込みながら裏へ戻ると、アイザックが声を掛けて来た。
私は、今見た出来事を話す。
「星型……。そうか……」
私の話を聞いたアイザックは、とても難しい表情で呟いた。
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