44 / 200
44 大人の魅力
しおりを挟む
授業で分からない部分があったので、休み時間に職員室へ質問しに来たのだが、目当ての教師は見当たらない。
(席を外しているのかしら? 我ながら運が悪いなぁ)
諦めて教室へ戻ろうとした所で、これまた運悪く、背後から声が掛かる。
「おっ、エヴァレット嬢。丁度良い所にいた」
声の主は、探していたのとは別の教師。
「……はい、なんでしょう?」
面倒臭い事になりそうな予感がするが、無視する訳にもいかずに振り返った。
「この前提出してもらった課題のノート、返すの忘れててさぁ。
A教室へ戻るなら、持って行って皆んなに返しておいてくれない?」
教師は私の返事を待たずに、クラス全員分のノートの束を、なかば無理矢理に手渡してくる。
「ちょっ……、職務怠慢ではっ!?」
「まあまあ。固い事言わずに手伝ってよ。
ああ、忙しい忙しいっ」
ついさっきまでノンビリとお茶を飲んでいた癖に、急に書類を広げ出した教師に胡乱な視線を向けつつ、小さく溜息をついた。
「はぁ……。まあ、良いですけどね」
「ありがとう。よろしくな!」
Aクラスは人数が少ないので、全員分のノートでも然程重くはないし、手間もそんなにかかる訳ではない。
だが、この学園の生徒は貴族の子女ばかりなので、前世の学校と違って教師が生徒に雑用を頼む事は滅多にないのだ。
とは言え、ああいう軽薄なキャラの人間は、何処にでも一人くらいはいるものだ。
タイミングが悪かったなぁ、と思いながら廊下を歩いていると、開いていた窓から強い風が舞い込んだ。
つい最近上げるのをやめた長めの前髪が、風に煽られて私の視界を塞ぐ。
「……ぅわっっ!!」
驚いた拍子に体がバランスを崩した。
(ヤバい、転ぶっっ!)
思わず目を瞑り、衝撃に備えて身構えたのだが───。
ドサドサッとノートが床に落ちる音がしたと思ったら、白い手袋をはめた手がグッと私の手首を掴み、もう一本の力強い腕が私の背中を支えた。
蜂蜜とシナモンみたいな香りが、ほんのりと鼻腔をくすぐる。
恐る恐る目を開けると、深い青の瞳が至近距離から私を見詰めていた。
(あ、この人は……)
私の心臓がドクンと大きく音を鳴らす。
まるでダンスの決めポーズみたいな体勢で私を支えてくれた男性は、ヴィクター・リンメル。
薬学を担当している教師で、乙女ゲームの攻略対象者の一人である。
いつも白衣を着て白い手袋をはめているのが特徴だ。
薬学は選択科目なので、私は彼の授業を受けていないけど、『格好良くて優しい!』と、女生徒達からの評判は上々だ。
リンメル先生は掴んでいた私の手首を軽く引っ張り、崩れていた体勢を整えさせてから、ゆっくりと手を離した。
少し癖のあるココアブラウンの髪を掻き上げながら、フゥッと軽く息を吐いたその仕草は、妙に艶っぽい。
所謂、大人の魅力ってヤツだろうか?
「大丈夫か?」
低く心地良い声で問われて、頬が微かに熱くなる。
「あ、はい。
助けて頂いて、ありがとうございます」
慌ててペコリと頭を下げると、フッと小さく笑われた。
しゃがみ込んで足元に散らばったノートを拾い始めると、リンメル先生も手伝ってくれる。
「コレは数学のノートだな。
あのぐうたら教師、また生徒に雑用をさせてるのか」
彼は手に取った一冊をペラリと捲ると、微かに眉根を寄せて、呆れた様に呟いた。
どう答えるべきなのか迷った私は、曖昧な笑みを浮かべる。
「全く……。女生徒に荷物運びをさせるなんて、けしからんな。
悪いな、エヴァレット嬢。
アイツには俺からもちゃんと言い聞かせおくから」
(……私の名前、知ってたんだ)
授業を担当している生徒でもないのに、良く覚えているな。
生徒達の間で囁かれている様々な噂話は、意外と教師の間にまで広がっているのかもしれない。
「エヴァレット嬢、どうかしたか?」
黙り込んだ私を不審に思ったのか、リンメル先生が顔を覗き込んで呼び掛けてきた。
「……あ、はい…、いえ、大丈夫です」
動揺が続いているせいか、よく分からない返事をしてしまった。
恥ずかしくて益々頬に熱が上がる。
「エヴァレット嬢は、確かAクラスだったな?
このノートは後で俺が配っておくよ」
「あ、いえっ、本当に大丈夫ですから!
そんなに重い物でもないですし、お気持ちだけありがたく頂戴します」
「……そうか?」
勢い良くブンブンと首を左右に振ると、リンメル先生は少し困った様な顔をしながら、拾い集めたノートを渡してくれた。
気さくそうに見えるリンメル先生だが、実は心に闇を抱えているキャラクターだ。
ヴィクターは若くしてリンメル伯爵家の当主となっているが、実は養子なのだ。
前伯爵の姉が未婚のまま産んだヴィクターを、子が生まれなかった前伯爵夫妻が引き取った。
前伯爵の姉は子供の父親の名を最後まで明かさず、出産の直後に自殺している。
家庭環境が良好ではなかった為、後継から外された場合の保険として薬学を身に付けたらしいが、結局その道で才能を開花させ、伯爵位を継いだ今でも研究と後進の育成を続けているのだ。
そんな出自を抱えていれば、拗らせてしまうのは必然だろう。
ヴィクタールートに進んだ場合、勿論その心の闇はヒロインとの交流によって徐々に晴らされる。
しかし、この世界のヒロインは、どうやら第二王子ルートを進んでいるっぽい。
何度かプリシラとリンメル先生が話している所を見た事があるけど、もしかしたら先生の方は、既にプリシラに惹かれているのかもしれない。
(だとすると、リンメル先生はプリシラに振られて、ずっと心の闇を抱えたままで生きていくのかな?)
そう考えると、ちょっとだけ可哀想な気がする。
良い人っぽいのに。
(……まあ、私が心配するべき事じゃないか)
少し親切にしてもらったからって、一々情を移していたら身が持たない。
先生とヒロインとの間に愛が生まれなくても、別の素敵な女性と巡り合って救われるかもしれないし、友人に感化されて人生が変わる可能性だってあるだろう。
「じゃあ、気を付けてな」
「はい、ありがとうございました」
立ち去るリンメル先生に手を振って見送った。
その背中が見えなくなってから、ホゥッと息を吐き出す。
先生が去った後には、微かな甘い香りだけが残っていた。
(女生徒に貰った焼き菓子でも持っていたのかな?
ゲームのヴィクター・リンメルって、甘党とかいう設定あったっけ?)
そんなどうでも良い事を考えていたら、背後から忙しない足音が近付いてきた。
「……オフィ、リア」
聞き慣れた声に呼ばれて振り返ると、息を切らしたアイザックが、膝に手をついて苦しそうに立っている。
どうやら全力で走ったみたいだ。
「そんなに急いで、どうしたのです?」
「ハァ……向こう…の、ハァ…校舎、から、見えた…から」
私の質問に、アイザックは向かい側の校舎を指差しながら途切れ途切れに説明した。
あちらの窓から私の姿が見えたらしいという事だけは分かったが、そんなに慌てて来るほどの用って、一体何だろう?
「ええ、それで?」
話の先を促すと、アイザックは胸に手を当てて少し呼吸を整えてから、再び口を開いた。
「……リンメル、先生は?」
「ああ、なんだ。
私じゃなくて、リンメル先生に用があったのですね?
先生ならば彼方の方へ歩いて行きましたけど……。
多分ですが、職員室か薬学実験室に帰られたんじゃないかしら?」
「……そうか。
オフィーリアは、教室へ戻る所?」
「そうですが」
「じゃあ、一緒に戻ろう。
そのノート、僕が持つから貸して」
差し出された手に、素直にノートの束を渡す。
「ありがとうございます。
……でも、リンメル先生を追いかけなくて良いのですか?」
「うん。もう用事は済んだから」
意味不明なアイザックの言葉に、私は大きく首を捻りながら、前を行く彼の背中を追って歩き出した。
(席を外しているのかしら? 我ながら運が悪いなぁ)
諦めて教室へ戻ろうとした所で、これまた運悪く、背後から声が掛かる。
「おっ、エヴァレット嬢。丁度良い所にいた」
声の主は、探していたのとは別の教師。
「……はい、なんでしょう?」
面倒臭い事になりそうな予感がするが、無視する訳にもいかずに振り返った。
「この前提出してもらった課題のノート、返すの忘れててさぁ。
A教室へ戻るなら、持って行って皆んなに返しておいてくれない?」
教師は私の返事を待たずに、クラス全員分のノートの束を、なかば無理矢理に手渡してくる。
「ちょっ……、職務怠慢ではっ!?」
「まあまあ。固い事言わずに手伝ってよ。
ああ、忙しい忙しいっ」
ついさっきまでノンビリとお茶を飲んでいた癖に、急に書類を広げ出した教師に胡乱な視線を向けつつ、小さく溜息をついた。
「はぁ……。まあ、良いですけどね」
「ありがとう。よろしくな!」
Aクラスは人数が少ないので、全員分のノートでも然程重くはないし、手間もそんなにかかる訳ではない。
だが、この学園の生徒は貴族の子女ばかりなので、前世の学校と違って教師が生徒に雑用を頼む事は滅多にないのだ。
とは言え、ああいう軽薄なキャラの人間は、何処にでも一人くらいはいるものだ。
タイミングが悪かったなぁ、と思いながら廊下を歩いていると、開いていた窓から強い風が舞い込んだ。
つい最近上げるのをやめた長めの前髪が、風に煽られて私の視界を塞ぐ。
「……ぅわっっ!!」
驚いた拍子に体がバランスを崩した。
(ヤバい、転ぶっっ!)
思わず目を瞑り、衝撃に備えて身構えたのだが───。
ドサドサッとノートが床に落ちる音がしたと思ったら、白い手袋をはめた手がグッと私の手首を掴み、もう一本の力強い腕が私の背中を支えた。
蜂蜜とシナモンみたいな香りが、ほんのりと鼻腔をくすぐる。
恐る恐る目を開けると、深い青の瞳が至近距離から私を見詰めていた。
(あ、この人は……)
私の心臓がドクンと大きく音を鳴らす。
まるでダンスの決めポーズみたいな体勢で私を支えてくれた男性は、ヴィクター・リンメル。
薬学を担当している教師で、乙女ゲームの攻略対象者の一人である。
いつも白衣を着て白い手袋をはめているのが特徴だ。
薬学は選択科目なので、私は彼の授業を受けていないけど、『格好良くて優しい!』と、女生徒達からの評判は上々だ。
リンメル先生は掴んでいた私の手首を軽く引っ張り、崩れていた体勢を整えさせてから、ゆっくりと手を離した。
少し癖のあるココアブラウンの髪を掻き上げながら、フゥッと軽く息を吐いたその仕草は、妙に艶っぽい。
所謂、大人の魅力ってヤツだろうか?
「大丈夫か?」
低く心地良い声で問われて、頬が微かに熱くなる。
「あ、はい。
助けて頂いて、ありがとうございます」
慌ててペコリと頭を下げると、フッと小さく笑われた。
しゃがみ込んで足元に散らばったノートを拾い始めると、リンメル先生も手伝ってくれる。
「コレは数学のノートだな。
あのぐうたら教師、また生徒に雑用をさせてるのか」
彼は手に取った一冊をペラリと捲ると、微かに眉根を寄せて、呆れた様に呟いた。
どう答えるべきなのか迷った私は、曖昧な笑みを浮かべる。
「全く……。女生徒に荷物運びをさせるなんて、けしからんな。
悪いな、エヴァレット嬢。
アイツには俺からもちゃんと言い聞かせおくから」
(……私の名前、知ってたんだ)
授業を担当している生徒でもないのに、良く覚えているな。
生徒達の間で囁かれている様々な噂話は、意外と教師の間にまで広がっているのかもしれない。
「エヴァレット嬢、どうかしたか?」
黙り込んだ私を不審に思ったのか、リンメル先生が顔を覗き込んで呼び掛けてきた。
「……あ、はい…、いえ、大丈夫です」
動揺が続いているせいか、よく分からない返事をしてしまった。
恥ずかしくて益々頬に熱が上がる。
「エヴァレット嬢は、確かAクラスだったな?
このノートは後で俺が配っておくよ」
「あ、いえっ、本当に大丈夫ですから!
そんなに重い物でもないですし、お気持ちだけありがたく頂戴します」
「……そうか?」
勢い良くブンブンと首を左右に振ると、リンメル先生は少し困った様な顔をしながら、拾い集めたノートを渡してくれた。
気さくそうに見えるリンメル先生だが、実は心に闇を抱えているキャラクターだ。
ヴィクターは若くしてリンメル伯爵家の当主となっているが、実は養子なのだ。
前伯爵の姉が未婚のまま産んだヴィクターを、子が生まれなかった前伯爵夫妻が引き取った。
前伯爵の姉は子供の父親の名を最後まで明かさず、出産の直後に自殺している。
家庭環境が良好ではなかった為、後継から外された場合の保険として薬学を身に付けたらしいが、結局その道で才能を開花させ、伯爵位を継いだ今でも研究と後進の育成を続けているのだ。
そんな出自を抱えていれば、拗らせてしまうのは必然だろう。
ヴィクタールートに進んだ場合、勿論その心の闇はヒロインとの交流によって徐々に晴らされる。
しかし、この世界のヒロインは、どうやら第二王子ルートを進んでいるっぽい。
何度かプリシラとリンメル先生が話している所を見た事があるけど、もしかしたら先生の方は、既にプリシラに惹かれているのかもしれない。
(だとすると、リンメル先生はプリシラに振られて、ずっと心の闇を抱えたままで生きていくのかな?)
そう考えると、ちょっとだけ可哀想な気がする。
良い人っぽいのに。
(……まあ、私が心配するべき事じゃないか)
少し親切にしてもらったからって、一々情を移していたら身が持たない。
先生とヒロインとの間に愛が生まれなくても、別の素敵な女性と巡り合って救われるかもしれないし、友人に感化されて人生が変わる可能性だってあるだろう。
「じゃあ、気を付けてな」
「はい、ありがとうございました」
立ち去るリンメル先生に手を振って見送った。
その背中が見えなくなってから、ホゥッと息を吐き出す。
先生が去った後には、微かな甘い香りだけが残っていた。
(女生徒に貰った焼き菓子でも持っていたのかな?
ゲームのヴィクター・リンメルって、甘党とかいう設定あったっけ?)
そんなどうでも良い事を考えていたら、背後から忙しない足音が近付いてきた。
「……オフィ、リア」
聞き慣れた声に呼ばれて振り返ると、息を切らしたアイザックが、膝に手をついて苦しそうに立っている。
どうやら全力で走ったみたいだ。
「そんなに急いで、どうしたのです?」
「ハァ……向こう…の、ハァ…校舎、から、見えた…から」
私の質問に、アイザックは向かい側の校舎を指差しながら途切れ途切れに説明した。
あちらの窓から私の姿が見えたらしいという事だけは分かったが、そんなに慌てて来るほどの用って、一体何だろう?
「ええ、それで?」
話の先を促すと、アイザックは胸に手を当てて少し呼吸を整えてから、再び口を開いた。
「……リンメル、先生は?」
「ああ、なんだ。
私じゃなくて、リンメル先生に用があったのですね?
先生ならば彼方の方へ歩いて行きましたけど……。
多分ですが、職員室か薬学実験室に帰られたんじゃないかしら?」
「……そうか。
オフィーリアは、教室へ戻る所?」
「そうですが」
「じゃあ、一緒に戻ろう。
そのノート、僕が持つから貸して」
差し出された手に、素直にノートの束を渡す。
「ありがとうございます。
……でも、リンメル先生を追いかけなくて良いのですか?」
「うん。もう用事は済んだから」
意味不明なアイザックの言葉に、私は大きく首を捻りながら、前を行く彼の背中を追って歩き出した。
2,716
お気に入りに追加
6,319
あなたにおすすめの小説

[完結]本当にバカね
シマ
恋愛
私には幼い頃から婚約者がいる。
この国の子供は貴族、平民問わず試験に合格すれば通えるサラタル学園がある。
貴族は落ちたら恥とまで言われる学園で出会った平民と恋に落ちた婚約者。
入婿の貴方が私を見下すとは良い度胸ね。
私を敵に回したら、どうなるか分からせてあげる。
【完結】恋は、終わったのです
楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。
今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。
『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』
身長を追い越してしまった時からだろうか。
それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。
あるいは――あの子に出会った時からだろうか。
――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。

ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。

私は側妃なんかにはなりません!どうか王女様とお幸せに
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のキャリーヌは、婚約者で王太子のジェイデンから、婚約を解消して欲しいと告げられた。聞けば視察で来ていたディステル王国の王女、ラミアを好きになり、彼女と結婚したいとの事。
ラミアは非常に美しく、お色気むんむんの女性。ジェイデンが彼女の美しさの虜になっている事を薄々気が付いていたキャリーヌは、素直に婚約解消に応じた。
しかし、ジェイデンの要求はそれだけでは終わらなかったのだ。なんとキャリーヌに、自分の側妃になれと言い出したのだ。そもそも側妃は非常に問題のある制度だったことから、随分昔に廃止されていた。
もちろん、キャリーヌは側妃を拒否したのだが…
そんなキャリーヌをジェイデンは権力を使い、地下牢に閉じ込めてしまう。薄暗い地下牢で、食べ物すら与えられないキャリーヌ。
“側妃になるくらいなら、この場で息絶えた方がマシだ”
死を覚悟したキャリーヌだったが、なぜか地下牢から出され、そのまま家族が見守る中馬車に乗せられた。
向かった先は、実の姉の嫁ぎ先、大国カリアン王国だった。
深い傷を負ったキャリーヌを、カリアン王国で待っていたのは…
※恋愛要素よりも、友情要素が強く出てしまった作品です。
他サイトでも同時投稿しています。
どうぞよろしくお願いしますm(__)m

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)

ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる