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90 《番外編》悪女も天使に恋をする?②
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顔を上げたラマディエ公爵の落ち窪んだ目がギョロリと動き、エリザベートの顔の位置でピタッと止まる。
「エリザベート……。
お前なのかっ!? お前が私を陥れたのか!!」
ヨロリと立ち上がって、おぼつかない足取りでこちらに近付いたラマディエ公爵は、鉄格子を掴むとガシャガシャと揺さぶった。
「お前の目は節穴か?
陥れたのは、リズでは無くて、この僕だよ」
ジェレミーが冷たく言い放つと、ラマディエ公爵は漸くエリザベートの隣に立つ彼を視界に映した。
「……デュドヴァンの若造っ!!
貴様が私のアリバイを証言しなかったせいでっ……!
おいっ、誰かっ!! 誰か来てくれっっ!!
コイツが嘘の証言をしたんだっ!
私は、私は本当に、闘技場になんていなかったのに……」
取り乱して鉄の扉の向こうへと怒鳴る公爵に、ジェレミーは防音の魔道具を見せる。
「大声を上げても無駄だよ。防音してるから。
それにさぁ、確かに闘技場の件は冤罪だけど、その捜査の過程でアンタのもっとヤバい犯罪の証拠がわんさか出てるんだよ。
奴隷売買とか、違法薬物の取り引きとか、他にも色々。
もう、闘技場の出入りとかの問題じゃないんだよね。分かる?」
ジェレミーが懇切丁寧に状況を説明してやると、公爵の顔色は見る見る内に悪くなり、鉄格子を掴んだままその場に崩れ落ちた。
「どうして、こんな事に……」
そう呟いた公爵は、ハッとした様にエリザベートを仰ぎ見た。
「エリザベート、黙って突っ立ってないで、なんとかしてくれっ!
私が罪に問われれば、お前だって無事では済まないのだぞ!?」
「いいえ。私には無関係です。
この国には連座制で家族も処罰する法が有りますが、婚姻などで籍を抜いた者に迄は適用されませんもの」
「は!? 何の話だ?」
「あら、手紙か何かでアニエスから報告されているかと思いましたのに、何も知らないのですね」
「だからっ、何の話なんだっっ!?」
苛立ちを露わにする公爵とは対照的に、エリザベートは無表情で答えた。
「私、結婚しましたの。
こちらのジェレミー・デュドヴァン様と。
それによって、私は既にラマディエ家の籍からは抜けておりますので、貴方の罪とは無関係ですわ」
「そんな馬鹿な……。どうやって……」
想像もしていなかった言葉に、公爵は呆然とした様子で目を泳がせた。
「仮にも血の繋がった娘の慶事ですのに、祝いの言葉一つも頂けませんのね。
まあ、期待もしていませんでしたが…」
エリザベートは公爵に軽蔑の眼差しを送りながら溜息を吐いた。
「何故そんな事になっている!?
私はお前の婚姻など認めていないぞっ!」
「そう仰られましても、もう手続きは済んでおりますし、覆す事は不可能ですよ。
残念でしたわね。
助けを求めるのでしたら、お兄様かお義母様かアニエスにでもお願いしたらよろしいのではないですか?
まあ、あの方達の能力では、何の役にも立ちそうにありませんが」
「お前…、父親を見捨てるのか……?」
「お母様が亡くなってから、貴方を父だと思った事は一度たりとも有りませんし、貴方も私を娘だとは思っていなかったでしょう?
今更、父親ヅラされてもねぇ……」
公爵は顔をグシャグシャに歪めて、喚き散らす。
「このっ……!! 馬鹿娘がっ!!
ここまで育ててやった恩も忘れてっ」
「馬鹿に馬鹿って言われるのは、なかなか屈辱的ね」
微かに眉根を寄せてぼやくエリザベートの背中を、ジェレミーはそっと撫でた。
エリザベートは公爵に冷めた視線を向ける。
「育てて貰った記憶は無いけど、確かに生活費の面倒は見て貰いましたね。
ですが、それは最低限の親の義務ではないですか?
その程度で恩着せがましく言われても……。
それに、恩よりも恨みの方が大きいのだから、プラマイゼロどころかマイナスじゃないかしら?」
「クソッ!! なんて生意気なっ……!!」
公爵はその瞳に怨嗟の色を浮かべながら、鉄格子を蹴り付けた。
ガシャンと派手な金属音が鳴る。
(なんだか哀れね)
エリザベートはフッと小さく嗤った。
「君が望むなら、今すぐにアイツを二度と喋れない様にしてあげるけど」
ジェレミーの提案に、エリザベートは首を傾げた。
「どうやって?」
「頭部を凍り付かせて、口が開かない様にするとか」
ジェレミーはクリストフに似て氷を生み出す魔法が得意だ。
「秒で死にますよね」
「まあ、そうなるね」
「結構です。殺す価値も無いもの。
それにココで殺るのは、流石にマズイでしょう?」
「それもそうか。残念だけど」
二人の不穏な会話とジェレミーの冷たい微笑みに、危機感を覚えた公爵は震える足で一歩後ずさる。
「もしも、この先必要になった時には、私が自分でやりますから、ジェレミーはサポートだけして下さい。
だから、ねぇ、元お父様。
妙な気を起こして、私の手を煩わせないで下さいね」
艶やかな微笑みを浮かべる娘を、公爵は得体の知れない物を見るような目で凝視した。
結果的に、魔法を使わなくても、彼の口は固く閉ざされたのだった。
帰りの馬車の中で、エリザベートはジェレミーにずっと肩を抱かれて、頭を撫でられていた。
いつもならば恥ずかしくて直ぐに逃げてしまうのだが、今は彼の温もりがとても心地良い。
「今日はありがとうございました。
無理を言って申し訳ありませんでした」
「……気持ちの整理はついた?」
「ええ。
あの人が、私が思っていた以上に腐った人間だって事が分かって、良かったです。
お陰で心置きなく見捨てられますから」
エリザベートはもうラマディエ公爵を『父』とは呼ばくなっていた。
堕ちた父を見れば胸がすくかと思っていたのだが、実際は真逆だった。
あんな愚かな人間に何年も囚われ、頭を悩ませていたのかと思うと、自分が情けなくてとても悔しい。
(でも、そんな思いも今日で忘れてしまいましょう)
「そうか。吹っ切れたのなら良かった」
「あの人……どんな罰を受けるのでしょうか?」
「闘技場の出入りと違法賭博だけなら大した罪にはならないけど、思った以上に色々な違法行為が見つかったみたいだから、爵位は剥奪されるし……もしかしたら、それ以上の刑になるかも」
「連座は適用されないとしても、実家が没落したら社交界では肩身が狭いですよね。
ジェレミー達にも迷惑が掛かりませんか?」
不安そうな瞳で見上げるエリザベートの肩を、ジェレミーは益々強く抱き寄せる。
「デュドヴァン家はそんな事で揺らぐほどやわじゃないよ。
母方の祖父母も味方になってくれるし、心配は要らない。
寧ろ、君に頼ってもらえるなら僕にはご褒美だから」
入籍してからのジェレミーは、エリザベートに飛び切り甘い顔を見せる。
そんな時、エリザベートは胸の奥が擽ったくて落ち着かない心地になるが、不思議と嫌な気分では無い。
「そんなに甘やかされたら、一人で立てなくなってしまうわ」
「僕がずっと隣にいるから、全く問題無い」
優しくされる事に慣れていないエリザベートは、滲みそうになった涙を隠す様にジェレミーの肩に顔をうずめて、そっと目を閉じた。
「エリザベート……。
お前なのかっ!? お前が私を陥れたのか!!」
ヨロリと立ち上がって、おぼつかない足取りでこちらに近付いたラマディエ公爵は、鉄格子を掴むとガシャガシャと揺さぶった。
「お前の目は節穴か?
陥れたのは、リズでは無くて、この僕だよ」
ジェレミーが冷たく言い放つと、ラマディエ公爵は漸くエリザベートの隣に立つ彼を視界に映した。
「……デュドヴァンの若造っ!!
貴様が私のアリバイを証言しなかったせいでっ……!
おいっ、誰かっ!! 誰か来てくれっっ!!
コイツが嘘の証言をしたんだっ!
私は、私は本当に、闘技場になんていなかったのに……」
取り乱して鉄の扉の向こうへと怒鳴る公爵に、ジェレミーは防音の魔道具を見せる。
「大声を上げても無駄だよ。防音してるから。
それにさぁ、確かに闘技場の件は冤罪だけど、その捜査の過程でアンタのもっとヤバい犯罪の証拠がわんさか出てるんだよ。
奴隷売買とか、違法薬物の取り引きとか、他にも色々。
もう、闘技場の出入りとかの問題じゃないんだよね。分かる?」
ジェレミーが懇切丁寧に状況を説明してやると、公爵の顔色は見る見る内に悪くなり、鉄格子を掴んだままその場に崩れ落ちた。
「どうして、こんな事に……」
そう呟いた公爵は、ハッとした様にエリザベートを仰ぎ見た。
「エリザベート、黙って突っ立ってないで、なんとかしてくれっ!
私が罪に問われれば、お前だって無事では済まないのだぞ!?」
「いいえ。私には無関係です。
この国には連座制で家族も処罰する法が有りますが、婚姻などで籍を抜いた者に迄は適用されませんもの」
「は!? 何の話だ?」
「あら、手紙か何かでアニエスから報告されているかと思いましたのに、何も知らないのですね」
「だからっ、何の話なんだっっ!?」
苛立ちを露わにする公爵とは対照的に、エリザベートは無表情で答えた。
「私、結婚しましたの。
こちらのジェレミー・デュドヴァン様と。
それによって、私は既にラマディエ家の籍からは抜けておりますので、貴方の罪とは無関係ですわ」
「そんな馬鹿な……。どうやって……」
想像もしていなかった言葉に、公爵は呆然とした様子で目を泳がせた。
「仮にも血の繋がった娘の慶事ですのに、祝いの言葉一つも頂けませんのね。
まあ、期待もしていませんでしたが…」
エリザベートは公爵に軽蔑の眼差しを送りながら溜息を吐いた。
「何故そんな事になっている!?
私はお前の婚姻など認めていないぞっ!」
「そう仰られましても、もう手続きは済んでおりますし、覆す事は不可能ですよ。
残念でしたわね。
助けを求めるのでしたら、お兄様かお義母様かアニエスにでもお願いしたらよろしいのではないですか?
まあ、あの方達の能力では、何の役にも立ちそうにありませんが」
「お前…、父親を見捨てるのか……?」
「お母様が亡くなってから、貴方を父だと思った事は一度たりとも有りませんし、貴方も私を娘だとは思っていなかったでしょう?
今更、父親ヅラされてもねぇ……」
公爵は顔をグシャグシャに歪めて、喚き散らす。
「このっ……!! 馬鹿娘がっ!!
ここまで育ててやった恩も忘れてっ」
「馬鹿に馬鹿って言われるのは、なかなか屈辱的ね」
微かに眉根を寄せてぼやくエリザベートの背中を、ジェレミーはそっと撫でた。
エリザベートは公爵に冷めた視線を向ける。
「育てて貰った記憶は無いけど、確かに生活費の面倒は見て貰いましたね。
ですが、それは最低限の親の義務ではないですか?
その程度で恩着せがましく言われても……。
それに、恩よりも恨みの方が大きいのだから、プラマイゼロどころかマイナスじゃないかしら?」
「クソッ!! なんて生意気なっ……!!」
公爵はその瞳に怨嗟の色を浮かべながら、鉄格子を蹴り付けた。
ガシャンと派手な金属音が鳴る。
(なんだか哀れね)
エリザベートはフッと小さく嗤った。
「君が望むなら、今すぐにアイツを二度と喋れない様にしてあげるけど」
ジェレミーの提案に、エリザベートは首を傾げた。
「どうやって?」
「頭部を凍り付かせて、口が開かない様にするとか」
ジェレミーはクリストフに似て氷を生み出す魔法が得意だ。
「秒で死にますよね」
「まあ、そうなるね」
「結構です。殺す価値も無いもの。
それにココで殺るのは、流石にマズイでしょう?」
「それもそうか。残念だけど」
二人の不穏な会話とジェレミーの冷たい微笑みに、危機感を覚えた公爵は震える足で一歩後ずさる。
「もしも、この先必要になった時には、私が自分でやりますから、ジェレミーはサポートだけして下さい。
だから、ねぇ、元お父様。
妙な気を起こして、私の手を煩わせないで下さいね」
艶やかな微笑みを浮かべる娘を、公爵は得体の知れない物を見るような目で凝視した。
結果的に、魔法を使わなくても、彼の口は固く閉ざされたのだった。
帰りの馬車の中で、エリザベートはジェレミーにずっと肩を抱かれて、頭を撫でられていた。
いつもならば恥ずかしくて直ぐに逃げてしまうのだが、今は彼の温もりがとても心地良い。
「今日はありがとうございました。
無理を言って申し訳ありませんでした」
「……気持ちの整理はついた?」
「ええ。
あの人が、私が思っていた以上に腐った人間だって事が分かって、良かったです。
お陰で心置きなく見捨てられますから」
エリザベートはもうラマディエ公爵を『父』とは呼ばくなっていた。
堕ちた父を見れば胸がすくかと思っていたのだが、実際は真逆だった。
あんな愚かな人間に何年も囚われ、頭を悩ませていたのかと思うと、自分が情けなくてとても悔しい。
(でも、そんな思いも今日で忘れてしまいましょう)
「そうか。吹っ切れたのなら良かった」
「あの人……どんな罰を受けるのでしょうか?」
「闘技場の出入りと違法賭博だけなら大した罪にはならないけど、思った以上に色々な違法行為が見つかったみたいだから、爵位は剥奪されるし……もしかしたら、それ以上の刑になるかも」
「連座は適用されないとしても、実家が没落したら社交界では肩身が狭いですよね。
ジェレミー達にも迷惑が掛かりませんか?」
不安そうな瞳で見上げるエリザベートの肩を、ジェレミーは益々強く抱き寄せる。
「デュドヴァン家はそんな事で揺らぐほどやわじゃないよ。
母方の祖父母も味方になってくれるし、心配は要らない。
寧ろ、君に頼ってもらえるなら僕にはご褒美だから」
入籍してからのジェレミーは、エリザベートに飛び切り甘い顔を見せる。
そんな時、エリザベートは胸の奥が擽ったくて落ち着かない心地になるが、不思議と嫌な気分では無い。
「そんなに甘やかされたら、一人で立てなくなってしまうわ」
「僕がずっと隣にいるから、全く問題無い」
優しくされる事に慣れていないエリザベートは、滲みそうになった涙を隠す様にジェレミーの肩に顔をうずめて、そっと目を閉じた。
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