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32 二番手の女
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大聖堂の地下の階段を、魔力を搾り取られた聖女が、ふらつきながら上がって来て、ニナの肩をポンと叩いた。
「……次は、ニナの番ね」
息も絶え絶えにそう言った彼女に頷きを返し、ニナは先程彼女が登って来た階段を暗い気持ちで降りて行く。
そこに鎮座しているのは、国に結界を張る為の巨大な魔道具。
その魔道具の一部である巨大な水晶玉の様な部分に、数人の聖女が苦悶の表情を浮かべながら手を触れている。
ニナもその水晶に両手でソッと触れた。
「う゛っ…うぅ……」
体の中から無理矢理何かが吸い取られていく様な感覚はとても不快で、何度経験しても一向に慣れない。
ニナは固く目を閉じてその感覚に耐え、魔力の充填を続けた。
ニナ・ブレーズは聖女である。
彼女はブレーズ伯爵家の次女として、この世に生を受けた。
伯爵家の次女と言えば、一般的には恵まれた出自だと思われがちだが、実情はそうでも無い。
そんな彼女の貴重な力が発覚したのは、魔力測定の時だった。
この国の貴族子女には、八歳の時に教会で魔力測定を受ける事が義務付けられている。
それによって魔法属性や魔力量を調べられ、その結果は必ず国に報告されるのだ。
ニナは貴重な光属性であると判明し、しかも、かなりの魔力量の持ち主だった。
「次代の筆頭聖女はきっとニナ様ね」
誰もがそう言って、ニナを持ち上げた。
勿論、ブレーズ伯爵家もお祭り騒ぎだ。
ブレーズ伯爵家は、ニナの祖父の代で投資に失敗し、かなりの借金を作っていた。
ニナの父が爵位を受け継いでからは、多少持ち直したものの、あまり余裕があるとは言えない状況が続いている。
長女が裕福な家の嫡男に見初められ、なんとか婚約まで漕ぎ着けて、ホッとしていた所に生まれてきた二人目の女児であるニナは、ブレーズ家にとって、正直厄介者だった。
ニナもなんとか金のある家に嫁がせて援助を引き出したいが、残念ながら彼女の容姿は地味だったし、今の財政状況ではニナの分の持参金を用意出来るかどうかさえ怪しい。
そんな中で、ニナの光属性が発覚したのだ。
それはこの国において、かなり大きな名誉である。
これにより、ブレーズ家の中の力関係は大きく変わった。
今迄は何をするにも長女が優先で、ずっと二番手扱いだったニナを、家族は一番に気遣う様になったのだ。
(筆頭聖女になるのだもの、当たり前よね)
そう信じて疑わないニナだったが、残念ながらそれが現実になる日は来なかった。
数年後、孤児院で突然見つかった光属性持ちの少女は、ニナなど足元にも及ばない程の、膨大な魔力を持っていたのだ。
「やっぱりねぇ……ニナが筆頭聖女になれるだなんて、何かの間違いだと思ったのよ」
姉は馬鹿にした様に鼻で笑った。
(筆頭じゃなくても、聖女になるだけだって名誉な事なのに……!!)
ニナは悔しくて唇を噛んだ。
孤児院の少女、ミシェルが筆頭聖女に認定された時、『やっぱり私は二番手なんだ』という諦めにも似た気持ちがニナを苛んだ。
そんなある日、聖女の一人であるステファニーが、ミシェル以外の聖女を集めた。
「わたくし達は誇り高き貴族の令嬢です。
本来なら、わたくし達の様に高貴な身分の者は、労働など致しませんでしょう?
これまでは貴族の中にしか聖女の力を持つ者が生まれなかったので、国を守る為に仕方なく奉仕して参りましたけれど……。
幸運な事に、今は平民の筆頭聖女とやらがいるではないですか。
ならば、聖女の仕事は全て彼女がすれば良いのではなくって?」
そう宣う彼女に頷く者は多かった。
皆、ミシェルに対する複雑な思いを抱えていたし、たとえステファニーの意見に賛同出来なかったとしても、公爵令嬢の彼女に堂々と逆らう者などいない。
かくして、聖女達は仕事をボイコットし始めたのである。
ミシェルが追い出され、漸く自分の元に筆頭聖女の肩書きが回って来ると期待したニナだったが、王太子の口添えによって、それはステファニーの物となってしまった。
(ステファニー様は、私より魔力が少ないのに……)
ミシェルが居なくなっても、やっぱりニナは二番手扱い。
ニナの心の中には、決して吐き出す事が許されない不満が、どんどん溜まって行った。
結界維持の為の魔力提供は、思った以上にしんどい仕事だった。
大量の魔力を一気に抜き取られると、体が怠くて動けなくなるのだ。
それ程までに辛い思いをしながら、聖女達が常に交代で魔力を充填しているのに、結界は未だに不安定なままだった。
これをどうやってミシェル一人で維持していたのか……。
そう考えると、ミシェルが筆頭聖女の地位を賜った正当性は明白である。
ニナを始めとする何人かは、ミシェルを虐げ追い出してしまった事への罪悪感に苦しんだ。
だが、ステファニーは、どうしてもミシェルの実力を認めたくないみたいで、「貴女達の頑張りが足りないのでしょう?」と、理不尽に他の聖女達を責め続けた。
そんな日々の中、ニナは突然王宮に呼ばれた。
数ヶ月前から蔓延していた感染症は、集団免疫を獲得したお陰で緩やかに収束に向かっている。
だが、高齢の国王陛下は、感染症が完治しても未だ体調が優れない。
その為、聖女の派遣が要請されたのだ。
国王陛下の治癒ともなれば、本来ならば筆頭聖女が担当するべき任務であるが、ステファニーは「体調の悪い陛下に謁見するなんて嫌よ。わたくしに病気が感染ったらどうしてくれるの?」と、不機嫌な顔で言い放った。
そこで、万年二番手のニナにお鉢が回って来たのだ。
登城するのは面倒だし、まだ王宮の中には感染症のウイルスが残っている危険性もあるが、ここ数日大聖堂に缶詰め状態だったニナにとって、短時間でも外出させて貰える事は、逆に有難かった。
良い気分転換になるから。
余談だが、ステファニーには、気分転換など必要無い。
彼女は『殿下の婚約者としての義務』と称して、茶会や夜会に頻繁に出掛けているから。
煌びやかなドレスと宝飾品を身に付けて、楽しそうに。
勿論、その間の仕事は、他の聖女に丸投げである。
「……次は、ニナの番ね」
息も絶え絶えにそう言った彼女に頷きを返し、ニナは先程彼女が登って来た階段を暗い気持ちで降りて行く。
そこに鎮座しているのは、国に結界を張る為の巨大な魔道具。
その魔道具の一部である巨大な水晶玉の様な部分に、数人の聖女が苦悶の表情を浮かべながら手を触れている。
ニナもその水晶に両手でソッと触れた。
「う゛っ…うぅ……」
体の中から無理矢理何かが吸い取られていく様な感覚はとても不快で、何度経験しても一向に慣れない。
ニナは固く目を閉じてその感覚に耐え、魔力の充填を続けた。
ニナ・ブレーズは聖女である。
彼女はブレーズ伯爵家の次女として、この世に生を受けた。
伯爵家の次女と言えば、一般的には恵まれた出自だと思われがちだが、実情はそうでも無い。
そんな彼女の貴重な力が発覚したのは、魔力測定の時だった。
この国の貴族子女には、八歳の時に教会で魔力測定を受ける事が義務付けられている。
それによって魔法属性や魔力量を調べられ、その結果は必ず国に報告されるのだ。
ニナは貴重な光属性であると判明し、しかも、かなりの魔力量の持ち主だった。
「次代の筆頭聖女はきっとニナ様ね」
誰もがそう言って、ニナを持ち上げた。
勿論、ブレーズ伯爵家もお祭り騒ぎだ。
ブレーズ伯爵家は、ニナの祖父の代で投資に失敗し、かなりの借金を作っていた。
ニナの父が爵位を受け継いでからは、多少持ち直したものの、あまり余裕があるとは言えない状況が続いている。
長女が裕福な家の嫡男に見初められ、なんとか婚約まで漕ぎ着けて、ホッとしていた所に生まれてきた二人目の女児であるニナは、ブレーズ家にとって、正直厄介者だった。
ニナもなんとか金のある家に嫁がせて援助を引き出したいが、残念ながら彼女の容姿は地味だったし、今の財政状況ではニナの分の持参金を用意出来るかどうかさえ怪しい。
そんな中で、ニナの光属性が発覚したのだ。
それはこの国において、かなり大きな名誉である。
これにより、ブレーズ家の中の力関係は大きく変わった。
今迄は何をするにも長女が優先で、ずっと二番手扱いだったニナを、家族は一番に気遣う様になったのだ。
(筆頭聖女になるのだもの、当たり前よね)
そう信じて疑わないニナだったが、残念ながらそれが現実になる日は来なかった。
数年後、孤児院で突然見つかった光属性持ちの少女は、ニナなど足元にも及ばない程の、膨大な魔力を持っていたのだ。
「やっぱりねぇ……ニナが筆頭聖女になれるだなんて、何かの間違いだと思ったのよ」
姉は馬鹿にした様に鼻で笑った。
(筆頭じゃなくても、聖女になるだけだって名誉な事なのに……!!)
ニナは悔しくて唇を噛んだ。
孤児院の少女、ミシェルが筆頭聖女に認定された時、『やっぱり私は二番手なんだ』という諦めにも似た気持ちがニナを苛んだ。
そんなある日、聖女の一人であるステファニーが、ミシェル以外の聖女を集めた。
「わたくし達は誇り高き貴族の令嬢です。
本来なら、わたくし達の様に高貴な身分の者は、労働など致しませんでしょう?
これまでは貴族の中にしか聖女の力を持つ者が生まれなかったので、国を守る為に仕方なく奉仕して参りましたけれど……。
幸運な事に、今は平民の筆頭聖女とやらがいるではないですか。
ならば、聖女の仕事は全て彼女がすれば良いのではなくって?」
そう宣う彼女に頷く者は多かった。
皆、ミシェルに対する複雑な思いを抱えていたし、たとえステファニーの意見に賛同出来なかったとしても、公爵令嬢の彼女に堂々と逆らう者などいない。
かくして、聖女達は仕事をボイコットし始めたのである。
ミシェルが追い出され、漸く自分の元に筆頭聖女の肩書きが回って来ると期待したニナだったが、王太子の口添えによって、それはステファニーの物となってしまった。
(ステファニー様は、私より魔力が少ないのに……)
ミシェルが居なくなっても、やっぱりニナは二番手扱い。
ニナの心の中には、決して吐き出す事が許されない不満が、どんどん溜まって行った。
結界維持の為の魔力提供は、思った以上にしんどい仕事だった。
大量の魔力を一気に抜き取られると、体が怠くて動けなくなるのだ。
それ程までに辛い思いをしながら、聖女達が常に交代で魔力を充填しているのに、結界は未だに不安定なままだった。
これをどうやってミシェル一人で維持していたのか……。
そう考えると、ミシェルが筆頭聖女の地位を賜った正当性は明白である。
ニナを始めとする何人かは、ミシェルを虐げ追い出してしまった事への罪悪感に苦しんだ。
だが、ステファニーは、どうしてもミシェルの実力を認めたくないみたいで、「貴女達の頑張りが足りないのでしょう?」と、理不尽に他の聖女達を責め続けた。
そんな日々の中、ニナは突然王宮に呼ばれた。
数ヶ月前から蔓延していた感染症は、集団免疫を獲得したお陰で緩やかに収束に向かっている。
だが、高齢の国王陛下は、感染症が完治しても未だ体調が優れない。
その為、聖女の派遣が要請されたのだ。
国王陛下の治癒ともなれば、本来ならば筆頭聖女が担当するべき任務であるが、ステファニーは「体調の悪い陛下に謁見するなんて嫌よ。わたくしに病気が感染ったらどうしてくれるの?」と、不機嫌な顔で言い放った。
そこで、万年二番手のニナにお鉢が回って来たのだ。
登城するのは面倒だし、まだ王宮の中には感染症のウイルスが残っている危険性もあるが、ここ数日大聖堂に缶詰め状態だったニナにとって、短時間でも外出させて貰える事は、逆に有難かった。
良い気分転換になるから。
余談だが、ステファニーには、気分転換など必要無い。
彼女は『殿下の婚約者としての義務』と称して、茶会や夜会に頻繁に出掛けているから。
煌びやかなドレスと宝飾品を身に付けて、楽しそうに。
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